月別アーカイブ: 2012年11月

会議録でみる国会


 第181回国会、いわゆる臨時国会が衆議院解散によって閉会となって1週間以上たちました。この国会は会期が短かったため、かえって、今国会で成立した成立した法律がどのようなプロセスをへて成立に至ったのかを調べやすいのではないかと思います。それを調べるもとになるのが、国会の会議録です。衆議院の場合はここにあります。

 この会議録は、リアルタイムに更新されるものではありません。実際に委員会が開かれてから、会議録が掲載されるまでに一定のタイムラグがあります。そろそろ、今年度の臨時国会の会議録も出そろってきました。実際に委員会で行われた審査をみて、どのようなシナリオで国会審議という儀式が執り行われているのをみると面白いのではないでしょうか。

 例えば、先の国会で「解散の条件」として最も注目された、予算執行に必要な特例公債法案と衆議院の一票の格差是正法案がどのように衆議院と参議院で審議され、成立したのか、気になりませんか?会議録を見てみると、外せいないプロセスを踏みつつも、かなりのスピードで審議が進んでいることや、委員会で法案の審査に入る前に行う本会議での趣旨説明をするかどうかでいちいち賛成反対の意思表明をしていることがわかります。国会において一定の枠内の手続きを踏むことがつねに求められており、与党といえどもそれを尊重しないことには法案審議が進まない現実が見えてきます。

 ただ、委員会で踏むべきプロセスにはどのようなものがあって、それぞれのプロセスにどの程度の時間をかけるべきなのか、という慣例を知らないとなかなか会議録で示された政党間の攻防をうまく読み取れないと思います。思うに、国会審議とはすごろくのようなものです。サイコロを振って進んでいき、大きい目がでたからといって出た目の分だけ進めるとはかぎりません。一回休みや、二回休み(野党の審議拒否)があるかもしれません。時間内にすごろくが終わらず振り出しに戻る(廃案)もあるかもしれません。また、最初のステージを早く上がったところで、次のステージでなかなか駒を進めることができないかもしれません(参議院での審議停滞)。このすごろくのルールを知っているだけでも、政治記事で示される「政治日程」のスケジュール感が養われると思います。スケジュール感がなぜ重要なのかというと、時間を伸ばしたり縮めたりすることがなかなかできないため、時間はすべての政治家にとって平等な制約になるからです。

 私もこの臨時国会で注意してみるまでは、このスケジュール感を実感できませんでした。しかし、会議録や衆議院公報などをみることで、ひとつの法案を成立させるのにどの程度の時間が必要になるのか、また、首相や所管大臣が外遊中で国会に出席できないようなスケジュールが組まれているときに、どれだけ国会審議が停滞し、法案成立が危うくなるか、ということが腑に落ちるようになってきた気がします。これからも、国会の公報や会議録に注目していこうと思います。


政治とタスクリスト


 先日、11月17日にNo Second Life Seminar 11に参加しました。このセミナーは、ブロガーで作家の立花岳志さんが主催しているものです。今回のテーマは「習慣力 セルフマネジメントで2013年の自分を支配せよ!」という野心的なもので、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんの特別講演があったり、楽しい時間を過ごせました。

 このセミナーに参加して、感銘を受けたことがたくさんありましたが、なかでも大きなもが2つあります。ひとつは、佐々木さんの「早起きするためにすることのチェックリストを作って、愚直に実行している。今ではチェックリストをなぞるだけで、眠いときにも目が覚めるようになった」という体験談です。そしてもうひとつは、立花さんの「人間は習慣の塊であり、今の自分は今の習慣でできているため、新しい習慣を始めるには今の習慣を捨てなければならない。そのためには、今の自分を把握するための記録と、新しい習慣形成のためのタスクリストを作成し、実行し、反省し、見直すことが有効だ」という考え方です。

 佐々木さんの体験談からは、國學院大學神道文化学部で習った、「お祭りで同じ儀式を同じように繰り返し行うことで、故事を再現する」ということを想起しました。そこから、国会で制度や慣習で決められた事柄を狂いなく行うことで、政治に正統性を与えようとしているのではないか、という考えが浮かびました。

