第183回国会(常会)」カテゴリーアーカイブ

日切れ法案の審議


■法案審議始まる

 2013年3月22日現在。先週、2013年3月14日から本日まで、内閣が今国会に提出している35法案(うち2法案は成立済)のうち、12法案の審議が行われました。また、本日は衆議院本会議で国民ひとりひとりに番号を割りふる「共通番号制度」の導入に必要な法案の趣旨説明がされており、法案審議が続々と始まっています。

 以下に3月21日までの衆議院の審議スケジュールを示します。

3/14
●総務委員会
提案理由説明
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

3/15
●外務委員会
提案理由説明
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明

所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
提案理由説明
予防接種法の一部を改正する法律案

3/19
●総務委員会
質疑
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●法務委員会
提案理由説明
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案

●財務金融委員会
提案理由説明
所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案

●厚生労働委員会
採決
予防接種法の一部を改正する法律案
提案理由説明
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
提案理由説明
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●環境委員会
提案理由説明
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

3/21
●総務委員会
採決
地方税法の一部を改正する法律案
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

●農林水産委員会
採決
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

●政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
提案理由説明
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案

■どれが「日切れ法案」なのか

 だーっと並べていて感じたのですが、お金に関する法案が多いですね。さて、このうち、どれが年度末に与野党が協力して処理する「日切れ法案」なのでしょうか。2013年3月20日付の日経朝刊には、「22日の衆議院本会議で「日切れ法案」を採決する」とありました。この記事に従うならば、以下の法案が「日切れ法案」ということになります。

    予防接種法の一部を改正する法律案

    水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案
    地方税法の一部を改正する法律案
    地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
    所得税法等の一部を改正する法律案
    関税定率法等の一部を改正する法律案

 これらの法案は審議開始から3回程度で委員会審査が終わっており、かなりのスピードで審議が進んでいます。本日採決した法案は参議院で審議し、可決しなければ成立しません。今月末には暫定予算の審議もしなければならないので、参議院は3〜4日でこれらの法案を審議しなければならないことになります。

 参議院でも忙しい審議が続きそうです。


予算委員会以外もスタート


■日銀人事、政府案通り承認

 2013年3月15日現在。昨日14日、衆議院本会議で政府が提示した日本銀行の正副総裁人事が賛成多数で同意されました。本日、参議院本会議でも同意され、日銀の正副総裁は政府案通り承認されました。

 大型の2012年度補正予算に続いて、安倍首相が重視している案件が、首相の意思どおり国会のお墨付きを得ました。あとは、2013年度予算です。

■予算委員会以外も始動

 予算委員会はもちろん開会されていますが、その他の委員会も動き始めたようです。

 2013年3月13日、衆議院では以下の常任委員会が開会されました。

  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会
  • 予算委員会

 同じく、14日。

  • 総務委員会
  • 予算委員会
  • 議院運営委員会

 同じく、15日。

  • 環境委員会
  • 安全保障委員会
  • 内閣委員会
  • 法務委員会
  • 外務委員会
  • 財務金融委員会
  • 文部科学委員会
  • 厚生労働委員会
  • 農林水産委員会
  • 経済産業委員会
  • 国土交通委員会

 このうち、予算委員会と議院運営委員会以外の委員会では、それぞれの所管大臣の所信聴取が行われました。所管大臣の所信聴取は、委員会審査の初めの一歩です。所信聴取とそれに対する質疑を行なってから、内閣が提出する法案の審議が始まります。

 これで、衆議院で17ある常任委員会のうち、主に法案審査を行う12の委員会(国家基本政策委員会、予算委員会、決算行政監視委委員会、議院運営委員会、懲罰委員会以外の委員会)すべてで、所管大臣の所信聴取がされました。所信聴取に対する質疑は、また後日、各委員会で行われます。総務委員会、環境委員会、安全保障委員会以外の委員会については、本日中に質疑が行われているかもしれません。

参考文献:
清野正哉『国会とは何か』(中央経済社)


暫定予算と日切れ法案で、衆院通過は4月11日以降か


■忘れていた暫定予算と日切れ法案

 前回の記事、「2013年度予算案の衆議院通過は4月5日か?」で、2013年度予算審議の日程を考えた時に考慮に入れていなかったことがありました。暫定予算と日切れ法案です。

