与党と野党、どっちが勝ってる?


 臨時国会召集を巡る与野党の攻防は未だ決着を見ません。この攻防、与党民主党と野党自民党・公明党は何をどうすれば勝ち、また負けになるのでしょうか。ちょっと考えてみます。

 野党の勝利条件は、8月に野田首相が約束した「近いうちに解散する」という言葉の、「近いうち」をもっと踏み込んだ内容にすることです。どの程度踏み込んだ内容にすれば勝ちなのかは人によって濃淡があります。解散する日程を示さなければ負けという人もいれば、「『ごく』近いうちに『必ず』解散する」くらいの表現でいいという人もいるでしょう。

 野党の敗北条件は、野田首相が「近いうちは近いうちでそれ以上でも以下でもない」と従来の主張を繰り返すにとどまった場合です。人によっては、「年内に解散に追い込めなければ負けだ」という人もいるかもしれません。

 与党の勝利条件は、政権の維持です。予算執行に必要な特例公債法案の成立や衆議院の選挙制度改革の達成は、政権運営を続ける以上果たさなければならないやっかいな仕事程度のものであって、民主党政権の維持という観点からすれば達成できなくてもどうということはありません。もちろん、野田内閣は退陣に追い込まれるかもしれません。しかし、かえってその方が反野田内閣で民主党を離党した議員が復党する口実ができ、衆議院の民主党の議席が増えるかもしれません。

 与党の敗北条件は、政権を失うことです。それも、早ければ早いほど大負けになります。民主党に不利だといわれている状況で解散するなどもってのほかです。しかし、実際に解散しなければどうということはないので、「解散する…かも」くらいのことならいくらでも言えます。ただ、簡単に言ってしまうと価値がなくなってしまうので、精々もったいぶって言わなければならないでしょう。

 おそらく、与党も野党もともに「自分が勝った」と主張できるようなところに落ち着くでしょう。ただ、与党の勝利条件がかなり甘いのに対して、野党の勝利条件は厳しく、かつ、実がありません。

 状況は与党有利だと、私は見ています。

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誰が事態を打開できるのか


 2012年10月16日現在。昨日、10月15日に民主・自民・公明3党の幹事長会談が行われました。今朝の朝刊をみたところ、昨日の会談では民主党と自民・公明両党の要求を表明しただけに終わったようです。

 話がまとまらなかったためか、10月18日に再度幹事長会談を行うことになりました。今週中にも党首会談を行うという予定だったはずなのに、8日に幹事長会談をやっていて間に合うのでしょうか。

 自民党と公明党はあくまで年内解散を求めるようです。しかし、国会が開かれなくては解散はありません。

 また、民主党は予算執行に必要な特例公債法案や、衆議院の選挙制度改革について臨時国会で話し合うことを求めています。もちろん、国会が開かれなくては、特例公債法案を成立させることも選挙制度改革もできません。

 与党民主党と野党自民党・公明党、どちらの要求にも国会の召集が必要です。そして、臨時国会の召集を最終的に決定できるのは内閣です。ただし、単に召集するだけではいけません。参議院は与党が過半数を持たない「ねじれ国会」なので臨時国会召集を強行しても、審議が進まない恐れがあるのです。

 ですから、召集の段階から野党を丁重に扱って協力してもらわないといけません。今回の幹事長会談、そして今月中に行われるはずの党首会談も、与党による野党のおもてなしです。

 もう一度整理します。与党も野党もお互いに臨時国会の召集が必要です。そして、臨時国会を召集する力があるのは与党です。しかし、臨時国会を与党の思い通り機能させるには野党の協力が不可欠です。ただし、野党が求める解散は与党が協力しなければ絶対にできません。何だか混乱してきました。いったい誰が臨時国会を開きたいのでしょうか。いったい誰が事態を打開する決定権を持っているのでしょうか。


予想に必要なことー野田首相の目的


 人の行動を予想するには、その人の目的と、その人ができること・できないことを把握することが必要です。目的と、できることとできないこと。この3つのうち、どれかひとつでも読み違えると、致命的なことになります。

