国会のおさらい:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール1


国会のおさらい

 「通常国会」「臨時国会」、政治関連のニュースでよく出てくる国会に関する言葉です。当たり前のように出てきますが、たとえば「臨時っていうけど、毎年やってない?」と思ったことはないでしょうか。ここでは、国会の基本中の基本についておさらいします。

国会とは何か

 日本の国家権力は、大きく3つに分類されます。立法、行政、司法です。立法が国会、行政が政府、司法が裁判所にそれぞれ対応します。国会を中心にみると、国会が決めた予算や法律の範囲内で政府が政策を実行し、政府の実行した政策が法律の範囲内かどうかを裁判所がチェックする、という関係になっています。いわゆる三権分立です。

三権分立

 分立といっていますが、国会と政府には密接な関わりがあります。政府の中枢機関である内閣のトップは、内閣総理大臣です。この総理大臣は国会議員のなかから、議員同士による選挙で選出される決まりになっています。そして、内閣の構成員である大臣の過半数は国会議員でなければなりません。また、政府の役所には、副大臣や政務官などという立場で、国会議員が入って仕事しています。国会議員は政府機関の幹部にもなります。

立法と行政の融合

 国会の主な仕事は、法律を決めること、予算を決めること、条約の承認を決めることや、内閣総理大臣を選出することが挙げられます。これらの仕事は、いずれも政府の活動の根拠になるものです。政府が何か新しいことをしようとしたときに、法律の根拠がなければ権力をふるえません。予算がなければ役所は新しく公務員を雇ったり、民間企業と取引したりすることもできません。総理大臣が決まらなければ、内閣が成立せず、役所を指揮することができません。原則として、国会が決めないと政府は新しい活動を何もできないのです。

衆議院と参議院

 国会は衆議院と参議院の二院で構成され、その中心となる議員は日本国民が選挙で選びます。衆議院議員の任期は4年で、参議院議員の任期は6年と両院で差があります。さらに、衆議院には参議院にはない「解散」というものがあります。内閣総理大臣がすべての衆議院議員を任期の途中でクビにして、新しく衆議院議員を選ぶ選挙を行うことを解散と呼びます。解散があるので、衆議院議員が4年の任期をまっとうすることはほとんどありません。

内閣不信任決議権

 衆議院には解散があるかわりに、参議院にはない権限をいくつか持っています。まずは、内閣不信任決議権です。政府の中枢である内閣に対して「信任しない」という決議を衆議院がしたとき、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職して政権を失うかのどちらかを選ばなければなりません。衆議院を解散したとしても、選挙に勝てなければ政権を失うことになるので、内閣不信任決議権は非常に強い権限です。ちなみに、選挙に勝っても形式上以前の内閣は総辞職しますので、不信任となった内閣が総辞職する運命はくつがえせません。衆議院の支持を失えば内閣が倒れるというこの制度を、議院内閣制と呼びます。

衆議院の優越

 次が衆議院の優越です。国会の議決は、衆議院と参議院が一致して議決したときに有効となるのが原則です。ある法案について、衆議院が可決、参議院も可決すれば法案が成立して法律になります。もし、衆議院と参議院の議決が一致しなかった場合は、法案は成立しません。ただし、法案については衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、衆議院の3分の2以上の賛成で再び可決した場合はその時点で法律になります。

 さらに、予算案の議決や条約の承認の議決は、衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、両院協議会という話し合いの場でも衆参で折り合いがつかないときは、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。内閣総理大臣の指名の議決も、衆参の指名が不一致で両院協議会の話し合いも不調に終わった場合は、衆議院が指名した国会議員が内閣総理大臣になります。このように、衆議院と参議院の議決が異なったときは、条件付きで衆議院の議決が優先されます。

 ここまで説明したのは、衆議院と参議院の議決が出揃ったあとの取り決めです。もし、参議院が議決をしなかった場合はどうなるでしょうか。参議院が議案を議決しないで放っておいた場合もちゃんと想定されています。衆議院で議案を可決後、憲法で決められた日数経過しても参議院が議決をしない場合は、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。これを「自然成立」と呼びます。

