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【2019通常国会】2月28日採決?


■与党、再び2月28日採決を提案

2019年2月27日現在。衆議院の2019年度予算案の審議は、分科会に入りました。昨日26日には採決の前提となる中央公聴会を済ませており、予算案は採決の日を待つばかりとなっています。

昨日あたりから、与党が先週断念したと思われていた明日28日の予算案の採決を再び提案していると報道されています。28日採決だと2月8日の2019年度予算案の実質審議入から14回の予算委員会で採決となり、総理大臣の予算委員会の出席を基本的質疑・締めくくり質疑・集中審議に限定するようになった2000年以降で最速1位タイ記録になります。その他の最速記録は2000年(小渕内閣)と2014年(安倍内閣)です。

昨年の予算審議では、厚生労働省の提出した労働関係のデータに不備があった問題で野党が反発していたところ、ほぼ確実に27日衆議院で採決される観測であったものを二階幹事長が主導して28日に採決を延期するという場面がありました。

今年はどうなるのでしょうか。

ちなみに、最速1位タイである2014年度予算の審議を行った衆議院予算委員会の委員長は二階さんでした。

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【2019通常国会】予算審議第三週終了


■2月中の予算審議予定が出揃う

2019年2月24日現在。現在までの報道によると、今月は4日以降のすべての平日で予算審議が行われることになるようです。25日は集中審議、26日は中央公聴会、27日は分科会、そして28日にまた集中審議となっています。

■採決の引き延ばしのための不信任決議案だが、安易には出せない

あとは、3月1日に予算案の採決が行われるかどうかが焦点になります。3月1日の予算案の衆議院通過を防ぐために、審議を強制的に中断することができる不信任案・解任決議案を立て続けに提出するのではないかという見方もあります。提出する可能性があるものとしては、厚生労働大臣の不信任決議案、予算委員長の解任決議案、内閣不信任決議案などが考えられます。

ただ、不信任決議案や解任決議案は無制限に出せるわけではありません。対象となる相手に対して、ひとつの国会の会期で一度しか出すことができません。例えば、3月1日に根本厚生労働大臣の不信任案を提出して否決された場合、根本大臣が6月26日の今国会の会期末までに交代しなかったら、今国会では二度と根本大臣の不信任決議案を提出することはできないのです。

ですから、野党が根本大臣の不信任決議案の提出を3月1日付近にぶつけてきた場合は、それなりの覚悟をもって不信任決議案を提出したということになります。不信任決議案を連発して3月4日以降に予算案の衆議院通過を遅らせたとしても、3月31日までに参議院で予算案の採決が済めば予算案は年内に成立します。そうなった場合、不信任決議案の提出は完全に無駄になります。

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【2019通常国会】与党、2019年度予算案の2月内衆議院通過を断念


■桜田五輪担当相の遅刻により、予算審議一時中断

2019年2月21日現在。時事通信などによると、与党が2019年度予算案の2月中の衆議院通過を断念したとの報道が出ています。

報道によると、経緯はこうです。本日の衆議院予算委員会で、桜田五輪担当大臣が予定の時間から3分間遅刻しました。この遅刻に野党が反発し、退席したため予算審議が一時中断しました。この中断により、本日予定された質疑の一部を別日に行うことになったうえ、2月28日に集中審議を新たに行うことになったことで、2月中の予算案の採決が難しくなったとのことです。

■これでバランスがとれた?

ここまでの対応を野党がした理由のひとつとして、立憲民主党の逢坂政調会長は「民主党政権時代に衆議院本会議で1分遅刻した大臣がいたため、その日の参議院の委員会審議が流れたことがあった」ということを述べていました。国会が大臣の出席を要求するということは、それほど厳しいものであるというだそうです。だからこそ、菅官房長官も陳謝し、予算審議の日程でも譲歩したわけです。

ただ、いままで審議拒否もなく連日予算審議が続いており、予算審議は完全与党ペースだったことは否めないため、野党としてはどこかで強硬姿勢を示さないと支持者に示しがつかないという部分はあったと思います。また、与党としても28日に採決するということを事前に示して野党の反発を受けたりしていたのは、最終的には「1日譲歩して3月1日衆議院通過になりました。譲歩したけど年度内成立は確実です」という形にして与野党の貸し借りのバランスが取るためではなかったのかと思います。今回の遅刻騒動は格好の素材であったのかもしれません。

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日本人は変化を好まない?