 その考えと、立花さんの「人間は習慣の塊である」という考え方を組み合わせることで、最近次のようなアイデアが浮かんだのです。

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 人間が習慣の塊である。習慣というものが、「AのときはBする」というような行動様式だとするならば、国の制度は日本という「国の習慣」なのではなないだろうか。

 それならば、人間がタスクリストの作成・実行・反省・修正を通じて習慣をコントロールすることで自身をコントロールしようとするのと同じように、国のタスクリストを左右することで日本をコントロールすることができるのではないか。

 国のタスクリストの作成・実行・反省・修正をすることが、政治の役割なのではないか。

 有権者が支持する自らの主張を国のタスクリストに載せるために、制度の枠内でありとあらゆる手を使うのが政治家なのではないか。

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 このアイデアに従えば、「マニフェストだ」「政権公約だ」「いや、アジェンダだ」と、いろいろな政党がいろいろな名称で呼んでいるものは、すべて政党が作成した「日本のタスクリスト」です。タスクリストをみれば、その政党の目標をどのように実行したいのかがわかります。同じようなことを言っているようにみえても、タスクリストの項目や順番が違うかもしれません。タスクリストを忠実に実行すると、その政党の目標を達成できないようになっているものがあるかもしれません。タスクリストの項目が大きすぎて、実行可能なところまで分解できていないかもしれません。

 各党のタスクリストを、タスクリストの中身に賛成か反対か、その順番に賛成か反対か、どうしてもリストに入れてほしいものどれか、どうしてもリストに入れてほしくないものはどれか、というような観点で見ると、いろんな感想が浮かんでくると思います。

 そして、もし、あなたが自分の人生をコントロールすべく、タスクリストを作って実行しているとします。それならば、あなたの目標の成功をサポートするもの、また、あなたの目標の失敗をカバーしてくれるものが各党のタスクリストにあるかどうか見極めることで、より主体的に支持政党を決めることまで可能になるのではないか、とまで思うのです。

 自分のタスクリストを、自分の力だけで実行していくのは厳しいです。うまく国の支援を得て、あるいは国の邪魔を排除することで、目標を達成することも「あり」だと思います。そのためには、自分のタスクリストだけでなく、国のタスクリストも定期的に考えるといいかもしれません。自分のポリティカルタスクリスト(Political Task List)を作りましょう!

 来月の衆議院総選挙にむけて、そういう基準で投票するのもいいのではないかと、ふと思いました。


なぜ11月16日まで解散しなかったのか?(完):解散した理由


 2012年11月26日現在。先週、野田首相が11月16日まで衆議院を解散しなかった理由を、政策遂行の責任を果たすため、周囲の人間が解散に反対だったため、世論を気にしたため、という3点から考えました。考えた結果、どれも「近いうちに解散する」と約束した8月と状況が変わらないか、むしろ悪くなっていることを示しました。

 私は、11月までに解散しない合理的な理由はなかったと思っています。そして、このまま解散せずに粘っても良かったと思うのです。また、いつ解散しても良かったとも。結局のところ、どうして11月16日に解散したのでしょうか。

■首相が望まなければ解散はない

 制度的には、首相に解散を強制する方法はありません。解散するということは、どういう理由であれ、首相が解散を望んだということにほかなりません。解散できるかどうかは、首相が解散をどれだけ望むかという意思の力にかかってきます。

 したがって、11月16日まで解散しなかったのは、首相が解散したいと思わなかったからです。そして、解散したいと思ったから16日に解散したのです。

■正直な自分という自画像と、戦術の乖離

 では、なぜ首相は解散しようと思ったのでしょうか。首相が党首討論で話した印象的なエピソードに、「通知表に『野田君は正直の上に馬鹿がつく』と書かれていて、それを父親に褒められた」というものがありました。このエピソードへの思い入れが本物なら、「正直な自分」という自画像は首相のなかで大きな位置を占めていると思われます。

 8月に「近いうちに解散する」と約束してからずっと、自民党と公明党は約束の履行である解散を要求してきました。自公は「近いうちは8月だ」「9月だ」「年内だ」と責めつづけました。

 しかし、首相は応じる姿勢をみせず、自民党は重要法案の審議に全面協力する太陽路線をとるまでに追い込まれました。国会で野党が協力するなら解散する必要はありません。なぜなら解散とは本来、首相と国会が対立したときに使う武器だからです。

