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参院野党の主導権争いは終わるか


2019年7月21日現在。

参議院議員選挙の投開票日です。

すでに開票が始まっており、選挙速報ではどの候補者が当選確実になったかを続々と報じています。

■参院野党の主導権争いの行方

注目しているのは、参議院の立憲民主党と国民民主党の競り合いがなくなるかどうかです。選挙前までは、立憲民主党を中心とする会派が28議席に対して、国民民主党を中心とする会派が27議席と1議席しか差がありませんでした。

そのため、立憲民主党と国民民主党は参議院の国会対策について激しく争っていました。争いすぎたために、立憲民主党は国民民主党の参院幹事長の選挙区にわざわざ候補者を立てて野党同士の闘いを繰り広げています。

今回の選挙で、立憲民主党が国民民主党を議席数で突き放せば、今後の国会対策については立憲民主党の意向が通りやすくなるかもしれません。

そうなれば、立憲民主党は衆議院と参議院で野党第一党の地位を確実なものにできます。


なぜ立憲民主党は衆参両院で最大野党なのに、参議院で国民民主党と野党第一会派争いをしなければならないのか


■立憲民主党、参議院の野党第一会派を奪還

2019年3月12日現在。先週3月7日に参議院の野党第一会派が国民民主党を中心とする会派から立憲民主党を中心とする会派に変わりました。今年の1月に国民民主党を離党して立憲民主党に移る意向を示していた藤田議員を、国民民主党が除籍処分して会派離脱を認めたためです。

野党第一会派になるかどうかというのは極めて重要です。審議のスケジュールなどなどの交渉では、野党第一会派が野党を代表して与党と交渉するからです。

■衆参両院で数えると、大差で立憲民主党が野党第一党だが……

藤田議員の会派離脱が決まったことで、衆議院と参議院の両方で立憲民主党を中心とする会派が野党第一会派になりました。とはいえ、参議院での立憲会派と国民会派の議員数は28対27で1名差です。参議院では野党第一会派と第二会派の差はあまりないのですが、衆議院では68対39と大差をつけています。衆参両院で合わせれば、元から立憲民主党は野党第一党と言えます。

「衆参合わせて元から立憲民主党の議員が野党議員で一番多いのだったら、参議院の議員数とか関係なく立憲民主党が与党と交渉すればいいのではないか」と思われるかもしれません。しかし、そうはいきません。立憲民主党が「衆参通算では野党第一会派だから、参議院の第一会派もよこせ」と言わないのは、衆議院と参議院が独立しているという建前があるためです。

■衆議院と参議院は対等で独立している

衆議院と参議院は、いくつかの規定で衆議院の議決が参議院に優越することはありますが、原則としてそれぞれ独立した存在です。衆議院と参議院の間に上下関係はありません。国会の中に衆議院というセクションと参議院というセクションがあるのではなく、衆議院という国会と参議院という国会があるのです。国会が2つあるということ、これが二院制です。余談ですが、日本の立法・行政・司法のそれぞれのトップである「三権の長」は4人います。行政は内閣総理大臣、司法は最高裁判所長官、そして立法は衆議院議長と参議院議長、この4人です。

二院制の意義のひとつは、それぞれ違う方法で選出された議員が会議を行って物事を決めることです。参議院にとって、衆議院の野党第一会派がどこだろうが知ったこっちゃないのです。参議院のことは参議院で決めるという自律性が大事なので、衆議院の議員数を根拠に、参議院の野党第一会派が当然立憲民主党の会派になるという主張はできません。


野党第一会派を巡る争いでくじ引きに


■質問順をくじ引きで決める

2019年1月30日現在。立憲民主党と国民民主党による参議院の野党第一会派を巡る争いは、まだ決着がついていません。参議院で昨日行われた決算質疑では、立憲民主党と国民民主党のどちらが最初に質問するかで揉めて、くじ引きで順番を決めたと報道されています。さらに、明日1月31日の参議院の代表質問の質疑順序も折り合いがつかず、くじ引きで決めたそうです。ちなみに、どちらも国民民主党が最初に質疑することになったそうです。

この争いは、参議院での立憲民主党の会派と国民民主党の会派の所属議員数が27名・27名と同率一位になっていることで起こっています。実際は、国民民主党の藤田参議院議員が離党し立憲民主党に入党する意向を示しているため、立憲民主党28名、国民民主党26名で立憲民主党の会派が参議院の野党第一会派であるように思います。

しかし、国民民主党は藤田さんの会派離脱をみとめていないため、数字の上では未だに国民民主党の会派が27名のままです。会派の離脱は離脱する会派が議長に届け出ないとできない慣習になっているためです。

