自民党が単独で過半数を目指す意味


 2021年10月24日現在。

 来週、10月31日は衆議院総選挙の投開票日です。報道では与党自民党が過半数の議席を確保できるかどうかという状況とのことですが、どのような結果になるのか楽しみです。

 ちなみに、衆議院の議席数は465議席で、過半数は233議席です。自民党の解散前の議席は党籍離脱していた大島前衆議院議長を含めて276議席で、40議席以上減らしそうであると見られているようです。

「減らすといっても自民党が過半数を維持したら自公政権は維持されて、何も変わらないのか」と思われるかもしれませんが、そうでもありません。

 議席数が変わると各党が委員会に出せる議員数が変わってきます。政権を維持できても、委員会で与野党の委員の数が逆転するようなことがあれば国会運営は行き詰まり、政権の命運は尽きます。

 安定的な国会運営を目指す上で指標となる数字が「安定多数」「絶対安定多数」です。

すべての常任委員会で委員長を出し、かつ、定足数を満たす半数の委員を、与党議員で占めることができる議席数を「安定多数」と呼びます。

ただ、これだけでは与党が委員会を牛耳ることはできません。委員長は可否同数の場合しか採決に加わりません。ぴったり過半数の与党議員しか委員会に出せなかった場合は、与党議員から委員長を出すと、与党側は過半数を割ります。これでは、与党の委員がひとりでも欠席したら、採決で野党に負けてしまいます。

委員長を出しても、与党議員が過半数になるようでなければ真に安定的な国会運営ができません。この状態をすべての常任委員会で達成できる議席数を「絶対安定多数」と呼びます。

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 時事通信によると、現在の衆議院の議席数では「安定多数」は244議席、「絶対安定多数」は261議席を必要とします。

 自民党が過半数の233議席を確保した場合、公明党が28議席以上を確保できれば絶対安定多数を維持できます。解散前の公明党の議席は29議席であり、公明党が解散前以上に議席を獲得できるのでなければ、自民党が過半数を獲得することは岸田政権を維持するうえで重要な目標になります。


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