党内意思決定」カテゴリーアーカイブ

野党共闘は、選挙協力のみでは不十分


■反対の仕方も足並みが揃わない野党。政権運営は大丈夫?

今週閉会した臨時国会の終盤では、野党第一党立憲民主党と第二党国民民主党の足並みの乱れが見られました。

政府与党に反対するというだけのことなのに足並みが揃わないということは、反自公で選挙協力して政権交代を果たしたとしても、政権運営の方針で調整がつかずに混乱するであろうことは目に見えてます。

■野党共闘が成功しても、政府与党を支持する有権者が過半数になるとは限らない

これは、反自公で選挙を戦った政党の支持者にとって不幸なことです。自分が支持した政党の意見が、連立政権内の政治力学により通らないということになるからです。また、混乱してるために結局現状維持となり、何も変わらない可能性もあります。そうすると、真に政府与党を支持してるのは有権者の数十パーセントという状態になります。

「いまの与党に投票している有権者が過半数でないようだから、野党共闘で選挙を乗り切ろう」といって選挙に勝利したとしても、樹立した政権の政策に賛成する有権者が今よりも減る可能性だってあるのです。

■選挙協力だけでなく、政策決定のルール化を!

とはいえ、与党自民党にしてもすべての議員が同じ考えではありません。しかし、自民党は党内で政策を議論し、決定するルールがあるので、ある程度統制された行動を国会でとれています。

この自民党による政府法案の事前審査制は、国会審議の形骸化をまねいているという批判がある反面、多様な意見を持つ議員を与党としてまとめあげているという効果があります。

ですから、野党共闘もただの選挙協力ですまさず、政権交代後の政策(法案)決定のルールまで策定しなければならないと思います。そうしなければ、野党共闘は選挙で負けすぎないようにしようという現状維持の試みになるでしょう。

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石原共同代表の「拒否権」の根拠はなにか


 一方、石原氏は記者団に「私には拒否権がある」と強気の態度を示しており、党内が分裂含みの対立に発展する可能性も出てきた。

『時事ドットコム:維新・石原氏がちゃぶ台返し=結いとの合流方針に』

 2014年5月20日現在。日本維新の会の石原共同代表が、日本維新の会と結いの党の合流に反対する考えを示しました。日本維新の会の両院議員懇談会でのことです。

 冒頭に引用した時事通信の記事にはありませんが、本日付の読売新聞朝刊には、石原共同代表に日本維新の会の党規約に定められた拒否権があるそうです。早速、日本維新の会のサイトを見てみたのですが、代表の拒否権に関する記述は見つけられませんでした。以下の条項がいまいちよくわからないのですが、もしかしたらこれが拒否権の根拠なのかもしれません。

6 執行役員会の議事は代表及びその他の構成員の双方の意見を含む出席者の過半数の意見をもって決する。

『規約|日本維新の会とは|日本維新の会』


憲法解釈変更の閣議決定までの自民党内の意思決定過程


只、閣議決定案件ということになりますと、79条機関と政調会との合同で審査をいたしまして、その後、政審、総務会と通常の手続きを踏んでまいりますので、私は可及的速やかにということを希望しております。

『高市早苗政調会長記者会見 | 政務調査会長記者会見 | 記者会見 | 自民党の活動 | 自由民主党』

 冒頭は、自民党の高市政調会長の記者会見からの引用です。引用中の「79条機関」は、集団的自衛権について意見を集約するために設置された自民党の『安全保障法制整備推進本部』のことです。

 高市政調会長によれば、集団的自衛権の行使を容認するよう憲法解釈を変更する閣議決定をするまでに、以下のような手続きが必要になります。

  1. 安全保障法制整備推進本部と政務調査会の合同審査
  2. 政務調査会審議会で議決
  3. 総務会で議決

自民党総裁直属機関『安全保障法制整備推進本部』設立


2014年3月25日現在。自民党は集団的自衛権の行使容認についての考えを共有するための新組織である、『安全保障法制整備推進本部』を立ち上げました。

自民党の石破幹事長の記者会見を見ると、『安全保障法制整備推進本部』は自民党の政策を決定する機関ではないことが強調されています。石破幹事長のなかでは、新組織は、あくまでも集団的自衛権の行使容認に対する自民党の考え方を共有する機関であるというスタンスのようです。

