強行採決とは


■強行採決のイメージ

 騒然とする委員会室。野党議員に羽交い締めにされそうになりながら、委員長はマイクを握りしめ、声を張り上げます。

 「本案に賛成の諸君の起立を求めます!」

 委員長の叫びに応え、与党議員が一斉に起立します。与党議員が起立するや否や、委員長は宣言します。

 「起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。」

 私の中の強行採決のイメージはこういうものです。

■どうなると強行採決か

 強行採決とは、与野党理事の話し合いがつかずに「採決」を強行することを言います。

 原則として、委員会の議事進行は各委員会の理事会や理事懇談会で決められます。しかも、その決定は全会一致とする慣例になっています。全会一致なので、野党理事が賛成しない限り議事進行は決まりません。

 与野党が激しく対立している議案の場合、野党はありとあらゆる手を使って議事を遅延させようとします。その遅延策のひとつが、採決に応じないことです。採決しなければ、審議は終わりません。いくら与党の議席が多くても、採決して賛成多数で可決しなくては先にすすまないのです。

 よって、どうしてもその議案を通したいときは、与党は数の力を行使するために、強行採決をすることになります。数の暴力をふるうのも結構大変なのです。

■強行採決が必要なときとは

 野党の議事遅延策、議事妨害が厄介なのは、それによって時間を消費してしまうためです。

 政府・与党が成立させなければならない法案はひとつやふたつではありません。夏の参議院選挙を控え、例年より政府提出法案が少ないといわれている今年(2013年)の通常国会でも、その数は60を超えています。政府・与党の立場からすると、審議は十分しなければなりませんが、ひとつひとつの法案にあんまり時間をかけるわけにもいかないのです。あんまり時間をかけると、何一つ決まらない事態に陥りかねないからです。

 国会は審議する場所でもありますが、決めるところでもあります。何も決めないと、それはそれで国会の権威は危うくなります。

 また、与党であるからには、少なくとも衆議院では多数の議席を占めているはずです。ということは、野党より多くの国民の支持を得ているはずなのです。多数の意見もまた、国政に反映させなければなりません。

 少数意見を大切にするのはいいことです。しかし、少数意見が常に多数意見を封じ込めてしまうのはよくありません。それは少数の独裁であり、民主主義の目指すものとは違うはずです。

 最終的に決断するため、強行採決が必要なときもあります。


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