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2013年度予算の日程消化状況


■暫定予算成立

 2013年3月30日現在。28日に衆議院を通過した2013年度暫定予算案は、昨日29日に参議院で審議され可決・成立しました。

■2013年度予算の日程消化状況

 昨日で、2012年度の国会審議も終わりです。肝心の2013年度予算案の進捗状況はどうなっているのでしょうか。

 2012年度予算を審議する衆議院予算委員会の日程は以下のとおりでした。

  • 基本的質疑:4日(首相出席)
  • 一般的質疑:6日
  • 集中審議:5日(首相出席)
  • 地方公聴会:1日
  • 参考人質疑:1日
  • 公聴会:1日
  • 分科会審査:1日
  • 締めくくり質疑,討論,採決:1日(首相出席)

 2013年度予算は、基本的質疑4日、一般的質疑1日、集中審議2日の日程をそれぞれ消化しています。昨年度の審議日程と同じ日数審議すると仮定すると、残り、13日となります。すでに、3月26日の衆議院予算委員会理事懇談会で4月1日に一般的質疑、4月2日と5日に集中審議、4月3日に地方公聴会を行うことで合意していますので、4月の第1週で4日分の日程を消化することになります。これで残り9日です。

 このたび成立した暫定予算は、4月1日から5月20日までの50日間を対象としています。暫定予算の期間内に2013年度予算を成立させるためには、4月19日には衆議院で採決しなければなりません。そうすれば、参議院での審議がどれだけかかったとしても、30日を超えれば成立する(*1)ので、5月20日に間に合います。

 このため、4月8日〜4月12日と4月15日〜4月19日の10日間で9日分の審議をおこなわなければならないことになります。昨年の審議日数と同じだけ審議するとしたら、ギリギリです。予算委員会の野党の筆頭理事(*2)である長妻昭代議士(民主党)はかなりの強硬派のようなので、昨年より少ない日数になることはないでしょう。

*1…憲法60条2項

予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

*2…委員会の進行などを協議する理事のなかで、与野党で1人ずつ専任される。与野党協議で中心的な役割を担っている。


厚労委の30分・1


■3月19日、厚生労働委員会

 2013年3月19日、衆議院厚生労働委員会で審議が30分程度中断しました。読売新聞は次のように報じています。

19日の衆院厚生労働委員会で行われた法案採決の直前、民主党が「『次の内閣』で了承手続きが終わっていない」と主張し、30分間近く審議が中断した。

 同委では午後4時40分ごろまで、子ども向けワクチンの定期接種化などを盛り込んだ予防接種法改正案に関する討論が行われ、その後採決する段取りとなっていた。

読売:「法案採決の直前、民主「党内手続きまだ」…中断」より抜粋)

 いったい、何が起こったのでしょうか?

■動画で確認

 衆議院インターネット審議中継で、当日の厚生労働委員会の状況を確認してみました。

 動画の時間で言うと、6:57:10くらいからです。自民党の大久保三代代議士が賛成の討論を終えた直後、厚生労働委員長は理事を集めました。そこで、委員長は「討論はもう終わりになってしまう。この際、あえて討論の終局を宣言せず、速記を止めて民主党の手続きが終わるのを待つことにしたい」という内容の話をしています。

 どういうことでしょうか。

■委員会の手順

 委員会の審査は、法案の提案理由説明→質疑→討論→採決という流れで行います。討論といっても、議員間で意見のやり取りがあるわけではありません。議案に対し、賛成、あるいは反対の立場から自分の意見を述べることを討論と言います。

 今回の予防接種法改正案の場合、討論を申し出たのは自民党の大久保代議士のみでした。普通なら、大久保代議士の討論が終わったら、委員長が「以上で討論は終局いたしました。これより、採決に入ります。」と宣言し、採決することになります。

■討論が終わったら、すぐ採決しなければならない?