 期限の曖昧な約束をして野党から譲歩を引き出す戦術は当たり、「民主党政権そのものは来年の8月まで安泰かもしれない」というところまできました。この状況は、ある意味で、約束を反故にし続けることになります。約束を守らない人というのは、「正直な人」ではありません。野田首相の自画像と違うはずです。

 とはいえ、その戦術は野田首相が約束を履行することを許しません。約束を履行した瞬間、衆議院は解散されるからです。

■野田内閣が死んでも代わりはいる

 民主党政権存続における最大のリスクは、信任を得なければならない衆議院で多数の議席を失うことです。衆議院が解散され、総選挙を経ることで民主党の衆議院議員が落選し、議席が減って政権を失うことこそが、避けなければならないことなのです。

 しかし、それは民主党政権を死守する、民主党の仲間をすこしでも長く生き残らせる、という見方をしたときに成立する考えです。そして、その考えは、野田内閣を生き残らせることを重視しません。

 約束をいつまでも守らない首相に嫌気がさした野党と国民が一丸となって「首相は嘘つきだ!」と燃え上がったとき、民主党としては嘘つきをお役御免にして、新しい看板をかけることができるからです。

 そう、野田内閣など、存続してもしなくてもいいのです。民主党政権を死守するための手段にすぎません。民主党の輿石幹事長が「解散は首相の専権事項」と繰り返し言っていたのは、「約束を守らないのはあくまで野田首相であって、民主党が嘘つきというわけではない。なぜなら、解散権は首相にしかないからだ」という含みもあったのかもしれません。

■追い込まれていた首相

 野田首相は民主党政権以上に追い込まれていました。民主党政権としては野田首相は駒のひとつですが、野田首相にとって野田内閣は、すべてです。

 「正直な自分」という自画像と異なる「嘘つき」を演じた挙句、民主党そのものに「約束を守れなかった首相」として自らの政治生命をも使い捨てられるかもしれない恐怖があったのではないでしょうか。

 大学を出てすぐに松下政経塾に一期生として入塾し、政治に関する仕事以外ほとんど経験していない野田首相にとって、政治生命を失うことはなによりも辛いことだと思います。

 野田首相は、自画像との乖離と、自身の政治生命に対する危機とに悩み、なりふり構わず解散したのだと思います。だからこそ、民主党政権の延命という観点からみると、今回の解散は不合理に見えるのです。野田首相の政治生命を守ることと、民主党政権の存続もまた、必ずしも両立するものではなかったようです。

■首相が死ぬ気で解散を決意したら、誰にも止められない

 解散権は首相にあります。首相が本気のときは、誰にも解散を止められません。たしかに、解散には閣議決定が必要です。閣議とは、首相と首相が任命した大臣で行う会議です。閣議は全会一致が原則で、一人でも反対の大臣がいれば決定できません。

 しかし、首相は反対する大臣を辞めさせ、自らその大臣を兼ねることができるため、首相は自らの意向を押し通すことができます。制度的には、解散をやめさせる手段もないのです。

 非制度的になら、手段はあります。どんな手を使ってでも、首相を翻意させるか、首相に内閣総理大臣を辞職させることです。総理大臣じゃなくなれば、当然解散できません。

 しかし、約束を果たさないまま総理の職を辞することを首相が嫌がっているのだとしたら、首相の説得は不可能です。それに、野田首相にとっては、総理大臣でなくなっても、衆議院議員として誰に恥じることなく生きることができればそれでいいのかもしれません。

 政治的にも、感情的にも、総理大臣の椅子にこだわらなければ、解散が首相自身にとって最もプラスになる選択肢である、というところまで11月時点で追い込まれていたため、解散を決意した。これが、現時点での私の見解です。

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なぜ11月16日まで解散しなかったのか?:世論


 2012年11月21日現在。今週は、「なぜ11月16日まで解散しなかったのか」を考えることで、「なぜ11月16日に解散したのか」を炙り出していく試みをしています。

