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出したいけど、可決したら困る。「内閣不信任案」:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール5


 内閣が役所を指揮できる根拠は、衆議院の信任を受けているというところにあります。それゆえに、衆議院が「本院は、○○内閣を信任せず。」と議決することは、内閣の命運が尽きることと同じです。その他の不信任案と違って、内閣不信任案は採決の結果次第で重大な政治的な状況を生み出し、単なる野党の審議引き延ばし策以上のものになります。そんな内閣不信任案をめぐる攻防を見ていきましょう。

内閣不信任案が可決するのは、与党が割れたとき

 内閣不信任案が可決されたケースは4例あります。1948年の第2次吉田内閣、1953年の第4次吉田内閣、1980年の第2次大平内閣、1993年の宮沢内閣です。

 このうち、1948年のケースは衆議院総選挙を早期に行うことで与野党合意していた、いわば八百長のようなものですが、それ以外のケースは与党議員の造反により可決したガチのものです。

 1953年は、当時の吉田総理が国会審議中に漏らした「ばかやろう」という言葉をきっかけにして起こった政局で、与党自由党を脱党した議員が不信任案に賛成しました。

 1980年のケースは、当時の大平総理に対抗していた福田赳夫元総理を支持する与党自民党内の反主流派の欠席により、出席していた与党議員の数が野党議員を下回ったことで不信任案が可決するというものでした。このケースでは初の衆参同日選挙となり、大平総理が選挙中に死去したこともあってか、自民党は衆参両院で大勝しました。

 1993年のケースは、与党自民党の最大派閥が内紛により分裂し、派閥抗争で少数派になった議員や当時の一大テーマであった「政治改革」に対して宮沢内閣が消極的だと考えた議員が不信任案に賛成したことで可決しました。1955年の結党以来与党であった自民党が初めて下野するきっかけとなった事件でもあります。

 このように、内閣不信任案が可決したケースが与党議員の造反によるものしかないのはある意味当然です。衆議院の過半数の支持を得て総理大臣になるのが普通です。過半数の支持を得てできた内閣が、過半数の信任を得られなくなるということは、支持したうちの何人かが不支持にまわったからなのです。

 逆に言えば、与党が一枚岩ならば内閣不信任案は絶対に可決することはありません。野党が与党を分裂させるような動きをしていない場合は、不信任案が可決することを望んでいないとすらいえるでしょう。

内閣不信任案が可決したら、選挙戦がはじまる

 内閣不信任案の可決には、内閣に次の2つの選択肢のうちのいずれかを選ぶことを強制する効果があります。ひとつが内閣総辞職すること。もうひとつが衆議院を解散することです。どちらかを、10日以内に選ばなければなりません。

 内閣総辞職するのは、内閣総理大臣を選び直し、現在の衆議院が信任する内閣を作り直すためです。そして、衆議院の解散には、内閣を信任しない衆議院議員全員をクビにしたうえ、選挙で国民に選び直してもらい、新たな衆議院の信任を得た内閣を作り出すという狙いがあります。衆議院の不信任の議決に素直にしたがうか、議決に対抗して、内閣と衆議院のどちらが正しいかを国民に問うかという違いです。

 過去に内閣不信任案が可決されたケースでは、内閣総辞職した例はひとつもありません。すべての内閣が衆議院を解散しています。内閣不信任案は解散の呼び水になる可能性があるのです。

内閣不信任案は野党にとって「もろ刃の剣」

 批判している政策を進める内閣の法案審議を妨害し、場合によっては退陣に追い込むことができる内閣不信任案は、野党にとって大変魅力的なものです。内閣不信任案の賛成討論は、内閣のこれまでの政治姿勢をまるごと批判できる機会でもあり、演説によって有権者にアピールすることもできます。実際、2018年7月20日に行われた安倍内閣不信任決議案の賛成討論は『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)として出版されました。

