2021年1月24日現在。
通常国会は施政方針演説と代表質問を終え、明日25日から、衆議院で今年度の第三次補正予算案の審議に入ります。報道によれば、三次補正の成立は1月28日になる見込みとのことで、普段とかわらない審議日程になっています。
そして、補正予算成立後が例年と違う動きになりそうです。通例、補正予算成立後に来年度予算案の審議に入りますが、今回は新型コロナウイルスに対応する特別措置法改正案の審議を先にするのではないかといわれています。
政府はこの特措法改正案を先週22日に閣議決定し、国会に提出しました。補正予算成立後の審議に与野党が合意するのならば、29日にまでに審議開始できます。1月19日付の読売新聞朝刊では、与党は改正案の審議を衆議院と参議院で2日ずつ審議し、2月3日に成立させる日程を想定しているという記事が出ていました。
衆参で2日ずつというスケジュール感は、昨年の特措法改正時の同じであり、実績があります。ただ、今回の改正案には行政の方針に従わない人に対する罰則規定が盛り込まれており、その点で与野党に意見の違いがあると報じられています。人権を制限する内容がある法案で、しかも与野党で争いがある場合に衆議院での審議開始から4日間で参議院本会議での可決までいくのは、かなりのハイペースの審議になります。
政府・与党が目指しているスケジュールが普通のものではないことは当人たちもわかっているようで、国会での審議が始まる前から与野党で法案の修正協議を始めています。審議前に与野党で意識の差をうめておき、正式な国会での審議に時間がかからないようにする狙いがあると思われます。
この修正協議の場は、野党にとっては自分たちの主張を与党にのませる絶好のチャンスです。その一方、修正協議での議論は国会外のものであり、国民に開かれたものではありません。国会を迂回した「国会軽視の会議」ともいえます。国会の早期召集を求めて、国会での議論を重視する主張をしていた野党が、積極的に応じていい会議なのかどうかは難しいところです。
ただ、スピードが上がる点と、与野党で合意がとれた修正案が得られるという点はメリットに違いありません。自民党の事前審査制のメリットと同じです。
与党が想定しているスケジュールで特措法改正案が成立し、ただちに来年度予算案の審議を連日実施した場合の衆議院通過までの審議パターンは以下のカレンダーのようになります。