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町村派は409分の89


 2014年3月23日現在。報道により、集団的自衛権の行使容認を巡る自民党各派の態度がわかってきました。

 本日付の日経新聞朝刊に「自民各派、勉強会で慎重論」という見出しの記事がでました。内容は、自民党内の派閥によって、集団的自衛権の行使容認に対する態度に差があるという内容です。

 安倍晋三首相の出身派閥である町村派は行使容認を後押しする姿勢だが、額賀、岸田、大島各派などは慎重論を強めている。

(日経新聞『自民各派、勉強会で慎重論』)

 昨日買った『政官要覧』を早速参照してみます。町村派は衆参で89人の所属議員を擁しています。党内最大派閥です。日経の記事に出ている額賀派は54人、岸田派は44人、大島派は13人です。慎重派の派閥の議員数は積極派の町村派の議員数を上回ります。

 自民党の総議員数は409人です。町村派は自民党の4分の1もありません。派閥を超えて集団的自衛権の行使容認を訴えていかなければ、党論を統一できません。

 他の派の態度も知りたいですね。


自民党、集団的自衛権に関する議論活発に


2014年3月14日現在。自民党内で集団的自衛権の行使容認を巡る動きが活発になってきました。

同党の石破幹事長と高市政務調査会長は、集団的自衛権について議論する総裁直属の機関を設置することを決めています。ただし、「行使容認」を前提としたもので、「集団的自衛権の行使が容認されないのではないか」という点は議論しないそうです。

そんななか、岸田派が集団的自衛権に関する勉強会を開催することが報道されています。岸田派は宏池会という自民党の派閥の名門で、どちらかといえばハト派です。集団的自衛権の行使容認に関して、岸田派の金子最高顧問は「宏池会として見識が問われる」と言っていて、執行部と同じ態度になるかは不明確です。

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自民党の集団的自衛権に関する党内組織はどんなものになるのか


 2014年3月11日現在。集団的自衛権の行使容認をめぐる議論が、自民党で再燃しています。以下はNHK NEWSWEBの引用です。

自民党の石破幹事長と脇参議院幹事長が会談し、脇氏は「自民党は野党時代に集団的自衛権の行使を容認するという考え方をまとめているが、議員も入れ代わっており、原点に立ち返って議論すべきだ」と述べ、行使容認の是非を含めて、党内で議論し直すべきだという考えを伝えました。
これに対して、石破氏は「行使容認は党の選挙公約に掲げている方針だが、参議院も含めて所属議員の意見に耳を傾けるのは当然のことだ」と述べ、懇談会の報告書の提出を待たずに、党内に多くの議員が参加できる新たな組織を設け、集団的自衛権を巡る議論の経緯などを確認する考えを示しました。

『石破氏 集団的自衛権巡り党内に新組織 NHKニュース』

 当初、石破幹事長は集団的自衛権の行使容認について、「一度党内で議論して公約になったものを再び話し合う必要があるのか」と言っていたので、微妙に軌道修正したのでしょうか。

 ただ、記事をよく読んでみると、議論をするとはっきり書いているわけではありません。「集団的自衛権を巡る議論の経緯などを確認する」となっています。軌道修正したのではないかもしれません。

 いったい何をするところなのかも含めて、「党内に多くの議員が参加できる新たな組織」というのが、どういうものになるのかも注目です。税務調査会、総務会といった、既存の党内意思決定過程に影響を与えるものになるのか、たんに組織ができるだけなのか。面白いです。

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総務懇談会は官邸と与党の協力関係の強化につながるか注目


 2014年3月5日現在。2014年度予算案の衆議院での審議は与党ペースで進みました。その与党の意思決定は、官邸主導で行われています。総務懇談会を開くことは官邸が与党の意思を尊重する姿勢をみせたものです。

