■野党が臨時国会召集を要求
2015年10月24日現在。3日前の10月21日に、民主、維新、共産、社民、生活の野党5党などが、臨時国会の召集要求書を提出しました。この措置は、憲法53条に基づくものです。
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
(『日本国憲法』)
10月22日付の読売新聞朝刊の記事などによると、政府は臨時国会を召集しないそうです。
政府・与党は安倍首相の外交日程が立て込んでいることなどを理由に召集を見送る方針で、11月10、11の両日を軸に衆参両院で予算委員会などの閉会中審査を開催する構えだ。
(2015年10月22日 読売新聞朝刊)
本当にそれでいいのでしょうか。
■国会は野党にとって貴重な活躍の場
野党が臨時国会の召集を要求するのは、政府を追求する場が生まれるからです。政府に加わっている与党と違い、野党は国会が開かれなければ無力です。このまま臨時国会が召集されないと、次の国会は来年1月に開かれる通常国会まで待たないといけません。
具体的な活躍の場は、本会議や委員会です。ここでの質問や討論によって活躍することができます。話題になればテレビに繰り返し放映され、注目をあつめることができます。
特に、来年の夏は3年に1度の参議院議員選挙が行われます。選挙に向けて、注目を、そして支持を得られる機会が増えることはいいことです。
そして、質問を通じて、政府・与党の進める政策の問題点をあぶり出し、政策遂行に修正を加えることができれば、有権者にとっても利益になります。
■与党が臨時国会を召集する「うまみ」
与党にも臨時国会が開かれることによる「うまみ」があります。それは、今年の通常国会で成立にいたらなかった法案を成立させるチャンスが生まれることです。
法案が成立しなければ、政府が望む政策を実現することができません。与党にとって臨時国会は、残業のようなものです。
■もうひとつの「うまみ」
私は、今回の臨時国会召集要求については、与党にもうひとつのうまみがあると思っています。
与党は、安倍首相の外交日程が立て込んでいることを臨時国会召集拒否の理由にしていますが、立て込んでいるのだったら首相は国会に出なければいいのです。
首相や大臣が国会に出なければ国会審議が進まないのは、野党が首相や大臣不在の国会審議を認めないからです。これが、日本の国会が審議時間を巡る闘争が中心になる、ひとつの要因になっています。
しかし、今回は外交日程が決まっているなかで、あえて野党が臨時国会の召集を要求したわけです。自分で召集を要求しておいて、首相が国会に来ないから、大臣が来ないから、審議には応じませんと言われても困ります。何のために国会を召集したの?という話です。
政府・与党は、この機会に、閣僚の国会拘束時間のさらなる削減を目指すこともできるのではないでしょうか。