結いの党、衆議院で会派結成―結いの党の会派離脱問題


 2014年1月24日現在。結いの党とみんなの党が、比例選出議員の会派離脱を巡って争っている件は、衆議院で一定の決着をみました。みんなの党は、要求していた結いの党の比例選出議員の聴取が受け入れられたため、衆議院の比例選出議員7名の会派離脱届を衆議院事務局に提出しました。しかし、参議院でみんなの党から結いの党に移った比例選出議員6名について、みんなの党は会派離脱を認めていません。

 みんなの党と結いの党は比例選出議員の聴取の形式で争っていましたが、どうなったのでしょうか。結いの党は「①逢沢一郎・衆院議運委員長ら中立的な第三者が立ち会う②対象となる比例選出の衆院議員7人に一括聴取する③聴取内容は会派離脱の意思確認に限る(読売新聞2014.1.23朝刊)」という3条件を満たさなければ聴取には応じられないとしていました。一方、みんなの党は②について「個別に聴取したい」と結いの党と条件が折り合いませんでした。NHK NEWSWEBの2014年1月23日17時11分の配信記事によれば、結いの党が②の条件について折れて、個別聴取に応じました(『みんな 個別聴取条件に離脱を容認』)。

 衆議院と参議院の取り扱いが違うのはなぜでしょうか。みんなの党の声明によると(『比例選出議員離党者の衆議院会派離脱容認について』)、「衆議院議院運営委員会理事会では「各会派においては、議員本人から異動の希望がある場合は、本人の意思を尊重する」という申し合わせがあるが、参議院ではそのような申し合わせがない。衆参でルールが違うので対応は違う。」という立場のようです。参議院で会派離脱に関する申し合わせがないのは当然です。みんなの党は、参議院議院運営委員会の理事ポスト得ているからです。


結いの党が担おうとしている役割


 2014年1月23日現在。結いの党がみんなの党の会派から離脱できない問題で、動きがありました。みんなの党側が、「みんなの党から結いの党に移った比例選出議員が、みんなの党の聴取に応じたら、会派離脱の手続きをすすめる」という考えを示したのです。

 当初はみんなの党による聴取に応じない姿勢を見せていた結いの党も、「①逢沢一郎・衆院議運委員長ら中立的な第三者が立ち会う②対象となる比例選出の衆院議員7人に一括聴取する③聴取内容は会派離脱の意思確認に限る(読売新聞2014.1.23朝刊)」の3条件が揃えば聴取に応じるという考えを示しました。

 みんなの党は、比例選出議員ひとりひとりから聴取したいとしており、結いの党が示した条件について折り合いがついていない状態です。

 結いの党が一括聴取と、聴取内容を会派離脱の意思確認に限定することを求めているのは、みんなの党の聴取で対象議員が説得されることを恐れているのでしょうか。

 条件を満たせば比例選出議員でも会派離脱できるようになると、政界再編が進むかもしれません。比例選出議員は、自身が当選した際の選挙時にあった政党、既成政党に直接移動はできません。ですが、結いの党にいったん移って、その後既成政党と結いの党が合流すれば合法的に既成政党に移動できます。マネーロンダリングならぬ議員ロンダリングです。

 結いの党の「政界再編の触媒になる」という主張は、結いの党をこのような議員ロンダリングを担う拠点とするという意味もあるのだと思います。誰かが新党を作らなければ、比例選出議員の政党間移動が不可能だからです。

 政治経済学の理論によれば、選挙後に各党が連立交渉するよりは、選挙前に二大政党にまとまっていたほうが、有権者の意思が反映されやすいそうです。連立交渉に有権者が参加するのは難しいですが、選挙前に連立交渉ならぬ新党結成をしていれば、新党結成するなかで出てきた政策や公約を有権者が選挙で評価できるからです。


結いの党の会派離脱問題、強制解決はできるか


 2014年1月22日現在。結いの党の議員が、みんなの党の会派から離脱できない問題は一向に解決する様子がありません。

 そんななか、本日付の日経新聞朝刊に興味深い記事が出ていました。以下引用です。

委員長裁定で結い離脱も
■自民 自民党は21日、結いの党がみんなの党からの会派離脱を求めている問題を巡り、自民党の逢沢一郎衆議院議院運営委員長の裁定によって離脱を認める方向で検討に入った。