 自民党が今月17日に集団的自衛権について話し合う総務懇談会を開くということが報道されています。総務懇談会は、自民党意思決定機関である総務会のメンバーによる非公式な会合です。以下は時事通信からの引用です。

懇談会の開催は、安倍晋三首相の政権運営に批判や不満の声が出始めたことを受け、党務や政策に関する審議のため週2回行われる総務会とは別に、メンバーの意見を聞くのが狙い。

『時事ドットコム:自民、17日に総務懇談会=集団自衛権など討議』

 また、本日付の日経朝刊によれば、総務懇談会の開催は9年ぶりです。記録に残っている最後の総務懇談会では、自民党が分裂した郵政民営化についての議論が行われました。

 官邸からすると、官邸に不満がある議員のガス抜きにしたいところだと思います。ただ、総務懇談会で議員が官邸に反対したことが大きく報道された場合、官邸としてはなんらかの対応を行わざるを得なくなる可能性があります。意見を言ったのにほっておかれて、いい気がする人はなかなかいません。

 与党による官邸批判というリスク回避になるのか、新たなリスクの発生源になるのか注目です


政府と野党の政策協議はハードルが高い


 2014年1月30日現在。安倍首相がみんなの党の渡辺代表に政策協議を提案したことで、与党がゆれています。

 政府とみんなの党が政策協議するタイミングは3つあります。1つは与党が法案の内容を議論する前。2つめは、与党が法案の内容を議論している間。そして3つめは、与党が法案を内容を議論し終わった後です。

 3つめのタイミングは、与党が結論を出したものを政府と野党で変えてしまうことになるので難しいです。

 2つめのタイミングは、与党が議論している間に政府と野党で協議することになり、議論が2重になります。矛盾する結論が出た時に、話をまとめるのに一手間かかります。

 かといって、1つめのタイミングでは政府と野党が合意した内容を、与党が汲む形で結論を出さなければ野党が納得しません。そして、与党が政府と野党の合意したものをすんなり受け入れるかどうかわかりません。

 どのタイミングで政策協議しようと、与党が協議に加わらなければ話がまとまりません。政府と野党の直接の協議というのはかなりハードルが高いといえます。

 ちなみに、与党である自民党と公明党は、「政府・与党間で政策を詰めた後に野党との合意形成を目指す従来方針で臨む(時事ドットコム『政策協議は政府・与党間優先=自公幹部が確認』2014/01/29-12:06)」という方針で今のところ一致しています。従来方針というのは、与党と野党で合意形成をめざすということです。

 果たして、どのような形で政府と野党の政策協議が行われるのでしょうか。


どのタイミングで政策協議するのか


 2014年1月29日現在。安倍首相がみんなの党と政策協議することを表明したことに対する反応が出始めました。与党とみんなの党が協議するのではなく、首相とみんなの党が協議する方針だと報じた、昨日の日経朝刊の記事は正しかったようです。

 自民党の石破幹事長は、記者会見で「みんなの党との政策協議について、今のところ党に指示がきていない。どういう形で政策協議をするのか決まっていない」という内容の発言をしています。

 安倍首相、つまり政府とみんなの党が政策協議した場合どのような形になるでしょうか。

 まず、政府とみんなの党がどのタイミングで協議するかが問題になります。法案が国会に提出されるまでの間に、与党は法案について官庁の法案担当者を呼んだりして議論しています。自民党の場合、政務調査会を経て総務会で了承された法案が閣議決定され、国会に提出することができるようになります。ですから、政府とみんなの党が政策協議するタイミングは、3つあります。1つは与党が法案の内容を議論する前。2つめは、与党が法案の内容を議論している間。そして3つめは、与党が法案を内容を議論し終わった後です。

 このうち、3のタイミングはまずないでしょう。なぜなら、与党が了承した法案を、政府がその内容を変えて閣議決定し、国会に提出することになるからです。与党の立場はなくなります。国会運営に直接携わるのは与党なので、与党がやる気をなくすと法案の成立が危ぶまれます。