 例えば、小泉純一郎元首相の郵政民営化法案が参議院で否決された時、当時自民党にいて郵政民営化反対を訴えていた亀井静香衆議院議員は自らの勝利を確信しました。当時の自民党は参議院で否決された法案を再可決するために必要な、衆議院定数の3分の2の議席を持っていなかったからです。これで、郵政民営化法案を葬ることができたと考えたのです。

 しかし、小泉さんは「郵政民営化について国民の信を問う」として衆議院を解散します。郵政民営化に反対する現職議員を公認しない方針をとったこともあり、亀井さんをはじめとする郵政民営化に反対した議員は離党を余儀なくされます。それだけでなく、亀井さんたちの選挙区には自民党から新たな公認候補が送り込まれました。亀井さんは、ライブドアの社長だった堀江貴文さんと選挙戦を争うことになります。

 結果として小泉自民党は大勝利し、衆議院の与党勢力は3分の2を超えました。そして、郵政民営化法案は再提出され衆院を通過し、前回否決した時とまったく同じ構成だった参議院でもあっさり可決され、成立しました。

 亀井さんは小泉さんが解散なんかできるわけないと思っていたので、ぬか喜びしたことになります。亀井さんが郵政民営化の修正を果たすのは、郵政解散から7年経った2012年です。

 さて、現在は特例公債法案を成立させるための臨時国会召集時期が話題になっています。自民党や公明党は、特例公債法案成立に協力することの見返りとして年内の衆議院解散を求めています。

 しかし、この交渉が成立するのは野田首相が本気で特例公債法案を早急に成立させようとしているときだけです。

 野田首相の特例公債法案成立にかける意気込みは如何程のものなのか、しっかり見定めるないと自民党と公明党はピエロになってしまうかもしれません。

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民主党が「国民の生活が第一」と組むメリット


 2012年10月12日現在。朝刊に興味深い記事が載っていました。民主党の輿石幹事長が、「国民の生活が第一」(以下「生活」)に接近しているというものです。

 「生活」は、民主党代表を務めたこともある小沢一郎衆議院議員を党首とする政党です。小沢さんは野田首相の政権運営を批判し、仲間とともに民主党を離党して「生活」を作りました。現在、やはり野田首相の政権運営に不満をもつ元民主党議員が結成した新党きづなと行動をともにしていて、小沢さんが衆議院で動かせる議席は47議席になっています。輿石幹事長は、この47議席を確保することを目的としています。

 「生活」の議席があれば、衆議院の与党勢力は293議席になり、議会運営の見通しはかなり良くなります。しかし、参議院では過半数をとれない状況に変わりなく、予算執行に必要である特例公債法案などの重要法案成立の見通しはたちません。また、参議院で否決された法案を衆議院で再議決して成立させるために必要な定数の三分の二も、確保できる見通しはありません。「生活」と協調しても、重要法案の成立が難しいという状況に変わりないのです。

 では、「生活」と協調することで得られる一番大きなメリットはなんでしょうか。それは、衆議院で内閣不信任決議案が可決されることによる解散の可能性を減らせることです。

 ただでさえ可能性が低い解散の可能性をさらに減らすことで、早期解散を目指す自民党・公明党の意志をくじくことができます。そうすれば、解散を勝ち取れる見込みもなく審議拒否を続けるしかなくなり、進退きわまった自民党・公明党が重要法案の成立に協力し、臨時国会を乗り切ることができるかもしれません。実現すれば、民主党にとってかなり美味しい展開になります。

 しかし、「生活」の小沢さんがタダで民主党に協力するでしょうか。反野田政権で結党した以上、おそらく交渉の最初の段階で野田首相の退陣を求めるものと思われます。

 輿石幹事長は小沢さんと関係が良いこともあり、自民党との交渉は安住幹事長代行にまかせ、専ら「生活」との交渉に力をいれているようです。必ず解散の時期を問うてくる自民党を相手にするより、「生活」との交渉をまとめた方が民主党にとって有利だからです。

