2013年度予算の採決時期はいつか?


■4月第1週終了

 4月に入って、第1週が終了しました。2013年度に入りましたが、2013年度予算は未だ成立していません。

 ここで審議状況を確認します。()内の数字は2012年度予算の衆議院予算委員会の審議実績です。また、カレンダーの*印は予定分です。

  • 基本的質疑:4日(4日)
  • 一般的質疑:3日(6日)(2013年4月11日訂正)
  • 集中審議:3日(5日)*4月8日に4日目実施合意済(2013年4月11日訂正)
  • 地方公聴会:1日(1日)
  • 参考人質疑:0日(1日)
  • 公聴会:0日(1日)*4月11日に実施決定済
  • 分科会審査:0日(1日)
  • 締めくくり質疑,討論,採決:0日(1日)

!!2013年4月11日追記:4月5日の一般的質疑を集中審議と間違えていました。訂正いたします。!!

2013年 4月
1
一般的質疑2
2
集中審議3
3
地方公聴会
4 5
一般的質疑3
6

7 8
集中審議4*
9 10 11
中央公聴会*

12 13

14 15 16

17

18
G20
19
G20
暫定予算期間内成立最終ライン
20

21 22

23

24 25 26 27

28 29 30

 昨年の審議実績を基準に考えると、あと9日程度審議する必要があります。

■3つのシナリオ

 先月末に成立した暫定予算の期間は4月1日から5月20日までです。5月20日までに2013年度予算が成立していないと、政府・与党の見積もりが甘かったことになります。そして、確実に5月20日までに成立させるには、4月19日には予算案を衆議院で可決し、参議院に送付しなければなりません。

 しかし、4月18日~19日はワシントンで開かれるG20に麻生財務大臣が出席するため予算委員会は開けません。このため5月20日までに予算を成立させるには、4月17日には採決しなければならないのです。

 4月17日まで、平日は残り8日。昨年の審議時間より1日少なくなります。民主党は今国会において、2012年度補正予算審議や日本銀行正副総裁人事の同意審議などで、最大限の審議時間確保を求め、勝ち取ってきました。民主党の対応により、2013年度予算の採決時期について、3つのシナリオが想定できます。

    シナリオ1:与党が5月20日までの成立確定を断念し、4月22日以降採決
    シナリオ2:野党が審議時間の確保を断念し、4月17日採決
    シナリオ3:与野党が相互に譲歩し、土日に審議して4月17日までに採決

 どのシナリオになるか、新聞の政治欄などを注目して見ていきたいです。


厚労委の30分・3


 「厚労委の30分」は、2013年3月19日の衆議院厚生労働委員会の審議が30分中断したことについて分析する連載です。「厚労委の30分・1」では、討論が終了したら、すぐ採決になるという委員会審査のルールがあることを確認しました。「厚労委の30分・2」では、民主党の党内手続きが遅れたことについて考えました。

■困る委員長

 2013年3月19日、衆議院厚生労働委員会。与党理事は、

「審議を中断するのなら、委員長から『民主党の党内手続きを待つために中断する』と中断理由を説明してほしい」

と要求します。この要求に対し、厚生労働委員長は

「これから速記を止めるので、理事から委員に説明してほしい」

と返します。しかし、与党理事は

「委員会なのだから、委員長がしかるべき説明をすべきだ」

と譲りません。

 困った委員長は、委員長席の左側のスペースに控えていた人物に話しかけます。

「こういう場合に、委員長が中断理由を説明するパターンはあるのか」

■国会職員という人々

 委員長が話しかけていたのは、議員ではなく衆議院事務局の職員だと思われます。いわゆる国会職員です。国会職員は、国会審議が円滑に行われるよう働いています。警備をしている衛視も国会職員ですし、本会議場で議長の隣に座っている事務総長も国会職員です。

