月別アーカイブ: 2018年11月

禁足とは


■壁に大きな”禁足”の文字

11月27日の立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)というTwitterアカウントから投稿された写真に、面白いものが写っていました。

写真に撮られたのは立憲民主党の代議士会の会場です。山下法務大臣不信任決議案の採決を行う衆議院本会議の前に開かれたものです。

写真に写っていたのは、壁にかかる大きな”禁足”という二文字です。ここでいう禁足とは、本会議で重要な議案の採決があるため、所属議員に国会周辺で待機するよう求めることです。

なぜ禁足を求めるかというと、会議の過半数のラインが出席者の人数によって変わってしまうためです。全400人の出席予定者がいて、全員出席した場合は過半数は201ですが、50人欠席したら176で過半数になります。自陣営から欠席者がでると不利になってしまうのです。

「禁足がかかる」ということは知識で知っていましたが、代議士会でデカデカと”禁足”と書いた文字がかかっているとは思わなかったので、面白く思いました。

<a href=”https://twitter.com/cdp_kokkai”>立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)


一転、参議院の入管難民法案の審議は与野党合意で決まる


■入管難民法案、参議院法務委員会で審議入り

本日11月29日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が参議院法務委員会で行われ、実質審議入りしました。

■4日と5日に質疑で与野党合意した理由は、国民民主党の対案か

報道によると、法務委員会のあと行われた理事懇談会で今後の審議日程について話し合われ、4日の質疑と5日の参考人質疑を行うことで与野党が合意しました。

衆議院の審議から、入管難民法案の審議は与野党で合意に至らず、委員長の職権で委員会が開かれることが続いていたので意外な感じがします。

おそらく、野党の国民民主党が入管難民法案の対案を提出し、その審議も合わせて行うため、その他の野党としても委員会の開催を無下に拒否できなくなったのではないかと思います。国民民主党の対案が議題になるのに審議の開催に賛成しなければ、野党が出した対案を審議に値しないという態度をとることになるからです。

それにしても、衆議院では質疑に出席しない姿勢まで見せた野党が、参議院では円満な委員会運営に協力するというのは面白いです。衆議院と参議院は文化が違うのかもしれません。文化が違うことが、国会が二院ある価値がのひとつなのでしょう。


入管難民法案、参議院でも急ぎ足の審議


■入管難民法案、参議院で審議入り

本日11月28日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が参議院本会議で行われました。このあと行われた参議院法務委員会の理事懇談会で、明日29日の法務委員会で入管難民法案の趣旨説明と質疑を行うことが法務委員長の職権で決定されました。明日実質審議入りするということです。

衆議院に続いて、参議院でも委員会での法案の趣旨説明と質疑を同じ日に行うことになります。慣例では、委員会で趣旨説明を行った日は質疑を行わないので、かなり審議を急いでいるようです。


立憲民主党の国会対策委員会運営のTwitterアカウントに注目


■入管難民法案、衆議院通過

本日11月27日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が衆議院法務委員会で採決され、可決しました。続いて行われた衆議院本会議でも可決し、入管難民法案は衆議院を通過しました。報道によると、与党は明日から参議院での審議を始める予定とのことです。

■立憲民主党の国会対策委員会がTwitterアカウントを開設

さて、入管難民法案の採決の情報は、ニュースサイトや衆議院のサイトで確認していましたが、今日は新聞記事になっていた立憲民主党の国会対策委員会が運営しているTwitterも見てみました。これが、面白いです。

委員会の質疑の順番と持時間が記載された書類や、大臣の不信任決議案の表紙など、見てみたかった資料がリアルタイムでどんどん流れてきます。

なかでも興味深かったのは、野党の国対委員長が協議している様子を写した写真です。協議している部屋はおそらく国会内のどこかの控室だと思うのですが、壁に11月から来年7月までのカレンダーがずらっと貼ってありました。

7月まで貼ってあるのは、すでに来年の通常国会(例年6月が会期末)とその直後に行われる参議院議員選挙まで視野に入れて与党に対抗する国会対策を練っているためと思われます。

やっぱり政治にとってカレンダーは重要なのだな、と改めて感じました。

他の党も対抗して、どんどん情報を出してほしいですね。

参考: 立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)


集中審議は活躍のチャンス、だから交渉の材料になる


■法務委員会は16:10から

衆議院インターネット審議中継によると、明日11月26日の衆議院法務委員会は16:10から開始の予定になっています。

中途半端な時間になっているのは、同じ26日に衆議院と参議院で予算委員会の集中審議がセットされているからです。集中審議が終わった後に、法務委員会を開こうというわけです。

報道で、26日の法務委員会で1時間の審議をすると聞いて「少ないな」と思ったのですが、開始が16:10なら納得です。

■集中審議とは

この集中審議は、与党が野党の要望に応じて行われるものです。予算委員会の集中審議は決められたテーマについて、総理大臣や大臣に質疑を行うものです。

明日のテーマは「内外の諸情勢」という漠然としたテーマなので、なんでも質問できます。また、テレビ中継もされます。質問する議員にとっては活躍のチャンスです。ですから、野党との交渉の材料になるのです。

こういう機会がそれなりにあるので、党首しか質問できない党首討論がイマイチ活用されないという意見もあります。

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国会戦術、「空回し」


■「空回し」とは

22日の衆議院法務委員会で行われた、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の審議に野党が出席しませんでした。そのため与党は、野党に割り当てられた質問時間分委員会室でなにもしないで待機して、審議時間を消化しました。「空回し」と呼ばれる国会戦術です。

審議を尽くしたかどうかを判断する基準が審議時間になっているため、野党が来ないからといって野党分の質問時間をバッサリ切ってしまうことができないため行われているようです。

