「0増5減」vs「18増23減」:野党に花をもたせる与党?


 2013年6月9日現在。6月7日、自民党と民主党は「0増5減」の区割り法案の審議入りで合意しました。詳しい話し合いは6月10日に行うようですが、何かあっけないというか、何かがくすぶっているような感じがします。

■なぜ6月7日に話がついたのか

 6月7日に事態が動くのではないかとは、4つのパターンを考えていた時うすうす感じていました。以下の記事を読んでいたからです。

 野党側がこだわる背景には、6月9日までに法案が成立、公布された場合、必要とされる1か月間の周知期間を経て「7月9日公示-21日投開票」の衆院選が可能となることがある。
(読売新聞「参院本会議 延び延び」2013年6月4日朝刊)

 読売の見立てでは、野党は衆院選と参院選のダブル選挙を避けるのに躍起になっているというのです。なぜ野党がダブル選挙を嫌うのかというと、今まで2度行われたダブル選挙はすべて与党が勝利しているからです。

 しかも、各メディアによる世論調査でも、安倍内閣の支持率は60%をゆうに超えています。この状態で選挙になったら、衆議院の議席数はあまり変化がないにしても、参議院で与党に過半数を握られて、野党が今までのような力を失ってしまうかもしれません。

 読売の見立て通り、民主党は「ダブル選挙を避けるため「0増5減」の区割り法案の成立が6月9日よりあとになりさえすればいい」と考えているのだとします。6月9日は日曜なので、最後の平日は6月7日金曜日です。民主党は6月7日まで粘ればいいのであって、そのあと審議に応じればダブル選挙回避という目的は達成できるわけです。

■しっくりこなかった

 このような可能性をうすうす感じていたのに、記事に書けなかったのは何かしっくりこないものがあったからです。

 「0増5減」をめぐる参議院の攻防は、当初、野党が審議入りに応じないというところに焦点がありました。ですが、途中から「18増23減」法案がでてきて「与党が「18増23減」法案の審議入りを認めないから審議が進まない」と、焦点が与党の対応に移っていきます。

 この、与党が「18増23減」の審議を認めないことのメリットがわかりません。「衆議院の選挙制度改革案が参議院先議ではおかしい」というのは単なる理屈です。なんとしても審議して「0増5減」を早期に成立させようという与党の意気込みが見えてこないような気がします。「18増23減」の大義については野党から様々な発信がありますが、与党は「0増5減」の大義名分をあんまり熱心に訴えている様子がありません。少なくとも報道にはでてきません。

■仮説

 どうして与党の動きが鈍いように感じるのでしょうか。

 読売の見立てを前提として仮説を組み立ててみます。

  1. 野党としては6月9日までの成立は絶対阻止したい。
  2. そのためには審議入りを遅らせるのが一番いい。
  3. 審議入りを遅らせるには、法案を吊るしておく(委員会に付託せず放っておく)ことがいい。
  4. 単に吊るしておくだけではだめだ。与党に責任の一端を追わせたい。
  5. 「0増5減」を廃止する「18増23減」の審議入りを求めよう。
  6. 「18増23減」を委員会に付託する動議を出して、より与党の責任を明確にしよう。(5月29日)
  7. 目論見通り「18増23減」の委員会付託を与党が拒否した。これで野党だけの責任ではなくなる。
  8. めでたく6月7日も終わりに近づいた。ダブル選挙を行うには時間切れになった。さぁ、お互い話をつけよう。審議しないまま再可決されては、参議院の存在意義が問われてしまう。

 こう考えた時にもっとも納得いかない点が、6です。ここがいちばんよくわりません。なぜなら、与党は6月7日にあっさり「18増23減」を「付託するだけなら(審議しないなら)良し」と、委員会付託に賛成しているからです。じゃあ最初からそうすればいいじゃないかと思うのです。

■野党に花をもたせる野党

 そもそも、今国会における与党の国会戦略のキーワードは「安全運転」です。7月の参議院選挙に勝利するため、批判を受けるような無理な強行採決や再可決などはしないという方針のはずです。そう考えると、今回の騒動は、与党が野党に付き合ってあげたのかもしれません。

 「0増5減」の区割り法案は、与党があきらめなければ、会期末までにに確実に衆議院で再可決して成立させることができます。もう勝敗は決していると言っていいでしょう。でも、それだけでは野党がかわいそうです。あまり野党を追い詰めると、捨て身の攻撃に出て今回の騒動なんか目じゃないくらいの混乱に陥る可能性があります。そうしないためにも、野党にアピールの場を与える場所が必要だったのかもしれません。


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