 そんな不信任案の欠点は「可決したら解散総選挙になる」という点です。

 与党議員の造反や欠席がなければ可決しない以上、内閣不信任案の可決により衆議院の選挙が前倒しで実施されることは、野党にとって政権獲得のチャンスになるはずです。与党議員に裏切られるような政権運営だったのならば、野党に勝ち目がある可能性が高いからです。

 しかし、野党側が選挙の準備が全くできていない状態で不信任案が可決したらどうでしょうか。選挙資金さえ十分でなく、他の野党とも争わなくてはならない状況であれば、政権獲得どころかよけいに党勢を落としてしまいます。

 与党議員が裏切るのではなく意図的に採決の前に欠席した場合は、与党にとって有利なタイミングで内閣不信任案が可決し総選挙になる可能性もあります。野党に選挙を勝ち抜くあてがなければ、出してはいけない決議案なのです。

総理大臣の「解散の構え」に翻弄された野党の例

 2019年6月に、内閣不信任案が野党にとってもろ刃の剣であるということがよく分かる事例がありました。

 2018年の臨時国会の会期末では、野党である立憲民主党と国民民主党との間で内閣不信任決議案の提出の方針が割れたという報道がありました。内閣不信任案の提出を求めた国民民主党に対し、立憲民主党は参議院選挙の直前となる2019年の通常国会の会期末にしぼって不信任案を提出することで与党との対決ムードを盛り上げたいと考え、提出を拒んだということです。(時事ドットコム『内閣不信任案で足並み乱れ=立憲・国民』2018/12/08-01:15)

 この報道によれば、立憲民主党は2018末の臨時国会で内閣不信任案を温存して、2019年の通常国会の会期末で提出する気満々だったということです。

 しかし、「総理大臣は、衆議院を解散して衆議院と参議院の同日選挙を狙っているのではないか」という観測が出ると、立憲民主党の幹部の中に内閣不信任案提出慎重論が出ているという報道が出始めました。この内閣不信任案提出慎重論は、5月下旬に官房長官が「内閣不信任案が提出は衆議院を解散する大義になりうる」と記者会見で質問に答えたことで、ピークに達します。

 5月30日の日経新聞朝刊には、野党5党派の党首会談で内閣不信任案の国会提出について話し合い、「様々な政治状況を判断したうえで、改めて状況によって相談させてもらう」(立憲民主党:枝野代表)、「今回は年中行事のように出すものではない」(国民民主党:玉木代表)、「党首会談で合意したのは、よく相談していこうという一点だ」(日本共産党:志位委員長)となんとも煮え切らない態度を示しています。

 ところが、徐々に同日選見送りの方向がみえてきた6月上旬には、野党党首は一転して内閣不信任案の提出に前向きになります。はっきりと不信任案を出さないほうがいいというようなコメントを出した玉木代表などは「不信任に値する点は多々ある。枝野代表が出すというのであれば協力したい」(日経新聞6月12日朝刊)と正反対のコメントを出しています。

 このまま内閣不信任案を出すのかなと思いきや、6月16日に枝野代表は「参院選に挑むので、首相の問責決議案を参院に出すのが筋ではないか」(日経新聞6月18日朝刊、読売新聞6月18日朝刊)と、不信任案の提出を見送るかのようなコメントを出しました。

 このコメントは「野党は通常、可決されても法的拘束力のない問責決議案より、内閣総辞職を迫る内閣不信任案を重視する」(読売新聞6月18日朝刊)という点で、これまでの常識では考えられないものでした。しかも、内閣不信任案を提出しない理由は「衆議院の解散がなさそうだから不信任案を出す、と思われるのはしゃくだ」(日経新聞6月18日朝刊、読売新聞6月18日朝刊)という信じがたいものでした。当然、不信任案を出す気になっていた他の野党党首は枝野代表のコメントに猛反発しました。

