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参議院の法務委員長解任決議案が提出される


■与党が採決を提案、野党は委員長解任決議案で対応

本日12月6日夕方、野党は参議院法務委員会の委員長解任決議案を提出しました。これにより、参議院で審議中の外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の採決は見送られました。

本日の法務委員会は午前中から開会しています。報道によると、昼の理事会で与党から野党に午後に採決する提案が出されましたが、折り合いがつかず結論を持ち越して午後の安倍総理が出席する質疑を行いました。総理出席の質疑が終わったあと、再度開かれた理事会で与党が改めて6日中の採決を提案したところ、野党が法務委員長の解任決議案を出した、という流れのようです。

法務委員長解任決議案が提出されたことにより、解任決議案が参議院本会議で採決されるまで法務委員会の審議を再開することはできません。そのため、与党は6日の入管難民法案採決を見送ったのです。

■7日の法務委員会は委員長の職権で決まる

少し気になったのは、明日の法務委員会の開催が委員長の職権で決まっていることです。解任決議案が提出される前に決めたのか、提出された後に決めたのかどちらなのでしょうか。解任決議案が提出された後に決めた場合は、解任決議案が提出された状態で審議を進めることはできないが、委員長としての権能はあるので委員会の運営を決定できるということになるのでしょう。

ちなみに、明日の参議院法務委員会は10:10から開催の予定になっています。参議院本会議はその10分前の10:00開会です。このスケジュールのとおりにはいかないでしょうが、本会議で速やかに解任決議案を否決して、午前中に法務委員会を開いて入管難民法案を採決するという与党の気持ちが伝わってきます。

午前中に法務委員会で採決したら、午後に再度本会議を再開して、入管難民法案を緊急上程し、採決しようと考えているのだと思います。このタイミングで法務大臣の問責決議案が提出されると、多少採決を遅らせることができます。


入管難民法改正案、明日12月6日に参議院法務委員会で採決か


■6日の法務委員会開催は、総理出席で与野党合意

本日12月5日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の参議院での審議について、明日6日に安倍総理が法務委員会に出席して質疑を行うことで与野党が合意しました。これで、6日の審議まで与野党合意で行われることになります。

明日の法務委員会の理事懇談会で採決の提案がされ、野党が反対し折り合いがつかず、委員会での審議中に質疑終局の動議が出されて採決に向かう流れになるのでしょうか。採決の提案をそもそもしない可能性もあります。

■野党はカードをいつ切るか

野党も審議を遅延するカードを3つは持っています。法務委員長解任決議案、法務大臣問責決議案、そして内閣不信任決議案です。これらのカードを明日や明後日のどのタイミングで切るかが注目です。

野党は明日の衆議院本会議で採決される見込みの水道法改正案にも反対しているので、明日内閣不信任決議案を出すのでしょうか。内閣不信任決議案は、衆議院と参議院の審議を両方止めることができます。ただ、明日内閣不信任決議案を出してしまうと、明日の衆議院本会議で即採決されてしまうので、明後日に行われそうな入管難民法改正案の参議院本会議での採決を遅らせることには使えなくなってしまいます。


入管難民法案の採決に関する提案は5日か


■12月7日に成立を目指すのなら、12月6日に法務委員会で採決が第一候補

本日12月4日、参議院法務委員会で、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の質疑の続きが行われました。明日5日も、法務委員会の定例日ではありませんが、入管難民法改正案について参考人質疑を行うことで与野党が合意しています。

本日の報道を見る限り、与党から野党に対して、入管難民法改正案を採決する日程の提示はなかったようです。報道によると、与党は入管難民法改正案について今週7日の成立を目指しているとのことです。7日の参議院本会議に間に合わせるには、法務委員会の定例日に合わせるならば6日に採決するしかないので、明日法務委員会の理事懇談会などで与党から野党に採決の提案をすると思います。

ちょうど安倍総理が外遊を終え帰国しているので、総理が法務委員会に出席するなどあれば採決の合意が取れそうですが、どうなるのでしょうか。


終盤国会、入管難民法案に野党はどんな抵抗ができるか


■参議院の入管難民法案の審議で気になるところ

明日12月4日に、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の質疑が参議院法務委員会で行われます。明日以降、ぼちぼち採決の日程について、法務委員会の理事懇談会で与党から野党に提案があるのではないかと思います。

採決の提案があった場合、野党は「採決は時期尚早である」という抗議をすると思いますが、国民民主党の対案も同時に審議されているなか、立憲民主党は審議拒否するのかどうか気になります。衆議院での入管難民法改正案の審議では、一回分の質疑に主要な野党が出てきていません。

■審議拒否よりも確実に審議を遅らせる決議案系

とはいえ、審議拒否は、出てこない人たちがいたところで審議を強行してしまうことができるので、あまり意味がありません。

ただ、野党は制度的に審議を止める方法を、いくつか残しています。参議院の法務委員長解任決議案、法務大臣の問責決議案、そして内閣不信任決議案です。

法務委員長解任決議案と法務大臣問責決議案は、参議院に提出し、参議院本会議で採決するものですが、内閣不信任決議案を決議できるのは衆議院だけです(憲法69条)。ですが、内閣不信任決議案が提出されると衆議院本会議で採決されるまで参議院の審議も止まる慣例になっているため、内閣不信任決議案で入管難民法案の成立を遅らせることは可能です。


臨時国会会期末まで10日


■会期末まであと10日

12月2日時点で臨時国会会期末まで、残すところあと10日です。

今国会で注目されている法案のひとつである、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の参議院での審議は、4日と5日まで与野党で合意しています。

時事通信の記事では、現状を評して「衆議院に引き続き与党ペースで審議が進んでいる」と書いていますが、衆議院ではほとんどの審議を法務委員長が職権で決めて実施しているので、参議院のほうがより与党ペースに見えます。

入管難民法案改正案の衆議院法務委員会での審議は全4日(回)で、そのすべてが委員長の職権で開かれています。職権で委員会が開かれるというのは、与野党が委員会運営について合意できなかったということなので、衆議院のほうが与党に厳しかったのではないかと思います。対して、参議院法務委員会は職権で開かれたのは初回の11月29日だけです。