 冒頭の記事にもあるように、30分ほど委員会は中断しています。その間も動画は流れていて、委員長や厚生労働大臣がずーっと席に座って待っているのが確認できます。一旦休憩して、民主党の準備ができてから委員会を再開すれば良い気もしますが、おそらくできないのか、かなりめんどくさい手続きになるのでしょう。

 ここから、次のようなルールがあるのではないかと推測出来ます。

    ・討論が終局したら、直ちに採決しなければならない。
    ・いつでも休憩にできるわけではない。

 イレギュラーなことが起こると、ルールが見えてくるような気がします。他にも興味深い点があるので、また書きます。


日切れ法案の審議


■法案審議始まる

 2013年3月22日現在。先週、2013年3月14日から本日まで、内閣が今国会に提出している35法案(うち2法案は成立済)のうち、12法案の審議が行われました。また、本日は衆議院本会議で国民ひとりひとりに番号を割りふる「共通番号制度」の導入に必要な法案の趣旨説明がされており、法案審議が続々と始まっています。

 以下に3月21日までの衆議院の審議スケジュールを示します。

3/14
●総務委員会
提案理由説明
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

3/15
●外務委員会
提案理由説明
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明

所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
提案理由説明
予防接種法の一部を改正する法律案

3/19
●総務委員会
質疑
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●法務委員会
提案理由説明
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明
所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
採決
予防接種法の一部を改正する法律案
提案理由説明
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
提案理由説明
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●環境委員会
提案理由説明
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

3/21
●総務委員会
採決
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
採決
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
提案理由説明
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案

■どれが「日切れ法案」なのか

 だーっと並べていて感じたのですが、お金に関する法案が多いですね。さて、このうち、どれが年度末に与野党が協力して処理する「日切れ法案」なのでしょうか。2013年3月20日付の日経朝刊には、「22日の衆議院本会議で「日切れ法案」を採決する」とありました。この記事に従うならば、以下の法案が「日切れ法案」ということになります。

    予防接種法の一部を改正する法律案

    水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案
    地方税法の一部を改正する法律案
    地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
    所得税法等の一部を改正する法律案
    関税定率法等の一部を改正する法律案

 これらの法案は審議開始から3回程度で委員会審査が終わっており、かなりのスピードで審議が進んでいます。本日採決した法案は参議院で審議し、可決しなければ成立しません。今月末には暫定予算の審議もしなければならないので、参議院は3〜4日でこれらの法案を審議しなければならないことになります。

 参議院でも忙しい審議が続きそうです。


民主党と参議院


■民主党の現状

 民主党の現状をどう評価すればよいでしょうか。

 2012年度補正予算は衆参両院で可決され、日本銀行の正副総裁人事も政府案通り同意されました。自民公明両党が過半数を持っていない参議院ですら、民主党は思うように存在感を出せていないように見えます。

 かといって、まるっきり存在感がないわけではありません。補正予算の審議も、日銀人事の審議も、その間にあった公正取引委員会の委員長人事も、政府の思惑通りの審議日程ではありませんでした。これらは、民主党が審議日程の引き伸ばしを望んだために採決にいたるまでの時間が伸びました。国会の場で民主党が力を失っていないことがわかります。

■「ねじれ」を作り出せない

 それでも、安倍政権を参議院選挙で退陣に追い込んでから、2009年に民主党政権ができるまでの参議院の民主党の影響力には程遠いです。

 なぜ、民主党は審議日程を多少引き伸ばすくらいのことしかできなくなってしまったのでしょうか。

 その理由は、安倍内閣を支持する声や、民主党に対する厳しい世論に配慮していることもあると思いますが、なにより、野党を反自公で糾合できないからです。民主党は参議院の会派のなかで、最も多い議席を保持していますが、過半数には届きません。他の野党と協力して自公と対決しなければ、「ねじれ」状態を作り出せないのです。

■いままでが強すぎた?