 結局、6月19日に行われた党首討論で総理大臣が衆議院を解散しない意向を示したことで、枝野代表は再び内閣不信任案の提出に傾きます。6月25日、立憲民主党や国民民主党などは内閣不信任案を提出しました。

 このように、内閣不信任案とその結果もたらされる可能性がある衆議院の解散は、野党を右往左往させる力があります。ちなみに、この事例では総理大臣や官房長官といった政権幹部だけでなく、与党議員からも解散総選挙待望論がある状態でした。1980年の衆参同日選挙以来、「同日選は与党有利」という考えがあるからです。与党が総選挙をやる気のように見えて、かつ、野党が選挙に消極的であることが重なったときに起こった、珍しいケースなのかもしれません。


不信任案や解任決議案で審議をストップ!:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール4


 国会で多数派にならなければ内閣を維持できない関係上、野党は与党よりも議席数が少ないことが普通です。ここからは、そんな野党が与党に対抗するためにどんな手段を使っているかを見ていきます。まずは不信任案の使い方です。

野党の欠席で審議が止まるのは、与党の配慮によるもの

 野党が法案審議を止める方法として、よく知られているのが審議拒否です。何らかの条件が満たされるまで委員会や本会議を開くことに反対し、開かれた場合も欠席します。

 与党としては、野党抜きで審議を進めたとあっては有権者に悪い印象を与えてしまう恐れがあります。余裕がある場合は「野党が出席しないのでこの会はお流れにします」と、与党が自発的に審議を止めてくれます。

 ただし、この対応はあくまで与党の譲歩です。定足数という委員会を成立させるための最低限の出席者を満たしている限り、野党の委員が何人休もうが委員会を開いて審議を進めることにルール上の問題はありません。委員会の定足数は「委員の半数以上」と国会法で定められています。すべての常任委員会で委員長を出して、かつ、定足数を満たす半数の委員を与党議員で占めることができる議席数を「安定多数」と呼びます。

 ただ、これだけでは与党で委員会を牛耳ることはできません。委員長は可否同数の場合しか採決に加わりません。ぴったり過半数の与党議員しか委員会に出せなかった場合は、与党議員から委員長を出すと、与党側は過半数を割ります。与党の委員がひとりでも欠席したら、採決で野党に負けてしまいます。委員長を出しても、与党議員が過半数になるようでなければ真に安定的な国会運営ができません。この状態をすべての常任委員会で達成できる議席数を「絶対安定多数」と呼びます。

 最低でも与党が安定多数となる議席を保持している場合は、定足数を与党議員だけで満たせます。野党の欠席で審議が必ずストップすることにはなりません。

 単なる欠席よりも審議を止める力が強い方法があります。委員長の不信任案を提出することです。

委員会の進行を少し遅らせる委員長の不信任案

 法案審議中に委員長の不信任案が提出された場合は、不信任案の採決が優先されます。つまり、不信任案の採決が終わるまでのあいだ、もともとやっていた法案審議が止まります。

 なぜ不信任案の採決が優先されるのかというと、不信任されるかもしれない委員長のもとで審議を進めるのは問題だという考え方があるからです。不信任されるような委員長は正常な委員会の運営をできないはず→そのような委員長のもとで審議を進めたらおかしな結果になりかねない→だから審議を止めて不信任案の採決をする、という理屈です。

 不信任案が否決されれば、委員長は信任されたということになります。そして、たいていの場合は与党委員の反対で否決されます。委員長は与党議員であることがほとんどだからです。

 不信任案を提出することで、強行採決を数分遅らせることもできます。

 質疑終局、討論省略のうえ採決を求める動議が出た直後、委員長の不信任を求める動議を出します。先に提出されたのは採決を求める動議ですが、委員長の不信任案の方が優先されます。不信任案の採決後、採決を求める動議が採決され、法案の採決にはいります。