 今日は、11月までは世論が厳しかったので解散しなかった、という可能性を考えます。指標としては、内閣支持率を使ってみます。

 時事通信の世論調査(上から3番目の記事)によると、8月の内閣支持率は19.8%で、野田政権発足後初めて2割を切っていたそうです。なるほど、この段階で解散するのは自殺行為で、解散しなかったのは大変合理的な選択だったと思えます。事実、9月、10月は内閣支持率が2割台に持ち直していて、この点からも8月に解散をするのは良くなかったと言えるでしょう。

 ただ、11月の時事通信の世論調査では、支持率は17.3%まで落ち込んでいます。時事通信は支持率低下の理由として、田中前法務大臣の辞任と、田中文科相の新設大学認可をめぐる報道が原因であると解説していますね。 この調査が行われたのは11月8日から11日で、掲載されたのは党首討論で解散宣言したあとの11月15日です。よって、この調査結果を首相が参考にすることはなかったと思います。とはいえ、解散に適した時期であったかというと、疑問です。

 調査主体と方法が違うので、単純には比較できませんが、朝日新聞の10月21日発表の世論調査では、内閣支持率が18%です。11月に入った時点でも8月なみの低支持率であることは伺えたのではないでしょうか。

 こう考えると、単純に世論を基準にして解散しなかったわけではなさそうです。

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なぜ11月16日まで解散しなかったのか?:周囲の不同意


 2012年11月20日現在。昨日は、「重要法案が未成立のままでは解散できない」という責任感が、野田首相に解散をさせなかった可能性を考えました。そして、もしそうだとしたら、責任感があったせいで重要法案成立が11月まで遅れたことになり、ちぐはぐな対応であったと評価せざるをえないことを指摘しました。

 この評価はちょっと厳しいかもしれません。解散権は首相にありますが、首相が自由に解散できるとは限らないからです。例えば、ワンマンと呼ばれた吉田茂でさえ、解散しようと望んでできなかったことがあります(詳しくは、「そもそも解散できるのか」)。世論が厳しかったり、周囲の人間が強硬に反対したら首相といえども解散できないのです。

 今日は、「首相には解散する意思があったが、周囲の同意を得られなかったため解散できなかった」可能性を考えたいと思います。

 「近いうちに解散する」という約束をした8月時点で、周囲の同意があったかなかったかと言えば、なかったでしょう。それは、いつの間にか解散の条件となっていた重要法案である、特例公債法案と衆議院の選挙制度改革法案を8月末時点で急に衆議院で強行採決し、与党自ら国会を積極的に空転させたことから伺えます。

 強行採決とは、委員会開会に必要な理事会で理事が揃わなかったり、審査のスケジュールに反対の理事がいる状態でスケジュールを決めることや、スケジュール上は採決する予定じゃなかったのに審査中に動議が出されて採決したりすることを指します。

 政府としての対応を決める最高責任者は首相ですが、国会戦略を決める最高責任者は幹事長です。

 民主党の場合、野田首相が民主党代表に選出されてから、輿石東参議院議員が幹事長を務めています。輿石幹事長は年内の解散に消極的だったと報道されており、8月末の強行採決も輿石幹事長の意向に沿ったものでしょう。

 首相と二人三脚で歩むべき与党幹事長が解散に反対では、なかなか解散はできません。まして、幹事長は選挙対策の責任者でもあります。解散後の選挙戦を戦うためには、幹事長の協力が不可欠です。

 ただ、輿石さんが解散に反対なのは、8月も11月も変わりないように見えます。新聞報道によると、解散のあと、民主党最大の支持団体である連合に首相と輿石さんが挨拶に行った時、輿石さんは無言だったそうです。

 最終的に野田首相が解散を断行したことから考えると、民主党の仲間に解散を止められたから解散できなかったというわけではなさそうです。

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なぜ11月16日まで解散しなかったのか?:責任感


 2012年11月19日現在。なぜ、野田首相は11月16日に衆議院を解散したのでしょうか。逆に考えると、なぜ11月16日になるまで解散「しなかった」のでしょうか。例えば、消費税増税を含む税と社会保障の一体改革法案が成立した8月に解散していれば、「嘘つき」呼ばわりされることもなかったはずです。

 解散権が首相にある以上、11月までに衆議院が解散されなかったという事実は、2つの可能性を示しています。それは、「解散するつもりがなかった」もしくは「解散することができなかった」という可能性です。

