昨年の衆議院選挙で誕生した自民党の新人議員は119名にのぼります。この119名の「教育」を巡って、石破幹事長と派閥の間で綱引きが行われています。
■執行部か派閥か
自民党では、議員の教育や支援は派閥が中心となって行ってきました。新聞によれば、現在も各派閥による新人議員の囲い込みが行われています。しかし、石破幹事長は、自身が昨年9月の自民党総裁選で「脱派閥」を掲げて挑んだこともあり、119名全員を執行部主導で教育する構えです。執行部主導で教育することで、新人議員が派閥に所属しなくてもいいようにしようというねらいです。
■石破派?
ただ、石破幹事長の「脱派閥」が本物でも、なかなかそのまま受け取れない可能性もあります。
執行部主導で教育するということは、どういうことでしょうか。自民党執行部のトップは総裁である安倍首相です。とはいえ、安倍首相は内閣総理大臣としての仕事があるため、党の問題は幹事長が中心となって処理することになります。
つまり、石破幹事長が中心となって教育するということになります。となると、もし新人議員の教育がうまくいった場合、119名を擁する石破派が誕生する可能性があります。
石破幹事長は総裁選において、第一回投票で一位になりながらも、決選投票で安倍首相に逆転され、総裁の座を逃しています。いわば、安倍首相最大のライバルであり、安倍政権最大の不安要素です。
その石破幹事長の勢力拡大につながりかねず、派閥の反発を生みかねない新人議員の執行部教育案を、安倍首相はどう受け止めるでしょうか。これにどう対応するかで、安倍首相がどのように与党をコントロールする方針なのかを判断することができそうです。