 暫定予算と日切れ法案を審議している間は、2013年度予算案を審議する予算員会は開けないのです。だから、昨年と同じペースで審議しても、2013年4月5日までに衆議院通過するのは難しいみたいです。早くて4月11日、遅いと4月18日頃になると思われます。

■暫定予算とは

 暫定予算とは、次年度予算が年度内(3月末)までに成立しない場合に、4月から一定の期間作成する予算です。暫定、つまり次年度予算までの「つなぎ」の予算なので、国債費や公務員給与費のようなどうしても払わなくてはならない経費に限って計上されます。(『新・国会事典 第2版』)

 例えば、2012年は3月末までに2012年度予算が成立しなかったため、2012年4月1日〜4月6日までの間を対象に2012年暫定予算を作成しました。実際に2012年度予算が成立したのは2012年4月5日です。

■日切れ法案とは

 日切れ法案とは、「年度内に成立していないと国民生活等に重大な影響を与える法律」(『国会とは何か』)のことを言います。以前、大変話題になった「ガソリン税等の暫定税率」のように法律の期限が3月31日までのものについて、4月1日以降も効果が継続するように定めたものが、日切れ法案の典型的な例です。

■暫定予算と日切れ法案を審議中、予算案は?

 さて、暫定予算と日切れ法案を審議中、2013年度予算の審議はどうなるでしょうか。

 暫定予算の審議も両院の予算委員会で行われます。昨年は、2012年度暫定予算を審議する際、予算委員会は暫定予算のみを議題としました。そのため、2012年度予算の審議はお休みになりました。

 日切れ法案については、次の記事が参考になりそうです。

与党は関税定率法改正案などの日切れ法案を18日からの週に審議入りさせる方針で、その間予算委は開けない。
中国新聞:「13年度予算、連休明け成立の公算 衆院委の審議ずれ込む」

 確認してみると、2012年は3月27日(火)、3月28日(水)、3月29日(木)と参議院予算委員会は開会されず、その他の委員会で日切れ法案の審議をしていました。

■それを踏まえて、2013年予算案の衆議院通過は?

 日切れ法案の審議が、衆参で3〜4日かかるとします。そして、暫定予算の審議は、衆参半日で1日で終わっていました。とすると、前回予想した衆議院通過予定日4月5日に、平日を4日から9日足せばよさそうです。

 4日~9日と間があいているのは、日切れ法案が衆議院を通過したらすぐに2013年度予算案の審議を継続できるのか、それとも、日切れ法案が参議院を通過して成立するまで衆議院予算委員会を開けないのかよくわからないからです。また、昨年の暫定予算の期間は6日程度なのにたいし、今年は5月の連休明けまで1ヶ月半分作成しなければならないはずです。暫定予算の期間の長さが審議日数にどれだけ影響を与えるのかもわかりません。

 以上を考慮すると、2013年度予算案の衆議院通過は、最短で4月5日+平日4日の4月11日(木)頃、遅くて4月5日+平日9日の4月18日(木)頃になる見込みです。

参考文献:
浅野一郎・河野久編著『新・国会事典 第2版』(有斐閣)
清野正哉『国会とは何か』(中央経済社)



今年の基本的質疑は例年並み


■来年度予算案審議開始

 2013年3月7日現在。衆議院予算委員会は、昨日6日に来年度予算案の趣旨説明を行い、予算審議がスタートしました。各党が首相をはじめとする全閣僚を出席させて質疑を行う基本的質疑は、7日(木)、8日(金)、11日(月)、12日(火)と、4日間行われる予定になっています。

■基本的質疑の日数は例年並み

 すでに両院で可決・成立した補正予算や、現在各党が検討している日本銀行の正副総裁人事の日程では、与党は野党に配慮してなるべく審議時間を長くとるようにしました。来年度予算案についても与党は譲歩を強いられるのではないかと思い、昨年の予算審議の内訳を詳しくみてみました。

 国会会議録検索システムで、昨年の通常国会である180回国会の衆議院予算委員会の会議録を調べた結果、昨年の基本的質疑は、2012年2月9日(木)、10日(金)、13日(月)、15日(水)の4日間であることがわかりました。また、2011年も4日間で、2009年から2010年は3日間だったこともわかりました。過去4年間と比べても、今年の基本的質疑の長さは例年並みと言えそうです。