 この問題の決着は、1.みんなの党が折れる、2.現状維持、3.何らかの妥協案が成立する、の3つだと思っていましたが、4つめを見落としていたようです。4つめは、強制的に会派離脱が行われる、です。

 日経の記事と同じような内容は、読売、NHK NEWSWEB、時事ドットコムを確認した限りではまだありませんので、ちょっと不安ではあります。自民党としては、昨年の議院運営委員会で「会派離脱は離脱する議員本人の意思を尊重した取り扱いをする」という申し合わせを主導してまとめたこともあり、結いの党の会派離脱を認める方向で動いていることは確かです。

 ただ、議院運営委員長の裁定で会派離脱を認めるというのが可能なのかどうかがよくわかりません。また、委員長裁定で解決することを他の野党が認めるかどうかも不明です。委員長裁定で物事が決まってしまうようになると、与党の行動を止めることが難しくなるからです。議院運営委員会理事会の申し合わせで決めるとかしたほうが穏やかな感じがします。

 しかし、それはできません。参議院議院運営委員会にはみんなの党が理事を出しているため、理事会として決定することは不可能です。また、衆参で野党第一党である民主党がどう動くかも不明です。なぜなら、衆議院で民主党は日本維新の会と3議席しか差がないからです。国会運営は与党第一党と野党第一党の協議によって大枠が決まります。民主党の比例選出の議員が4人会派離脱したら、衆議院での野党第一党の座を失ってしまい、国会運営に影響をあたえることが困難になるのです。


国会召集を前にみんなの党への圧力が高まる―結いの党会派離脱問題


 2014年1月21日現在。今週末24日に通常国会が召集されます。結いの党の会派離脱問題のひとつめの区切りが近づいています。国会冒頭の代表質問に、結いの党から質問者を出せるかどうかがかかっているからです。また、委員会の割り振りや、席ぎめなどもあるので、通常国会召集前にケリをつけておきたいところです。

 時間が切迫してきたからか、傍観していた自民党も、みんなの党に会派離脱問題の早期解決を求めました。(NHK NEWSWEB『会派離脱問題 与党22日までに結論求める』2014.1.20 21:39)自民党の主張に、「法的に認知されている結いの党が、国会で活動できないのは問題だ」というものがありました。「法的に認知されている」というのは、政党交付金の対象になっている党だということでしょう。

 通常国会召集を前に会派離脱を認める方向で、みんなの党に圧力がかかってきています。ですが、ここを乗り切ってしまえば、通常国会は結いの党が会派として存在しない形で始まるわけです。いったん、その状態を変えようとする機運が乏しくなるのではないかと思います。

 ルートは3つあります。みんなの党が折れるか、現状維持か、何らかの妥協案が成立するかです。もし、みんなの党が折れるとしたら、何が決め手になるかに関心があります。


嫌がらせには嫌がらせで返してみるー結いの党の会派離脱


 2014年1月20日現在。結いの党は、自党の比例選出議員の会派離脱をみとめないみんなの党に対し、法的措置も辞さない構えです。結いの党側は、みんなの党の態度を「嫌がらせ」と言っています。もし、法的措置をとっても会派離脱を実現できなかった場合、結いの党がとれる選択肢にはどのようなものがあるでしょうか。

 実現可能かどうかを別にして、ひとつ考えられるのは、みんなの党の会派にいる結いの党の議員が、みんなの会派の決定とことごとく反対の態度をとることです。ひたすら造反するわけです。みずからの政治信条は脇において、どんな議題だろうが、つねにみんなの会派と反対の行動をとる。

 こうしたとき、みんなの党は造反した議員になんらかの処分をくださないと会派としての立場がありません。しかし、造反した議員はすでに離党して別の党にいるわけで、処分のくだしようがありません。みんなの党としては手のうちようがないわけです。つまり、どんどんみんなの党は立場がなくなっていきます。耐え切れなくなったみんなの党が、会派離脱を了承する、という流れになる。