こういう事情があるので、立憲民主党は「実質的に立憲民主党が参議院第一会派だ」と主張しているようです。しかし、今回質疑順のくじ引きに応じたことで、国民民主党の榛葉参院幹事長は「立憲民主党はくじ引きに応じたのだから、国民民主党の会派と立憲民主党の会派の所属議員数が同数であることを認めたことになる。今後もくじ引きで決めることになる」と強気な主張をしたと読売新聞や日経新聞が本日の朝刊に記事にしています。

■国会での野党同士の対立は、選挙にも影響

参議院の立憲民主党は、この榛葉さんに相当やられているらしいです。榛葉さんは今年の夏の参議院選挙で改選します。榛葉さんの選挙区は2名が当選する2人区です。1月22日付読売新聞朝刊で、立憲民主党は榛葉さんの選挙区に候補者を擁立し「落選に追い込む」と息巻いていると報じられています。国会での野党同士の対立が選挙に影響を与えています。選挙は政治生命につながるため、冗談ではすみません。野党同士の対立とはいえ、ややこしそうです。

ちなみに、参議院の野党第一会派が決まらない問題の渦中の人である藤田さんも今年改選で、選挙区は2人区です。1月22日の読売の記事では、立憲民主党は藤田さんの選挙区でも候補者を立てようとしていると書かれています。この件は、藤田さんを立憲民主党に引き抜く交渉材料になっていたのでしょうか。


藤田参院議員の国民民主党会派離脱騒動


■参議院の野党第一会派争い

2019年1月27日現在。参議院の野党第一会派争いは決着がついていません。

参議院の野党会派は立憲民主党を中心とする会派が27人、国民民主党を中心とする会派が27人と同率一位になっています。しかし、国民民主党の参議院議員である藤田議員が離党し、立憲民主党に入党する意向を示しています。藤田議員の意向どおりに進めば、立憲民主党の会派が28人、国民民主党の会派が26人となり立憲民主党が前回の臨時国会に続いて衆参で野党第一会派として与党と交渉することになります。

国民民主党もぼんやりしているわけにはいきません。先週せっかく自由党と統一会派を組んで参議院の野党第一会派に返り咲いたのに、通常国会召集前に立憲民主党に第一会派の座を奪われてしまっては悲しすぎます。

国民民主党は、藤田議員の離党と会派離脱を認めていないようです。議会用語事典によれば、議員の会派の退会届は、所属していた会派の代表から議長に対して文書で届ける慣習になっているので、国民民主党が藤田議員の退会届を参議院議長に出さない限り、藤田議員の退会は認められません。


民主党は参議院に注力すべき


■民主党は参議院を主戦場にしたほうがいい

 2014年3月10日現在。現在の国会情勢では、民主党は参議院を主戦場とすべきです。参議院なら、民主党は圧倒的な野党第一党なので、野党の盟主として君臨し、他の野党を束ねることができます。

 もし、民主党が与党との対決姿勢を明確にするなら、参議院にこそ力を入れるべきです。参議院なら、他の野党が与党になびいたところでどうとでもなります。民主党が58議席なのにたいして、他の野党はのきなみ十数議席しかないからです。

■参議院に波乱の芽あり

 おりしも、自民党の脇参院幹事長が、首相の集団的自衛権行使に向けた政治手法に異論があるという報道が出始めています。これは民主党にとってチャンスかもしれません。

 集団的自衛権の行使には、憲法解釈の変更だけでなく、関連法の改正が必要になるとされています。法改正するには参議院の賛成がなければ難しいです。集団的自衛権の行使には、参議院の協力が不可欠なのです。ですから、脇参院幹事長が首相に批判的なコメントをだしていることは、結構重大です。

 民主党は、与党をつくならこの問題しかありません。ただ、問題なのは、民主党自身が集団的自衛権に関して党論を統一しているかというと、そうではないところです。


結いの党による政界再編は短期的に野党を細分化させる


 2014年1月7日現在。野党再編の目的のひとつは、野党勢力の結集です。この野党勢力の結集という点で考えると、結いの党を結成した江田さんの動きはよくわかりません。

 報道によれば、江田さんは日本維新の会との合流を望んでいるものの、憲法に対する考え方の違いから、維新の会の石原慎太郎共同代表をはじめとする旧・太陽の党の議員とは組みたくないと考えているようです。

 衆議院の議席数で考えてみます。維新の会53議席-旧・太陽の党12議席+結いの党9議席=50議席で、現状より議席は3減少します。これでは野党勢力の結集になりません。

