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解散を望まないのなら、不信任決議案提出は危険な挑発行為だ


民進、共産、社民、生活の4野党党首は19日、国会内で会談し、安倍内閣に対する不信任決議案の共同提出を検討していくことで一致した。
不信任案共同提出へ調整=消費増税に反対-4野党党首:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/article?k=2016051900295&g=pol @jijicomより

2016年5月21日現在。野党が安倍内閣に対する不信任決議案の共同提出を検討しているという報道がでています。

■内閣不信任決議案とは

内閣不信任決議案の文面は、以下のようなものになります。

本院は○○内閣を信任せず。
右決議する。
理由
………

憲法69条により、不信任決議案が可決した場合、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り総辞職しなければなりません。

■事実上の解散要求だが可決されることは少ない

過去に内閣不信任決議案が可決されたときは、時の内閣はすべて衆議院の解散で応じています。そのため、事実上の解散要求です。

ただ、通常、内閣は衆議院で多数を占めている与党の支持を受けているため、野党提出の不信任決議案が可決されるということは極めて稀です。

解散総選挙に消極的に見える民進党も、安心して不信任決議案を出せるのかもしれません。国会の会期末に野党の結束を確かめるためにとりあえず出しているといるという慣習もあるのかもしれません。

■首相に解散の大義名分を与えてしまう可能性がある

一方、「安倍首相は衆議院の解散を狙っているでは?」という報道は絶えません。

不信任決議案提出は事実上の解散要求ですので、「不信任決議案を提出されたことを重く受け止め、衆議院を解散し国民に信を問うことにした」と言って解散の大義名分にすることは可能です。野党が不信任と言っているのだから、先回りして解散されても文句は言えません。

また、マニアックな話なのですが、「憲法上、首相は自由に衆議院を解散することはできず、内閣不信任決議案が可決されたときのみ解散できる」とする説が地味に盛り上がっています。最近人気のある憲法学者の間で唱えられています。

その説に立つ場合も、不信任決議案の提出は首相にとって渡りに船です。不信任決議案の採決に際して、与党議員を本会議に出席させず、不信任決議案に賛成する野党議員の方が多くなるように仕向けて無理矢理不信任決議案を可決させることが可能です。不信任決議案が可決してしまえば、首相は憲法69条により堂々と衆議院を解散することができます。

国会会期末の風物詩とも言われる内閣不信任決議案の提出ですが、解散を望まないのなら、今回はよく検討したほうが良いでしょう。だからこそ、報道でも、不信任決議案提出を「決めた」ではなく「検討することを決めた」なのでしょう。

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解散を求めない野党による退陣要求は無責任


2016年5月19日現在。昨日18日、国会で党首討論が行われました。

岡田氏は機先を制して増税延期を主張。延期なら首相は公約に違反し、辞任に値するとの論法で攻め立てた。
消費増税めぐり神経戦=岡田氏「延期なら首相辞任を」-党首討論:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/article?k=2016051800908&g=eco

民進党の岡田代表の「首相は公約違反をしたから辞任せよ」という言葉から見えてくるものがあります。それは、民進党は現時点で政権交代を諦めているということです。

■内閣総辞職では政権交代にならない

総理大臣が辞任すると、国会は新たな総理大臣を指名することになります。ただし、国会の構成は変わらないため、辞任した総理大臣を支えていた与党の国会議員が総理大臣に指名されることになります。

与党が過半数の議席を占めている現在の国会の構成だと、安倍内閣が総辞職したとしても民進党の岡田代表が総理大臣に指名されるには自民・公明の議員に協力してもらわなければなりません。

したがって、自民・公明から民進党への政権交代はまず起きません。

では、国会の構成を変える方法は何かというと、選挙しかありません。参議院議員選挙の時期は憲法の規定もあって固定されていますから、能動的に国会の構成を変える手段は衆議院の解散・総選挙となります。

だからこそ、民主党政権で自民党は解散を求め続け、政権交代前の民主党も自民党政権に解散を求め続けていたのです。

■政権交代を求めない退陣要求は無責任

解散なき退陣要求は、端的に言ってしまえば「いまの首相は気に入らないからやめろ。与党はもっとマシな首相を出してこい」という、与党におんぶに抱っこな態度です。選挙を勝ち抜いて、政権交代を実現し、自分たちで政府を動かすという責任感に欠けています。

ただ、そんなことは岡田さんも承知しているでしょう。それでも、解散を求めないということは、解散されると非常に困る状況なのではないかと思います。多分、党内の調査で選挙に勝てないという結果がでてるか、準備が全くできていないのでしょう。

まぁ、解散できるのはあくまで首相なので、解散要求したからといって野党に都合のいいタイミングで解散してくれるとは限りませんけどね。野党はつらいです。

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