 国会職員の中には、国会法、議院規則、先例集のエキスパートがいます。国会審議が儀式だとすれば、式次第のエキスパートです。いつも同じように審議が行われればいいのですが、時にイレギュラーな事態がおこります。今回の厚労委で起こったことがそうです。そのようなとき、法律、規則、そして先例からどのように事態に対応するかアドバイスすることも、国会職員の職務のうちに入ります。すべては、国会が国権の最高機関としての機能を全うするためです。

■黒子

 国会職員は委員長に何事かを説明します。説明を受けた委員長は、与党理事に「『民主党の党内手続きを待つため』と説明する」と言い、理事全員を席に返しました。

 そのまま議事進行しようとした委員長ですが、あまりにイレギュラーな事態だからかほんの一瞬言葉に迷います。そこですかさず、先ほどの職員が小声で委員長に促します。適当な表現ではないかもしれませんが、まるで黒子のようです。

「(この際ご報告いたします。)」

「この際ご報告いたします。予防接種法の一部を改正する法律案について、民主党の党内手続きの終了を待つため、しばらく皆さまには、このままお待ちいただくことになります。」

マイクが微かに、「え〜」という声を拾っていますが、委員長は続けます。

「よろしくお願いいたします。…速記を止めてください。」

 かくして、ここから30分程度委員会は中断。みんなで待つことになったのです。


2013年度予算審議日程はかなり窮屈


■麻生財務大臣、ワシントンへ

 2013年4月2日現在。今朝の読売新聞朝刊、「今年度予算案2週間ぶり審議」という見出しの記事に、興味深いことが書かれていました。以下に引用します。

麻生財務相が今月18日からのワシントンでの主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、与党は17日までの衆院通過を目指す方針だ。

 どうして、与党は17日までの衆院通過を目指す方針なのでしょうか?

 まず、3月末に成立した暫定予算の期間は4月1日から50日間なので、その期間内に2013年度予算を成立させるには、4月19日までに衆議院を通過させる必要があります。つぎに、財務大臣が国会に出席できない場合、予算委員会は開けませんが、麻生財務大臣は4月18日から日本にいません。これらの条件から導き出される日付が、4月17日なのです。

■4月17日に通過できるか?

 昨年と同じだけの予算審議時間を確保するには、4月から13日分の審議時間が必要です。すでに昨日1日と本日2日に審議しているので、残り11日になります。カレンダーを見てみましょう。

2013年 4月
1
2
3 4 5 6

7 8 9 10 11

12 13

14 15 16

17

18
G20
19
G20
暫定予算期間内成立最終ライン
20

21 22

23

24 25 26 27

28 29 30

 4月19日まで、平日は13日しかありません。G20により、18,19日に予算委員会は開けません。平日は残り11日です。これで、昨年並みの審議時間確保に必要な日数と並びました。すなわち、残りの平日全てで予算委員会を開かないと、4月19日までに昨年並みの審議日程を確保できないことになります。かなり窮屈な日程だと言えるでしょう。


厚労委の30分・2


■納得いかない与党理事

 「厚労委の30分」は、2013年3月19日の衆議院厚生労働委員会の審議が30分中断したことについて分析する連載です。前回は、討論が終了したら、すぐ採決になるという委員会審査のルールがあることを確認しました。

 討論が終了し、さぁ採決!…となったところで、厚生労働委員長は理事を集めました。委員長は、「民主党の手続きが終わるまで討論の終局を宣言せずに待つことになる」と理事に説明します。

 納得いかないのが与党理事です。「他の党はすべて手続きを終えて委員会に臨んでいる。民主党だけが党内手続きを終えていないために審議を中断するというのはおかしい」というわけです。そして、委員長に「民主党の手続きを待つために中断すると宣言してほしい」と要求します。

■党内手続きが終わってない!

