入管難民法案の16日実質審議入りの目は残った


11月14日に開かれた衆議院法務委員会で、裁判官らの給与法改正案の趣旨説明と与党側の質疑が行われました。16日に野党側の質疑が行われ、採決される見通しです。

これで、16日に外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明に入れる可能性が出てきました。16日に「実質審議入り」と言われる質疑に入れるかどうかがひとつの見所です。


入管難民法案、衆議院で審議入りも来週衆議院通過に黄色信号


本日11月13日に衆議院本会議で衆議院本会議で外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が行われました。これで、入管難民法案が法務委員会に付託されます。

一方、22:00現在の衆議院インターネット審議中継を見る限り、本日開かれた法務委員会では、山下法務大臣の所信に対する質疑のみが行われた模様です。どうもお昼で休憩に入り、その後再開には至らなかったようです。何かもめているのかもしれません。11月10日の読売朝刊で与野党で合意済みとされていた、裁判官らの給与法改正案の提案理由説明は行われなかったようです。

時事通信によると、本日の法務委員会の理事会で、与党は14日に給与法改正案の質疑を行い、16日には給与法改正案の採決と、入管難民法案の提案理由説明と質疑を行うことを提案しているそうです。この提案で、与党は当初予定していた給与法改正案の14日採決と入管難民法案の提案理由説明を諦めています。

ただ、法案の提案理由説明をした日は質疑をしないで委員会を散会するのが慣例なので、給与法改正案と入管難民法案の2つの法案で慣例から外れた提案理由説明と同日に質疑ができるのか不明です。

14日の入管難民法案の提案理由説明ができなくなったことで、16日に入管難民法案の実質審議入りと、来週の衆議院通過に黄色信号が出てきたと言えます。


明日入管法案本会議趣旨説明


明日11月13日に衆議院本会議で外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が行われます。

この趣旨説明と質疑が行われると、入管法案は法務委員会に付託され、法務委員会で審議入りする準備が整います。

衆議院インターネット審議中継によると、13日の9:00から法務委員会が、14:00から本会議がセットされています。

14:00から始まる趣旨説明が終わったあとで、法務委員会を再開し、裁判官らの給与法改正案の提案理由説明を終えることができれば、与党の想定通りのスケジュールになります。

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なぜ入管法案の審議入りを議院運営委員会理事会が決めるか


11月9日の衆議院議院運営委員会理事会で13日に外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が本会議で審議入りすることが決定しました。

理事会とは、委員会の運営を話し合う会議です。委員会でいつ何をどの順番で審議するのか、誰がどの順番で何分質問するのかなどを決めます。

入管法案を審議する委員会は法務委員会ですが、まだ法務委員会の出番ではありません。入管法案を法務委員会で審議するためには法案を委員会に「付託」することが必要ですが、付託の条件が本会議で法案の趣旨説明と質疑をすることになっているため、まだ法務委員会で審議できないのです。

衆議院議院運営委員会は衆議院本会議の議題を決定することが主な仕事です。たとえば、入管法案のように本会議で趣旨説明することが求めらている法案について、いつ趣旨説明を行うかを決定します。

つまり、議院運営委員会はいつ法案を所管する委員会に付託するかを決定できるということでもあります。


なぜ臨時国会の会期末まで1ヶ月弱あるのに入管法案の日程が「綱渡り」なのか


入管難民法改正案について、与党の想定する審議日数が3〜4日で、衆議院の審議入りが13日なのに、どうして衆議院通過が22日になってしまうかについて解説してきました。

参議院もほぼ同じ法案審議のプロセスと慣習になっているので、衆議院と同じ考え方が使えます。

3〜4日の審議の前に本会議趣旨説明と提案理由説明で1日使い、週に2〜3日しか審議ができないと考えると、22日に衆議院通過するとして、参議院での本会議趣旨説明と質疑は最短で翌週の26日月曜日になります。

