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本会議趣旨説明要求という武器

 2014年1月9日現在。自民党・公明党がまとめ国会運営改革案に「議員立法の積極的な審議に努める」というものがあります。政府提出法案の審議で忙しいなか、野党議員が提出した法案はなかなか審議されないので、野党にとってもいい項目です。

 ただ、その実現方法として挙げられている「提出法案の即時付託」というものが気になります。付託というのは、法案審議の前提である法案の委員会付託のことです。付託されなければ法案は審議されません。可決するとか否決するとかいう以前の段階でストップしてしまいます。ですから、「提出法案の即時付託」というのは何でもないことのように思えます。

 しかし、この条項を野党がすんなり受け入れるのは難しいです。現状では、法案が即時付託されることはまれです。政府・与党が提出した法案は野党が、野党が提出した法案は与党が、本会議趣旨説明要求というものを出して、委員会付託をストップしているからです。

 本会議趣旨説明要求が出された法案が、委員会に付託される道は3つあります。以下のリストは、白井誠『国会法』(信山社2013)P.148を参考にしています。

  1. 議院運営委員会の決定により趣旨説明・質疑を行う
  2. 趣旨説明を要求する会派が要求を取り下げる
  3. 議院運営委員会において趣旨説明を聴取しないことを決定する

 この3つの過程のいずれかを経なければ、法案は放っておかれます。

 各党、特に野党は政府提出法案の成立を困難にするため、本会議趣旨説明要求を使って法案成立のスケジュールを複雑化しています。これが与党との交渉材料になるのです。ですから、法案の即時付託が原則になると、野党としては与党に対抗する武器がひとつ減ってしまうことになります。

野党提出法案はなかなか審議されない

 2014年1月8日現在。昨年から国会に関する制度や慣例を見直し、国会運営を改革しようという動きがあります。

 国会運営改革の主な狙いは、首相や大臣が国会に出席しなければならない回数を減らし、その分の時間を使って政府の仕事(各省庁の仕事)をしたり、海外に出かけて各国と交流したりしようというものです。

 与党、というより政府としては、これが実現するとうれしいのですが、野党としてはそうはいきません。首相や大臣の国会出席の頻度が減ると、その分、野党が首相や大臣に直接質疑する頻度も減るからです。

 与党は野党を説得するために、野党も喜ぶような国会運営改革案をいくつか入れています。その中に、提出法案を即時付託して、野党が提出した法案を含めた議員立法を積極的に審議するというものがあります。

 野党が提出した法案は、なかなか審議されることがありません。政府が提出した法案がどうしても優先されてしまうので、審議する時間がなかなかとれないからです。例えば、昨年の臨時国会で共産党が参議院に提出した「労働基準法等の一部を改正する法律案」は一秒も審議されませんでした。審議どころか、審議の前提となる法案の委員会付託すらされていません。

 そんな現状ですから、提出法案を即時付託し、議員立法を積極的に審議するという方針をとることは野党にとって意味があります。ただ、提出法案の即時付託は、野党にとって諸刃の剣になる可能性があるので、野党がすんなり賛成するかどうかわかりません。