自民党政権のとき、国会議員は国会提出前に法案を審議していました。自由民主党審査、あるいは単に与党審査と呼ばれていたのがそれです。
■政務調査会部会→政務調査会審議会→総務会
官僚が作成した法案は、作成した省庁の決定を経て、自民党の政務調査会部会という機関でまず話し合われます。部会は内閣部会、経済産業部会というように分野ごとに存在し、関係する法案について審議しました。
この審議には官僚も力を入れていて、その法案を主管する課の課長をはじめとして、幹部職員がガンガン説明、根回ししていきます。あまりに根回ししすぎて、90年代までには部会に上がってくる時点で自民党の意に添わない部分がなくなるくらいに自民党の意向を読み切っていたと言われています。
法案が部会を無事に通過すると、政務調査会審議会に議論の場を移します。特に、部会で賛否両論になり、「部会長一任」という形で通過した法案はここで実質的な審議が行われます。
審議会を通過すると、法案は与党審査最後の関門である総務会にかけられます。法案が総務会決定すると、法案は閣議決定され、国会に提出されるという流れになりました。
自民党政権下においては、このように国会以前の段階で法案審議が行われていました。ちょっと気になるのは、90年代後半の自民党はほとんど他党と連立を組んで政権を維持していたことです。例えば、公明党はどのように事前審査をしていたのかに興味があります。また、政権についた当初、政「策」調査会を廃止してしまった民主党ではどのように与党内審査を行っているのかにも関心があります。
■官僚主導?それとも政治主導?
官僚が政策決定過程を牛耳っていることが官僚主導の政治なのだとすると、国会や与党内審査の場面で国会議員の説明にエネルギーを割いている自民党政権時代の官僚の姿は、官僚主導にあてはまらないような気がします。
とすると、その官僚主導の対になる言葉である政治主導とはいったいなんなのでしょうか。政治主導というからには、国会議員が政策決定過程をリードすることになるはずです。そして、国会議員がリードする機会は、国会としてすでに存在しています。どうして、国会が活用されないのでしょうか。その理由は、「効率化」と「決める政治」にあります。
続きます。