 一応、3月に維新と合流し、8月に民主党の一部と合流というスケジュールを考えているようです。例えば、江田さんや維新の会の松野さんと勉強会をした、民主党の細野さんのグループは、民主党で10人程度の規模だと見られています。細野グループのメンバーのうち、衆議院議員が何人いるかは調べがつきませんでした。仮に細野さんが衆議院議員10人連れて、江田さんに合流すると民主党46に対し、新党50となります。新党は野党第一党にはなるものの、民主党との差は4議席にとどまり、現状と野党の構成は変わりません。いえ、新党ができる過程で旧太陽の党が切り離されるのですから、野党の数は増えます。

 おそらく、江田さんの構想は短期的なものではなく、次の衆議院総選挙後の政治情勢の構築を狙った長期的なものなのでしょう。ただ、江田さんの狙い通りの展開になると、野党のさらなる分裂により、短期的に自公態勢の強化につながることは避けられません。すでに、みんなの党は分裂してますしね。悩ましいところです。

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野党再編と民主党の不人気


 2014年1月6日現在。衆議院と参議院で野党の数が大きく違うため、衆参で野党として統一した行動ができていません。統一した行動をとる方法のひとつとして、野党再編により、圧倒的な野党第一党を作るというものがあります。

 では、どのような組み合わせを考えればいいのかというと、これがなかなか難しいです。参議院の議席数(民主党の議席数は他の野党の議席数の合計より多い)と政権を担当したという実績を考えれば、民主党を中心として他の野党が加わればいいような気がします。しかし、他の野党は民主党政権に対してノーを突きつけた過去があるため、パッと民主党とくっつくというわけにはいきません。また、一昨年の衆議院総選挙と昨年の参議院選挙で負け続けている、「民主党」という看板を忌避するような感覚もあると思います。

 ややこしいのは、安倍政権誕生後に民主党を動かしている人たちが、民主党政権の中枢、そのすべてであるわけではないということです。民主党代表の海江田さんは大臣こそ務めていますが、民主党政権で常に政府や党の中心にいた人たちとは一線を画しています。その人たちは現状が面白くないでしょう。常に民主党政権の中枢にいた前原さんの名前が政界再編のキーマンのひとりとして出てくるのは、そういう事情もあると思います。

 つまり、野党再編という考えが出てくるのは、民主党が不人気だからです。民主党に野党としての勢いがあれば、民主党の分裂をともなう野党再編ではなく「野党勢力、民主党に結集」になるはずです。


野党再編と野党の主導権争い


 2014年1月5日現在。巨大与党に対抗するための手段として、野党再編が連日取り沙汰されています。今までもいろんな野党がいた時期があったのに、なぜいまこんなに野党再編の話で持ちきりなのでしょうか。原因のひとつに、国会運営の協議方法があります。

 1990年台後半から現在にかけて、国会運営の協議の中心は、国会の各委員会の与党筆頭理事と野党筆頭理事による、与野党筆頭理事間協議です。与党代表と野党代表の話し合いです。これは、野党代表となる党がその他の野党勢力を糾合できることが前提となっています(白井誠『国会法』信山社2013:P.18〜P.20)。そのため、他の野党を圧倒するだけの数を持っていて、他の野党が単独で動いても無視できる程度の数になっているとベストです。

 今までは自民党も民主党も野党時代にそれなりの数を持っていたので野党代表として振る舞えました。しかし、一昨年の衆議院総選挙で民主党(56議席)は惨敗し、野党第一党の座は守ったものの、野党第二党の日本維新の会(53議席)に3議席差まで迫られてしまいました。これでは、民主党が当然に野党の代表になる、というわけにはいきません。現に日本維新の会は総選挙後から、ことあるごとに国会運営の協議に維新も参加させるよう求めていています。

 そして、日本維新の会は民主党と共同歩調を取りません。昨年末の特定秘密保護法の審議過程で、日本維新の会は与党との修正協議をまとめます。民主党は与党との修正協議をまとめることが出来なかったため、議事妨害で抵抗するしかなくなりました。そして、民主党が単独で提出した安倍内閣不信任案の採決で、日本維新の会は反対(安倍内閣を信任する)にまわり、民主党の議事妨害はいまいち盛り上がりにかけるものになってしまいました。

