参議院先例録がWEBで公開される


 仕事で大切にされる先例。お役所では、特に先例を尊重すると言われています。国会も、先例を大事にします。国会運営がぶれないようにして、国会への信頼を保つためです。ときには、与党や野党が国会運営を自分たちの有利な方向に持っていくために、先例が使われたりもします。

 2014年10月12日現在。今朝の読売新聞朝刊に、参議院先例録が参議院のホームページで公開されたことを報じる記事の掲載がありました。

 早速確認してみると、トップページの右側にある関係法規等から先例録のリンクがあるページに飛べます。

 参議院のホームページは衆議院に比べて充実している印象があります。ただ、衆議院も、「法律案等審査経過概要」という法案が審議された日やその日の審議内容をまとめたページの公開を今年から始めています。

 公開されても困らない情報なのですから、ガンガン公開してほしいですね。


第187回臨時国会召集


2014年9月29日現在。本日、第187回国会(臨時会)が召集されました。会期は、11月30日までの63日間です。
第二次安倍内閣改造後、初めての国会です。新しい大臣の答弁や、新しい委員長の国会運営がどうなるか注目です。

明日から衆議院では首相の所信表明演説に対する代表質問が始まります。先例では、国会開会日に所信表明演説があり、1日あけて代表質問という流れですが、去年の臨時国会も1日あけないでやっています。
与党の要請によるもので、野党は難色をしめしていましたが、押し切られたようです。

今国会も与党ペースで進みそうです。

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人材不足か、政権基盤固めか、それともなんだろう?


 2014年9月3日現在。大安の今日、第二次安倍改造内閣が発足しました。月内にも臨時国会が召集されるとの観測もあり、今年の国政の後半戦がいよいよ始まろうとしています。

 昨日の報道の通り、谷垣法務大臣は自民党幹事長に就任しました。総裁経験者では初のことだそうです。それもそのはず、自民党の歴史の中で総裁になった議員は1,2の例外を除いて総理大臣になっていて、一度総理大臣になったらその議員は「上がり」となって大きなポストにはつかなかったからです。

 ただ、宮澤元総理や橋本元総理が、総理・総裁を降りたあとに入閣してから、そうとも限らなくなってきました。いまも麻生元総理が、副総理・財務・金融大臣として閣内にいます。

 とはいえ、いずれも閣僚での起用であり、自民党内の話ではありません。やはり、初めての事態だといえます。

 ちなみに、総務会長に就任した二階衆議院予算委員長もベテランです。党三役のうち、2人をベテランにしたわけです。安倍総理が政権基盤を固めるために行ったとみるか、自民党の人材不足とみるかで評価は変わってきそうです。

 ただ、ベテランをつかったからといって、必ずしも人材不足とは限りません。他にも党三役が務まりそうな人がいたけれども、単に起用しなかっただけかもしれないからです。

 留任した岸田外務大臣なども、党三役候補に上がっていたのではないでしょうか。岸田さんは自民の名門派閥宏池会の会長であり、党三役の経験はありません。もし、外務大臣から幹事長になり、党務を取り仕切るようになれば、経歴的には文句なしのポスト安倍の1人になります。


谷垣さんの処遇は難しい


2014年9月2日現在。いよいよ、明日が内閣改造・自民党役員人事です。

8月末に一部報道で、谷垣法務大臣が自民党の総務会長に起用されるという記事が流れました。しかし、今朝の報道では二階衆議院予算委員長が総務会長に就任する見込みと報じられています。さらには、谷垣さんの留任の観測も出ています。

よく考えると、野党時代とはいえ、谷垣さんは自民党総裁を務めています。一度総裁になった人を、総裁よりは格が落ちる党三役に就けるのはちょっと微妙な感じです。

ですから、谷垣さんを処遇するなら閣僚にするか、議長にするかしかないんじゃないと思います…と、ここまで書いたところで、谷垣さんを幹事長に起用するという時事通信の報道を目にしました。これが本当なら、上に述べた理由で異例の人事です。

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安倍総理に押し切られた石破さん


2014年9月1日現在。新聞は明後日に迫った内閣改造、自民党役員人事に関する記事で、連日にぎわっています。

今回、最も注目されているのが石破幹事長の処遇です。報道によれば、幹事長続投を希望した石破さんに対し、安倍総理は安全保障法制担当大臣に起用する考えで、両者の思惑が異なっていたようです。

結局、安保法制担当相の就任を固辞する石破さんは、安保法制担当相以外のポストでの入閣を要請した安倍さんに押し切られる形で入閣することになりました。

石破さんの立場になってみると、これは結構ひどい扱いです。そもそも、政権与党の幹事長とxx担当相では格が違いすぎます。専務からヒラ役員か部長になるくらいの処遇です。

