2024年3月27日現在。
「政治は数だ」という意見があります。国会でいうと、過半数の賛成がなければ首相を出せず、予算も通せず、法律も作れない状態になるわけで、あながち間違いでもないでしょう。
ただし、その「数の力」を使うには、「数」がまとまっていなければなりません。「数」は過半数でまとまって行動することで力を持つのです。
現在の日本政治で自民党と公明党が力を持っているのは、両党に所属する議員の数がその他の党のそれと比べて多いからです。単に多いだけでなく、自公両党の議員が国会で一体となった投票行動をするから国政に影響を与えられます。
裏を返せば自公の議員がそれぞれバラバラに動き始めたら、あっという間に力を失います。「数」をまとめ続けなければいけないのです。
このシンプルな理屈は、実は憲法が予定している議院内閣制の根幹をなす部分です。議院内閣制は、内閣が議院の信任を失えば存続できません。ここでいう「議院の信任」とは、衆議院の過半数の支持を得ていることを示します。
内閣は、その誕生時に内閣総理大臣を衆議院の過半数の議員の指名によって選出していることに正統性を持っています。この過半数の議員が所属しているのが「与党」になるわけです。
そして、何らかの要因により総理大臣が衆議院の信任を失った時、内閣の命運は尽きます。これが世にいう内閣不信任決議です。衆議院が「本院は○○内閣を信任せず」と決議すると内閣はいずれ総辞職することになります。たとえ最後の抵抗として衆議院を解散したとしても、内閣総辞職の運命から逃れられません。
このように、数はまとめ続けなければ活用できません。数をまとめるために必要とされているのが、評論家がよく言う「求心力」です。岸田首相が自らの政権を維持するには、あの手この手を使って与党議員の心を引きつけなければなりません。
2024年度予算案の成立を目前に控えた現在、次の見どころは岸田首相がどのような手段で与党議員に影響力を与えようとするかという点にあると思います。