 このように、民主党は衆議院において野党の盟主としての存在感を欠いてしまっています。

 ただ、衆議院に比べると、参議院は民主党にとって比較的ましな状況です。民主党(58議席)は昨年の参議院選挙でも議席を減らしましたが、野党第二党のみんなの党は18議席(離党した結いの党の党員を含む)で、40議席の差があります。民主党以外の野党の数を合計しても、民主党が上回っています。ですから、参議院では民主党を中心に、特定秘密保護法成立に抵抗ができたのではないかと思います。衆議院では単独行動していた日本維新の会も、参議院(維新は9議席)に舞台が移ってからは民主党と歩調を合わせるしかなかったように見えます。

 とは言え、衆議院と参議院で野党の数が大きく違うため、衆参で野党として統一した行動ができないという点は否めません。野党を結集するにはどうするか。野党再編して、圧倒的な野党第一党を作ればよいのです。


野党再編の意義


 2014年1月4日現在。野党再編について、連日報道されています。昨年末に誕生した結いの党が、3月にも維新の会と合流して、さらには民主党の一部とも合流するとか、そんな感じです。

 野党再編の最大の意義は、巨大与党に対して野党勢力を結集し、野党が一体となって行動できることです。

 例えば、議事妨害に欠かせない本会議の採決に対する記名投票要求は、本会議出席者の五分の一以上が賛同していなければ受け入れられません。昨年末の内閣不信任案の採決において、民主党は日本維新の会の協力を得られず、内閣不信任案の採決としては珍しい起立採決になってしまいました。

 また、本会議や委員会に欠席する審議拒否も大勢でやったら目立ちますが、野党1党だけが欠席してもあんまり効果がありません。ただでさえ審議拒否に対する世論の見方は厳しいので、悪くすると「何やっちゃってんの?」と総スカンを食う恐れもあります。野党として抵抗するのにも、数が必要なのです。

 国会において野党が使える力は、国会の制度、時間、そして議席数―つまり数です。国会内ではこれしかありません。あとは、国会外でデモを指揮して政府・与党をビビらせて自分たちの要求を呑ませるというものがあるにはあります。ありますが、政府・与党をビビらせるだけの人を集められるのなら選挙で勝っているはずなので、そうそうあることではありません。

 野党の数は、国会全体の議席数−与党の議席数で決まります。現在は衆議院も参議院も自民党・公明党で過半数を占めているので、与党の議席数を引いた時点で野党の数は悲しいことになります。その少ない野党の数が、さらに民主党だ、日本維新の会だ、みんなの党だ、日本共産党だ、というように分かれているのです。各々の党がバラバラに与党と戦っても、結果は見えています。

 そこで野党再編して、野党勢力の結集をしよう、野党の数をまとめようということになるわけです。


内閣提出法案の成立率の高低は与野党の勝敗を示すか


 2014年1月3日現在。NHK NEWSWEBに、『野党勢力結集 どこまで進むか見通せず』と題する記事が本日付けで出ています。

 記事の趣旨とは関係ないのですが、この記事の中に以下のような言葉があります。

先の臨時国会では、衆参のねじれが解消したことを受けて、政府が新規に提出した法案の成立率が87%に達し、野党側は与党ペースで国会運営が進んだことに危機感を強めています。

 内閣提出法案の成立率が、与党ペースで国会運営が進んだことを示す指標のひとつであると、この記事はみているようです。

 衆議院と参議院の第一党が一致しているのにもかかわらず内閣提出法案の成立率が低いのは、与党の国会運営がうまくいっていないことを示しています。これは間違いありません。

 ただ、内閣提出法案の成立率が高いことが、必ずしも与党一人勝ち、与党が好き放題にやっている国会であることを示すわけではありません。野党の言い分を聞き、与党が納得したら野党の主張を取り入れて法案を修正した上で成立させる。このような丁寧な国会運営の結果、成立率が高いのであれば、与党が野党を圧倒して好き勝手しているとは言えません。

 内閣提出法案の成立率が高ければ与党の勝ち、低ければ野党の勝ち、という見方は必ずしも当てはまらないのです。

 巨大与党が存在する現在、与党を分裂させない限り、野党が数で与党を上回ることはできません。特定秘密保護法の成立経過を見れば分かる通り、与党はどんなに議事妨害をされても内閣支持率を犠牲にすればいくらでも法案を成立させられます。

 そして、衆議院を解散しなければ、国政選挙は2年以上先になります。支持率が国政選挙の結果に影響するのも2年先です。支持率の低下は、与党に「安倍おろし」を誘うくらいが関の山で、国会の勢力図に影響はありません。安倍内閣は困るかもしれませんが、与党は与党のままで、野党はいつまでたっても野党です。

 このような状況で、内閣提出法案の成立率の高低にこだわっても意味がありません。大切なのは審議の中身です。審議の充実こそが、野党の進むべき道です。