■孟夏の太陽
お世話になっている方のお宅に遊びに行った時、本を紹介してもらいました。宮城谷昌光『孟夏の太陽』です。
この本は5編の短編で構成されています。すべての話で、春秋時代の晋の有力者である趙氏の当主が主人公になっています。
これがなかなか面白く、一気に読んでしまいました。趙氏は晋の大臣の家系なので、主人公がみんな政治家だということもあるのかもしれません。もちろん、「議会」などない時代なので、議事手続きがどうというような話はないのですが、威圧したりされたり、とにかく尽くしたり、ひたすら耐えたりと、人と人との関係描かれているところにグッときました。
■味
ちょっと前に和辻哲郎『孔子』を呼んだ時や、中島敦『弟子』『李陵』を呼んだ時にも感じたのですが、中国を題材にしたお話には独特の味わいがあります。
どういう味がするかというと、なんでしょうか、お肉を使った料理とお酒の味です。中華料理という感じではないですね。どちらかというと、お肉はケバブのような感じです。お酒の方は、紹興酒かもしれません。
近代から現代の日本政治だともうちょっと違う味がするんですよね。なんというか、先ほど説明したものより、もっと水分があるような感じがします。ただ、不思議と味の傾向は似ています。
それにしても、なんの味でしょうか。政治は人と人との関係ですから、もしかしたら、人の味かもしれません。