組織図」カテゴリーアーカイブ

内閣法制局について


 内閣法制局は2つの仕事を担当しています。ひとつは各省庁で立案し、内閣で提出する法案などの審査。もうひとつが、法律の解釈について総理大臣などに意見を述べることです。

 法案の審査を審査事務と呼びます。憲法や既存の法律との関係、立法の目的の妥当性と法律がその目的達成に役立つかどうかなどから、全体的な用語、言い回しの統一などまでありとあらゆる観点で検討します。

 意見を述べることを意見事務と呼びます。各省庁で法令について疑義があったり解釈に争いがあったとき、法制局に意見を求めることになるそうです。内閣法制局長官が国会審議で憲法解釈を答弁するシーンがありますが、あれも意見事務のひとつです。この法制局長官の国会答弁は、「憲法の解釈を官僚が握っているのは政治主導じゃないんじゃなかろうか」ということで、民主党政権発足後廃止されていました。ただ、今年の通常国会から復活することにしたようです。

 内閣法制局は第一部、第二部、第三部、第四部と長官総務室で構成されています。第一部が意見事務を担当し、第二部から第四部までが分担して審査事務を担当しています。トップは法制局長官。ナンバー2は法制次長です。


規模の限界:共産党の組織図3


 2012年8月31日現在、日本経済新聞の朝刊に、中国共産党の次期幹部がほぼ内定したという記事がありました。中国共産党も、以前とりあげた日本共産党と同じく、マトリョーシカのような指導構造になっています。(https://ryoichiinaba.jp/rlog/2012/08/post-14.html

 日本共産党における、党大会-中央委員会-幹部会-常任幹部会という組織図は、中国共産党における、全国代表大会-中央委員会-中央政治局-中央政治局常務委員会という仕組みによく似ています。やはり、左端の機関が休会中は、右の機関が代行するという形になっています。

 さて、どうしてこのような仕組みになっているのでしょうか。立花隆『日本共産党の研究(二)』(講談社文庫)では、組織には「規模の限界」があるためだとされています。

 どんな組織でも、ある一定の人数(十数人から二十人程度)を超えるとうまく機能しなくなります。これが規模の限界です。この限界にぶち当たった組織は、自らを分割して上部組織を作らざるを得ないのだそうです。

 この見方が正しければ、中央委員会が多くなりすぎたので幹部会を作り、幹部会も多くなってきたので常任幹部会を作ってきたということで、最初から意図して作られた組織図ではないようです。

参考文献:立花隆『日本共産党の研究(二)』(講談社文庫)


日本共産党の組織図2


 昨日に引き続き、日本共産党の組織を見ていきます。

 共産党は、支部-地区委員会-都道府県委員会-中央委員会という組織構造になっています。支部、地区委員会、都道府県委員会、中央委員会のことを「指導機関」と呼びます。

 民主集中制においては、一級上の指導機関の命令には絶対服従が求められます。例えば、支部の一級上の指導機関は地区委員会なので、地区委員会の指導に各支部は従わないといけないのです。このことによって、組織が大きくなっても中央から末端まで統一した意思に基づく行動ができるようになります。まさに、みんなで一丸となって目標に向かうことができるのです。

参考文献:筆坂秀世『日本共産党』(新潮新書)

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日本共産党のトップは?


 今まで扱った生徒自治機構は、議決機関と執行機関が別れている権力分立型の組織でした。では、すべての組織は権力分立型なのでしょうか。もちろん、権力分立型以外の組織も存在します。それが、集中型の組織です。

 集中型の組織で一番有名なのは、日本共産党が採用している「民主主義的中央集権制」、いわゆる民主集中制です。民主集中制は、日本共産党だけでなく、共産主義的な組織によく見られる体制です。

 さて、日本共産党のトップの役職は何でしょうか?現在では、「委員長」になります。次が、「書記局長」です。他の政党と合わせるならば、党首は委員長で、幹事長が書記局長です。では、この「委員長」とは何委員会の委員長なのでしょうか。それを説明するには、日本共産党の組織をざっとみていく必要があります。

 共産党の最高機関は「党大会」です。党大会と次の党大会の間は、党大会で選ばれた中央委員からなる「中央委員会」が党を指導することになっています。さらに、その中央委員会総会と次の中央委員会総会の間は、中央委員会から選ばれた「幹部会」が党を指導します。この幹部会の委員長が、共産党のトップである「委員長」なのです。正式には幹部会委員長と呼ばれます。

 ちなみに、共産党のマトリョーシカのような指導構造は幹部会で終点ではありません。最後に、幹部会から選ばれた常任幹部会委員からなる「常任幹部会」が毎週会合を行なって、すべての方針を決めています。その方針は「常任幹部会報告」としてまとめられ、党全体に伝達されていきます。

 このような仕組みになっているため、共産党では一般の党員が直接党首を選挙で選ぶことがありません。

 また、党大会もすべての党員が参加するわけではありません。支部総会から地区党会議に出席する代議員が選ばれ、その地区党会議から都道府県党会議に出席する代議員が選ばれます。そして、都道府県党会議で選ばれた大会代議員が党大会に出席するのです。

参考文献:筆坂秀世『日本共産党』(新潮新書)


自治活動の流れ


一ヶ月の自治活動の流れを考えて見ます。

「執行機関」 役員会、委員会で一ヶ月の活動報告、次の一ヶ月の活動予定を立てます。定例の活動でないもの(例えば被災地域への募金活動など)については、議案書を作成して「議決機関」に提出します。

