内閣提出法案の成立率の高低は与野党の勝敗を示すか


 2014年1月3日現在。NHK NEWSWEBに、『野党勢力結集 どこまで進むか見通せず』と題する記事が本日付けで出ています。

 記事の趣旨とは関係ないのですが、この記事の中に以下のような言葉があります。

先の臨時国会では、衆参のねじれが解消したことを受けて、政府が新規に提出した法案の成立率が87%に達し、野党側は与党ペースで国会運営が進んだことに危機感を強めています。

 内閣提出法案の成立率が、与党ペースで国会運営が進んだことを示す指標のひとつであると、この記事はみているようです。

 衆議院と参議院の第一党が一致しているのにもかかわらず内閣提出法案の成立率が低いのは、与党の国会運営がうまくいっていないことを示しています。これは間違いありません。

 ただ、内閣提出法案の成立率が高いことが、必ずしも与党一人勝ち、与党が好き放題にやっている国会であることを示すわけではありません。野党の言い分を聞き、与党が納得したら野党の主張を取り入れて法案を修正した上で成立させる。このような丁寧な国会運営の結果、成立率が高いのであれば、与党が野党を圧倒して好き勝手しているとは言えません。

 内閣提出法案の成立率が高ければ与党の勝ち、低ければ野党の勝ち、という見方は必ずしも当てはまらないのです。

 巨大与党が存在する現在、与党を分裂させない限り、野党が数で与党を上回ることはできません。特定秘密保護法の成立経過を見れば分かる通り、与党はどんなに議事妨害をされても内閣支持率を犠牲にすればいくらでも法案を成立させられます。

 そして、衆議院を解散しなければ、国政選挙は2年以上先になります。支持率が国政選挙の結果に影響するのも2年先です。支持率の低下は、与党に「安倍おろし」を誘うくらいが関の山で、国会の勢力図に影響はありません。安倍内閣は困るかもしれませんが、与党は与党のままで、野党はいつまでたっても野党です。

 このような状況で、内閣提出法案の成立率の高低にこだわっても意味がありません。大切なのは審議の中身です。審議の充実こそが、野党の進むべき道です。


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