■「日本人は変化を好まない」は本当か

「ほぼ自民党の独裁政治で日本はこれまできている。日本人はあまり変化を好まない。」という趣旨の文章をSNSで見かけました。論理としては正しそうですが、事実に反しているので納得できません。

日本人が変化を好まないというのは本当でしょうか。変化を好まないのならば、なぜ2009年の自民公明連立政権から民主党政権への政権交代は起きたのでしょうか。なぜ、その16年前の1993年の非自民非共産8党派連立政権が誕生したのでしょうか。そして、なぜ2012年に民主党政権から自民公明連立政権に政権交代したのでしょうか。平成の日本政治をみても、日本人が変化を欲して実現した事例が3つはあります。少なくとも平成の日本政治において、日本人が変化を好まないと言い切るのは難しいです。

そして、31年の平成の歴史で自民党が野党だった時期が5年はあるので、自民党の独裁政治が続いているわけではありません。「少しの期間野党だったからなんだ。『ほぼ』自民党の独裁政治だと言っている。現にいま安倍政権が6年以上続いている」という意見はあるかもしれません。しかし、それならば「どうなったら『ほぼ自民党の独裁政治』ではなくなるのか」がわかりません。今度政権交代したとして、それは日本人が変化を選んだ新しい局面なのか、それとも自民党の独裁政治のお休み期間なのかどうやって判断するのでしょうか。日本人は、永久に自民党の独裁政治におびえながら生きていくとでもいうのでしょうか。

もしかしたら、こう言いたかったのかもしれません。「2012年の民主党政権崩壊以来、日本人は変化を好まない。それ以降は安倍政権が続いている」それなら意味は通じますし、事実です。その主張をするときは、当然「民主党政権の崩壊によって、日本人はどうして変化を好まなくなったか」を説明する必要があります。その説明は聞いてみたいです。


【2019通常国会】予算審議第二週終了


■与野党、中央公聴会2月26日開催で合意

2019年2月18日現在。時事通信によると、与野党は衆議院の2019年度予算審議について、2月26日に採決の前提となる中央公聴会を開くことで合意したそうです。

予算審議が最速記録タイであった2014年は、2月25日に中央公聴会が開かれたあと、3日後の28日に予算案が採決されています。今回も2月26日に中央公聴会が開かれたあと、3日後の3月1日に予算案が採決されるとすると、参議院での予算審議が3月末までに終わらなくても憲法の規定により年度内に自然成立することができます。

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【2019通常国会】 2月26日に中央公聴会提案の意味


■与党、2月26日に中央公聴会開催を提案
2019年2月16日現在。2019年度予算審議について、与党が今月26日に衆議院予算委員会で、予算案採決の前提となる中央公聴会を開くことを野党に提案したとの報道が出ています。

予算委員会で必ずこなすイベントは、基本的質疑、一般質疑、集中審議、地方公聴会、中央公聴会、分科会、締めくくり質疑の7つです。中央公聴会が終わると、残りは分科会と締めくくり質疑のみになります。

分科会には2日、締めくくり質疑に1日必要なため、26日に中央公聴会開催となると、27日28日で分科会、3月1日に締めくくり質疑と採決となり、2019年度予算案が3月末に自然成立するための衆議院通過の期限である3月2日までになんとか間に合う計算になります。

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【2019通常国会】予算審議2週目と3週目の前半の予定出揃う


■2月19日の地方公聴会まで決まる

2019年2月13日現在。NHK NEWS WEBで、2019年度予算案の衆議院予算委員会での審議について、与野党が14日、15日に審議を行うことで合意したという記事が出ています。さらに、18日に集中審議を実施することでも合意しています。また、19日に2019年度予算案の採決の要件のひとつである、地方公聴会を実施することが、予算委員会で全会一致で議決しています。これで予算審議2週目と3週目の前半の予定が出揃いました

8日、12日、そして本日13日に行われていた予算審議は、総理大臣とすべての大臣が出席する基本的質疑でした。明日14日と15日に行われる審議は、財務大臣と答弁を要求された大臣のみが出席する「一般質疑」になります。一般質疑では総理大臣の答弁は要求しないことになっています。

■集中審議は18日に実施の方向

私は、14日か15日に総理大臣が出席する集中審議が行われると思っていたので、予想は外れました。「14日以降に予算審議に入ることについて与野党で揉める。→集中審議をセットすることで予算審議を続行できるようになる」という展開と思っていましたが、特に予算審議の続行については問題にならなかったようです。

野党が集中審議の要求を与党にして、与野党の国対委員長で集中審議をやることについて合意してから2週間以上経過してからの集中審議の実施になります。野党の立場が弱いのか、野党が2019年度予算案の年度内成立の成否を人質にする気がないのか……

あるいは、衆議院の予算審議が猛スピードで進み、参議院で年度内の自然成立ぎりぎりまで審議した例もあるので、参議院の審議でいろいろな疑惑の追求をするつもりなのでしょうか。

いまのところ、与党の想定するスケジュール通りに進んでいます。 Screenshot


【2019通常国会】今週中に集中審議が入ると思う理由


■14日以降の予算審議はどうなる?

