■結論:憲法違反になるかどうかよくわからない
いろいろ調べられるだけ調べてみましたが、参議院予算委員会に安倍内閣の大臣が出席しなかったことが憲法違反になるかどうかはよくわかりません。
国会法に定められている手続を省略している可能性があるので、憲法63条にある大臣の国会出席義務が発生していないと言えそうです。
第63条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
しかし、先例によれば手続の省略は常態化しているため、成規の手続をとっていないことによって大臣の出席義務を無効にすることができるのかどうか、よくわかりません。
仮に、「成規の手続をとらないのが慣例になっているから、大臣の出席義務はあった」という立場にたてば、安倍内閣の対応は憲法違反です。それに対抗する主張が、「内閣総務官室の文書」です。(「」付きなのは、本当に内閣総務官室の文書なのかわからないからです。なにしろ、作成者の署名も日付も入っていなかったそうですから。)
閣僚などの国会への出席の取扱いについては、国会運営に関する事柄であることから、政府としては、従来から、与野党で協議し合意されたところに従って対応しているところです。今般の御要求に係る件については、与野党の協議で合意されたものでなく、さらに、参院議長に対する不信任決議案も提出され、その処理もなされていない状況にあることから、政府は出席しないことといたします。
(第183回国会 予算委員会 第20号 平成二十五年六月二十五日(火曜日))
この文書が言わんとしているのは、大臣の出席要求は与野党合意のものに対して応じるのが慣例になっているので、与党不在のまま行われた出席要求に応じる必要はないというものです。
大臣の出席要求に関する慣例が認められるなら、「内閣総務官室」が提示した慣例も認められてもよいということになってしまいます。
また、不信任案を提出された議長、つまり「事故ある議長」を「経由」することができるのかどうかよくわかりません。副議長や、議長代理を「経由」することができるかもわかりません。
まだまだ、わからないことが多いので、調べがいがあります。
- 大臣出席と憲法違反
- 大臣に対する出席要求の先例<参議院>・大臣出席と憲法違反1
- 参議院の先例からわかること・大臣出席と憲法違反2
- 憲法違反かどうかわからない・大臣出席と憲法違反3(終)