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「安倍総理の審議拒否」は間違っている


■予算委員会開会いまだ実現せず

2019年6月9日現在。 野党が衆議院と参議院で求めている予算委員会の集中審議の開催を与党が承諾しないことについて、野党は「安倍総理と与党の審議拒否」と批判しています。しかし、この問題は予算委員長の怠慢とは言えても、安倍総理の審議拒否とまで言い切ることは難しいです。「安倍総理の審議拒否」という主張は間違っています。

予算委員会の開催は、野党が議院規則に基づいて要求したもので、予算委員長には予算委員会を開く義務があります。しかし、予算委員会で野党が望む議題が取り扱われるかどうかは別の話です。

今回、野党が要求しているのは単なる予算委員会ではなく、総理大臣が出席する集中審議です。予算委員会を開いて、財務大臣しか出席しなかったら野党は納得しないでしょう。ここに大きな問題があります。

■議事進行を決めるのは全会一致が原則

国会の議事進行は理事会の全会一致で決めるのが原則です。全会一致が原則だからこそ、野党の審議拒否の構えだけで、会議を開かないことがあり得ます。全会一致の原則は、野党の数少ない国会対策上の武器です。

議事進行には、どの議題を扱うかも含まれます。総理出席の集中審議を開きたいのなら、与野党合意の上で決めるのが国会の議事進行の原則にあっています。

「それはあくまでも原則だ」という意見もあるでしょう。たしかにそうです。与党は、与党たらしめている多数の議席をもって合法的に原則を超え、多数決で審議を進めることがあります。対して、野党には議席がないので、原則を超えた対応をするには、与党を説得してお情けをもらうか、クーデターを起こすかしかありません。

■開かれる予定のない会議から逃げることはできない

野党のいう安倍総理大臣の審議拒否というのは、的外れな批判です。総理大臣の審議拒否というものがあるのなら、それは国会の本会議や委員会で、総理大臣の出席を求められる会議が正式に決まった後に出席しなかった場合のみです。議題すら決まっていない会議について、「会議を開くことが決まっていないのは総理大臣が逃げているからだ」と言われても困惑するだけです。なぜなら、予算委員会は当然に総理大臣が出席すべきものではなく、まずテーマを決め、そのテーマについて総理大臣が出席すべきだと決まったときにはじめて総理大臣が出席するからです。

委員会開会要求を拒否する予算委員長を批判するロジックは規則から当然に導けますが、総理大臣を批判するロジックまでは導けません。

■野党が党首討論ではなくて集中審議にこだわる理由

そもそも、党首討論という手段もあるのに集中審議にこだわっているのが気に入りません。集中審議と党首討論の大きな違いは、党首討論が45分に限られているのと、総理大臣からも質問や意見ができるという点です。

前者については、「野党が多くなったから全野党で45分は短いので集中審議がよい」というのが野党の言い分です。議席の獲得という政党の生命線となる部分(参議院なら選挙後6年間は変わらない)を話し合いで「一本化」できているのに、どうして(毎年開かれる可能性がある)党首討論にのぞむ野党党首を「一本化」できないのでしょうか。意味がわかりません。ちなみに、予算委員会のひとりあたりの質疑時間は1時間程度なので、党首討論で野党が一本化した場合の45分とそんなに差はありません。

次に後者についてです。予算委員会などで安倍総理大臣が答弁する際に、質問者に反論し「聞かれたこと以外を答えている」という批判を野党がしています。確かに、質疑の答弁で総理大臣が持論を述べて質疑時間を消費するのはルール違反といえるでしょう。しかし、党首討論ならば、「討論」なので総理大臣の反撃は当然の権利になります。

党首討論がだめで集中審議がいいというのは、総理大臣を一方的に質問ぜめにしたいだけではないかと思います。


国会の種類と会期


2019年6月2日現在。
1月28日に召集された第198回国会も、いよいよ今月の26日に会期が終わります。

現在開かれている国会は通常国会という、憲法で一年に一回必ず開くことが定められている国会です。国会には他に、内閣の判断や国会議員の要求により召集される臨時国会や、衆議院総選挙のあとに召集される特別国会があります。

今の仕組みでは、国会は常に存在するわけではなく、召集されてから決められた期間だけ活動をします。

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