 ここで言う「党内手続き」とは、党として法案の賛否を決める手続きのことです。現在、民主党は「次の内閣」という機関で法案の賛否を決めているようです。この「次の内閣」で法案を了承する手続きが終わっていないために、討論のあと、ただちに採決することができませんでした。

 与党理事の不満は、「採決する予定の委員会に臨む前に、法案への態度を決める党内手続きを終えるのが当然だ。党内手続きが終わっていないというのは、民主党の怠慢か、さもなくば意図的な議事妨害だ」という点にあります。この見方は妥当でしょうか。

■民主党の言い分

 民主党にも言い分はあります。『「巨大与党の傲慢、信義にもとる行為」 自民党の発言に?木国対委員長が抗議』という表題の民主党公式サイトの記事で以下のように弁明しています。

 会見には衆院厚生労働委員会筆頭理事の山井和則議員も同席、本来水、金曜日が定例日である同委員会の審議に関して、与党側からの「予防接種法の一部を改正する法律案(予防接種改正法案)をどうしても19日に採決してほしい」という強い要請があっため、これに応え予備日である火曜日の法案審議を行ったものであり、採決前には当然党内手続きが必要であったと経緯を説明。通常1日に採決する法案は1本であるところ、予防接種法改正案のみならず「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための試作の総合的な推進に関する法律案」(再生医療推進法案)とあわせて2本採決したとも述べ、「筆頭間協議、理事会で全政党合意のもと、法案の採決は元々5時過ぎとの段取りになっていた。急に止めたわけではない」「理事会合意したことに対し野党を批判するのは感覚がおかしい。正常な委員会運営はできないのではないかと思う」と与党の姿勢を批判した。

 つまり、「今回の問題は、与党の要求に応じて迅速な審議に協力したために、民主党の党内手続きが間に合わなくなってしまって起きた事態である。審議に協力したことに関し、与党から感謝されこそすれ、非難される筋合いはない」というように思っているというわけです。

■「日切れ法案」の審議はタイトだが…

 民主党の言い分には一理あります。この予防接種改正法案は、「日切れ法案」です。「日切れ法案」として扱われる法案は、年度末、3月末日までに処理しなければならないので、審議日程は非常にタイトになります。衆参で100を超える議席を持つ政党が自民党と民主党以外にないなかで、「他の党が手続きを終えたのに、民主党が終えていないのは怠慢だ!」と、単純に言うわけにはいかないと思います。

 とはいえ、問題がまったくないわけではありません。「日切れ法案」として扱われるためには、与野党で合意している必要があります。逆に言えば、与野党で年度末までに処理しようと決めたからこそ、「日切れ法案」として扱われているのです。すなわち、「日切れ法案」として3月下旬に審議されているからには、それまでに党内手続きを完了させることを承知していてしかるべきであったと言えるかもしれません。

 ましてや、委員会採決の段階では民主党を含めた全会一致で「原案の通り可決すべし」としているわけで、党内手続きの何に手間取っていたのだろうかと不思議に思います。そして、手間取るのなら、採決事態を先延ばしするよう理事会で要求すべきだったと思われても仕方がないところであります。

■「話し合い」の困難さ

 しかし、話し合いはロジックと規則だけで決まるわけではありません。厚生労働委員会の委員名簿を見ると、委員会の審議日程などを決める理事8名のうち野党理事は民主党と日本維新の会の代議士の2人のみです。民主党の山井代議士は野党筆頭理事ですが、野党は2人しかいないのです。しかも、同じ野党と言っても、維新の会は野党第一党の座を民主党から奪おうと虎視眈々と機会を伺っている政党で、決して味方ではありません。

 このような状況で、民主党の立場を堂々と主張して、委員会の審議日程を左右することができるでしょうか?私は、なかなか難しいのではないかと思います。

 確かに、衆議院予算委員会は同程度の理事の比率(9人中2人)であるなかで、野党筆頭理事の長妻代議士は自らの意思をガンガン通しています。そのためかどうかはわかりませんが、同委員会の与党筆頭理事は馳代議士から遠藤代議士に交代してます。しかし、大臣を務めた今までの活躍を考えると、長妻代議士は特別と考えるべきでしょう。他の人が長妻さんのようにできるかと言うと、そうではないと思うのです。