2019年2月11日現在。今週は衆議院予算委員会で、2019年度予算案の基本的質疑が12日13日と行われるところまで与野党が合意しています。3月2日までに予算案の衆議院通過を果たすためには、14日以降も予算委員会を開かないといけません。国会の審議は与野党合意のうえで進めることが原則になっていますので、与党が審議したいと言うだけでは駄目で、野党の同意が必要です。

■集中審議というカード

14日以降の審議について野党に同意を得るためのカードとして、「集中審議」があります。集中審議では、特定のテーマについて予算委員会で政府に質疑をすることができます。しかも、必ず総理大臣が出席しますし、テレビ中継が入ることもあります。野党にとって見せ場を作ることができる場です。ここでうまく大臣を追い込むと、その映像が何度もニュースで流れたりします。質問した議員は有名になるかもしれません。

すでに自民党の森山国対委員長と立憲民主党の辻元国対委員長は、不正統計の件に絡めた集中審議を実施することで合意しています。これは1月31日に合意しているので、野党を支持者からすれば「1週間もたっているじゃないか、どうなってるんだ」となるかもしれません。

ただ、集中審議は「総理大臣が出席する」というところに価値があります。先週は2018年度2次補正予算案の審議の基本的質疑と締めくくり質疑、そして2019年度予算案の基本的質疑と1週間すべて総理大臣が出席することになっているタイプの審議が続きました。先週に集中審議を入れる必要はなかったのです。

総理大臣が出席する基本的質疑は13日で終わり、集中審議を除けば総理大臣が出席するのは採決直前の締めくくり質疑のときです。14日以降の審議日程を組むために、今週中に一回集中審議が入るのではないかと思います。 Screenshot


【2019通常国会】予算審議第一週終了


■2次補正成立、2019年度予算審議開始

2019年2月10日現在。通常国会で予算審議が始まり、一週間がたちました。この一週間で2018年度2次補正予算が成立し、2019年度予算案が衆議院で実質審議入りしました。実質審議入りとは、予算審議の場合、総理大臣とすべての大臣が出席する「基本的質疑」が始まったということです。

■大西前政策統括官の国会招致が取引材料になったが…

今回の予算審議では、昨年末に明らかになった厚生労働省の不正統計の問題が中心に議論されているようです。2次補正の審議の段階から、野党は厚生労働省の統計の責任者だった大西前政策統括官の国会招致や不正統計をテーマとした集中審議(総理と関係閣僚が出席する審議)を求めていました。2月4日週に2019年度予算案の審議に入れたのは、野党が求める大西前政策統括官の国会招致に、与党が同意したことが決め手であったと報道されています。

ただ、大西前政策統括官の国会招致は、いまのところ野党の見せ場づくりに役立っていないようです。読売新聞と時事通信は、大西前政策統括官に対する立憲民主党の質問が少なかったことを指摘しています。読売新聞は安倍政権に好意的な記事が多い印象があるので「まぁ、そういう記事になるか」と思いましたが、時事通信は安倍政権に厳しい記事が多い印象なので驚きました。大西前政策統括官に対する質問が「数問だった」と指摘しているのも時事通信です。

大西前政策統括官の国会招致が野党の見せ場づくりに役に立っていないとすると、与党はタダで2019年度予算案の審議開始という成果を得られたことになります。2次補正の審議で大西前政策統括官の国会招致に難色を示していたのは、国会招致を2019年度予算案の審議開始と引きかえにする条件として値段を吊り上げるためだったのかもしれません。

更にいうと、野党もそれを織り込み済みで、「政府与党が隠していた大西前政策統括官を引っ張り出しましたよ」というアピールをすることで2019年度予算案の審議開始を支持者に容認してもらおうとしているのかもしれません。

■与党から見ると予算審議は順調

与野党の思惑がどうであれ、予算審議の第一週は与党の想定通りに進んでいます。このまますべての平日を予算審議で埋められたら、2019年度予算案の衆議院予算委員会での審議日数が15日となり、予算案の自然成立が見込める3月2日までの衆議院での採決が可能な審議時間に達します。

これが1日欠けただけで、予算審議が現在の形式になって以降最短タイの14日になってしまうため、予算審議が拙速だった印象を強く与えてしまいます。13日になると最短記録を更新してしまうため、印象は更に悪くなります。

今年は統一地方選挙と参議院議員選挙があるため、与党は印象が悪くならないよう、最短記録を更新するような強行審議、強行採決はしないのではないかと思います。

逆に、15日間審議できた場合は、何が何でも3月1日に採決するため強行採決する可能性はあると思います。 Screenshot


2018年度2次補正予算成立


■2次補正成立

2019年2月7日現在。本日、参議院予算委員会で2018年度2次補正予算案が可決、ただちに参議院本会議に緊急上程され可決、成立しました。国会のインターネット審議中継の動画の時間ベースで計算すると、予算委員会での審議時間は衆参合わせて28時間程度でした。

■2019年度予算審議開始

本日、衆議院予算委員会理事懇談会が開かれ、明日8日から2019年度予算案(本予算、当初予算)の審議を始めることで与野党が合意しました。8日、週が変わって12日、13日までの審議が合意できています。

合意された審議で実施するのが、総理大臣とすべての閣僚が出席する基本的質疑です。基本的質疑は、本予算の場合、例年3日行われています。今年も例年通りの日程ということになります。

さて、憲法60条の規定で予算案の年度内成立が確実になる期限まで、残る平日はあと15日です。現在の予算審議の形式になってから最速で予算案が衆議院を通過した日数が14日ですので、最速にせまる勢いで審議をしなければ予算案の年度内成立は確実になりません。

ここからが本番です。

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