日銀同意人事と恐れる民主党


■日本銀行の正副総裁人事、同意の見込み

 2013年3月6日現在。今朝の日経朝刊に面白い表現がありました。それは、日本銀行の正副総裁が、政府の提案通り同意される見通しになったことを伝える記事です。

 民主党には、1人の副総裁候補について反対することで政府に一矢報いたいという意見があるそうです。その候補者はみんなの党や日本維新の会などの賛成で同意される見込みであるため、民主党には

「民主党が反対しても参院で不同意にはならず、混乱は起きない」という意識がある

と書いてあったのです。

■反対の影響を恐れる民主党

 「混乱は起きない」というのは、民主党が反対したところで、すべての候補者が問題なく同意されて、政府の予定に影響を与えないということです。民主党の意思表明が国政に影響を与えないので、安心して反対できるということなのでしょう。

 野党として、政府案を全面的に承認するようなことは避けたいと思うのは当然です。まして、党の方針と異なる人物の同意ができないというのはもっともな話です。反対するなり、厳しく質問するなりして自らの意思を表明するのが筋かもしれません。

■反対の代償

 とはいえ、あんまり反対するのも難しい状況です。現在の円安株高は、安倍内閣の経済政策を好感して生じたものとの見方があるからです。今回の日銀正副総裁人事についても、市場は好意的に受け止めていると言っていいと思います。

 この見方が正しければ、市場の信任を得ている候補者の資質や、手腕を批判することは難しいです。また、与党が民主党に譲歩して同意人事の日程を決めている以上、与党の横暴というのも言いづらいです。

 下手に人事案を潰して正副総裁のいずれかが空席になってしまうと、円は高騰し株価は暴落するということになりかねません。民主党を中心とする野党共闘が進んでいない現状では、反対の責任を民主党が一身に負うことになるかもしれません。それは、反対の代償としては重すぎます。

 野党として反対したいけれども、おいそれとはできない。そんなジレンマに、民主党は直面しているようです。


日銀同意人事と譲歩する与党


■日本銀行正副総裁の同意人事

 2013年3月5日現在。国会は、昨日に引き続き、代表質問と日本銀行正副総裁候補者の所信聴取が行われる予定です。

 金融政策の要となる日本銀行の正副総裁人事の行方は、安倍首相が進めようとしている景気回復策にとってきわめて重要と見られています。参議院選挙で自民公明両党が過半数を獲得するためにも、補正予算案に続いて、政府案を通したいところです。

■譲歩する与党

 2012年度補正予算案の審議日程では、与党は野党にかなり譲歩して、衆議院と参議院で5日ずつ審議することにしました。与党は、日銀正副総裁同意人事についても譲歩を強いられています。参議院における野党の圧力は、いまだ健在です。

 そう判断する理由は、日銀正副総裁の所信聴取が衆議院で先行して行われていることにあります。

 読売や日経などは、参議院で所信聴取するのは来週、3月11日、12日という見込みを示しています。わざわざ衆議院の所信聴取から1週間あけているのは、人事案が政府から議院運営委員会に提示される前にマスコミに報道されたことに対する説明を、民主党が求めたためです。民主党の意向に配慮して、与党は衆議院と同日の所信聴取を断念したものと思われます。

■民主党の責任というわけでもない

 これは、民主党がごねているからというだけでもありません。国会の慣習として、委員会の開会日程などを決める理事会の決定は全会一致を原則としているので、たとえ一人しか理事を出していない党が反対しても、物事が決まらないのです。自然と、与党は野党に配慮するようになっていきます。

 また、政府や国会に解任する権限のない日銀正副総裁人事は、一度決まったら本人が辞めると言うまでやめさせることはできません。国会が同意するまでにある程度の時間をとって、同意するにあたいする人物かどうか調べるのはもっともな話です。

■参議院の権威は?

