2013年11月24日現在。先週中に成立すると予想していた「生活保護法改正案」と「生活困窮者自立支援法案」は、まだ成立していません。成立どころか、衆議院でまだ審議されていません。審議の前提となる委員会付託すら行われていない状態です。
先週の衆議院厚生労働委員会は、インターネットでの薬販売について定めた「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」を審議していました。てっきり、先々週に「社会保障プログラム法案」を衆議院厚生労働委員会で強行採決したのは、生活保護法と生活困窮者法を審議するためかと思っていましたが、どうも薬事法を早く審議するためだったようです。
スケジュールを考えると、生活保護法と自立支援法の審議を後回しにするのは、合理的な判断です。いまのところ、衆参の厚生労働関係を所管する委員会のスケジュールは以下のようになっています。(薬事2が先週衆議院で審議していた法案。薬事1は先に提出され、すでに成立した薬事法などの改正案。)
定例日1 (11/18週) |
定例日2 (11/18週) |
定例日3 (11/25週) |
定例日4 (11/25週) |
定例日5 (12/2週) |
定例日6 (12/2週) 会期末 |
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衆議院 | 薬事2 (提案理由説明) |
薬事2 | 薬事2 (採決?) |
生活 (提案理由説明?) |
生活 | 生活 (採決?) |
参議院 | 薬事1(可決) 再生医療(可決) |
休み | プログラム | プログラム | プログラム | プログラム (採決or継続審査or審議未了) |
参議院の審議実績を踏まえると、生活保護法と自立支援法は衆議院の定例日4,5,6を使えば成立します。その上、薬事法を参院に送付することができ、今国会中の成立の目が残ります。最悪、参院に送付してから継続審査にすれば、次の国会で参院で可決したあと衆議院で審議する時、「一回可決したんだから」ということで衆議院での可決までの時間を大幅に短縮することができます。
もし、生活保護法と自立支援法を衆議院で先に審議すると、今度は以下のようなスケジュールになります。
定例日1 (11/18週) |
定例日2 (11/18週) |
定例日3 (11/25週) |
定例日4 (11/25週) |
定例日5 (12/2週) |
定例日6 (12/2週) 会期末 |
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衆議院 | 生活 (提案理由説明?) |
生活 | 生活 (採決?) |
薬事2 (提案理由説明?) |
薬事2 | 薬事2 (採決?) |
参議院 | 薬事1(可決) 再生医療(可決) |
休み | プログラム | プログラム | プログラム | プログラム (採決or継続審査or廃案) |
ご覧のとおり、衆議院が薬事法を採決するのは会期末になってやっととなり、よほど強引な国会運営をしなければ、今国会での成立は時間的に不可能になります。
これは、生活保護法と自立支援法で使う3マス分をどこで埋めれば一番効率がいいかを考えるパズルです。公務員試験で、判断推理という論理パズルの問題が必ず課されるのは、法案審議のスケジュールを考える力を養うためかもしれません。
ちなみに、プログラム法案は衆議院で6回の審議実績があります。うち1回は定例日外に参考人質疑を行ったので、単純に定例日のみで考えることはできないかもしれませんが、審議時間が足らないようにみえます。また、薬事法を成立させるためには、薬事法の審議時間もねじ込まないといけません。かなり厳しいスケジュールです。
薬事法とプログラム法案ともに、継続審査になる可能性があります。