さらに、政権与党の一切を取り仕切る幹事長と、せいぜい特定の政策の推進係にすぎないxx担当相では、動かせるお金と人の量も違います。

特に、動かせる人については質も違います。xx担当相が動かせるのは何人かの官僚だけですが、幹事長が動かせるのは与党議員です。

石破さんの権力が、大きく削がれたことは間違いありません。

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まだまだ集団的自衛権は行使できない


2014年7月2日現在。昨日1日、「日本国憲法は集団的自衛権の行使を容認している」という政府の憲法解釈が閣議決定されました。

この閣議決定により、ただちに日本が集団的自衛権を行使できるわけではありません。20近い法律の改正が必要になります。

集団的自衛権の行使に反対の方々は、これらの法律の改正案の成立阻止に全力をあげることになるでしょう。

ひとつ気になるのは、昨日の日どりです。昨日、7月1日は六曜で仏滅でした。六曜を気にすることができないくらい、日程が窮屈だったのでしょうか。

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野次を取り締まるのは難しいので、議員の自浄能力に期待するしかない


 東京都議会で野次が問題になっています。野次を防止することはできるでしょうか。

 一つの考え方として、議長が野次を飛ばした議員を退場させる方法があげられます。 国会の場合、議長にはそれだけの権限があります(国会法116条)。

 しかし、この方法をとるのは難しいです。野次を飛ばすのは与党議員や、多数党の議員だけではないからです。

 もし、首相の答弁中に野次を飛ばした野党議員を、議長が衛視に命じて退場させるとします。その光景を写真に撮られたら、いかにも政権に都合の悪いことを言った議員の口を封じているように見えてしまいます。これは、日本の議会制民主主義に対する大きなダメージになります。

 議員を処罰するような問題は、常に与党に恣意的に利用されることがないか考える必要があります。決をとったら、常に勝つのが与党だからです。

 したがって、お上に強制的に解決してもらおうとするのではなく、議員同士の話し合いで決着をつけるべきです。そもそも議会は言論の府で、議員は話し合うのが仕事です。選んだ議員を信頼するしかありません。

第百十六条  会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、議長は、当日の会議を終るまで、又は議事が翌日に継続した場合はその議事を終るまで、発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

『国会法』

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集団的自衛権の行使容認に向け、政府はすでに捨て身の作戦にでている


 2014年6月9日現在。今国会の会期末まで、あと2週間弱です。安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を、今国会中に閣議決定する方針です。どうも、本気のようです。一方、連立を組んでいる公明党も本気でこ政治課題の先送りを目指しているようです。落とし所はあるのでしょうか

 実は、公明党が一番望んでいたと思われる落とし所は、すでに葬り去られています。憲法解釈と集団的自衛権に関する態度として、以下の4つのものが考えられます。

  1. 憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使とみられる行動(米艦防護、機雷除去など)をとれるようにする
  2. 憲法解釈を変更せず、集団的自衛権の行使とみられる行動をとれるようにする
  3. 憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使とみられる行動をとれないようにする
  4. 憲法解釈を変更せず、集団的自衛権の行使とみられる行動をとれないようにする

 1は、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を目指す安倍政権の考え方です。2は個別的自衛権で集団的自衛権の行使とみられるような行動をとれるとする考え方で、公明党が主張していたものです。4は集団的自衛権の行使容認に反対する人たちのスタンダードな考え方です。3はありないと思う人がいるかもしれませんが、ありえます。どういう考え方かというと、憲法解釈をもっと厳しくして自衛権を制限するという考え方です。

 この4つの考え方について安倍政権と公明党の選好を表にしてみます。100が最も望むものです。

20140609

 この表でみると安倍政権と公明党の選好の合計が最も高くなるのは2の考え方です。安倍政権としては、憲法解釈の変更という名をすて、集団的自衛権の行使とされる行動をとれるという実をとる選択になります。公明党としても、連立与党として安全保障上の課題に向きあいつつ、党論と違う憲法解釈変更は拒否するという立場がとれるわけです。

 ところが、5月28日の衆議院予算委員会で、横畠内閣法制局長官は、「現在の憲法解釈では、米艦防護や機雷除去はできない」と答弁しました。これにより、理屈の上では2で妥協するということが不可能になったわけです。

 2が選択肢から消えてしまうと、次に自民党と公明党の選好の合計が高いのは1になります。安倍政権は目的を達成し、公明党は連立に残れます。内閣法制局長官の答弁は、落とし所を強引に1にしようという作戦です

 これは、政府にとっては捨て身の作戦です。もう、憲法解釈を変更しない限り、「米艦防護」も「機雷除去」もできなくなってしまったわけです。そして、公明党の選好が連立維持にこだわる1よりも、連立離脱も辞さない4のほうに偏っていた場合、すべてパーになります。


日本維新の会の分党により、参議院自民党の議運の委員ポストが1名増える可能性がある


 2014年6月2日現在。日本維新の会の分党により、橋下共同代表の新党と結いの党は、参議院で少なくとも2議席減らす可能性が高いです。

 仮に、2議席減にとどまるとどうなるでしょうか。橋下新党と結いの党は参議院での法案提出権と議院運営委員会の理事ポストを維持できるので、なんの変わりもないように見えますが、意外な党が特をする可能性があります。その党は自民党です。

