臨時国会召集を巡る与野党の攻防は未だ決着を見ません。この攻防、与党民主党と野党自民党・公明党は何をどうすれば勝ち、また負けになるのでしょうか。ちょっと考えてみます。
野党の勝利条件は、8月に野田首相が約束した「近いうちに解散する」という言葉の、「近いうち」をもっと踏み込んだ内容にすることです。どの程度踏み込んだ内容にすれば勝ちなのかは人によって濃淡があります。解散する日程を示さなければ負けという人もいれば、「『ごく』近いうちに『必ず』解散する」くらいの表現でいいという人もいるでしょう。
野党の敗北条件は、野田首相が「近いうちは近いうちでそれ以上でも以下でもない」と従来の主張を繰り返すにとどまった場合です。人によっては、「年内に解散に追い込めなければ負けだ」という人もいるかもしれません。
与党の勝利条件は、政権の維持です。予算執行に必要な特例公債法案の成立や衆議院の選挙制度改革の達成は、政権運営を続ける以上果たさなければならないやっかいな仕事程度のものであって、民主党政権の維持という観点からすれば達成できなくてもどうということはありません。もちろん、野田内閣は退陣に追い込まれるかもしれません。しかし、かえってその方が反野田内閣で民主党を離党した議員が復党する口実ができ、衆議院の民主党の議席が増えるかもしれません。
与党の敗北条件は、政権を失うことです。それも、早ければ早いほど大負けになります。民主党に不利だといわれている状況で解散するなどもってのほかです。しかし、実際に解散しなければどうということはないので、「解散する…かも」くらいのことならいくらでも言えます。ただ、簡単に言ってしまうと価値がなくなってしまうので、精々もったいぶって言わなければならないでしょう。
おそらく、与党も野党もともに「自分が勝った」と主張できるようなところに落ち着くでしょう。ただ、与党の勝利条件がかなり甘いのに対して、野党の勝利条件は厳しく、かつ、実がありません。
状況は与党有利だと、私は見ています。
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