 自然成立の日数は、議案によって違います。内閣総理大臣の指名が衆議院の議決から10日、予算案と条約の承認が30日になっています。法案については、衆議院の議決から60日以内に参議院が議決しないときに、衆議院が「参議院は法案を否決したとみなす」という議決をすることができます。これを「みなし否決」と呼びます。衆議院の議決から何日経過したときに、どの議案を自然成立、またはみなし否決できるかをカレンダーで表すと次のようになります。

衆議院の優越

 国会について考えるときは日付の感覚が非常に重要です。自然成立とみなし否決の日数をカレンダーの面積で把握することで、国会の日程の窮屈さが体感できるようになると思います。今後も必要に応じて、カレンダーをつかった説明をしていきます。

 ちなみに、法案は衆議院と参議院どちらから審議を始めても構いません。ただし、予算案に関しては衆議院の議決が優先される関係上、必ず衆議院から審議を始めます。これを「予算先議権」と呼びます。衆議院の優越に関する規則は、衆議院ですでに議案が議決されていることが前提になっています。もし予算先議権がないと、参議院で予算をいつまでもいつまでも審議して議決せずに、衆議院で審議できない状況になってしまうのです。

国会の種類と会期

 国会は、他の役所のように一年をとおして平日に必ず開いている機関ではありません。一定の期間だけ活動します。国会が開かれている期間のことを、「会期」と呼びます。国会は、会期中のみ予算案や法案などを議決することができます。逆にいうと、会期中でなければ、新しい法案を成立させることはできません。

 国会は憲法の規定により、一年に一回は必ず開くことになっています。国会を開くことは、国会議員を集めることなので、「召集」と呼ばれます。一年に一回必ず召集する国会を「通常国会」と呼びます。通常国会は「常会」「通常会」などとも呼ばれます。

 通常国会は国会法により、1月中に召集することと、会期を150日間とすることが定められています。150日たっても審議が終わらない場合は、国会が議決すれば一回だけ会期を延長することができます。

 さて、通常国会が会期を終えたあとに、新たに予算をつけたり法案を成立させたりしたい場合はどうすればいいでしょうか。来年の通常国会まで待たなければならないのでしょうか。

 通常国会まで待てないときは、臨時に国会を召集することができます。これを「臨時国会」「臨時会」と呼びます。臨時国会の会期は国会の議決で定めます。何日でもいいのですが、60日程度になることが多いです。また、延長は二回までできます。

 また、衆議院議員を投票で選ぶ総選挙を行った直後に、必ず召集する国会もあります。「特別国会」「特別会」と呼びます。なぜ、総選挙後に必ず召集しなければならないかというと、総選挙後に選挙前の内閣が総辞職するため、新たに総理大臣を選ばなければならないからです。もちろん、選挙前と同じ国会議員をもう一度総理大臣に選んでも構いません。ちなみに、以前総理大臣であった国会議員が新たに総理大臣になった場合は、内閣のカウントがアップして、「第二次○○内閣」などと呼ばれるようになります。

 特別国会の会期と延長については臨時国会と同じルールが適用されます。

国会の種類

本会議と委員会

 国会には、主に2種類の会議があります。全議員が集まる「本会議」と、何十人にかずつ議員が集まる「委員会」です。

 本会議は全議員が集まる、議院の意思を決定する会議です。本会議で議決されたことが、議院の議決になります。すべての議案は、本会議で議決されてはじめて院議になります。いままで出てきた「国会の議決」というのは、本会議で採決し可決されたものという意味です。

 委員会はテーマや分野ごとに設置されます。予算について話し合う「予算委員会」が有名ですね。国会議員はひとりひとり所属する委員会が割り当てられます。委員数は委員会によって違いますが、20人から40人くらいが定員になっています。

 国会に提出された議案は、内容に応じた委員会に付託され、審議を始めます。委員会で審議が終わったら、本会議で委員会の審議結果を聞いて採決する、という流れになります。委員会でほとんどの審議を行うこの制度を、「委員会中心主義」と呼びます。

 ここまで、国会をいわば外からながめて、国会自体がどういう能力を持っているか、国会自体にどのようなきまりがあるかを説明をしました。次からは、いよいよ国会のなかで何が行われているかについて説明していきたいと思います。


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