参議院法務委員会での実質審議入りは26日週のどこかになり、そこでやっと審議日数が1日にカウントされます。

2日目以降の審議は12月3日週に行われることになり、3〜4日の審議となると最短で12月7日金曜日に成立となります。翌週の12月10日月曜日は今国会の会期末ですので、余裕が1日しかありません。ですから、「綱渡り」なのです。

与党は当初11月8日に衆議院で審議入りを野党に提案していたのですが、入管法案の内容に懸念を示す野党に配慮して11月13日に先送りしました。この13日に変えるという譲歩は、それなりにインパクトがあるものだったのです。

13日審議入りは昨日9日に衆議院議院運営委員会理事会で決まりましたが、16日の実質審議入りで野党との調整がつかない場合は、法案成立のための会期延長は不可避です。


なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか?③


最後に、なぜ与党の想定で入管難民法改正案が法務委員会で16日に質疑に入って22日衆議院通過になるかです。

定例日が週に2日として、審議に3日かかるとすると、16日で1日目、19日の週に2日目と3日目となり、19日週の最後の営業日である22日木曜日に本会議で採決し衆議院通過となるというシナリオになります。

審議に4日かけて審議する場合は、与党が交渉して、野党の主張する形式の審議を取り入れるかわりに19日週に3回審議するという感じになるのでしょう。

このように、法案審議のプロセスといくつかの慣習を勘案すると、13日に衆議院で審議入り、16日に実質審議入り、3〜4日審議して22日に衆議院通過というスケジュールになるわけです。

なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ①
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ②
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ③

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なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか?②


次に、入管難民法改正案の実質審議入りの想定が16日になっている件です。

実質審議入りとは、法務委員会で政府と議員の質疑が始まることを言います。13日に本会議の趣旨説明が終わっているので13日中に実質審議入りできそうです。なぜ16日なのでしょうか。

まず、実質審議入り、つまり質疑に入る前に、委員会で政府側から法案の提案理由を説明するというイベントをこなさなければなりません。提案理由説明は、法案の提案理由を大臣が読むというイベントです。提案理由説明を行った日は質疑を行わない慣習になっているため、提案理由説明で1日分委員会を消化しないと質疑に入れません。

本会議での趣旨説明と委員会での提案理由説明は同日にこなすことが可能ですが、「提案理由説明をしないと質疑に入れない」かつ「提案理由説明をした日は質疑に入れない」という慣習から、13日に質疑に入るということはまずありません。

では、なぜ法務委員会で質疑に入るのが14日ではなく16日なのでしょうか。

法務委員会は予算委員会や特別委員会と違い、連日審議することはなく、定例日にのみ審議する慣習になっています。定例日は、週に2日程度設けられます。曜日や回数は固定ではありませんが、だいたい、水曜日と金曜日とか火曜日と金曜日とかになります。

つまり、13日火曜日に提案理由説明をした場合、次の法務委員会の開催は同じ週の16日金曜日になる可能性が高いということです。そして、16日に質疑に入ることでやっと審議した実績が1日積まれるのです。与党の想定では、この質疑を3〜4日やらなければいけません。

続きます。次で最後です。

なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ①
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ②
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ③

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なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか?①


今朝の読売新聞朝刊に、「入管法案 日程綱渡り」という見出しで、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の衆議院での審議入りが来週13日になることの影響について書いていました。

その記事の中で、読売は与党が想定する入管難民法改正案のスケジュールを掲載していました。与党は法務委員会での審議を長くても3〜4日と想定しているという前提で書かれたスケジュールは、13日に衆議院本会議で趣旨説明と質疑、16日に衆議院法務委員会で実質審議入り、22日衆議院通過となっています。

