第192回国会(臨時会)」カテゴリーアーカイブ

強行採決は与党と野党の合作である


2016年11月5日現在。昨日11月4日に、衆議院の環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会でTPP協定の国会承認を求める議案と関連法案の採決が行われ、与党などの賛成多数により可決されました。

民進党と共産党の欠席するなか質疑を進め、かつ終局し、両党欠席のまま討論、採決となりました。民進党や共産党は「強行採決」だとして、この委員会運営に抗議しています。

■強行採決とは野党の同意なく採決すること

「強行採決」とは文字通り採決を強行することです。国会審議は与党と野党が協調して行う慣例になっているため、採決の日程について与野党で意見が合わないなか採決をしてしまうことを強行採決と呼びます。

強行採決の何が問題かというと、採決すると与党の賛成多数により議案が可決されることがわかりきっているからです。与党は野党よりも多数の議席を占めているために与党なので、あらゆる審議を即日採決したら一切議論が行われずに物事が決まってしまいます。

■採決しなければ議決機関ではない

とはいえ、国会は議決機関なので、どこかで採決をしなければなりません。ここで野党があくまでも採決を拒んだ場合、与党は野党の同意を得ずに採決をすることになります。こうして強行採決が行われることになります。

つまり、強行採決になるには野党にも責任があるのです。

しかし、そのことで野党を責めるわけにはいけません。野党には採決すること、政府に質問すること、審議を遅らせること、与党に野党の提案を一部受けいれて貰うこと以外に国政に関与する力を持たないからです。

野党だからしょうがないのです。

■最後の手段「議事不成立」

ちなみに、野党の議員が委員長席を取り囲んでいる映像がありますが、あれは単に抗議するだけでなく、委員長のマイクや原稿を奪うことや、大声を出してマイクを正常に動かないようにすることもしています。

なぜそのようなことをするかというと、委員長や機材にプレッシャーをかけることで、正常な議事手続きを踏めないようにし、「議事不成立」にすることで採決自体を無効にすることを狙っているからです。議事運営は決められた手続きに則って行われなければならないのです。

あまりにもあんまりな手段ですが、野党にできる数少ない抵抗のひとつです。

また、それなりに効果があります。集団的自衛権の行使を可能とする法案の委員会採決において、議場が騒然としたために議事録がとりにくくなりました。野党は、議事録が取りにくくなった状態で行った採決は無効で、もう一度やり直すべきと主張しました。もともと評判の悪い集団的自衛権の行使容認に関する件で、議事妨害により政府与党にネガティブなイメージを与えることに成功した事例だと思います。

ただ、議場を騒然とさせたのは間違いなく野党なので、何をか言わんやです。


参議院内閣委員長人事で自民と民進が争い


2016年9月22日現在。参議院内閣委員会の委員長のポストを巡って自民党と民進党が争っているとの報道がありました。

現在は内閣委員会の委員長は民進党から出していますが、自民党は「国民生活に密接に関わる委員会なので委員長を自民党から出したい」と主張しているとのこと。

内閣委員会など、参議院の常任委員会は17あります。うち11の委員長を自民党、4つを民進党、2つを公明党が出しています。

仮に全ての常任委員会の定数が同じ場合(参議院定数242÷常任委員会17≒14)、現在の各党の議席数を17で割ると全ての常任委員会で与党が定数の過半数を占める(自民公明147÷常任委員会17≒8)ので、理屈から言えば全ての常任委員会の委員長を与党がとっても文句は言えません。

しかし、慣例により委員長ポスト自体は各党の議席数に応じて配分されるため、野党も委員長を出せるのです。慣例というのは何によって担保されているかというと、与党の譲歩以外にありません。

これも野党の苦しいところです。

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秋の臨時国会 所信表明演説から代表質問の間隔を空けず


2016年9月21日現在。26日に召集される臨時国会冒頭のスケジュールが決まりました。26日に首相の所信表明演説。翌27日から28日まで衆議院の代表質問。28日から29日までが参議院の代表質問です。

慣例では、所信表明演説から1日空けて衆議院の代表質問になるのですが、今回は連日になります。

昨年は臨時国会が召集されませんでしたが、一昨年とその前の年も1日空けていないので、臨時国会は慣例にとらわれなくなったのかもしれません。

あるいは、自民党の二階幹事長が政府の意向を押し切って民進党の代表選が終わった後に臨時国会を召集する日程を実現させたので、野党側も譲歩したのかもしれません。

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