本会議で採決するまで審議を止める委員長の解任決議案

 委員長の不信任案は、委員会を数分止めるくらいの効果しかありません。もうちょっと止めたい場合は、委員長の解任決議案を提出します。

 委員長の解任決議案は本会議で採決する必要があります。そのため、委員会開会中に解任決議案が出された場合は、本会議で決議案が採決されるまで委員会を中断しなくてはなりません。決議案が提出された日に本会議が設定されてなければ、委員会の再開は翌日以降になります。

 本会議も委員会も毎日やっているわけではなく、決まった曜日に開かれています。「あらかじめ決められた定例日以外に会議を開くことは望ましくない」という慣習があるようで、急に会議を設定するいうのは不可能ではありませんが、与党としては野党に抵抗するスキを与えることになってしまいます。つまり、解任決議案が提出されたからといって、予定されていない本会議をすぐに開くことは原則できません。

 委員長解任決議案を提出した場合は、委員会で委員長不信任案を出すよりも長い間審議を止めることができます。しかも、本会議は全議員が集まることに意味があるので、原則として本会議中はすべての委員会の会議を行いません。解任決議案しか議題がない場合は、すべての委員会の審議を決議案の採決の間止めることができるのです。

 似たような効果を持つものに、本会議で議決する所管大臣の不信任案、議長の不信任案などがあります。

不信任案の最優先、内閣不信任決議案

 究極の不信任案が、衆議院のみが議決できる内閣不信任決議案です。内閣不信任決議案が提出されると、衆議院だけでなく参議院の審議も止まる慣例になっています。「内閣」とは、総理大臣だけでなく、内閣を構成するすべての大臣を含みます。すべての大臣に対して不信任案が出されていて、かつ、可決した場合は内閣総辞職して全大臣がいなくなるか、衆議院が解散して全法案が廃案となる状態で、審議を続けても意味がないということなのでしょう。

討論、採決でさらに延長

 不信任案の採決の際も討論は可能です。本気で審議を遅らせようとする場合は、討論で1時間以上は演説して不信任案の審議を引き延ばし、後に控える法案審議の再開を遅らせることができます。

 また、内閣不信任案に限りませんが、本会議で採決する場合は採決の種類が4つあります。

・議長が異議の有無を聞く「異議なし採決」 ・議長が賛成の議員の起立を求める「起立採決」 ・議員が賛否いずれかのボタンを押す「押しボタン式投票」(参議院のみ) ・議員ひとりひとりが賛否を表す木札を演壇に置かれた投票箱に投票する「記名投票」

 このうち、一番時間がかかるのは記名投票です。内閣不信任案やその他の大臣の不信任案の採決方法に記名投票を要求することで、さらに審議の停止時間を延長することができます。ただし、記名投票は出席議員の五分の一以上の要求が必要です。野党会派の議席が少なすぎる場合、野党の意見を統一しなければ記名投票にできません。

同一の対象に対する不信任案は何度も出せない

 このように審議を確実に遅らせられる不信任案ですが、何度も出せるものではありません。一回の国会の会期内に同一の案件を二度議決しない「一事不再議」という考え方があります。同じ案件を何度も議決できると、いつその案件の可否が確定するかわからず国会の決議が信用されなくなるおそれがあります。国会の決議に対する権威を落とさないための工夫です。

 一事不再議の原則により、会期内に出せる不信任案や解任決議案は、それぞれの対象について一回だけです。たとえば、ある委員長の解任決議案を会期の序盤で出した場合、決議案が否決されたあと、どんなに強引な委員会運営を委員長が行っても、もう一度解任決議案を出すことはできません。

 実際、2018年の197回臨時国会で、外国人労働者の受け入れを拡大する「入管難民法改正案」の審議を衆議院法務委員会で審議し始めた段階で、野党が法務委員長の解任決議案を出して否決されたことがあります。このあと、法務委員長は解任も不信任もされることのない「無敵の法務委員長」となり、どんどん職権で委員会を開いて審議を進めていきました。不信任案や解任決議案を提出するタイミングは慎重に見極めなくてはいけないのです。