 小沢さんが輿石幹事長との交渉にどのような態度をとるのか、また、交渉に応じるとしたらどのような条件を出すのか。注目しています。

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臨時国会の展開予想


 2012年10月11日現在。本日、民主党と自民党の新執行部の顔合わせが行われる予定です。ここで幹事長会談や党首会談の段取りをつけ、臨時国会召集の展望を開くものと思われます。

 さて、臨時国会の召集があるとして、どのような展開があるでしょうか。ちょっと考えてみます。

 例えば、民主党と自民党・公明党との調整が不調のまま臨時国会が開会した場合。野田首相は8月に自民党と公明党に対して、消費税増税を含む税と社会保障の一体改革法の成立と引き換えに「近いうちに衆議院を解散する」と約束していて、自公両党は「近いうち」を具体的な日程として示すことを 要求しています。そのため、首相があくまでも衆議院解散の時期を明確にしないと、調整がうまくいかない可能性があります。

 この時、国会は最初から一触即発です。審議が進むどころか、参議院では8月末に通常国会の会期中可決された首相の問責決議を理由に審議に応じず、衆議院では内閣不信任決議案が提出される可能性もあります。もし、この不信任案に民主党の非主流派議員が同調する構えを見せ、民主党執行部の説得に応じない場合、不信任案が可決することになります。

 このような事態になった場合、野田首相には2つの選択肢があります。衆議院の解散か、内閣総辞職です。解散する場合はともかく、総辞職する場合は、不信任案の採決前になるものと思われます。

 なぜなら、不信任案の採決まで待ってしまうと、民主党の非主流派議員に不信任案の賛成もしくは採決欠席という踏み絵を踏ませることになるからです。こうなってしまうと、民主党として何らかの処分を下さざるを得ません。その結果、非主流派議員に離党でもされたら議席が減ってしまい、総辞職後の政局で主導権を握ることが難しくなります。

 不信任案の採決前に総辞職すれば、誰も処分する必要はなく、離党されるリスクも減らすことができます。総辞職後も衆議院でギリギリ保っている過半数を維持しつつ、政権を維持することが可能になるのです。

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総辞職の可能性について


 2012年10月10日現在。自民党の石破幹事長が、「衆議院の総選挙の投開票は12月9日になるだろう」と述べるなど、年内解散という「空気」の醸成に努めています。

 しかし、総選挙の前提となる衆議院の解散は首相の専権事項です。衆議院議員の任期満了を除き、首相が解散しようと思わなければ選挙はありません。

 解散しない場合、内閣には二つの選択肢があります。ひとつは、現在の内閣で政権運営をしていくということです。そして、もうひとつは内閣総辞職です。

 内閣不信任決議案の可決を目前にして内閣総辞職した内閣があります。羽田内閣です。羽田内閣は、当時の自民党と共産党を除いた会派(国会のグループ。政党とほぼ同じ構成です)の支持により成立しました。

 ところが、社会党が連立与党内の内紛により連立離脱したため、衆議院で過半数をもたない内閣になってしまいました。(ちなみに、社会党は社民党と一部の民主党議員の出身母体だった政党です)

 このような情勢において、最大野党の自民党は内閣不信任決議案を提出し、さらに、社会党も独自に内閣不信任決議案を提出します。羽田内閣は不信任案決議案の採決をまたず総辞職し、在任期間64日という短命内閣に終わりました。

 このとき羽田首相が解散を選ばず総辞職をしたのには2つの理由がありました。ひとつは、当時、選挙制度が中選挙区制から現在のような小選挙区比例代表並立制に変わった直後だったため、肝心の選挙区割が決まっておらず、小選挙区での選挙ができなかったというものです。

 もうひとつは、当時の政治情勢は非常に流動的だったので、総辞職後も小沢一郎さんを中心とする羽田内閣を最後まで支持した勢力が次の首班指名選挙も勝ち取れるという読みがあったためです。