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話し合いにはルールが必要


■ルールがないと話し合いにならない

話し合いにはルールが必要です。ただ単に話し合った場合、いろいろな問題が起こります。

  • 声が大きい人がずっと発言していて、他の人が発言できない。
  • 自分の提案した議案が、いつになったら議題にのぼるかわからない。
  • 5人で話し合う約束だったのに、2人だけで突然会議が開かれて、大事なことを決められてしまった。

このようなことが簡単に行われてしまうと、話し合っているとは言えません。

路上でルールなしで殴り合ったら犯罪ですが、リングの上でルールのもとで同じことを行なったらスポーツになります。

話し合いも、ルールがあってはじめてみんなが考える「話し合い」になります。ルールのない、生の話し合いは、路上の殴り合いとかわりません。

国会に様々なルールや慣習があるのは、話し合いを成立させるためです。

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入管難民法案、実質審議入り


■5日遅れでようやく実質審議入り

本日11月21日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が衆議院法務員会で質疑に入りました。いわゆる実質審議入りです。 もともとの与党の想定だと、先週の16日には実質審議入りしている予定だったので、実に5日遅れです。

この入管難民法案は完全に与野党対決型の法案になっています。昨日に引き続き、今日も法務委員会の運営について与野党で合意を得られず、法務委員長が職権で明日22日に質疑を続行することを決めています。

昨日も法務委員長は22日に参考人質疑を行うことを職権で決めています。今日も質疑の続行を職権で決めているということは、参考人質疑と行政に対する質疑は別扱いのようです。昨日は質疑がまだ始まっていなかったので、「始まっていない質疑の続行をどうして決められるのか」という建前でもあるのでしょうか。


法務委員長解任決議案、否決


■法務委員長解任決議案否決後、法務委員会の開催を委員長の職権で決定

本日11月20日の衆議院本会議で法務委員長の解任決議案が議題とされ、与党などの反対多数で否決されました。

報道によると、本会議が散会したあと、法務委員会の理事懇談会が開かれました。今週の法務委員会の日程と議題について与野党の話し合いが行われましたが、折り合いがつきませんでした。

結局、法務委員長が職権で明日21日と22日に、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の審議を行うことを決めました。

22日は木曜日で、もともと法務委員会を開く定例日ではないため、野党は反発しているとのことです。しかし、今国会では二度と法務委員長の解任決議案は出せないため、委員長に対しては抗議するしかできません。

■入管難民法案の提案理由説明と質疑は、21日にいっぺんに行われる

昨日、本日の経過について2つ予想しましたが2つとも外れました。

ひとつは、入管難民法案の提案理由説明を本日中にやっておくのではないかという予想です。提案理由説明を行った日は質疑を行わない慣例なので、21日に入管難民法案の実質審議入りするために本日中に提案理由説明をするかなと思っていました。

報道によると21日に提案理由説明と質疑をまとめてやる予定のようです。与党としては、委員長の不信任決議案を否決した直後に法務委員会を開くほど強引な運営はしないということなのかもしれません。

■本会議散会す

もうひとつは、法務大臣の不信任決議案提出を警戒して本会議を散会しないのではないかという予想です。法務大臣の不信任決議案が提出されると法務委員会の審議は不審決議案が採決されるまで止まります。不信任決議案の採決は本会議で行う必要がありますが、本会議は散会を宣告するとその日のうちにもう一度開くことはできないため、提出された不信任決議案を速やかに否決するために本会議を散会せず休憩にしておくのではないかと思いました。

しかし、動画を確認すると本会議は散会していました。野党としては、法務大臣の不信任決議案は今国会で1回しか出せないので、まだ温存しておくつもりなのかもしれません。


入管難民法案の議事妨害、解任決議案の次の一手は?


■法務委員長解任決議案採決後の予定

与党は、明日11月20日の衆議院本会議で法務委員長の解任決議案を否決し、21日の法務委員会で外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の実質審議入りを目指しているとの報道が出ています。

衆議院インターネット審議中継によると、20日の本会議は通常通り13時開始です。また、法務委員会が予定に入っていません。これは、本当に法務委員会がないのか、委員長の解任決議案の採決が終わるまで法務委員会を開く予定を公に出していけないという配慮かどちらかでしょう。

今週3日以上の審議を目指す場合は、20日13時からの本会議で速やかに解任決議案を否決し、法務委員会を開いて入管難民法案の提案理由説明を終えておいて、21日に質疑に入るというスケジュールが考えられます。提案理由説明を行った日は質疑をしないのが慣例だからです。

■野党の次の一手

法務委員長の解任決議案提出により、入管難民法案の審議は与党の当初の想定より遅れています。ですが、解任決議案が出されることはもうありません。

国会は一事不再議という原則があり、会期中に結論が出た議案について再度審議・採決することはないからです。法務委員長の解任決議案は、法務委員長が変わりでもしない限り二度と提出できません。

では、もう野党に審議を制度的に止める方法はないかというと、そうではありません。 例えば、法務大臣の不信任決議案の提出です。法務大臣の不信任決議案を提出した場合も、法務委員長の解任決議案が提出された場合と同じく本会議での採決が終わるまで法務委員会の審議は行えなくなります。

仮に、法務委員長の解任決議案の採決を終えて本会議が散会したあとに法務大臣の不信任決議案が提出された場合、20日に法務委員会を開くことはできなくなります。議長が本会議の散会を宣告したあとは、その日のうちに再び本会議を開くことはできないためです。この場合、次の本会議の定例日は木曜日ですので、定例日通りに本会議を開いた場合、今週ほとんど審議させないことが可能になります。

与党としてはそれではまずいので、明日の本会議は解任決議案の採決後、いつでも再開できるように休憩で一日を終えると思います。