 ただ、候補者の所信聴取を遅らせる形で審議を引き伸ばすのは、思わぬ副作用をもたらすおそれがあります。

 事実上は、衆議院の所信聴取の内容が報じられることで、候補者の考えを参議院議員も知ることができるため、参議院での人事案同意の可否の検討時間は十分あります。

 しかし、建前上は、参議院で所信を聴取していないのです。これでは、参議院で所信聴取しなくても、衆議院で所信聴取するだけで十分ということになりかねません。

 参議院の権威に関わる話なので、のちのち問題になるかも知れません。


補正予算案の審議日程の攻防5・完


■2012年度補正予算案成立

2013年2月26日現在。参議院本会議で2012年度補正予算案が可決し、成立しました。反対116票に対し、賛成117票。1票差の成立です。本会議での採決に先立ち、参議院予算委員会でも補正予算案は可決されています。安倍内閣は、補正予算案に関して「ねじれ国会」を克服したと言えるでしょう。

■審議日程からうかがえる民主党への配慮

 さて、今回の補正予算案の審議日程は、衆議院と参議院でともに5日ずつとなりました。以下がその日程です。

1 2
3 4 5 6 7
衆議院1
8
衆議院2
9
10 11
祝日
12
衆議院3
13
衆議院4
14
衆議院5
衆議院通過
15
G20
(麻生財相出席)
16
17 18
参議院1

19
参議院2
20
参議院3
21
参議院4
首相訪米1→
22

首相訪米2→

23

首相訪米3→

24

首相訪米4

25
韓国大統領
就任式
(麻生財相出席)
26
参議院5
補正成立
27 28 1 2

 当初、民主党は衆参各7日の審議日程を主張していましたが、それよりは短くなりました。とはいえ、与党も首相訪米前の成立を目指し、衆参各3日の審議を想定していたので、与党が勝ったというわけではありません。

 おそらく、民主党としては訪米前の補正成立を阻止することが第一目標としてあったのでしょう。それを達成するために、補正予算案の審議日程としてはべらぼうな長さの衆参各7日を与党に吹っ掛けたのだと思います。

 与党が訪米前の成立を断念せざるを得なかったのは、参議院で与党が過半数の議席を持たないためです。3月からは日本銀行の正副総裁人事の同意案件があり、2013年度本予算の審議も始まります。これらの課題をうまくこなさなければ、7月の参議院選挙での与党勝利はおぼつきません。

 このため、参議院の情勢を踏まえた国会戦略を立てる必要があります。この国会戦略の遂行が、「補正予算案の審議日程について民主党に譲歩する」という結果につながったのだと思います。

■わかったこと

 補正予算案の審議日程をおってわかったことは、以下の3つです。

    1.補正予算案を審議する予算委員会は、衆議院と参議院で同じだけの日数行われる
    2.予算委員会は、首相や財務大臣など主要な大臣が出席できない状況にでもならない限り、平日で連日行われることがある
    3.予算委員会の採決と本会議での採決は同日中に行われることがある

 ちなみに、補正予算案の審議日程の攻防4で書いた読売新聞の「26日参議院予算委員会採決、27日本会議採決」説は外れました。今週中に行われる、首相の訪米に関する衆参予算委員会の集中審議のあと採決する予想だったのでしょうか。まだまだわからないことは多いです。

    *2012年度補正予算案シリーズ*


補正予算案の審議日程の攻防4


■補正予算案、参議院で審議中

 2013年2月20日現在。先週、衆議院を通過した補正予算案は、参議院で審議中です。明日21日の首相訪米前にケリをつけたかった与党ですが、野党は応じず、補正予算案成立は来週になる見込みです。

■読売の予想の根拠は?

 与党が21日採決を断念したことを報じる記事は、朝日、毎日、読売などから発信されました。

 ほとんどの記事で、補正予算案の成立を「25日以降」としているなか、読売だけ「委員会採決は26日頃、本会議での採決は27日になる見通し」と、やたら細かく予想しています。

 なぜ26日採決なのでしょうか。慣例によれば、衆議院で5日審議している以上、参議院でも5日審議すれば十分なはずで、採決は25日にも可能に思います。

 この記事によると、「25日に行われる韓国大統領就任式に、政府が麻生太郎副総理兼財務相を派遣することを検討している」とあります。麻生財務大臣がいなくては予算委員会を開けないため、読売は26日に委員会で採決すると予想しているのかもしれません。

■読売の予想は合っているか?