 ちなみに、内閣不信任案を提出したあとは、個別の大臣に対する不信任案を出せません。内閣不信任案がすべての大臣の不信任案を兼ねているためです。ですから、もし国会冒頭で内閣不信任案を出して否決された場合、どの大臣も必ず不信任案が出されない無敵の内閣が誕生することになります。

 ただし、一事不再議は絶対の原則ではありません。同一会期内であっても、社会情勢が変化したなど、前回不信任案を否決したあとに事情が変わったとみなされる場合はもう一度不信任案を出せるとされています。

 不信任案は、単なる欠席よりも確実に国会を止められますが、出すタイミングをはかる必要があります。野党が効果的に不信任案を出した場合は、どうせ与党の反対多数で否決されたとしても、評価されてほしいものです。

 不信任案の基本はこれでOKです。次は内閣不信任案をめぐる攻防についてみていきましょう。


意外と知らない国会審議のルール:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール3


 法案にせよ予算にせよ、審議のメニューはだいたい同じです。議案が提出され、審議する委員会が決められて審議採決したあと、本会議で採決します。このプロセスのひとつひとつに、思いもよらぬルールがあります。

 「国会というのは話し合うところだと聞いているけれど、話し合うだけなのにルールなんて必要なの?」と不思議に思うかもしれません。

 こんな場面をイメージしてみてください。2人の人間が向かい合って話しています。ただし、片方は包丁を持っていて、もう片方の胸に刃を突きつけています。この状態で話し合って出した結論を「話し合った結果」として、あなたは認められるでしょうか。

 もちろんこの例は極端なものです。ですが、現実でも買い手と売り手、上司と部下、先輩と後輩、大人と子どものように、力が大きい人と小さい人が話し合う場面はあります。そういう場面がほとんどかもしれません。あなたも力関係を考慮して、自分の主張を引っこめたことはないでしょうか。

 話し合いを成立させるということは、実は難しいことなのです。国会のルールも、すべてまっとうな話し合いを実現するためにあります。

 逆にいうと、ルールを逸脱してしまった場合には、話し合いが成立しなかったとみなされて、決めたことが無効になったり、やり直しが必要になったりします。国会では、審議過程に問題があり、「議事不成立」とみなされると議決が無効になる可能性もあります。

 プロセスを重視することこそが、話し合いを成り立たせるために必要です。

提出前に与党で審議されている政府提出法案

 国会で審議されるのは主に法案、予算、条約の承認についてです。このうち、予算と条約は内閣のみが提出します。予算編成をする権限と条約を締結する権限は内閣にあるからです。

 法案については、内閣と国会議員が提出できます。内閣、つまり政府が提出する法案です。政府提出法案は、各省庁が政策を遂行するために作成したものです。法案を作成しているのは役所に所属する官僚です。官僚が作成した法案は、内閣法制局の審査を経て、閣議決定されて国会に提出されます。国会に提出された法案のうち、成立するもののほとんどが政府提出法案です。

 政府提出法案は役所で働く官僚が作成したものですが、その作成過程で与党議員と官僚が事前に話し合いながら作成することもあります。たとえば、自民党が政権与党である場合は、党内の政務調査会という機関で自民党の国会議員と官僚とが議論しながら法案を作成します。自民党政権では、政務調査会や総務会といった党内機関で正式決定されない法案は、閣議決定されないことになっています。このような仕組みを「事前審査制」と呼びます。「自民党が法案を了承した」という言葉は、この政務調査会や総務会で法案審査が終わって閣議決定が可能になった状態をあらわしています。

多数決を確実にするための事前審査

 なぜ事前審査が必要なのでしょうか。もし事前審査がなかったとすると、与党議員は国会で初めて法案について議論することになります。そうなると、国会では野党議員だけでなく、与党議員も政府にどんどん質問をするようになるでしょう。