 自民党の若手だった石破さん(現幹事長)が自民党を離党したり、首相を務めた海部さんが羽田内閣崩壊後の首班指名選挙に小沢側から出馬するため、突如自民党を離党したりと、とにかく不安定でした。そのような状況だったので、総辞職後も小沢さんたちが勝つ可能性があったのです。

 この例をみると、議院の信任を失って内閣総辞職するのは、与党が次も政権を取る見込みがあるときだと言えるかもしれません。

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党首会談の遅れとノーベル賞


 2012年10月9日現在。臨時国会の召集時期などについて協議する、民主党と自民党の党首会談の時期が決まっていません。10月11日に両党の新執行部が顔合わせをし、そこで党首会談の具体的な内容、日程を詰めるものと思われます。

 ところで、政党の執行部というのは、党の代表である党首、党のマネジメントを行う幹事長、党の政策を統括する政調会長、議会運営に責任をもつ国対委員長等を指します。執行部には党首も当然入っているわけです。

 しかし、わざわざ新執行部の顔合わせの後に党首会談と言っているということは、11日の顔合わせに民主党代表(党首)の野田首相と自民党総裁(党首)の安倍衆議院議員のどちらか、または両方が参加しない可能性が高いのでしょう。もしくは、両者が参加したとしても話し合う気がないのです。

 どうせならわざわざワンクッションおかないで一気に党首会談もやってしまったほうがいいような気がします。何か止むを得ない事情があるのかもしれません。ただ、臨時国会召集には党首会談というステップが必要であるという機運、政治状況が作られているのは確かなので、党首会談が遅れれば遅れるだけ臨時国会召集は遠のきます。

 そんな悠長なことでいいのでしょうか。例えば、政府・与党のが臨時国会で成立を目指している特例公債法案の成立が遠のくことは、大学の運営費に影響を与えます。運営費がなくなるということは、研究費もまた、なくなるということです。

 折しも京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞されました。iPS細胞の研究に関する費用に国のお金がどれだけ入っているのか、また、その費用が特例公債法案の成立が遅れることでどれだけ抑制されるのかはわかりません。ただ、特例公債法案の成立は世界の最先端の研究に影響を与える可能性があるのです。

 ちなみに、この研究に対する民間企業の支援の動きはあまり活発ではないようです。山中教授は5億円の寄付を求めていましたが、3億円しか集まらず、自らが京都マラソンに参加し、完走を宣言することでやっと1000万円の寄付を集めるという状況です。結局、国に費用の多くを依存せざるを得ないのです。

 話し合いには時間をかけるべきです。しかしまた、その場は国会でなされるべきです。国会での話し合いは議事録にのり、公開されるからです。速やかな臨時国会召集があることを望みます。

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存在感を強める国会


 2012年10月5日現在。臨時国会召集の見通しは相変わらずたっていないようです。国会を開かないと問題を処理できないのは明白です。とはいえ、どうしても先送りしてしまう誘因が、政府・与党にあるのだからどうしようもありません。どう解決するつもりなのでしょうか。

 衆議院と参議院で多数派が異なるねじれ国会の常態化をはじめ、ここ数年で国会の存在感はいや増しています。この間、国会の機能自体はまったく変わっていません。ねじれ国会によって、一方の議院が政府・与党のコントロールを受けなくなったために、国会の権限が顕在化、可視化したのです。つまり、問題が起こっているので目立つようになったということです。

 ものごとがなかなか決まらないのはいいことではありません。しかし、多数派の言い分のみが迅速に決まってしまうのもよくありません。多様性がなくなる可能性があるからです。

 多様性がなくなると、状況の変化に対応できなくなり、ひとつの危機によってすべてが終わってしまう恐れがあります。そういう自体に陥らないようにしなければなりません。そのため、わざと中々決まらないような仕組みにしているのではないでしょうか。

 議会運営をどうこなすかは、政府・与党の手腕にかかっています。もし、国会審議のルールや慣習を変えることで事態を打開しようとするなら、国会の機能を損なう形のものにだけはしてほしくないです。

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臨時国会召集をためらう理由は?