なぜ、3〜4日の審議で、13日に審議入りして22日に衆議院通過なのでしょうか。単純に計算すると、最速で16日に通過でもいい気がします。

その理由はいくつかあります。

まず、13日に審議入りと言っても、それは法務委員会での審議ではありません。法務委員会で審議する前提となる本会議趣旨説明と質疑です。これが終わって初めて、法務委員会で質疑をするための手続きである法案の付託をすることができます。ですから、3〜4日の審議に13日の質疑は入りません。

続きます。

なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ①
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ②
なぜ13日審議入りで3日の審議を想定で22日衆院通過になるのか? ③


なぜ参議院の補正予算審議は5日と7日か


参議院予算委員会で補正予算案の審議が始まりました。

報道によると、与党は本日5日と7日に審議をして、7日に本会議で採決し補正予算を成立させたいと考えているそうです。

予算委員会の審議は連日審議することも可能なので、どうして6日に採決しないのだろうと思うかもしれません。

首相動静をみると、安倍総理は予算委員会のため午前8時ごろから午後17時ごろまで、お昼をのぞいてほぼ国会にいます。

午前7時24分から同8時33分まで、野上浩太郎官房副長官。同44分、官邸発。同45分、国会着。同47分、参院第1委員会室へ。同52分、参院予算委員会開会。  午前11時54分、参院予算委休憩。同55分、同室を出て、同57分、国会発。同58分、官邸着。  午後0時55分、官邸発。同56分、国会着。同58分、参院第1委員会室へ。同1時、参院予算委再開。  午後4時51分、参院予算委散会。同52分、同室を出て、同55分、自民党総裁室へ。

『首相動静(11月5日):時事ドットコム』

総理は6日にマレーシアのマハティール首相と会談する予定になっており、予算委員会に出席することができないため、予算委員会が7日にずれたようです。

安倍晋三首相は6日午後、マレーシアのマハティール首相と東京都内で会談する。

『安倍首相、マハティール氏と6日に会談=「東方政策」強化へ協力:時事ドットコム』

また、参議院の本会議の定例日は月水金です。ですから、明日予算委員会で採決したところで、その日のうちに本会議で採決するには、本会議を開くために野党と別途交渉が必要になります。

結局のところ、7日本会議で採決を目指すのが一番摩擦が少ないので、5日と7日に審議し7日成立という予定を立てているのだと思います。


空気を読まずにお約束を無視する


NHKの番組で、野球の「エース」の語源について解説していました。その番組が紹介している説によると、エースの語源は以下のようなものです。

野球がバッターに打たせて楽しむゲームだった時代に、バッターに打たせないピッチングをして負けなしだったアサヘル・ブレイナードという投手がいました。

それからというもの、良い投手のことをブレイナード投手のニックネームであるエイサがなまってエースと呼ぶようになった、というのがNHKの番組で紹介された説です。

この話を聞いたときに思ったのは、すさまじい業績をあげる人のなかには、「空気を読まない人」がいるということです。

野球がバッターに打たせるゲームだったときに、バッターに打たせないようにするというのは、ある意味で空気を読まない行為です。

空気を読まないで業績をあげた他の例としては、源義経もそうでしょうか。話によると、義経は当時は狙わないことが当たり前だった船の漕ぎ手を射殺することを命じて、戦いを有利に進めたとか。

政治でもそういうことは起こります。平成の例では、長年のライバルだった自民党と社会党が連立を組み、社会党議員を総理大臣に担いだ自社さ連立政権の成立がそうです。

非自民政権内で孤立感を感じていた社会党と、政権奪還の執念に燃えた自民党が組むことで、政権交代から1年たたずに自民党が政権に復帰しました。

このとき、非自民政権の幹部は社会党が自民党と組むことはないと考えていたようです。

長年ほぼ二大政党として対立していた自民党と社会党が連立を組むのは、空気を読まない行為ではありました。

しかし、自民党と社会党が対立しているというのは、ルールによるものではありませんから、ルール違反ではありません。

単なるお約束であったということに思い至らなかったのが、非自民政権幹部の敗因だったのかもしれません。

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