解散の確約とは


 2012年8月6日現在、野党自民党の谷垣総裁は、消費税増税を含む法案を参議院で採決する前に野田首相が衆議院を解散することを確約しない場合、参議院に首相の問責決議案を提出し、衆議院にも内閣不信任案を提出するつもりであるようです。つまり、解散して衆議院の選挙を行う決意が無い限り、法案の成立に協力できないということです。

 しかし、解散の「確約」とはどういうことでしょうか?だれが、どうやったら首相に解散を確約させられるのでしょうか?口頭だろうが、口頭の発言を録音していようが、一筆とっていようが、首相が解散しないと言えばしません。仮に、衆議院で内閣不信任案が可決されたとしても、10日以内に衆議院を解散するか内閣総辞職するか選ぶことを強制出来るだけで(憲法69条)、首相に解散のみを強制することは制度上不可能であるはずです。

 また、首相に解散する気があったとしても、解散できるかどうかは疑問です。解散するには、すべての大臣の賛成が必要であり、選挙で負けそうな大臣がいたら反対する可能性があるからです。最終的には、反対する大臣を次々と罷免し、首相自らがすべての大臣を兼務すれば解散はできますが、果たして野田首相にそのようなことができるのでしょうか?

 解散の確約という、制度上存在しうるのかどうかわからない概念が政治上の一大問題になっているのは、大変興味深いです。果たして野田首相は解散を確約するのでしょうか。そのとき、確約とはどういうものになるのでしょうか。楽しみです。


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