 前回改選の2010年7月からの3年間の野党が強すぎたのかもしれません。前回の改選からこのかた、参議院で過半数を失った民主党政権の国会に対する影響力は予算以外ない状態でした。今の自公のように、衆議院での再可決も使えない議席数だからしょうないです。

 それでも成立した法案はあったので、今となっては少し不思議な気もします。仮説としては、「参議院での野党の譲歩によって法案が成立した」というものが考えられます。

■今後どうなるか

 2013年度予算案は、参議院で否決されても衆議院の議決だけで成立します。安倍政権に危機感を持つ民主党とすれば、それ以外のところで与党の動きを食い止めなければなりません。それ以外とは、主に法案になるでしょう。


予算委員会以外もスタート


■日銀人事、政府案通り承認

 2013年3月15日現在。昨日14日、衆議院本会議で政府が提示した日本銀行の正副総裁人事が賛成多数で同意されました。本日、参議院本会議でも同意され、日銀の正副総裁は政府案通り承認されました。

 大型の2012年度補正予算に続いて、安倍首相が重視している案件が、首相の意思どおり国会のお墨付きを得ました。あとは、2013年度予算です。

■予算委員会以外も始動

 予算委員会はもちろん開会されていますが、その他の委員会も動き始めたようです。

 2013年3月13日、衆議院では以下の常任委員会が開会されました。

  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会
  • 予算委員会

 同じく、14日。

  • 総務委員会
  • 予算委員会
  • 議院運営委員会

 同じく、15日。

  • 環境委員会
  • 安全保障委員会
  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会

 このうち、予算委員会と議院運営委員会以外の委員会では、それぞれの所管大臣の所信聴取が行われました。所管大臣の所信聴取は、委員会審査の初めの一歩です。所信聴取とそれに対する質疑を行なってから、内閣が提出する法案の審議が始まります。

 これで、衆議院で17ある常任委員会のうち、主に法案審査を行う12の委員会(国家基本政策委員会、予算委員会、決算行政監視委委員会、議院運営委員会、懲罰委員会以外の委員会)すべてで、所管大臣の所信聴取がされました。所信聴取に対する質疑は、また後日、各委員会で行われます。総務委員会、環境委員会、安全保障委員会以外の委員会については、本日中に質疑が行われているかもしれません。

参考文献:
清野正哉『国会とは何か』(中央経済社)


政治のルールを知りたい


■サッカーのルールがわからない

 私はサッカーをあまりみません。それだからか、FWやDFのようなポジションの役割も、ツートップなどといわれるフォーメーションのメリットデメリットもわかりません。ルールもいまいちです。

 まして、どのチームが強いとか、どの選手がどういう能力を持っているから凄いなどということも判断できません。このチームとこのチームの対戦なら、こういう流れになって、結果こちらのチームが勝つだろう、なんて予測することなど夢のまた夢です。

■楽しむためのポイントを抑える

 サッカーにかぎらず、スポーツについて楽しそうに話している人たちを見ると、羨ましくなります。どうやって、楽しむための知識を抑えていったのかと、不思議に思います。学校では習わなかったはずですから、自分で勉強したのでしょう。

 私が政治の、特に国会の動きを中心に見ているのは、政治を楽しむために抑えるべきポイントを明らかにするためです。そして、サッカー好きの人がサッカーについて語るように、政治について語りたいのです。


暫定予算と日切れ法案で、衆院通過は4月11日以降か


■忘れていた暫定予算と日切れ法案

 前回の記事、「2013年度予算案の衆議院通過は4月5日か?」で、2013年度予算審議の日程を考えた時に考慮に入れていなかったことがありました。暫定予算と日切れ法案です。

 暫定予算と日切れ法案を審議している間は、2013年度予算案を審議する予算員会は開けないのです。だから、昨年と同じペースで審議しても、2013年4月5日までに衆議院通過するのは難しいみたいです。早くて4月11日、遅いと4月18日頃になると思われます。

■暫定予算とは

 暫定予算とは、次年度予算が年度内(3月末)までに成立しない場合に、4月から一定の期間作成する予算です。暫定、つまり次年度予算までの「つなぎ」の予算なので、国債費や公務員給与費のようなどうしても払わなくてはならない経費に限って計上されます。(『新・国会事典 第2版』)

 例えば、2012年は3月末までに2012年度予算が成立しなかったため、2012年4月1日〜4月6日までの間を対象に2012年暫定予算を作成しました。実際に2012年度予算が成立したのは2012年4月5日です。

■日切れ法案とは

 日切れ法案とは、「年度内に成立していないと国民生活等に重大な影響を与える法律」(『国会とは何か』)のことを言います。以前、大変話題になった「ガソリン税等の暫定税率」のように法律の期限が3月31日までのものについて、4月1日以降も効果が継続するように定めたものが、日切れ法案の典型的な例です。

■暫定予算と日切れ法案を審議中、予算案は?