「議決機関」 月例の評議員会において、役員会、委員会の活動報告を受けます。疑問点について、評議員から質問があった場合は、担当役員や委員長が答弁します。次に、活動予定の提案が行われます。活動予定についても、質疑応答が交わされます。議長が適当なところで質疑応答を切り上げ、活動予定の承認の可否を問う採決をします。

「執行機関」 評議員会で承認された活動予定に基づいて、活動します。

基本的には以上のように活動していきます。あとは自治活動について定めた規約しだいで、手続きや組織は様々な形になっていきます。

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委員会について:執行機関3


 「執行機関」には、委員会と呼ばれるものもあります。よくある委員会として、図書委員会、放送委員会、美化委員会、保健委員会、風紀委員会などが挙げられます。今まで述べた生徒会長をトップとする「執行機関」は、役員会や執行部などと呼ばれます。

 役員会と委員会との関係は、学校によって様々です。各学級から選出され、役員会から完全に独立してそれぞれの委員会の専門的な活動を行うケース。独立はしているものの、役員会からオブザーバー(発言はできるけど、議決には参加できない人)が送り込まれるケース。役員会が各委員会の委員長を指名し、委員長は役員会の会議に出席するため、役員会と一体となって活動するケースがあります。最後のケースの場合は、委員長も生徒会役員とみなされるようです。


会長以外のメンバー:執行機関2


2.副会長 副会長は会長の補佐をし、会長にもしものことがあるときは、会長の代行をします。

3.会計 予算編成の中心になります。予算案の原案作成、計数管理、予算査定を行います。

4.書記 私のいた学校では、「執行機関」で行われる会議の議事録を作成することが役割とされていましたが、それでは仕事が少なすぎます。会長以外のメンバーの権限のバランスをよくするならば、会計が学校全体のお金の管理を担当しているように、書記は学校全体の文書の管理を担当すると考えたほうがよいと思います。具体的には、過去の議事録の管理や、規約改正案の文面作成、「議決機関」に提出する議案書の作成なども、書記の仕事としたほうがよいでしょう。

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執行機関について


「議決機関」で決めたものごとを実行するところを「執行機関」 と言います。

「生徒自治機構」における執行機関のメンバーには、以下のようなものがあげられます。

1.生徒会長 2.副会長 3.書記 4.会計

1.生徒会長 生徒会長は、「執行機関」のトップであると同時に、「生徒自治機構」全体のトップです。全生徒の代表と見なされ、学校で行われる行事のたびに挨拶をしたりします。権威があることはどの学校でも確実ですが、もっている権限は学校によってまちまちです。「執行機関」の方針を決める会議を主導できる場合は、「執行機関」がもっているすべての権限を持っていると考えてよいと思います。

では、「執行機関」の権限とはなんでしょうか? 大きなものは、「予算編成権」です。生徒から徴収した「自治会費」などの配分を決めることで、体育祭や文化祭などの行事の規模から、部・同好会の一年の活動にまで影響をあたえることができます。予算を確定するのは、「生徒総会」などの各学校の最高の「議決機関」ですが、そこに提案する内容をほとんど自由にできます。予算は上限が決まっており、どこかを増やす場合は必ずどこかを減らさなければなりません。このため、時間の関係上「議決機関」に提案された内容を根底から覆すことはむずかしく、多少の修正があっても、大枠は提案通りのものになります。予算の提案は、それ自体が強力な権限なのです。

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議長の権限:議決機関 3


「議決機関」のトップは議長です。

普段の話し合いから考えると、議長は採決に加わらないうえ、自分の意見も言えず、あまり権限がないように思えるかもしれません。実は、議長は絶大な権力を持っています。

議長は議事進行を担当します。議事進行というのは、以下のようなものです。

1.会議の日程や開始時間、終了時間を決める。採決する。

2.議題が複数ある場合、どの順番で議題を取り上げるか決める。

3.発言者を決める。

1の権限では、そもそも会議を始めないことや、始めた直後に採決することもできます。例えば、提案に十分な反対意見がでないうちに会議を打ち切り、反対されにくくすることができます

2の権限では、都合の良い議題を真っ先に扱って、確実に可決されるようにしたり、逆に都合の悪い議題を後回しにして扱う時間を少なくし、「十分な議論を尽くせなかった」ので今回は見送るような空気にして否決されるようにしたりできます。また、そもそも都合の悪い議題を扱わないこともできます。

3の権限では、自分の都合の良い意見を雄弁に述べる人と、都合の悪い意見を自信無さげに話す人を中心に指名して、それぞれの意見の印象を操作することができます。

このように、議事進行によって話し合いの方向性をいかようにもコントロールすることができるのです。特に、1と2の権限はすべての人にとって有限な資源である時間をコントロールできる点で重要です。

国政においても国会のスケジュールは重要で、通常国会の会期末の会期延長はよく問題になります。一般的に、延長すると政府与党が有利になります。話し合う時間が増えれば、そのままでは時間切れになってしまう法案をいくつか可決させることができるからです。逆に、野党にとっては延長されると自分たちが反対する法案が可決する可能性が出てきてしまうので、延長に反対するのです。


議決機関の分担:議決機関 2


「議決機関」で扱う案件について、もう少し考えていきます。

「議決機関」のうち、各学級の代表で構成される「評議員会」は定期的に招集され、扱う案件はそんなに重要なものではありません。 例えば、「執行機関」がその月に行う活動計画がそうです。また、規約改正案や予算案のような、さらに上の「議決機関」で決定する案件の事前審査も、「評議員会」で行います。規約改正案などは、そのメリットやデメリットなどを洗いだしてから「生徒総会」で話し合ったほうが、話し合いの時間も短縮でき、重要なところもすぐわかるので、効率がよいからです。

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