 ただ、麻生大臣の訪韓を他社が知らなかったとも思えないので、読売だけ26日委員会採決と書いた理由はよくわかりません。それだけでなく、委員会採決と本会議採決が別々の日になるという根拠もよくわかりません。

 どの記者もだいたい読売と同じように考えていたけれど、読売以外は安全策で25日以降と書いたのでしょうか。それとも、読売だけ特別な情報源があるのでしょうか。

 読売の予想が合っているか、ちょっと楽しみです。


補正予算案の審議日程の攻防3


■衆議院通過は2月14日

 2013年2月13日現在。12日の衆議院予算委員会理事会で、補正予算案を14日採決することで合意した、という記事が今朝の朝刊に出ていました。記事によると、与党は13日採決を求めていたようですが、野党に押し切られた形です。

■記者のカレンダー

 補正予算案の実質的な審議は7日から始まっています。14日に衆議院予算委員会で採決された場合、衆議院では5日審議したことになります。慣例として、衆議院と参議院の予算委員会は同じだけ日数をかけることになっているので、参議院でも補正予算案の審議に5日かけることになります。

 以上を踏まえると、補正予算案の審議日程は、最速で次のようなスケジュールになります。

1 2
3 4 5 6 7
衆議院1
8
衆議院2
9
10 11
祝日
12
衆議院3
13
衆議院4
14
衆議院5
衆議院通過
15
G20
16
17 18
参議院1

19
参議院2
20
参議院3
21
参議院4
首相訪米?
22
首相訪米?
23
首相訪米?
24
首相訪米?
25
参議院5
補正成立?
26 27 28 1 2

 時事通信のこの記事で、「(補正予算案の)成立は早くて25日ごろになる」とありますが、この想定を書いた記者の頭の中にあるカレンダーは、これと同じものだと考えられます。


補正予算案の審議日程の攻防2


■首相の訪米

 2013年2月6日現在。前回の記事では、与党と民主党が補正予算案の審議に何日かけるのかで揉めていることと、財務大臣が国際会議(G20)に出席する2月15日は予算委員会が開けないことについて書きました。

 すでに昨年の衆議院総選挙の前からも報道されていましたが、安倍首相は今月下旬に訪米する予定です。現地時間の22日にはオバマ大統領と会談するとも言われています。

 このスケジュールが変わらない限り、首相は2月の第4週の後半は国会に出席できないということになります。

■衆参各7日だとどうなるか

 政府与党は、安倍首相の訪米前には補正予算案を成立させたいようですが、民主党は抵抗しています。

 もし民主党の要求通り衆参各7日の審議日程になると、以下のようになります。

1 2
3 4 5 6 7
衆議院1
8
衆議院2
9
10 11
祝日
12
衆議院3
13
衆議院4
14
衆議院5
15
G20
16
17 18
衆議院6

19
衆議院7
衆議院通過?
20
首相訪米?
21
首相訪米?
22
首相訪米?
23
首相訪米?
24
首相訪米?
25
参議院1
26
参議院2
27
参議院3
28
参議院4
1
参議院5
2

 首相の訪米日程は、昨日6日の日経朝刊に出ていた「政府・与党が想定する政治日程」の表を参考にしました。

 見ての通り、民主党の要求を受け入れて、訪米の日程も修正しない場合は、2月中に補正予算案の審議が終わらないことになります。補正予算案の審議が終わらなければ来年度予算案の審議はできませんから、来年度予算案が5月の連休前に成立するか怪しくなってきます。

 また、訪米や大統領との会談は相手のあることなので、時期を日本側の都合だけでずらすのも難しいでしょう。しかも、今回の訪米は、日本側から1月中の首脳会談を持ちかけていながらアメリカ側から延期を持ちかけられた経緯があるので、余計やりにくいところです。

■衆参各4日なら政府与党の勝利

 これが、衆参各4日なら20日には補正予算案が成立します。訪米も果たしつつ、今月末に来年度予算案を提出することもできるのです。もし、補正予算案の審議が衆参各4日の日程になったら、政府与党の勝利だと考えていいと思います。

 野党共闘という文脈の中で、民主党の国会戦略が有力野党(維新&みんな)から浮き始めているという報道も出てきています。補正予算案の審議日程について、民主党がどのあたりで納得するかというのは、大変興味深いところです。