日別アーカイブ: 2012年8月7日

詰んでる自民党


 2012年8月7日現在、自民党は、明日8月8日午前までに野田首相が解散を確約しなければ、内閣不信任決議案と首相の問責決議案を同日午後に提出することを決めたようです。(http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_490749?mod=WSJFeaturesAuto

 早期解散の実現が自民党の当面の勝利条件なのだとしたら、勝利は絶望的です。衆議院の解散は首相の専権事項であり、首相に解散する気がない場合、絶対に解散することはないからです。極端な話、自民党が解散の見返りとしている消費税増税を含む法案の成立が果たされたとしても、野田首相がしらばっくれてしまえば、誰も解散を強制することができない以上、解散はありません。

 また、首相が解散権を自由に行使するのはなかなか難しく(「解散の確約とは」)、仮に首相が解散を確約したとしても、解散できるかどうかわかりません。例えば、野田首相が民主党代表の座を追われ、内閣総辞職したら、新しい首相が誕生します。新しい首相が前の首相の約束を守る義務はありません。すでに、鳩山元首相と野田首相の消費税増税をめぐる対立という点で、直近に前例があります。新しい首相が約束通り解散する可能性はどのくらいあるのでしょうか。

 このように、現行制度から考えて、早期解散を実現するのは至難の業です。制度上早期解散を実現する唯一の方法は、与党議員をひたすら引きぬいて過半数をとり、内閣不信任案を可決することです。内閣不信任案が可決したとしても、総辞職で解散をかわされる可能性はありますが、その場合は数にものを言わせて総理大臣を決める首班指名選挙を勝ち取って、即解散することになります。しかし、これはかなり難しそうです。

 自民党が持っている唯一のカードは、首相が政治生命をかけている消費税増税を含む法案の成立を参議院で左右できることです。しかし、衆議院が解散すると参議院は閉会することになっているため(憲法54条2項)、そのカードを解散カードより先に切らざるを得ないところが、残念なところです。

 自民党がどのような手を打っても、確実に早期解散を強制することはできません。早期解散を目指すという点において、自民党はすでに詰んでいると言えるでしょう。あとは、盤外で何かが起こることや、相手のミスを待つしかないです。