 今日は、「予算執行に必要な特例公債法案や衆議院選挙の一票の格差を是正するための法案が成立しないうちは解散するわけにはいかないという、『責任感』」で今まで解散しなかった可能性を考えてみます。このような理由で解散しなかったとしたら、客観的には「解散するつもりがなかった」とかわりませんが、野田首相の主観的には「解散することができなかった」というカテゴリーに分類できるでしょう。思い込みは、十分解散という手段を制約する要因になります。

 この理由、一応筋は通っているような気はします。特例公債法案が成立せず、予算執行が滞るようなことはあってはいけない。一票の格差是正法案が成立せず、違憲状態を放置してはいけない。どちらも正論です。しかし、特例公債法案も一票の格差是正法案も、結局成立したのは11月16日、解散の日です。

 特例公債法案の成立が遅れたために、地方自治体のなかには金融機関から借り入れを行わなければならないという事態に陥ったところもあります。また、一票の格差是正法案は、成立したことはしましたが、区割りが選挙に間に合わないため、来月の総選挙は最高裁から違憲状態にあると指摘された制度のまま行います。

 両方ともに、11月まで粘って成立させた意味がありません。これだったら、8月の時点で解散を明言してこれらの法案を成立させてしまえばよかったのです。おそらく、自民党や公明党は今回のようになりふり構わず協力し、国会審議を超スピードで終えたでしょう。

 ですから、責任感で今まで解散しなかったという可能性はなさそうです。もし本当にこのような責任感で今までやっていたのだとしたら、ちょっと残念な人だということになると思います。粘ったあげく状況を悪くしているわけですから。


衆議院解散


 2012年11月16日現在。日本国憲法第7条により、衆議院は解散されました。首相を含め、全ての衆議院議員が失業したわけです。日本中探しても衆議院議員はどこにも存在しません。

 では、いつまた衆議院議員が存在できるのでしょうか?それは、我々有権者の投票によってのみ、存在しうるのです。それが参政権です。

 参政権は普段は一部封印されています。例えば、本日6日に成立した特例公債法案の採決に参加できた国民は、参議院議員と今日失職した衆議院議員だけです。我々有権者は、全ての国政上の問題について議決権を持っているわけではありません。

 しかし、今日、衆議院は解散されました。我々の参政権に対する封印はあと少しで解除されます。

 この権利を行使して、衆議院議員を選出し、新たな衆議院を構成します。そうして選出された衆議院議員は、ただちに召集された特別国会で立法府の長である議長と行政府の長である内閣総理大臣を生み出します。

 このように、日本を担う人間を一気に決めていきます。その最初の一手が我々有権者の投票なのです。そう考えるとワクワしてきませんか。

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高速審議


 2012年11月15日現在。臨時国会(会期末11月30日)は残り15日です。と言っても、野田首相は明日11月16日に衆議院を解散するようなので、臨時国会は明日でお終いです。

 解散にむけて、国会は審議を猛スピードで進めています。特例公債法案とならんで懸案とされていた衆議院の選挙制度改革法案は、昨日14日に委員会に付託され、本日15日にもう衆議院本会議で可決しました。

 参議院ではさらに忙しいです。なにしろ、特例公債法案と選挙制度改革法案の両方を明日一気に本会議で採決しなければならないのですから。これで審議したと言えるのかどうか疑問ではあります。

 総選挙が近くなって、物凄くワクワクする気持ちがある反面、国会審議が解散を前にないがしろにされているような気もします。

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迅速な対応と十分な検討


 2012年11月14日現在。臨時国会(会期末11月30日)は残り16日です。本日14日は国家基本政策委員会の両院合同審査会、いわゆる党首討論が行われる予定です。また、衆議院財務金融委員会では、予算執行に必要な特例公債法案の採決が行われる予定になっています。

 今のところ、特例公債法案の審議は、民主党、自民党、公明党の合意通りに進んでいます。今日の日程を消化すれば、明日15日の衆議院本会議で特例公債法案を採決できます。与党が議席の過半数を占めている衆議院で採決までいってしまえば、可決は確実です。

 多数決であるならば、議会の多数派と政権与党が一致しているなかでの審議というものは、本来、採決までいけば安泰なのです。見方を変えると、結果が見えているものを延々と話し合って時間を浪費しているようにも思えます。