 まぁ、こんなことをしたら、それこそ完全に嫌がらせなので、結いの党もただではすまないと思います。みんなの党も結いの党も結局野党なのですから、与党に反対という点で一致することが多いでしょう。ということは、みんなの党と反対の行動をとるために、あえて与党に賛成する場面もでてくることになります。同じ政治理念のもとに野党勢力を結集するという目標をかかげた、結いの党の議員にはできるはずがありません。

 せっかく思いついた現状打開策ですが、思いつきに過ぎませんでした。ただ、どのような方法をとるにせよ、「会派離脱を認めないとおかしい」という空気が十分に醸成されれば、みんなの党は会派離脱に応じざるを得なくなるでしょう。逆に、「比例選出議員が既存政党に移動するのはどのようなかたちであれおかしい」という空気が醸成されれば、結いの党は会派離脱できないことを前提に国会で活動せざるを得ないでしょう。


みんなの党と結いの党の理屈


 2014年1月19日現在。みんなの党と結いの党が、会派離脱問題でもめています。

 会派というのは国会での活動単位で、各政党とほぼイコールの勢力です。ただ、会派から抜けるには所属会派によって会派離脱届けが出されなければいけないため、結いの党の比例選出議員は未だにみんなの党の会派に所属していることになっています。みんなの党が、比例選出の議員の会派離脱を認めていないためです。

 みんなの党はなぜ比例選出の議員の会派離脱を認めないのでしょうか。比例選出の議員は、基本的には「みんなの党」を支持した有権者の投票によって選ばれたものです。それならば、みんなの党を離党した時点で選出されたそもそもの資格を失うのではないかという懸念があります。その理屈を広げると、「比例選出の議員の議席は、議員個人のものではなく、みんなの党の議席である。したがって、離党するなら議員辞職し、みんなの党に議席を返上すべきだ」というみんなの党の主張になります。

 そうは言っても、例えば所属政党が選挙時の公約に反した行動をしていて、これに納得出来ない議員が離党して新党を結成するようなケースもあるでしょう。この場合は、離党しても有権者に対する裏切りにはならないと思えます。そのためか、公職選挙法(99条の2)でも当選したときに行われた選挙の際に存在していない政党に移る場合なら当選が無効にならないとしています。

 ただ、結いの党の場合は複雑です。基本的な路線として、結いの党は日本維新の会との合流を志向しています。結局、合法的にみんなの党から維新の会に移動するために、いったん新しい党を作ったんじゃないかといわれても仕方がない立場なのです。

 現実として、みんなの党と結いの党は別々の政党として存在しています。政党ごとにもらえる政党交付金も、結いの党は受け取れる見通しです。別々の党で、意見も違うのに会派が同じということが成り立つのかが問題です。


結いの党は裁判所にどうしてほしいのか


 2014年1月18日現在。結いの党が、みんなの党の会派から離脱が認められない現状を、法的措置によって打開しようという主張をし始めています。

 法的措置をとるということは、どこかを訴えることになると思います。そもそもどこを訴えるのでしょうか。

 みんなの党を訴える場合は、どういう主張になるのでしょうか。結いの党は、政党交付金を受け取る資格がある政党として、みんなの党とは別に存在しています。その結いの党の所属議員の会派離脱届けを、みんなの党が国会に出さないのはおかしいという主張になると思われます。会派の離脱は、所属する会派が出すことになっているからです。

 ただ、裁判に訴えるとして、最終的に裁判所にどうしてもらいたいのでしょうか。裁判所に何を強制してもらえば、結いの党は会派離脱という目的を達成できるのでしょうか。みんなの党に、会派離脱届けを出すよう命令してもらう?それとも、所属会派が届けを出さなくても会派から離脱できるように、国会に命令してもらう?

