■「日本人は変化を好まない」は本当か
「ほぼ自民党の独裁政治で日本はこれまできている。日本人はあまり変化を好まない。」という趣旨の文章をSNSで見かけました。論理としては正しそうですが、事実に反しているので納得できません。
日本人が変化を好まないというのは本当でしょうか。変化を好まないのならば、なぜ2009年の自民公明連立政権から民主党政権への政権交代は起きたのでしょうか。なぜ、その16年前の1993年の非自民非共産8党派連立政権が誕生したのでしょうか。そして、なぜ2012年に民主党政権から自民公明連立政権に政権交代したのでしょうか。平成の日本政治をみても、日本人が変化を欲して実現した事例が3つはあります。少なくとも平成の日本政治において、日本人が変化を好まないと言い切るのは難しいです。
そして、31年の平成の歴史で自民党が野党だった時期が5年はあるので、自民党の独裁政治が続いているわけではありません。「少しの期間野党だったからなんだ。『ほぼ』自民党の独裁政治だと言っている。現にいま安倍政権が6年以上続いている」という意見はあるかもしれません。しかし、それならば「どうなったら『ほぼ自民党の独裁政治』ではなくなるのか」がわかりません。今度政権交代したとして、それは日本人が変化を選んだ新しい局面なのか、それとも自民党の独裁政治のお休み期間なのかどうやって判断するのでしょうか。日本人は、永久に自民党の独裁政治におびえながら生きていくとでもいうのでしょうか。
もしかしたら、こう言いたかったのかもしれません。「2012年の民主党政権崩壊以来、日本人は変化を好まない。それ以降は安倍政権が続いている」それなら意味は通じますし、事実です。その主張をするときは、当然「民主党政権の崩壊によって、日本人はどうして変化を好まなくなったか」を説明する必要があります。その説明は聞いてみたいです。