 さて、暫定予算と日切れ法案を審議中、2013年度予算の審議はどうなるでしょうか。

 暫定予算の審議も両院の予算委員会で行われます。昨年は、2012年度暫定予算を審議する際、予算委員会は暫定予算のみを議題としました。そのため、2012年度予算の審議はお休みになりました。

 日切れ法案については、次の記事が参考になりそうです。

与党は関税定率法改正案などの日切れ法案を18日からの週に審議入りさせる方針で、その間予算委は開けない。
中国新聞:「13年度予算、連休明け成立の公算 衆院委の審議ずれ込む」

 確認してみると、2012年は3月27日(火)、3月28日(水)、3月29日(木)と参議院予算委員会は開会されず、その他の委員会で日切れ法案の審議をしていました。

■それを踏まえて、2013年予算案の衆議院通過は?

 日切れ法案の審議が、衆参で3〜4日かかるとします。そして、暫定予算の審議は、衆参半日で1日で終わっていました。とすると、前回予想した衆議院通過予定日4月5日に、平日を4日から9日足せばよさそうです。

 4日~9日と間があいているのは、日切れ法案が衆議院を通過したらすぐに2013年度予算案の審議を継続できるのか、それとも、日切れ法案が参議院を通過して成立するまで衆議院予算委員会を開けないのかよくわからないからです。また、昨年の暫定予算の期間は6日程度なのにたいし、今年は5月の連休明けまで1ヶ月半分作成しなければならないはずです。暫定予算の期間の長さが審議日数にどれだけ影響を与えるのかもわかりません。

 以上を考慮すると、2013年度予算案の衆議院通過は、最短で4月5日+平日4日の4月11日(木)頃、遅くて4月5日+平日9日の4月18日(木)頃になる見込みです。

参考文献:
浅野一郎・河野久編著『新・国会事典 第2版』(有斐閣)
清野正哉『国会とは何か』(中央経済社)



2013年度予算案の衆議院通過は4月5日か?


2013年3月12日追記:この記事では、「暫定予算」と「日切れ法案」を考慮に入れていません。詳しくは「暫定予算と日切れ法案で、衆院通過は4月11日以降か」を御覧ください。

■昨年の衆議院予算委員会のスケジュール

 2012年度予算を審議する衆議院予算委員会の日程は以下のとおりでした。

  • 基本的質疑:4日(首相出席)
  • 一般的質疑:6日
  • 集中審議:5日(首相出席)
  • 地方公聴会:1日
  • 参考人質疑:1日
  • 公聴会:1日
  • 分科会審査:1日
  • 締めくくり質疑,討論,採決:1日(首相出席)

 基本的質疑は最初に行われ、締めくくり質疑・討論・採決は最後に行われますが、あとのものはバラバラの順番で行われます。一般的質疑や、集中審議も一気に日数を消化するのではなく、断続的に行われ、その間に公聴会などが入ってきます。「(首相出席)」とついているのは、内閣総理大臣が出席することになっているものなので、首相が行事のため国会に出席できない場合はできないことになります。

■2012年度予算の審議日程カレンダー

 昨年の審議日程をカレンダーにしてみます。

2012年 2月
1 2 3 4

5 6 7 8 9
基本的質疑1
10
基本的質疑2
11

12 13
基本的質疑3
14

15
基本的質疑4
16
一般的質疑1
17
集中審議1
18

19 20
一般的質疑2

21
一般的質疑3
22
集中審議2
23
集中審議3
24
地方公聴会
25

26 27
参考人質疑
28
一般的質疑4
29
一般的質疑5

2012年 3月
1
集中審議4
2
公聴会
3

4 5
分科会
6
集中審議5
7
一般的質疑6
8
締めくくり質疑
討論
採決
9 10
11 12 13

14

15

16 17

18 19

20

21 22 23 24

25 26 27 28 29 30 31

■2013年度予算案の衆議院通過は?