 「理事会の決定は全会一致で決まるから、自分が反対すれば決まらない。自分は死んでも反対するんだ。」というのは、言うのは簡単ですが、やるのは難しいです。時の政治的な難題を、気力と体力と弁舌だけで乗り切った、徳川慶喜のような例(四侯会議)は、本当に稀有な例ではないでしょうか。そこに、政治において意外な状況が起こってしまう要因があるのではないかと思います。


2013年度予算の日程消化状況


■暫定予算成立

 2013年3月30日現在。28日に衆議院を通過した2013年度暫定予算案は、昨日29日に参議院で審議され可決・成立しました。

■2013年度予算の日程消化状況

 昨日で、2012年度の国会審議も終わりです。肝心の2013年度予算案の進捗状況はどうなっているのでしょうか。

 2012年度予算を審議する衆議院予算委員会の日程は以下のとおりでした。

  • 基本的質疑:4日(首相出席)
  • 一般的質疑:6日
  • 集中審議:5日(首相出席)
  • 地方公聴会:1日
  • 参考人質疑:1日
  • 公聴会:1日
  • 分科会審査:1日
  • 締めくくり質疑,討論,採決:1日(首相出席)

 2013年度予算は、基本的質疑4日、一般的質疑1日、集中審議2日の日程をそれぞれ消化しています。昨年度の審議日程と同じ日数審議すると仮定すると、残り、13日となります。すでに、3月26日の衆議院予算委員会理事懇談会で4月1日に一般的質疑、4月2日と5日に集中審議、4月3日に地方公聴会を行うことで合意していますので、4月の第1週で4日分の日程を消化することになります。これで残り9日です。

 このたび成立した暫定予算は、4月1日から5月20日までの50日間を対象としています。暫定予算の期間内に2013年度予算を成立させるためには、4月19日には衆議院で採決しなければなりません。そうすれば、参議院での審議がどれだけかかったとしても、30日を超えれば成立する(*1)ので、5月20日に間に合います。

 このため、4月8日〜4月12日と4月15日〜4月19日の10日間で9日分の審議をおこなわなければならないことになります。昨年の審議日数と同じだけ審議するとしたら、ギリギリです。予算委員会の野党の筆頭理事(*2)である長妻昭代議士(民主党)はかなりの強硬派のようなので、昨年より少ない日数になることはないでしょう。

*1…憲法60条2項

予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

*2…委員会の進行などを協議する理事のなかで、与野党で1人ずつ専任される。与野党協議で中心的な役割を担っている。


厚労委の30分・1


■3月19日、厚生労働委員会

 2013年3月19日、衆議院厚生労働委員会で審議が30分程度中断しました。読売新聞は次のように報じています。

19日の衆院厚生労働委員会で行われた法案採決の直前、民主党が「『次の内閣』で了承手続きが終わっていない」と主張し、30分間近く審議が中断した。

 同委では午後4時40分ごろまで、子ども向けワクチンの定期接種化などを盛り込んだ予防接種法改正案に関する討論が行われ、その後採決する段取りとなっていた。

読売:「法案採決の直前、民主「党内手続きまだ」…中断」より抜粋)

 いったい、何が起こったのでしょうか?