 事前審査をしないことで、ゲームが完全に変わってしまいます。野党の相手をしながら、限られた会期のなかで、いつ採決するかを決めるゲームではなく、政府が与党と野党の議員を会期内に説得しなければならないゲームになります。政府にとって、相手プレーヤーが与党と野党の2者に増えるのです。難易度はイージーモードからハードモードになるくらいの変わりようです。

 いくら与党の議席数が野党より多くても、与党議員が一体となって賛成しなければ、法案の成立は不確かなものになります。ですから、政党が党の方針として法案の賛否を決めたときは、採決の際に決定したとおりの行動をとるように所属議員に強制します。議員の意思にかかわらず、党が賛成と決めたら賛成し、反対と決めたら反対するということです。これを「党議拘束」と呼びます。自民党政権では、自民党総務会で「決定」された法案は、閣議決定することができると同時に、党議拘束がかけられます。事前審査制のもとでは、法案提出の前提となる閣議決定がされた時には、与党議員全員の賛成が約束されていることになります。

 与党議員は与党の方針に従い、野党議員は野党の方針に従うというのは、当たり前のように思いますが、実はそうではありません。一般人でも何人か集まれば、おのおの勝手な行動をはじめます。ましてや、国会議員です。わざわざ選挙に立候補して、過酷な選挙戦を勝ち抜いてきた人たちです。一般人よりも強い思いと主張をもった人が多いはずです。国会対策を円滑に進めるうえで、議員を統制する仕組みは必要不可欠なのです。

国会議員は簡単に法案を提出できない

 「国会議員は法律を作るのが仕事」といわれることもあり、当然に国会議員も法案を提出できます。ところが、現在の制度では自由に法案を提出できません。議員による法案提出には厳しい条件があります。衆議院では、法案の提出者の他に、賛成者として国会議員が20人必要です。さらに、法案が新たに予算が必要なものである場合は賛成者が50人必要です。参議院は議員の数が衆議院と違うので必要な賛成者の数も違います。予算が必要ない法案は賛成者が10人必要で、予算が必要な法案は賛成者が20人必要です。

法案提出要件
法案提出要件

 衆議院では、議員の数が21人以上の会派であれば、会派主導で法案を提出することができますが、20人以下であれば難しくなります。会派に所属しない議員など、絶対法案を提出することができません。

 衆議院ではこの他に、法案提出には提出者が所属する会派の「機関承認」が必要です。所属会派の許しがなければ法案を提出できないのです。国会議員が多数いる会派に所属する議員でも、会派の主流派と違う考えの法案を提出するには、所属会派の他の議員を説得しなければなりません。提出されやすい法案は、多数会派の野党による政府の政策に反対する内容の法案でしょう。

 このように、国会議員が法案を提出するのは非常に高いハードルがあります。たまに、法案の提出数で国会議員をランク付けしようとする企画を目にすることがありますが、あまり意味があるとは思えません。法案提出は意外と難しいので、法案提出数がゼロの議員がサボっているとはいえないからです。与党議員ならば、法案提出数はゼロでも事前審査で政府提出法案に影響を与えているかもしれませんし、少数会派の野党議員ならば、法案提出のかわりに質問主意書で政府を追及しているかもしれません。与党と野党、多数会派と少数会派で、戦い方が違います。その違いを理解してから法案提出数や、質疑回数、質問主意書の提出数などの「数」を見なければ、数の意味を見誤ってしまうでしょう。

ゲームの攻撃力となる会派の議員数

 国会議員による法案提出の用件について説明する際、「会派」という言葉を使いました。会派も、あまり説明されない割に、あたりまえのようにニュースに出てくる言葉です。

 会派とは、国会内の議員グループです。国会議員同士のグループというと、まず政党が思いうかぶかもしれません。「自民党」や「共産党」というのが政党です。国会では、政党ではなく会派という単位で活動しています。だいたい同じ政党の議員同士で会派を組みます。政党と会派の構成員はほとんど同じになりますが、政党に所属しない無所属議員が既存政党の会派に参加したり、別々の政党同士でひとつの会派を作ったりすることもよくあります。違う政党同士で作る会派を、「統一会派」と呼びます。

