筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)で紹介された、戦前の政党による行政の統制の例は、今の基準で考えるとすさまじいものです。
ある地方の警察の駐在所は政党ごとに存在し、一方の政党が政権についているときは、もう一方は閉まっているとか、消防も反対党の支持者の家は消火活動をしないとか無茶苦茶な話になっています。
今とは全然違う状況なのです。
Posted from するぷろ for iPhone.
筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)で紹介された、戦前の政党による行政の統制の例は、今の基準で考えるとすさまじいものです。
ある地方の警察の駐在所は政党ごとに存在し、一方の政党が政権についているときは、もう一方は閉まっているとか、消防も反対党の支持者の家は消火活動をしないとか無茶苦茶な話になっています。
今とは全然違う状況なのです。
Posted from するぷろ for iPhone.
筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)によれば、戦前の政党政治に対する批判の中には、「政党による行政の統制が行き過ぎている」というものもあったそうです。そのため、中立な行政に対する期待が強かったのだとか。
現在も、「内閣人事局ができてから官僚は萎縮して、政治家の気持ちを忖度しながら行政を歪めている」という批判があります。
ここで、「今の政治状況は、戦前に似ている!」ということはできません。
戦前の政党による行政の統制は内閣人事局なんてものではないからです。
Posted from するぷろ for iPhone.
議会で優勢だった田中義一内閣は、議会における野党の追及により退陣するのではなく、「天皇・宮中・貴族院と新聞世論との合体した力」(筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』中公新書P.109)によって倒されました。
議会外の勢力により内閣が崩壊することは、議会における政党間の争いにより政権交替が起こるという政治の仕組みの定着にとって有害でした。
昨日引用した西園寺の言葉は、衆議院総選挙の結果が田中内閣の不正によるものだという疑惑を念頭に置きつつ、それでも「議会が政権に関与しないでどうするのだ」という気持ちを述べたものではないかと思います。
Posted from するぷろ for iPhone.
「焉んぞ知らん、悪政なりと断ずるは何を以て標準とするや、何人が之を決定するや、危険なることなり。」
これは、最後の元老と呼ばれた西園寺公望の言葉です。
時は戦前、田中義一内閣末期のことでした。田中内閣は選挙不正疑惑や天皇の政治利用ともとれる軽率な発言などがあり、不人気な内閣でした。とはいえ、議会は田中の政友会が優勢であり、ふつうに与野党が激突したら野党が負ける公算が高いです。
Posted from するぷろ for iPhone.
日本共産党の志位委員長のことを「選挙なしで委員長の座に18年ついている」と批判している発言を見ました。
これはよくある誤解です。共産党は党員の選挙で直接党首を選ぶような制度を持っていませんが、選挙はあります。
2年または3年に一度開かれる党大会で中央委員会を選出し、この中央委員会が志位さんのポストである中央委員会幹部会委員長を選出します。
党大会の議決権を持つのは党大会の代議員です。党大会の代議員は都道府県党会議が選出します。都道府県党会議の代議員は地区党会議が選出します。そして、地区党会議の代議員は支部総会または支部党会議が選出します。こういう入れ子の構造になっています。
Posted from するぷろ for iPhone.
憲法をめぐる議論について思うことがあります。
違憲状態の指摘をあらゆるところですることで、かえって憲法を脆弱なものにすることがないだろうかと。
どいういうことかというと、「違憲状態を放置できてしまうような体制なら、もう憲法なんて紙切れに過ぎず守る価値がないんじゃないか」というふうにならないかということです。
憲法制定時から時間が経過したため、憲法を文言通り読めば、違憲であるということは少なくないと思います。
この状態を、政府が単に「違憲でーす!」と言うわけにはいかないので、内閣法制局がいろいろ理屈をつけて、「実は合憲なんです」と言っていまの憲法体制を守ろうとしています。
もし、政府が「あれもこれも違憲だ!」と言いはじめたら、選択肢は2つしかありません。憲法を無視して好き勝手やるか、憲法を変えるか、の2つです。
たとえば、自民党総裁選で安倍総理が主張している「憲法学者が自衛隊は違憲と言っているから、9条の2を設けて自衛隊を明記する」というのは、現状違憲だから憲法を変えるという発想に近いものです。
Posted from するぷろ for iPhone.