■動画で確認

 衆議院インターネット審議中継で、当日の厚生労働委員会の状況を確認してみました。

 動画の時間で言うと、6:57:10くらいからです。自民党の大久保三代代議士が賛成の討論を終えた直後、厚生労働委員長は理事を集めました。そこで、委員長は「討論はもう終わりになってしまう。この際、あえて討論の終局を宣言せず、速記を止めて民主党の手続きが終わるのを待つことにしたい」という内容の話をしています。

 どういうことでしょうか。

■委員会の手順

 委員会の審査は、法案の提案理由説明→質疑→討論→採決という流れで行います。討論といっても、議員間で意見のやり取りがあるわけではありません。議案に対し、賛成、あるいは反対の立場から自分の意見を述べることを討論と言います。

 今回の予防接種法改正案の場合、討論を申し出たのは自民党の大久保代議士のみでした。普通なら、大久保代議士の討論が終わったら、委員長が「以上で討論は終局いたしました。これより、採決に入ります。」と宣言し、採決することになります。

■討論が終わったら、すぐ採決しなければならない?

 冒頭の記事にもあるように、30分ほど委員会は中断しています。その間も動画は流れていて、委員長や厚生労働大臣がずーっと席に座って待っているのが確認できます。一旦休憩して、民主党の準備ができてから委員会を再開すれば良い気もしますが、おそらくできないのか、かなりめんどくさい手続きになるのでしょう。

 ここから、次のようなルールがあるのではないかと推測出来ます。

    ・討論が終局したら、直ちに採決しなければならない。
    ・いつでも休憩にできるわけではない。

 イレギュラーなことが起こると、ルールが見えてくるような気がします。他にも興味深い点があるので、また書きます。


日切れ法案の審議


■法案審議始まる

 2013年3月22日現在。先週、2013年3月14日から本日まで、内閣が今国会に提出している35法案(うち2法案は成立済)のうち、12法案の審議が行われました。また、本日は衆議院本会議で国民ひとりひとりに番号を割りふる「共通番号制度」の導入に必要な法案の趣旨説明がされており、法案審議が続々と始まっています。

 以下に3月21日までの衆議院の審議スケジュールを示します。

3/14
●総務委員会
提案理由説明
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

3/15
●外務委員会
提案理由説明
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明

所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
提案理由説明
予防接種法の一部を改正する法律案

3/19
●総務委員会
質疑
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●法務委員会
提案理由説明
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明
所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
採決
予防接種法の一部を改正する法律案
提案理由説明
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
提案理由説明
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●環境委員会
提案理由説明
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

3/21
●総務委員会
採決
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
採決
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
提案理由説明
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案

■どれが「日切れ法案」なのか

 だーっと並べていて感じたのですが、お金に関する法案が多いですね。さて、このうち、どれが年度末に与野党が協力して処理する「日切れ法案」なのでしょうか。2013年3月20日付の日経朝刊には、「22日の衆議院本会議で「日切れ法案」を採決する」とありました。この記事に従うならば、以下の法案が「日切れ法案」ということになります。

    予防接種法の一部を改正する法律案

    水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案
    地方税法の一部を改正する法律案
    地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
    所得税法等の一部を改正する法律案
    関税定率法等の一部を改正する法律案

 これらの法案は審議開始から3回程度で委員会審査が終わっており、かなりのスピードで審議が進んでいます。本日採決した法案は参議院で審議し、可決しなければ成立しません。今月末には暫定予算の審議もしなければならないので、参議院は3〜4日でこれらの法案を審議しなければならないことになります。

 参議院でも忙しい審議が続きそうです。


民主党と参議院


■民主党の現状

 民主党の現状をどう評価すればよいでしょうか。

 2012年度補正予算は衆参両院で可決され、日本銀行の正副総裁人事も政府案通り同意されました。自民公明両党が過半数を持っていない参議院ですら、民主党は思うように存在感を出せていないように見えます。

 かといって、まるっきり存在感がないわけではありません。補正予算の審議も、日銀人事の審議も、その間にあった公正取引委員会の委員長人事も、政府の思惑通りの審議日程ではありませんでした。これらは、民主党が審議日程の引き伸ばしを望んだために採決にいたるまでの時間が伸びました。国会の場で民主党が力を失っていないことがわかります。

■「ねじれ」を作り出せない

 それでも、安倍政権を参議院選挙で退陣に追い込んでから、2009年に民主党政権ができるまでの参議院の民主党の影響力には程遠いです。

 なぜ、民主党は審議日程を多少引き伸ばすくらいのことしかできなくなってしまったのでしょうか。

 その理由は、安倍内閣を支持する声や、民主党に対する厳しい世論に配慮していることもあると思いますが、なにより、野党を反自公で糾合できないからです。民主党は参議院の会派のなかで、最も多い議席を保持していますが、過半数には届きません。他の野党と協力して自公と対決しなければ、「ねじれ」状態を作り出せないのです。

■いままでが強すぎた?