 しかし、議会は言論の府であり、話し合わないのであれば国会はいりません。話し合いまではできなくても、質疑を通して政府与党をチェックしていかなくては、政府が好き放題やってしまったときに歯止めが効かなくなってしまいます。

 そのため、すぐに採決してしまうのではなく、段階を踏んで、時間をかけて審議するようになっているのです。採決は多数決なのに、審議のスケジュールを決める理事会では全会一致、つまり一人でも反対したら決められないことを原則にしているのも、なるべく多数派が譲歩して審議に時間をかけるようにする知恵ではないでしょうか。

 ただ、その仕組みの影響をもろに受けて、4月に成立した予算を執行するために必要な特例公債法案は、11月になっても成立していません。今週に入ってから、今審議されている特例公債法案を修正し、2015年度までの特例公債発行を認めるようにする流れになっています。そうすれば、本予算が成立しているのにいつまでたっても国債が発行できないという事態がなくなるからです。

 民主党、自民党、公明党によるこの修正に、その他の政党は反対する意向を示しています。反対の根拠は、無制限な特例公債の発行によって、借金の返済で財政が圧迫される恐れがあるということと、国会審議の機会を減らすということです。国会審議が減るということは、国会の力が低下することと同じなので、この懸念は最もなことです。

 迅速な対応と、十分な検討。このふたつをうまく組み合わせていくのも、政治の役割のひとつだと思います。

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劇的な変化


 2012年11月13日現在。臨時国会(会期末11月30日)は残り17日です。衆議院では、予算委員会の2日目に入りました。

 さて、先週11月9日金曜日の読売新聞朝刊一面で、「首相はTPPを争点にして、今年中に衆議院を解散するらしい」という記事が出て以来、急激に年内解散という空気が醸成されてきました。これが「解散風」というものなのでしょうか。

 TPPというのは「環太平洋パートナーシップ協定」の略称で、幾つかの国の間で結ぶ貿易協定です。これが良いとか悪いとか、はたまたどうでもいいとか、いろいろ言われています。経済産業という観点。多国間協調という観点。食糧自給率という観点。関税自主権という観点。などなど、いろいろな観点で語られていて、立場によって見方がだいぶ違うようです。

 ただ、国会の動きを見るだけなら、TPPについてはひとつのことだけを覚えておけば足ります。それは、国内の農業問題に取り組んでいる政治家の中に、TPPに熱心に反対している人がいるということです。

 報道によれば、野田首相はTPPを争点に年内に解散する意向を示しています。これに伴い、民主党のTPP反対派議員や、そもそも早期解散に慎重な議員による動きが活発になってきました。本日13日の民主党幹事会で解散反対論を党の総意として首相に伝えることになったという報道もあります。

 野田首相の意向に、いわば反応して与党議員が動きだしています。私は、非常に面白いことになってきたと思っています。なぜなら、消費税増税をはじめとする税と社会保障制度の一体改革法案を成立させたあと、野田首相は目標を見失い、燃え尽き症候群になっているとまで言われていたからです。

 当時の報道からは、首相の言葉に引きつけられるのは早期解散の言質を取ろうとする野党だけで、与党議員に対する影響力がなくなっているようにさえみえました。つまり、首相は求心力を失っているのではないかと思っていたのです。

 しかし、いまや首相の真意をめぐって、民主党議員は何らかの行動を起こさざるを得なくなっています。

 求心力とは、大辞林によると「人々の心を引きつける能力」のことです。首相に賛同するか反対するかはともかくとして、首相の言葉や態度に反応せざるを得ない人が与党内から続々と出ていることを見れば、首相の求心力が上昇していると言っていいのではないでしょうか。

 ほんの三週間前までは、臨時国会を召集するかどうかで揉めるくらいグダグダな政治状況で、野田首相は党首会談で一切解散に対する明言を避けて公明党の山口代表を怒らせるくらいでした。そのときから考えると、すごい変わりようです。 首相の言葉が重いのか、それともマスコミがまだまだ力を持っているのか。どちらにせよ、ちょっとしたことで、劇的に状況が変わったことがとても面白く、どうなるのかワクワクします。

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