月別アーカイブ: 2019年10月

都内で大砲の音を聞く


■即位礼正殿の儀で祝砲が発射される

2019年10月27日現在。 先週10月22日は、即位礼正殿の儀が行われました。

儀式に合わせて礼砲が発射されるということを知ったので、友人と皇居周辺の竹橋あたりまで行きました。都内で発射される大砲の音を生で聞いてみたかったからです。

この日は朝から雨でした。日差しがないせいか肌寒く、地下にある竹橋駅の改札前で、儀式が始まるまで雨風をしのいでいました。儀式が始まる前くらいに雨が弱まり、晴れ間が出てきたので地上に出ました。

5B0DB335 6E56 4F34 AF38 6D7AE328E7FB
雨が弱まった皇居周辺
C3EE5EB3 8C17 4A53 91DE A3E90095277E
雲の間からみえる太陽

地上で首相官邸のYouTubeチャンネルで行われていた(即位礼正殿の儀の)中継を見ながら礼砲を待っていました。報道によると、総理大臣が天皇の即位を祝して万歳三唱するさいの「て」の発声があったところで礼砲の発射が開始されるとのことでした。ただ、さすがにYouTube経由ではラグがあったようで、中継中の万歳三唱の前に礼砲が発射されました。

大砲の音は、花火よりは鋭いあっさりした音に感じました。また、皇居周辺は高層ビルが立ち並んでいるため、ビルの壁かガラスが大砲の衝撃で揺れるよう音が発射音に遅れて聞こえてきました。ビルの音は横浜の花火とかわりはないように思います。

都内で大砲の音を聞くという目的が達成できて大満足でした。今度は、チャイコフスキーの『1812年』で本物の大砲を使った演奏を聴いてみたいですね。


予算案がなくても予算委員会は開ける


■臨時国会3週目

2019年10月20日現在。

臨時国会3週目は参議院予算委員会から始まりました。猛威をふるった台風19号通過直後でもあったため、10月15日の予算委員会の冒頭は台風関連の質問から始まりました。

予算委員会と言うと、文字通り国のお金の使いみちを決める予算を決めるための委員会です。ですが、今国会では補正予算案は提出されておらず、決めるべき予算案はありません。では、予算委員会は何を話し合うために開かれたのでしょうか。

■今回の予算委員会の議題は「予算の執行状況について」

今回衆議院と参議院で行われた予算委員会の議題は、「予算の執行状況について」というものでした。予算委員会として、予算がちゃんと執行されているか、新たに予算をつけなければならない案件はあるか、などを政府に確認するための話し合いということですね。

とはいえ、「予算の執行状況の調査」というのは名目に過ぎないでしょう。実際のところは、与野党の議員に、内閣改造後の安倍内閣の閣僚に質問する機会を与える、というのが今回の予算委員会の目的でしょう。

ですから、総理大臣と特定の大臣だけが出席する集中審議ではなく、全閣僚が出席する基本的質疑が行われたのだと思います。

予算委員会での質疑は、予算案がなくともやろうと思えばやれるということがわかります。唯一必要なのは、与野党の合意のみです。


野党はなぜ大島衆議院議長の言葉に反発したか


■衆議院本会議の開始時間が遅れる

2019年10月14日現在。

先週10月7日に、衆議院で安倍総理大臣の所信表明演説に対する各会派の代表質問が始まりました。代表質問は国会冒頭の恒例行事ですが、今国会では衆議院でいきなり与野党が揉めました。そのため、衆議院本会議の開始時間が1時間30分遅れたとのことです。

揉めた原因は、大島衆議院議長が憲法改正に必要な国民投票法改正案について、「臨時国会で与野党で話し合って合意点を見つけてほしい」という発言をしたことに野党が反発したためでした。

■議長の言葉の何が問題か

衆議院議長が「話し合って合意してほしい」というのが、なんでいけないのでしょうか。ごく当たり前のことを言っていて、反発しようがない気がする人もいるでしょう。

野党の言い分はこうです。「中立公正な議長が、特定の法案について、時期を区切って『合意を期待する』などと言うのは越権行為だ」。これだけでは意味がわかりませんね。

「中立公正な議長」はいいでしょう。議長が与野党どちらかに肩入れしていたら困ります。

「特定の法案について」の部分もいいでしょう。議長は中立公正なのですから、すべての法案を平等に扱うべきで、特定の法案に言及しないほうが良さそうです。

「時期を区切って『合意を期待する』などと言う」。この部分が野党にとっての大問題です。特に、「時期を区切って」というところです。

■野党は「切実に」審議を進めたくない

現状、与野党で法案に対して賛成・反対の投票をすると、必ず与党の意見が通ります。与党が賛成なら賛成、与党が反対なら反対となります。選挙の結果、与党の議席のほうが、野党の議席よりも多いからです。

この不利な状態で野党ができることは、あまり多くはありません。できることといえば、国会の場で政府の動きを制限するような答弁を引き出す良い質問をすること、与党と交渉して法案に修正などを加えて自分たちの意見が残るようにすること、そして審議を遅らせて法案を採決しないようにすることです。

審議を国会が終わるまで引き延ばせば、法案は「絶対」に可決しません。採決されないからです。採決されれば必ず与党の投票で可決してしまうという状態に対抗できる、この「絶対」は、野党にとって貴重な武器です。だから、とにかく審議を遅らせようという動きを野党はするのです。

議長の「臨時国会で与野党で話し合って合意点を見つけてほしい」という言葉は、野党にとって、「与党の思惑通りに国会のスケジュールを調整してほしい」という要望に聞こえてしまったのです。