 政党と会派では、会派の方が自由に組み合わせができるイメージがあります。政党同士の合併となると、選挙について真剣に考えて選挙区の調整や政策のすり合わせをしなければなりません。とくに選挙区の調整というのは、選挙を勝ち抜かなくてはならない国会議員にとって、生きるか死ぬかの問題です。簡単に話し合いがつく問題ではありません。しかし、会派をひとつにするだけならば、選挙は関係ないのでそこまでハードルが高くありません。政党が合併する前に統一会派を組むということも行われます。

 さきほど説明した法案提出要件など、国会では会派に所属する議員の数がものをいう場面が多数あります。会派の所属議員数は、ゲームでいうと「攻撃力」のようなものです。会派を大きくすることは、国会内で影響力を発揮することに役立ちます。

 会派を大きくする方法は大きく2つあります。統一会派の結成のように、国会内で交渉して自会派の議員を増やす方法と、選挙で同じ政党の仲間をたくさん当選させて国会に送り込む方法です。

法案審議の最初の一歩にもハードルがある

 法案の審議は以下のような流れで行われます。予算審議も同じです。

法案の審議過程
法案の審議過程

 法案が提出されると、議長は法案の内容に応じた適切な委員会で審議することを決めます。法案審議する委員会を決めて、審議を任せることを「付託」といいます。法案が委員会に付託されないと法案審議は始まりません。

 提出された法案を付託することに揉める要素などない、と思うかもしれません。しかし、はやくも付託から与野党の攻防は始まります。

 法案の付託先を実質的に決めているのは、本会議の理事会のような役割を持つ、議院運営委員会です。この議院運営委員会の理事会で、与野党で見解が対立している政策に関する政府提出法案に、野党は「本会議趣旨説明要求」というものを出します。本会議趣旨説明要求が出された法案は、本会議で提案者による趣旨説明と質疑を行うか、要求者が要求を取り下げるか、趣旨説明しないことを議院運営委員会で決めるかするまでは委員会に付託されません。本会議趣旨説明要求によって法案の付託を遅延させる行為を「吊るし」と呼びます。

 法案が付託されないということは、法案審議が始まらないことを意味します。この状態を会期末ぎりぎりまで維持できるとしたら、法案は審議未了どころか審議未着手となり、野党がゲームの勝者になります。

 さて、与党側としてはそういうわけにはいきません。総理大臣や法案を作成した省庁の大臣を本会議に呼んで趣旨説明と質疑の答弁をさせたり、野党となんらかのやりとりをして趣旨説明要求を取り下げてもらったり、多数決で趣旨説明せずに法案を付託することを決めたりします。いずれも、ひと手間必要だったり、与党の国会運営が強引だという印象を国民に抱かせたりする厄介な仕事です。

 ちなみに、野党だけでなく、与党も野党提出の法案を吊るしています。

議院運営委員会は国会の交渉の中心

 議院運営委員会は、文字どおり議院の運営全般について話し合います。主な仕事は本会議の議題を決めることです。

 本会議の議題を決められるということは、国会で議決する内容を左右できるということです。なぜなら、議題に上がっていないものは採決されないからです。国会では議題と関係ない話題について質疑や討論をすることは認められません。会議において、議題を設定できるということはかなり強力な力です。

 議院運営委員会は、国会に影響を及ぼすうえで、非常に重要な委員会です。参議院では、議院運営委員会に委員を出せるのは、10人以上の議員が所属する会派であると決められています。この会派を「交渉会派」と呼んでいます。衆議院では特に制約はありません。会派の議席数の比率に応じて委員が割り当てられます。衆議院の場合は、委員になれない会派の議員にも、オブザーバーとして会議に出席することを許しています。

