政府提出法案の審議プロセスを発見しました。簡単に書いてみます。
- 先に審議する議院の議案課が議案を受け取る
- 議案課で所定の手続を行う
- 議院運営委員会で、審査する委員会を決める
- 議院運営委員会により、本会議で議案提出者に趣旨説明を求めることを決めたとき、本会議で趣旨説明と質疑応答を行う
- 委員会審査開始。提出者が趣旨説明をする
- 議案に関する質疑を行う
- 場合によっては、公聴会を開催する
- 採決する。委員会審査終了
- 議院運営委員会で議案の本会議上程日を決める
- 本会議で採決する
- 本会議で可決したときは、後に審議する議院で1〜10を繰り返す
- 両院で可決したら、後に審議する議院の議長と事務総長名で、法律の公布を天皇に奏上する
このプロセスは、村川一郎『政策形成過程』(信山社)、伊藤光利・田中愛治・真渕勝『政治過程論』(有斐閣アルマ)、大山礼子『国会学入門 第2版』(三省堂)から、私がまとめて書きました。
一点補足します。議案課というのは、国会議員ではなく国会職員が務めています。国会職員は各議員で独自に任用された、国会運営に従事する人たちです。この国会職員のトップが事務総長です。
国会でこれだけの過程を経ないと、法律はできないわけです。あとは、「閉会中審査」または「継続審査」した議案の審議プロセスがわかれば、前回の記事(時間切れになった議案について)の疑問である、「廃案後再提出になった議案と、継続審議になった議案の違い」がわかるはずです。
ところで、両院で可決した法律の公布を天皇に「奏上」したのち、天皇が法律を公布します。奏上とは「天皇に申し上げること」であり、議長は天皇にへりくだっているわけです。現在も天皇の権威というのは生きていて、国会よりも上にあるということなのでしょう。日常ではなかなか天皇の権威というものを意識しないので、こういう言葉や慣習を見つけると、少したじろぎを覚えます。こういうところも、政治制度を調べる面白さのひとつです。