 各会派が議院運営委員会に出せる委員の人数は、[会派の議席数]÷[10議席以上の会派の合計議席数]×[議院運営委員会の定員(25)]で決まっているようです。この式によると、現在の各会派の配分は以下のようになります。

    参議院議院運営委員会(定員25名)

  • 自民党[114議席]:12.39130435[現12名(委員長1・理事3)]
  • 民主党[58議席]:6.304347826[現6名(理事2)]
  • 公明党[20議席]:2.173913043[現2名(理事1)]
  • 日本維新の会・結いの党[14議席]:1.52173913[現2名(理事1)]
  • みんなの党[13議席]:1.413043478[現2名(理事1)]
  • 共産党[11議席]:1.195652174[現1名(理事1)]

 「日本維新の会・結いの党」とみんなの党は2に達していないのに、2名委員を出しています。おそらく、すべての党の整数の和が23と25に満たないことから、あまった2名分を次の整数に近い順に配分しているのだと思われます。

 これが、「日本維新の会・結いの党」の参議院議員が2名減ると以下のようになります。

    参議院議院運営委員会(定員25名)

  • 自民党[114議席]:12.5[現12名(委員長1・理事3)]
  • 民主党[58議席]:6.359649123[現6名(理事2)]
  • 公明党[20議席]:2.192982456[現2名(理事1)]
  • 日本維新の会・結いの党[12議席]:1.315789474[現2名(理事1)]
  • みんなの党[13議席]:1.425438596[現2名(理事1)]
  • 共産党[11議席]:1.206140351[現1名(理事1)]

 「日本維新の会・結いの党」は約1.3となるのに対し、自民党は12.5になります。もし、さきほどの推測が正しければ、あまった2名分の委員ポストは自民党と、みんなの党にあたえられ、「日本維新の会・結いの党」は1名減になります。

 仮に、橋下新党と結いの党の参議院議員が3議席減ったら確実に委員が1名減るでしょう。なぜなら、橋下新党と結いの党の参議院での議席は11議席になり、[会派の議席数]÷[10議席以上の会派の合計議席数]×[議院運営委員会の定員(25)]の結果が、現在委員ポストを1名しか持っていない日本共産党と同じになるからです。

 ちなみに、橋下新党と結いの党が参議院で10議席を割った場合、民主党も参議院議院運営委員会の委員ポストを1名増やせます。


橋下新党は5人の参議院議員を参加させられなければ、新会派の参議院での活動が大幅に制約される


■日本維新の会 分党へ

 2014年6月1日現在。先週、というか先月(5月)末に、日本維新の会が分党することになりました。報道では、「石原共同代表率いる旧太陽の党系の議員の離脱により、橋下共同代表と行動をともにする議員と結いの党が合流しても、衆議院の野党第一党である民主党の議席を超えることはできなくなった」と、衆議院の議席数がクローズアップされています。

■現状が変わる可能性があるのは参議院

 でも、そんなことは結いの党の代表である江田さんが石原さんらのグループとの合流に難色を示していたときからわかっていたことです(「結いの党による政界再編は短期的に野党を細分化させる」)。むしろ、実現しなかった日本維新の会と結いの党による衆議院での民主党超えよりも、いま現在維新と結いが持っている参議院の法案提出権と議院運営委員会の理事ポストがどうなるかが重要です。もし、参議院の維新の議員9名のうち、5名以上が石原さんの新党に参加した場合、維新と結いは参議院での法案提出権と参議院議院運営委員会の理事ポストを失うことになります。

■事実の確認

 日本維新の会は、4月末に結いの党と参議院で統一会派「日本維新の会・結いの党」を結成しました。「日本維新の会・結いの党」は14議席と、10議席以上の会派となったため、法案提出権とともに議院運営委員会に理事を出す権利を得ました

 しかし、今回の日本維新の会の分党により、5名以上の議員が「日本維新の会・結いの党」から離れた場合、この会派の議席数は9議席となり、法案提出権と議院運営委員会の理事ポストを失うことになります。

■実際どうなりそうか

 時事通信の報道(『時事ドットコム:維新で多数派工作本格化=急な分党、戸惑う若手も』)では、石原さんの新党に参加する見通しの参議院議員は2名で、橋下さんの新党に参加する見通しなのは4名です。3名ほど時事通信が確認できていない議員がいるようです。

 残りの3名が全員石原新党に参加するか、党を離れた場合、橋下新党と結いの党は法案提出権と議院運営委員会の理事ポストを失います。逆に、3名のうち1名でも橋下新党に参加すれば、橋下新党と結いの党が作る予定の新会派は参議院の法案提出権と議院運営委員会の理事ポストを維持できます。