 こう並べてみると、2012年2月14日以外は連日予算審議が行われています。まだ調べきれていないのですが、2012年2月14日は基本的質疑の最中なので、閣僚のいずれかに不都合があり国会に出席できなかったため予算委員会を開けなかったのではないかと思います。

 昨年と同じペースで審議が進むとすると、2013年度予算案の衆議院通過は、2013年3月7日からの平日20日間+休み1日で、4月5日(金)になります。

2013年3月12日追記:この記事では、「暫定予算」と「日切れ法案」を考慮に入れていません。詳しくは「暫定予算と日切れ法案」を御覧ください。


今年の基本的質疑は例年並み


■来年度予算案審議開始

 2013年3月7日現在。衆議院予算委員会は、昨日6日に来年度予算案の趣旨説明を行い、予算審議がスタートしました。各党が首相をはじめとする全閣僚を出席させて質疑を行う基本的質疑は、7日(木)、8日(金)、11日(月)、12日(火)と、4日間行われる予定になっています。

■基本的質疑の日数は例年並み

 すでに両院で可決・成立した補正予算や、現在各党が検討している日本銀行の正副総裁人事の日程では、与党は野党に配慮してなるべく審議時間を長くとるようにしました。来年度予算案についても与党は譲歩を強いられるのではないかと思い、昨年の予算審議の内訳を詳しくみてみました。

 国会会議録検索システムで、昨年の通常国会である180回国会の衆議院予算委員会の会議録を調べた結果、昨年の基本的質疑は、2012年2月9日(木)、10日(金)、13日(月)、15日(水)の4日間であることがわかりました。また、2011年も4日間で、2009年から2010年は3日間だったこともわかりました。過去4年間と比べても、今年の基本的質疑の長さは例年並みと言えそうです。


日銀同意人事と恐れる民主党


■日本銀行の正副総裁人事、同意の見込み

 2013年3月6日現在。今朝の日経朝刊に面白い表現がありました。それは、日本銀行の正副総裁が、政府の提案通り同意される見通しになったことを伝える記事です。

 民主党には、1人の副総裁候補について反対することで政府に一矢報いたいという意見があるそうです。その候補者はみんなの党や日本維新の会などの賛成で同意される見込みであるため、民主党には

「民主党が反対しても参院で不同意にはならず、混乱は起きない」という意識がある

と書いてあったのです。

■反対の影響を恐れる民主党

 「混乱は起きない」というのは、民主党が反対したところで、すべての候補者が問題なく同意されて、政府の予定に影響を与えないということです。民主党の意思表明が国政に影響を与えないので、安心して反対できるということなのでしょう。

 野党として、政府案を全面的に承認するようなことは避けたいと思うのは当然です。まして、党の方針と異なる人物の同意ができないというのはもっともな話です。反対するなり、厳しく質問するなりして自らの意思を表明するのが筋かもしれません。

■反対の代償

 とはいえ、あんまり反対するのも難しい状況です。現在の円安株高は、安倍内閣の経済政策を好感して生じたものとの見方があるからです。今回の日銀正副総裁人事についても、市場は好意的に受け止めていると言っていいと思います。

 この見方が正しければ、市場の信任を得ている候補者の資質や、手腕を批判することは難しいです。また、与党が民主党に譲歩して同意人事の日程を決めている以上、与党の横暴というのも言いづらいです。

 下手に人事案を潰して正副総裁のいずれかが空席になってしまうと、円は高騰し株価は暴落するということになりかねません。民主党を中心とする野党共闘が進んでいない現状では、反対の責任を民主党が一身に負うことになるかもしれません。それは、反対の代償としては重すぎます。

 野党として反対したいけれども、おいそれとはできない。そんなジレンマに、民主党は直面しているようです。