2012」カテゴリーアーカイブ

議長の権限:議決機関 3


「議決機関」のトップは議長です。

普段の話し合いから考えると、議長は採決に加わらないうえ、自分の意見も言えず、あまり権限がないように思えるかもしれません。実は、議長は絶大な権力を持っています。

議長は議事進行を担当します。議事進行というのは、以下のようなものです。

1.会議の日程や開始時間、終了時間を決める。採決する。

2.議題が複数ある場合、どの順番で議題を取り上げるか決める。

3.発言者を決める。

1の権限では、そもそも会議を始めないことや、始めた直後に採決することもできます。例えば、提案に十分な反対意見がでないうちに会議を打ち切り、反対されにくくすることができます

2の権限では、都合の良い議題を真っ先に扱って、確実に可決されるようにしたり、逆に都合の悪い議題を後回しにして扱う時間を少なくし、「十分な議論を尽くせなかった」ので今回は見送るような空気にして否決されるようにしたりできます。また、そもそも都合の悪い議題を扱わないこともできます。

3の権限では、自分の都合の良い意見を雄弁に述べる人と、都合の悪い意見を自信無さげに話す人を中心に指名して、それぞれの意見の印象を操作することができます。

このように、議事進行によって話し合いの方向性をいかようにもコントロールすることができるのです。特に、1と2の権限はすべての人にとって有限な資源である時間をコントロールできる点で重要です。

国政においても国会のスケジュールは重要で、通常国会の会期末の会期延長はよく問題になります。一般的に、延長すると政府与党が有利になります。話し合う時間が増えれば、そのままでは時間切れになってしまう法案をいくつか可決させることができるからです。逆に、野党にとっては延長されると自分たちが反対する法案が可決する可能性が出てきてしまうので、延長に反対するのです。


議決機関の分担:議決機関 2


「議決機関」で扱う案件について、もう少し考えていきます。

「議決機関」のうち、各学級の代表で構成される「評議員会」は定期的に招集され、扱う案件はそんなに重要なものではありません。 例えば、「執行機関」がその月に行う活動計画がそうです。また、規約改正案や予算案のような、さらに上の「議決機関」で決定する案件の事前審査も、「評議員会」で行います。規約改正案などは、そのメリットやデメリットなどを洗いだしてから「生徒総会」で話し合ったほうが、話し合いの時間も短縮でき、重要なところもすぐわかるので、効率がよいからです。

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議決機関について


生徒会のような生徒自治機構には、2つの機関が必要でした。「議決機関」と「執行機関」です。今回は、「議決機関」について考えてみます。

さて、「議決機関」はどの学校にも2つ以上あります。ひとつは、全校生徒が一同に会する「生徒総会」などと呼ばれるもの。もうひとつは、各学級の代表者によって構成される「評議員会」などと呼ばれるものです。なぜ2つあるのでしょうか?

本来は、すべてのものごとについて全校生徒で決めたほうがよいように思います。誰でも意見したり、質問したりすることができるし、「生徒総会」出された提案に対する賛否に自分が直接関わることができるからです。

しかし、予算案や規約の改廃のような重大かつ頻度が少ない案件はともかく、日常的な活動のような細かく頻度が多い案件について毎回全校生徒が集まるのは大変ですし、時間もかかります。そのため、そのような活動については各学級の代表者が集まる「評議員会」で対応したほうが、人数が少なく集まりやすいため適しているのです。

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議決機関と執行機関


私は、中学生と高校生のときに生徒会の役員をしていたことがあります。高校では生徒会規約の改正を掲げて生徒会長選挙に打って出たのですが、あえなく落選してしまい、規約改正チームも雲散霧消してしまいました。

規約改正に失敗したためか、今でも、「あるべき生徒自治機構」を考えたり書いたりしています。

「あるべき生徒自治機構」というものがどういうものかはひとまず置いておいて、生徒自治機構に必須な機関は何でしょうか?どの学校にもあるものが2つあります。それは、「議決機関」と「執行機関」です。

「議決機関」というのは、ものごとを決めるところです。例えば、規約の改正や予算案を採用するかどうか決めるところが議決機関になります。例えば、全生徒が出席する「生徒総会」、各学級の学級委員などの代表者が集まっている「代表委員会」「評議員会」などが議決機関です。

これに対して、「議決機関」で決めたものごとを実際に行動にうつすところを「執行機関」 と言います。例えば、生徒会長、副会長、書記、会計などが集まっている「生徒会執行部」「生徒会役員会」などが執行機関です。

なぜ、「議決機関」と「執行機関」の2つが必要なのでしょうか?ひとつの機関が決めて、実行すればいいような気がします。いろいろな理由はあると思いますが、ここでは2つの理由をあげます。

ひとつは、決める人が実行しない、実行する人が決めないことによって、より良い自治活動ができるという理由があります。例えば、実行する人が不当に得するようなことをやろうとするとき、実行する人が同時に決める人だったら、その行動を誰も止めることができません。実行する人と決める人が分かれていれば、決める人がその行動の真意を見抜き、実行させないことができるかもしれません。このように、実行する人と決める人で牽制することで特定の人物、集団による独裁を許さない効果があります。

もうひとつは、実行する人たちは実行するのに向いた人たちでまとめ、決める人たちは決めるのに向いた人たちでまとめることでより効率的な自治活動ができるという理由です。実行する人たち、例えば生徒会役員は選挙で立候補してわざわざ役員になる人たちです。おそらく、自治活動にヤル気があり、自分の時間を多く割け、アイデアも実行力もある「はず」の人たちなのでしょう。そういう人たちは、自分たちが実行することに専念したほうがいいのです。また、決める人たち、例えば各学級の代表者が集まる評議員会の評議員は、全学年からまんべんなく選ばれた人たちです。学年や学級の偏りがない(生徒会役員の中心は大体2,3年生で学級も偏っている可能性があります)、それぞれの評議員は自分の学級の事情を正確に把握している「はず」の人たちなのでしょう。こういう人は、何かを実行するほどの時間的余裕などは無いかもしれませんが、決定することにむいています。それぞれに特化した能力をもった人たちを集めることで、無駄をなくす効果があります。

以上が、「議決機関」と「執行機関」の2つが生徒自治機構に必須である理由です。