日別アーカイブ: 2019年2月11日

【2019通常国会】今週中に集中審議が入ると思う理由


■14日以降の予算審議はどうなる?

2019年2月11日現在。今週は衆議院予算委員会で、2019年度予算案の基本的質疑が12日13日と行われるところまで与野党が合意しています。3月2日までに予算案の衆議院通過を果たすためには、14日以降も予算委員会を開かないといけません。国会の審議は与野党合意のうえで進めることが原則になっていますので、与党が審議したいと言うだけでは駄目で、野党の同意が必要です。

■集中審議というカード

14日以降の審議について野党に同意を得るためのカードとして、「集中審議」があります。集中審議では、特定のテーマについて予算委員会で政府に質疑をすることができます。しかも、必ず総理大臣が出席しますし、テレビ中継が入ることもあります。野党にとって見せ場を作ることができる場です。ここでうまく大臣を追い込むと、その映像が何度もニュースで流れたりします。質問した議員は有名になるかもしれません。

すでに自民党の森山国対委員長と立憲民主党の辻元国対委員長は、不正統計の件に絡めた集中審議を実施することで合意しています。これは1月31日に合意しているので、野党を支持者からすれば「1週間もたっているじゃないか、どうなってるんだ」となるかもしれません。

ただ、集中審議は「総理大臣が出席する」というところに価値があります。先週は2018年度2次補正予算案の審議の基本的質疑と締めくくり質疑、そして2019年度予算案の基本的質疑と1週間すべて総理大臣が出席することになっているタイプの審議が続きました。先週に集中審議を入れる必要はなかったのです。

総理大臣が出席する基本的質疑は13日で終わり、集中審議を除けば総理大臣が出席するのは採決直前の締めくくり質疑のときです。14日以降の審議日程を組むために、今週中に一回集中審議が入るのではないかと思います。 Screenshot


【2019通常国会】予算審議第一週終了


■2次補正成立、2019年度予算審議開始

2019年2月10日現在。通常国会で予算審議が始まり、一週間がたちました。この一週間で2018年度2次補正予算が成立し、2019年度予算案が衆議院で実質審議入りしました。実質審議入りとは、予算審議の場合、総理大臣とすべての大臣が出席する「基本的質疑」が始まったということです。

■大西前政策統括官の国会招致が取引材料になったが…

今回の予算審議では、昨年末に明らかになった厚生労働省の不正統計の問題が中心に議論されているようです。2次補正の審議の段階から、野党は厚生労働省の統計の責任者だった大西前政策統括官の国会招致や不正統計をテーマとした集中審議(総理と関係閣僚が出席する審議)を求めていました。2月4日週に2019年度予算案の審議に入れたのは、野党が求める大西前政策統括官の国会招致に、与党が同意したことが決め手であったと報道されています。

ただ、大西前政策統括官の国会招致は、いまのところ野党の見せ場づくりに役立っていないようです。読売新聞と時事通信は、大西前政策統括官に対する立憲民主党の質問が少なかったことを指摘しています。読売新聞は安倍政権に好意的な記事が多い印象があるので「まぁ、そういう記事になるか」と思いましたが、時事通信は安倍政権に厳しい記事が多い印象なので驚きました。大西前政策統括官に対する質問が「数問だった」と指摘しているのも時事通信です。

大西前政策統括官の国会招致が野党の見せ場づくりに役に立っていないとすると、与党はタダで2019年度予算案の審議開始という成果を得られたことになります。2次補正の審議で大西前政策統括官の国会招致に難色を示していたのは、国会招致を2019年度予算案の審議開始と引きかえにする条件として値段を吊り上げるためだったのかもしれません。

更にいうと、野党もそれを織り込み済みで、「政府与党が隠していた大西前政策統括官を引っ張り出しましたよ」というアピールをすることで2019年度予算案の審議開始を支持者に容認してもらおうとしているのかもしれません。

■与党から見ると予算審議は順調

与野党の思惑がどうであれ、予算審議の第一週は与党の想定通りに進んでいます。このまますべての平日を予算審議で埋められたら、2019年度予算案の衆議院予算委員会での審議日数が15日となり、予算案の自然成立が見込める3月2日までの衆議院での採決が可能な審議時間に達します。

これが1日欠けただけで、予算審議が現在の形式になって以降最短タイの14日になってしまうため、予算審議が拙速だった印象を強く与えてしまいます。13日になると最短記録を更新してしまうため、印象は更に悪くなります。

今年は統一地方選挙と参議院議員選挙があるため、与党は印象が悪くならないよう、最短記録を更新するような強行審議、強行採決はしないのではないかと思います。

逆に、15日間審議できた場合は、何が何でも3月1日に採決するため強行採決する可能性はあると思います。 Screenshot