国会の委員会には、大きく二つの種類があります。常任委員会と特別委員会です。
常任委員会は常に設置されている委員会です。定例日があり、原則週に2回審議をおこないます。
特別委員会は、毎会期議決を行なって設置する委員会で、重要な法案の審議や、常任委員会の枠に収まらない案件を審議します。特別委員会は、定例日にとらわれず、毎日審議することもあります。ちなみに、常任委員会で当然に毎日審議できるのは予算委員会くらいです。
国会の委員会での審議は重要ですが、委員会の採決ですべてが決まるわけではありません。
委員会で可決というのは、細かく言うと「原案の通り可決すべき」ということが決まっただけであり、最終決定は本会議の採決で決まります。
本日は通常国会の会期末でしたが、衆議院本会議で6/21から7/22まで32日間の会期延長が議決されたため、通常国会延長戦に入りました。
参議院でも会期延長の議決をしたのか確認しましたが、参議院のインターネット審議中継のサイトによると、本会議をはじめ全ての委員会がとりやめになっており、参議院での議決は今日はないようでした。
衆議院の議決だけで参議院も当然に延長されるのかもしれません。
会期の延長の議決が衆議院でしかされていない件ですが、国会法に根拠がありました。
第11条 臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定める。 第12条 国会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができる。 会期の延長は、常会にあつては一回、特別会及び臨時会にあつては二回を超えてはならない。 第13条 前二条の場合において、両議院の議決が一致しないとき、又は参議院が議決しないときは、衆議院の議決したところによる。
国会法13条により、本来の会期末である6/20に参議院が延長の議決をしなくても、衆議院の議決が国会の議決として確定します。
終盤の国会で採決の延期という与党の譲歩が目立ったのは、会期延長を決意していたからです。
もし、夏に参議院議員選挙があったら、こうはいかなかったでしょう。
会期延長は、議員の任期の満了を超えてはできません。
参議院議員選挙がある年は、自由に延長することはできないのです。
5月の連休前後の野党の審議拒否が「野党の18連休」と批判されているそうです。 国会に出てこなかったという点では、18連休という見方は間違っていません。
しかし、野党が審議に応じないことで、与党も様々な譲歩をしたりと、国会の正常化に向けて動いていました。 そういう意味で、国会以外の場所で与野党の幹部が交渉することもあったでしょうし、すべての野党議員が審議拒否の期間遊んでいたわけでもないでしょう。
そういう点で、18連休という批判はちょっと厳しいかなと思います。 野党支持者も、与党が交渉に応じたから審議拒否の意味があったということを主張するべきでしょう。それがたとえ、与党が少なからず譲歩しているという事実を明確にすることであっても。
自民党が今国会で成立を目指している、参議院の選挙制度改革についてNHKで討論が行われていました。
そのなかで、野党の議員が「合区で調整が必要なのは自民党だけで、そのために定数を増やすのは受け入れがたい」という意見を述べていました。
言いたいことの趣旨はわかりますが「合区で調整するのは自民党だけ」という言葉にはがっかりしました。
合区の対象となる選挙区が、制度的に自民党の指定席になっているわけではありません。その選挙区にも野党を支持する人がいるはずです。野党は立候補者を立てないつもりなのでしょうか。
建前上は定数を増やすことは、野党が議席を増やすチャンスでもあります。
選挙で負けることが前提になっているから、増えた定数を自民党が獲得することを前提とした批判ができるのではないでしょうか。
痛みを伴う改革という言葉があります。
痛みを伴う改革の例として、規制緩和があげられます。
規制緩和により参入障壁が下がり、新規参入が増えることで競争が激しくなるため、既存の業者が苦しむわけです。
国会の定数増も、新規参入を増やすという意味で規制緩和です。
痛みを伴う改革の断行を訴える国会議員は、国会の定数増という痛みを伴う改革も進めるべきでは?と思います。