 国会に命令する方はありえません。会派離脱問題と似たような話が以前ありました。ある議員が法案を提出しようとしたところ、国会の事務局が受け取りを拒否しました。その議員の所属会派の承認がなかったためです。慣例により、法案提出には会派の承認が必要だったのです。これを機関承認と言います。その議員は国を相手取り、法案が受理されないのはおかしいという訴えを起こしましたが、裁判所は国会の自律権(自分で自分のことを決める権利)の問題であるとして、判断を避け、訴えは棄却されました。

 裁判所といえども、おいそれと国会の内部のことに口出しはできません。これを念頭においたのが、時事ドットコム『「法的措置」に不快感=みんな代表』で報じられたみんなの党の渡辺代表の言葉です。以下、時事ドットコムからの引用です。

(引用者註:渡辺代表は)結いの党がみんなの会派からの離脱を認められない場合、法的措置を検討すると主張し始めたことについて、「国会の中で自律的に決められる話を、あえて三権分立の憲法秩序の中で、裁判所に持っていってどうするというのはちょっと考えにくい」と述べ、不快感を示した。

 結いの党は、法的措置の検討をどこまで本気でしているのでしょうか。ハッタリなのでしょうか。よくわかりません。だからこそ、結いの党がどのような法的措置をとるのか、非常に興味があるのです。


結いの党の会派離脱問題


 2014年1月17日現在。結いの党が、会派離脱を認めないみんなの党に対し、法的措置を検討するという報道がありました。(時事ドットコム:『会派問題、法的措置も=結い』

 結いの党は、昨年末にみんなの党の元幹事長の江田さんと、みんなの党の離党者を中心に結成されました。結いの党の議員は、すでにみんな党からは抜けています。ただ、みんなの党は国会の活動単位である「会派」から、比例選出の結いの党議員を離脱することを許可していません。会派を離脱するには、離脱しようとする会派の承認が必要なのです。そのため、結いの党は国会で「結いの党」として活動することが難しくなっています。

 当初は、みんなの党が会派離脱を承認するよう、結いの党は他党の協力を得て圧力をかけようとしていましたが、自民党などは「当事者同士で話し合ってほしい」と積極的なかかわり合いを避けていて、うまくいきませんでした。結いの党としては、もうどうにもならなくなったため、司法に活路を求めたようです。

 もし、法的措置をとるのなら、どのような訴えになるのか非常に興味があります。


国会入門とハマコー


 『議会用語事典』や『新・国会事典 第2版』、白井誠『国会法』は、細かいところ、制度上どうなっているか微妙なところを調べるのに便利です。ただ、かなり細かいので、いきなり読むと嫌になってしまう可能性があります。

 国会の実体をつかむのに最初に読むといいのは、清野正哉『国会とは何か』です。国会の1年間の流れがつかめます。もうひとつあげると、浜田幸一『お願いだから、わかって下さい。国会というところ…』がとてもいいです。

 ハマコーと呼ばれて有名だった浜田元衆議院議員の本は、超入門者向けという位置づけになっていますが、あなどれません。本の前半で議院運営委員会の役割や、国会対策委員長の役割を説明していて、与党が政府提出法案の成立させる目処をつける役目を負っていることがわかります。しかも、当時の議院運営委員長と国対委員長のインタビューという形式になっています。さらに、衆議院事務総長のインタビューもとっていて、国会職員の解説まで入っています。

 ハマコーさんがどうも合わないという人でなければ、かなりおすすめです。



国会の細かい動きを調べる本


 少し国会について調べてみると、いろいろな疑問にぶつかります。

 なんで提出された法案がただちに委員会に付託されないのか。本会議趣旨説明要求が付されたからというけれど、どのタイミングで、どのようにして要求を出すのか。また、どのタイミングで本会議で趣旨説明することが議運の議題になるのか、あるいは趣旨説明を省略することが議運の議題になるのか、というようにです。

 日々の政治ニュースを理解するだけでも、中学校の教科書以上の知識が必要になります。教科書は国会の機能の大枠しか説明してないからです。また、大概の政治入門書は、内閣をはじめとする行政の動きや、政策にスポットをあてていて、国会の機能は原則しか説明されていません。

 原則に当てはまらない部分を調べる本として、『議会用語事典』や『新・国会事典 第2版』、白井誠『国会法』は大変参考になります。ただ、これらは細かいところ、制度上どうなっているか微妙なところを調べるのに主に使っています。



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