私は、中学生と高校生のときに生徒会の役員をしていたことがあります。高校では生徒会規約の改正を掲げて生徒会長選挙に打って出たのですが、あえなく落選してしまい、規約改正チームも雲散霧消してしまいました。
規約改正に失敗したためか、今でも、「あるべき生徒自治機構」を考えたり書いたりしています。
「あるべき生徒自治機構」というものがどういうものかはひとまず置いておいて、生徒自治機構に必須な機関は何でしょうか?どの学校にもあるものが2つあります。それは、「議決機関」と「執行機関」です。
「議決機関」というのは、ものごとを決めるところです。例えば、規約の改正や予算案を採用するかどうか決めるところが議決機関になります。例えば、全生徒が出席する「生徒総会」、各学級の学級委員などの代表者が集まっている「代表委員会」「評議員会」などが議決機関です。
これに対して、「議決機関」で決めたものごとを実際に行動にうつすところを「執行機関」 と言います。例えば、生徒会長、副会長、書記、会計などが集まっている「生徒会執行部」「生徒会役員会」などが執行機関です。
なぜ、「議決機関」と「執行機関」の2つが必要なのでしょうか?ひとつの機関が決めて、実行すればいいような気がします。いろいろな理由はあると思いますが、ここでは2つの理由をあげます。
ひとつは、決める人が実行しない、実行する人が決めないことによって、より良い自治活動ができるという理由があります。例えば、実行する人が不当に得するようなことをやろうとするとき、実行する人が同時に決める人だったら、その行動を誰も止めることができません。実行する人と決める人が分かれていれば、決める人がその行動の真意を見抜き、実行させないことができるかもしれません。このように、実行する人と決める人で牽制することで特定の人物、集団による独裁を許さない効果があります。
もうひとつは、実行する人たちは実行するのに向いた人たちでまとめ、決める人たちは決めるのに向いた人たちでまとめることでより効率的な自治活動ができるという理由です。実行する人たち、例えば生徒会役員は選挙で立候補してわざわざ役員になる人たちです。おそらく、自治活動にヤル気があり、自分の時間を多く割け、アイデアも実行力もある「はず」の人たちなのでしょう。そういう人たちは、自分たちが実行することに専念したほうがいいのです。また、決める人たち、例えば各学級の代表者が集まる評議員会の評議員は、全学年からまんべんなく選ばれた人たちです。学年や学級の偏りがない(生徒会役員の中心は大体2,3年生で学級も偏っている可能性があります)、それぞれの評議員は自分の学級の事情を正確に把握している「はず」の人たちなのでしょう。こういう人は、何かを実行するほどの時間的余裕などは無いかもしれませんが、決定することにむいています。それぞれに特化した能力をもった人たちを集めることで、無駄をなくす効果があります。
以上が、「議決機関」と「執行機関」の2つが生徒自治機構に必須である理由です。