2012年10月4日現在。臨時国会召集の時期はまだ決まっていません。臨時国会を開かないことには、政府・与党が成立を求めている特例公債法案(来年3月までの予算執行に必要)も、衆議院の選挙制度改革法案(最高裁が「違憲状態」と指摘)も審議すらできません。参議院では与党が過半数を確保していないこともあり、審議に時間がかかることが予想されるので、早急に国会を開く必要があります。
どうして、政府・与党は臨時国会召集に二の足を踏んでいるのでしょうか。新聞では、下手に国会を開くと衆議院解散に追い込まれる可能性があるからだとか、野党が審議に応じる見込みがないから開いてもムダだからだとか書かれています。しかし、これらは臨時国会の開会を遅らせる理由になりません。
まず、衆議院解散に追い込まれるかもしれないという懸念について考えます。衆議院で多数を維持している民主党は、離党者が続出し、過半数を失うまであと十数議席というところまできています。野党が内閣不信任案を提出したとき、民主党議員が12人欠席したら、内閣不信任案は可決されます。そうなったら、解散に追い込まれるではないか、と考える人が懸念しているようです。
しかし、憲法69条によれば、内閣不信任案が可決されたら、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければならないとあり、必ずしも解散する必要はありません。9月に代表選をやったばっかりで内閣総辞職し、首相が交代するのは民主党にとって大きな痛手になるかもしれませんが、選挙に負けて下野するよりマシだと思うなら耐えられないことではありません。あとは、野田首相のメンタル次第です。どこまでいっても、解散は首相の専権事項なのです。
次に、野党が審議に応じる見込みがないから開いてもムダという懸念についてですが、だからといって国会を開かなければ、そもそも審議を行う舞台がないことになります。ひとつ言えることは、臨時国会を召集して野党が審議に応じなかった場合は、与党と野党のどちらがより批判されるかはフィフティーフィフティーですが、臨時国会の召集がない場合は全面的に政府・与党の責任になるということです。
政権がある限り、政権運営をしていかなければなりません。政府・与党はどんなに苦しい状況であっても、知恵を絞って、あきらめずに、うまくやってもらいたいと思います。
また、野党も政権を追い込むことが仕事です。衆議院か参議院のどちらかの4分の1以上の要求があれば、臨時国会の召集を法的に政府に迫ることができます(憲法53条)。この憲法の規定を活用して、さらに強く臨時国会召集を求めてガンガン政府・与党を追いつめてもらいたいと思います。