 前回改選の2010年7月からの3年間の野党が強すぎたのかもしれません。前回の改選からこのかた、参議院で過半数を失った民主党政権の国会に対する影響力は予算以外ない状態でした。今の自公のように、衆議院での再可決も使えない議席数だからしょうないです。

 それでも成立した法案はあったので、今となっては少し不思議な気もします。仮説としては、「参議院での野党の譲歩によって法案が成立した」というものが考えられます。

■今後どうなるか

 2013年度予算案は、参議院で否決されても衆議院の議決だけで成立します。安倍政権に危機感を持つ民主党とすれば、それ以外のところで与党の動きを食い止めなければなりません。それ以外とは、主に法案になるでしょう。


予算委員会以外もスタート


■日銀人事、政府案通り承認

 2013年3月15日現在。昨日14日、衆議院本会議で政府が提示した日本銀行の正副総裁人事が賛成多数で同意されました。本日、参議院本会議でも同意され、日銀の正副総裁は政府案通り承認されました。

 大型の2012年度補正予算に続いて、安倍首相が重視している案件が、首相の意思どおり国会のお墨付きを得ました。あとは、2013年度予算です。

■予算委員会以外も始動

 予算委員会はもちろん開会されていますが、その他の委員会も動き始めたようです。

 2013年3月13日、衆議院では以下の常任委員会が開会されました。

  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会
  • 予算委員会

 同じく、14日。

  • 総務委員会
  • 予算委員会
  • 議院運営委員会

 同じく、15日。

  • 環境委員会
  • 安全保障委員会
  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会

 このうち、予算委員会と議院運営委員会以外の委員会では、それぞれの所管大臣の所信聴取が行われました。所管大臣の所信聴取は、委員会審査の初めの一歩です。所信聴取とそれに対する質疑を行なってから、内閣が提出する法案の審議が始まります。

 これで、衆議院で17ある常任委員会のうち、主に法案審査を行う12の委員会(国家基本政策委員会、予算委員会、決算行政監視委委員会、議院運営委員会、懲罰委員会以外の委員会)すべてで、所管大臣の所信聴取がされました。所信聴取に対する質疑は、また後日、各委員会で行われます。総務委員会、環境委員会、安全保障委員会以外の委員会については、本日中に質疑が行われているかもしれません。

参考文献:
清野正哉『国会とは何か』(中央経済社)


政治のルールを知りたい


■サッカーのルールがわからない

 私はサッカーをあまりみません。それだからか、FWやDFのようなポジションの役割も、ツートップなどといわれるフォーメーションのメリットデメリットもわかりません。ルールもいまいちです。

 まして、どのチームが強いとか、どの選手がどういう能力を持っているから凄いなどということも判断できません。このチームとこのチームの対戦なら、こういう流れになって、結果こちらのチームが勝つだろう、なんて予測することなど夢のまた夢です。

■楽しむためのポイントを抑える

 サッカーにかぎらず、スポーツについて楽しそうに話している人たちを見ると、羨ましくなります。どうやって、楽しむための知識を抑えていったのかと、不思議に思います。学校では習わなかったはずですから、自分で勉強したのでしょう。

 私が政治の、特に国会の動きを中心に見ているのは、政治を楽しむために抑えるべきポイントを明らかにするためです。そして、サッカー好きの人がサッカーについて語るように、政治について語りたいのです。