本日、衆議院内閣委員会の委員長の解任決議案が提出されました。
会期末を来週20日に控え、日程の闘争が続きます。
今国会は延長されるとの見通しもありますので、会期末恒例の内閣不信決議案がいつごろ出されるのか気になります。
全ての議案は一回の国会で一度しか提出できません。
内閣不信任決議案もそうです。
国会の延長前に不信任決議案や解任決議案を出し尽くしてしまうと、延長後の国会で野党は制度的な裏付けのある抵抗をすることができなくなります。
カードを切るタイミングが重要になってきます。
カジノを含むIR法案の採決を阻止する目的で提出された、衆議院内閣委員長の不信任決議案は今日否決されました。
今度は法案を所管する国土交通大臣の不信任決議案が衆議院に提出されました。
NHKによると、与党は6/15午後の衆議院本会議で不信任決議案を否決した後内閣委員会でIR法案の採決をする構えとのことです。
そうなると、本会議で内閣不信任決議案の採決に先立って行われる趣旨弁明や、賛成討論の演説、採決などが長引くかもしれません。
カジノを含むIR法案が衆議院内閣委員会で採決、可決されました。
これに先立った国土交通大臣の不信任決議案の採決は、どうも2時間ちょっとで終わっているようなので、特に長引いたりしたわけではなかったようです。
その採決が強行採決か否か、というのは簡単なような難しいような問いです。
強行採決の定義は「与野党の合意なく採決すること」なので、ある程度議席があり国会の日程協議に加われる野党が一党でも反対したら、その採決は強行採決です。
とはいえ、話し合ったら採決するというのがルールなので、反対し続ける党があっても採決は行われます。
ですから、審議の過程やかけた時間をみて判断することになります。
本会議で法案を採決するときに、委員長が審議経過を報告するのですが、このとき審議時間に言及するのは、採決の正当性を示すためだと思います。
衆議院内閣委員会とは、衆議院で法案などを審議する委員会のひとつです。
国会は全議員が一堂に会する本会議で全ての議案の審議を行うわけではなく、それぞれの分野を専門で審議する委員会で主に審議を進めます。本会議は、委員会での審議経過の報告と衆議院としての意思を決めるための採決を主に行います。
各委員会の専門分野は、だいたい省庁別にわかれていて、内閣委員会は内閣府、人事院、宮内庁、公安委員会などに関連する議案を審議します。
委員会の数と名称は国会法に、各委員会の所管は衆議院規則、参議院規則に、それぞれ定められています。
ルールに則って動けていたかどうかを検証するには、記録を残すことが大切です。
この記録を変えてしまうと、検証不可能になってしまいます。
公文書の改竄というのはそういうことでもあります。
現在のように政権交代の可能性がある制度ならば、相手が政権を取ったときにやってほしくないことはやらないほうがいいはずです。与党と野党で牽制しあえるわけです。
ただ、政権交代と関係のない官僚組織が組織の存続のためにやる場合は、牽制が効きにくい場合もあるでしょう。その場合、政治家の監督責任は当然問われると思います。
働き方改革法案の参議院での実質審議が始まりました。
連日審議できる予算審議でしたら、もう3回目の審議になるところかもしれませんが、ほとんどの委員会の定例日は週二回のため、衆議院を通過してから6日経ってからの審議入りになりました。
参議院の定数を増やす内容を含む公職選挙法改正案を、自民党が了承したというニュースがありました。
了承とは、自民党内の手続きで法案の事前審査が終わったということだと思います。
定数を増やすことに自民党内で異論があったとのことですが、一票の格差を減らすには、一票の価値が低くなっている都市部の定数を増やすのが一番簡単です。
数議席といわず100議席ほど増やせばいいのではないかと思います。
そうすれば、各県一人以上参議院議員を選出できます。
5年から15年くらい前の話ですが、テレビ番組で国会議員の定数削減について尋ねたところ、ほとんどの議員が定数削減に賛成した中、社民党と共産党の議員が、定数を増やすべきという主張をしていました。
定数を増やすことは、野党の分断にもつながるので、与党はうまく使えばいいのではないかと思います。
定数を増やすことは議員にとって有利なことでしょうか?
