2019年9月1日現在。
■イギリス議会閉会
イギリスでは、ジョンソン首相が議会を9月9日の週から10月14日まで閉会することを決めました。イギリス議会は、7月26日から夏休みに入っており、明後日9月3日に再開しますが、一週間弱で再び活動を止めることになります。議会の再開は10月14日からになります。
報道によると、ジョンソン首相は10月31日に予定されているイギリスのEU離脱交渉を議会の介入なしで進めるために閉会を決めたということです。議会の議論を封じようとする行為だとして、反発する声が上がっているとも報道されています。
■女王の勅令による議会閉会
この議会の閉会ですが、形式的にはイギリス女王の命令で行われています。イギリスの枢密院という機関が女王の名のもとに「9月9日から14日までの間に議会を閉会する」という枢密院令(枢密院勅令)を出しています。
「女王の勅令で議会が閉会した」と聞くと、いつの時代の話だろうとギョッとするかもしれませんが、実質的には首相の「閉会したほうがいいですよ」という助言を承認しただけなので、閉会それ自体はたいした話ではありません。
逆に、今回のジョンソン首相による議会閉会はあまりに強引な方法なので、女王が首相の助言を承認しないのではないかという懸念(あるいは期待)もありました。結果的に女王は議会閉会を承認したので、その点は問題にはなりませんでした。
■天皇の国事行為
日本も、法律の公布、政令の公布、国会の召集、衆議院の解散は、天皇の名のもとで行われています。これらは憲法で定められた国事行為と呼ばれるもので、内閣の助言と承認により行われます。天皇の名のもとで行われた命令には、すべて内閣総理大臣のサインがされていて、命令の結果に責任を負うのが総理大臣であることがはっきりしています。