今まで扱った生徒自治機構は、議決機関と執行機関が別れている権力分立型の組織でした。では、すべての組織は権力分立型なのでしょうか。もちろん、権力分立型以外の組織も存在します。それが、集中型の組織です。
集中型の組織で一番有名なのは、日本共産党が採用している「民主主義的中央集権制」、いわゆる民主集中制です。民主集中制は、日本共産党だけでなく、共産主義的な組織によく見られる体制です。
さて、日本共産党のトップの役職は何でしょうか?現在では、「委員長」になります。次が、「書記局長」です。他の政党と合わせるならば、党首は委員長で、幹事長が書記局長です。では、この「委員長」とは何委員会の委員長なのでしょうか。それを説明するには、日本共産党の組織をざっとみていく必要があります。
共産党の最高機関は「党大会」です。党大会と次の党大会の間は、党大会で選ばれた中央委員からなる「中央委員会」が党を指導することになっています。さらに、その中央委員会総会と次の中央委員会総会の間は、中央委員会から選ばれた「幹部会」が党を指導します。この幹部会の委員長が、共産党のトップである「委員長」なのです。正式には幹部会委員長と呼ばれます。
ちなみに、共産党のマトリョーシカのような指導構造は幹部会で終点ではありません。最後に、幹部会から選ばれた常任幹部会委員からなる「常任幹部会」が毎週会合を行なって、すべての方針を決めています。その方針は「常任幹部会報告」としてまとめられ、党全体に伝達されていきます。
このような仕組みになっているため、共産党では一般の党員が直接党首を選挙で選ぶことがありません。
また、党大会もすべての党員が参加するわけではありません。支部総会から地区党会議に出席する代議員が選ばれ、その地区党会議から都道府県党会議に出席する代議員が選ばれます。そして、都道府県党会議で選ばれた大会代議員が党大会に出席するのです。
参考文献:筆坂秀世『日本共産党』(新潮新書)