すでに当選している現役議員にとって、定数を増やすことに何のメリットもありません。むしろ、定数を増やすことで、議員の採決における一票の価値が落ちます。
これこそ、最大の身を切る改革ではないでしょうか。
定数を減らすのは一見議員が身を切っているように見えますが、その実、新規参入の道を閉ざし、現役議員の既得権益を強化しているにすぎません。
心から定数削減してもいいと思えるのは、落選せず、自分の選挙区がなくならない自信のある有力な議員だけです。
本当に国会議員が身を切るのなら、国会の定数増と、政党交付金の減額をするべきです。
議員定数を増やして誰が困るでしょうか。
官僚は困るかもしれません。
議員数が増えれば増えるほど、質問のバリエーションが増えるからです。
議員が増えれば、さまざまな観点で行政の監視が行えるかもしれません。
また、既存政党の幹部も困るかもしれません。増えた議員を統制することが大変なのもありますし、例えば定数を2倍にしたときに増えた議員が新たな政党を結党し、その新党が第一党になる可能性があります。
そうなると、せっかく苦労して当選を重ねて政党の幹部になった苦労が水の泡です。
Posted from するぷろ for iPhone.
2005年の郵政解散あたりから、自民党が選挙に勝つと、「メディアを操っているからだ」とか、すごいのになると「ムサシという不正選挙を請け負う組織があって、投票用紙はすべて書きかえられている」という説を聞いたりします。
これらの説の信頼性がイマイチだと思うのは、「民主党政権ができた2009年の衆院選や、自民党が惨敗した2017年の東京都議会選挙のときはなんだったの?」というところです。
衆議院本会議で本日予定されていた働き方改革法案の採決が延期になりました。
自民党の森山国対委員長と立憲民主の辻元国対委員長の会談により決まったとのことです。
明日、衆議院厚生労働委員会で一般質疑を行ったあと、明後日に改めて本会議で働き方改革法案を採決する予定だということです。
与党としては最大限の譲歩をしているので、NHKの記事の辻元国対委員長のコメントも「あす衆議院厚生労働委員会を開くことを重視していたので、そのうえでの採決なら致し方ないが、最後まで徹底審議する」と、和らいだものになっている印象をうけます。
お休み
延期されていた働き方改革法案の衆議院本会議での採決が今日行われました。
与党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。
今国会は6/20までなので、会期内に働き方改革法案を成立させるには、参議院での審議を14日程度で終える必要があります。
ただ、会期が延長になった場合は話が別です。
会期の延長がなければ、今月で国会は閉会します。
会期末が近くなり、国会に関する報道も「○○法案が成立した」というものが連日でています。
会期の延長は、今は国会の議決でできますが、戦前は天皇の権限によっておこなわれました。
そのため、「天皇の名のもとに会期延長したのに何も成果がなかったとなるとまずい」という意識が働き、気軽に延長はできなかったそうです。
しかも会期は3ヶ月。国会の多数派から必ず総理大臣が出せるわけでもなかったので、今よりも大変だったのかもしれません。
ゲームのルールが変われば、ゲームのプレイヤーの行動が変わります。同じように、制度が変われば、政治家の行動が変わります。
例えば、平成のはじめに中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わったことで、政治家の行動が変わり、それまで勢力をふるっていた「派閥」が弱体化したと言われています。
Posted from するぷろ for iPhone.