変わらないことが悪ならば、一年で替わる首相は民意を反映しているので良いのか


いまや大企業のトップリーダーは一年か二年で結果を出さなければいけません。リーダーシップはかくあるべしということになると、これからの代議制民主主義は苦しいことになるでしょう。だから民意に愛想をつかされて一年で首相が替わるということは、いいことだということになるかもしれませんよ。

御厨 貴, 牧原 出, 佐藤 信『政権交代を超えて――政治改革の20年』岩波書店(P.24)

 『政権交代を超えて――政治改革の20年』の冒頭の座談会での、牧原教授の言葉です。牧原教授の言った意味とは違うとは思いますが、この言葉を目にして思ったことを書きます。

 政権交代がないこと、世代交代がないこと、世襲という形で政治への人材供給が制限されて人材の入れ替わりがないこと。これら政治の硬直性は、しばしば批判の的になります。政治において「変わらないこと」は民意との乖離の証拠とされ、悪とされているように思えます。

 そうなると、政治家が民意に素早く反応した結果として首相が降ろされることは、日本の政治が民意に素早く反応しているとポジティブに評価できなくもありません。ですが、「短期間でころころ替わる首相」がポジティブに評価されるのをみたことはありませんし、なんとなくネガティブなことに思えます。

 不思議です。変わる頻度はどこまでが良くて、どこからが駄目なのか、考えたこともありませんでした。


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