 2012年10月4日現在。臨時国会召集の時期はまだ決まっていません。臨時国会を開かないことには、政府・与党が成立を求めている特例公債法案(来年3月までの予算執行に必要)も、衆議院の選挙制度改革法案(最高裁が「違憲状態」と指摘)も審議すらできません。参議院では与党が過半数を確保していないこともあり、審議に時間がかかることが予想されるので、早急に国会を開く必要があります。

 どうして、政府・与党は臨時国会召集に二の足を踏んでいるのでしょうか。新聞では、下手に国会を開くと衆議院解散に追い込まれる可能性があるからだとか、野党が審議に応じる見込みがないから開いてもムダだからだとか書かれています。しかし、これらは臨時国会の開会を遅らせる理由になりません。

 まず、衆議院解散に追い込まれるかもしれないという懸念について考えます。衆議院で多数を維持している民主党は、離党者が続出し、過半数を失うまであと十数議席というところまできています。野党が内閣不信任案を提出したとき、民主党議員が12人欠席したら、内閣不信任案は可決されます。そうなったら、解散に追い込まれるではないか、と考える人が懸念しているようです。

 しかし、憲法69条によれば、内閣不信任案が可決されたら、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければならないとあり、必ずしも解散する必要はありません。9月に代表選をやったばっかりで内閣総辞職し、首相が交代するのは民主党にとって大きな痛手になるかもしれませんが、選挙に負けて下野するよりマシだと思うなら耐えられないことではありません。あとは、野田首相のメンタル次第です。どこまでいっても、解散は首相の専権事項なのです。

 次に、野党が審議に応じる見込みがないから開いてもムダという懸念についてですが、だからといって国会を開かなければ、そもそも審議を行う舞台がないことになります。ひとつ言えることは、臨時国会を召集して野党が審議に応じなかった場合は、与党と野党のどちらがより批判されるかはフィフティーフィフティーですが、臨時国会の召集がない場合は全面的に政府・与党の責任になるということです。

 政権がある限り、政権運営をしていかなければなりません。政府・与党はどんなに苦しい状況であっても、知恵を絞って、あきらめずに、うまくやってもらいたいと思います。

 また、野党も政権を追い込むことが仕事です。衆議院か参議院のどちらかの4分の1以上の要求があれば、臨時国会の召集を法的に政府に迫ることができます(憲法53条)。この憲法の規定を活用して、さらに強く臨時国会召集を求めてガンガン政府・与党を追いつめてもらいたいと思います。


臨時国会召集先送り論?


 2012年10月3日現在。今年度予算の執行に必要な国債発行を可能にする特例公債法案、最高裁から是正を求められている衆議院の選挙制度改革法案、補正予算案などなど。山積する課題に対応するため、臨時国会の召集が予定されています。

 来年の1月からは、通常国会を開会して来年度の予算案を審議しなければならないため、臨時国会をあまり長引かせるわけにはいきません。どんなに長引いても、来年の1月中旬までが限度です。それ以上延びると予算案の審議日程が非常に窮屈になり、年度始めの4月になっても予算案が成立していない事態になってしまうからです。

 となると、予定されている臨時国会は早く召集しないと、どんどん審議日程がなくなっています。もし今月末召集ということになったら、2ヶ月半しか審議日程がないことになります。期間の短さに加え、参議院では野党が多数を握っているという状態。その期間で、冒頭で挙げた特例公債法案、選挙制度改革法案、補正予算案を成立させることができるのでしょうか。

 そのようななかで、臨時国会を先送りしようという声が与党からあがっているという記事をみました。よほど議会運営に自信がある議員が言ったのか、はたまた重要法案の可決・成立を完全に諦めてしまっているのか。どちらなのでしょうか。

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