法案の提案理由説明で1回分の会議を消費する

 法案が委員会に付託されると、いよいよ本格的な審議が開始されます。ところが、法案審議の第1回目は、法案提出者による法案の提案理由説明のみで終わる慣例になっています。

 政府提出法案の場合、法案を作成した役所の大臣が説明します。質疑応答がなく、一方的に説明文を読み上げるためか、「お経読み」と呼ばれています。

 提案理由説明が終わった後、続けて質疑すればいいと思うかもしれませんが、委員が説明を聞いてから質問の内容を考えるため時間が必要という理由で、次の回から質疑に入ることになっています。ただし、読み上げる説明文は事前に配布されていて、その理由は成り立たないようにも思えます。

 無駄な慣習のように見えるでしょうか。審議を進めたい与党の立場からすれば、たしかに無駄です。しかし、審議を遅らせたい野党としては、必要な無駄です。初回を必ず提案理由説明のみにすることで、法案の成立を確実に1日分遅らせることができるからです。

 ただし、与野党で対立がない法案の場合は、提案理由のあと即質疑にうつる場合もあります。お経読みの慣習に限らず、すべての慣習には例外があります。

質疑の開始日が「実質審議入り」

 お経読みが終わった次の回から、質疑に入ります。質疑とは、委員会のメンバーが大臣や官僚などに口頭で質問することです。この質疑に入ることを「実質審議入り」と呼んでいます。

 普通、一回の委員会は長くて6時間ほどです。時間内にいろいろな会派の議員が質問できるように、会派の委員数に応じた比率で持ち時間を分配します。そうすると、与党会派の質問時間がいちばん多くなります。ただ、政府提出法案の場合、与党の議員は国会提出前に法案について議論し終わっているためか、議席数よりは少ない時間が配分されます。与党から野党に質問時間を譲っているかたちです。

 質問時間の配分と質疑順序は、委員会の理事会で決めます。与党と野党それぞれリーダーとなる理事がいます。これを「筆頭理事」と呼びます。与野党の協議は筆頭理事間で行われます。野党の筆頭理事になるのは、野党会派のうち一番議席数が多い会派の理事です。いわゆる野党第一会派は与党との交渉の窓口になります。野党第一会派と違う考えの野党会派の意向は、あまり考慮されません。衆議院と参議院の野党第一会派が違うと、両院で野党の対応が異なることもあります。野党の第一会派と第二会派の議席数の差が少ない場合は、相手の議員を自分の会派に入れようとする激しい第一会派争いが繰り広げられる場合もあります。

野党にとって質疑はメリットとデメリットがある

 野党は質疑を通じて、法案の問題点をあぶり出したり、法案が成立したあとに政府ができることを制限するような答弁を引き出したりする「攻撃」系のものになります。対する与党は、法案のメリットを宣伝したり、国民の多くが心配に思う部分を払拭したりする答弁を引き出す「アシスト」系のものになります。

 与野党で対立している政策についての法案審議では、質疑を何回もやって審議時間を積んでいくことで、採決する準備が整っていきます。質疑を重ねることは、与党にとって採決が近づくというメリットがあります。野党にとっては、政府を追求できるというメリットもあれば、採決が近づいてしまうというデメリットもあります。ここが野党のジレンマになります。

ビュッフェのような予算委員会

 質疑で質問できるのは法案に関連した内容だけです。法案と関係ない話題について質問することはできません。質疑に答えるのは法案を提出した役所の大臣や幹部となる役人で、他の役所の大臣や役人に質問することはできません。総理大臣は、重要広範議案と呼ばれる最重要法案の審議の場合、委員会に出席することがあります。これが、質疑の基本です。

  予算審議が行われる予算委員会の質疑は、少し違います。予算委員会の質疑には4つの種類があります。基本的質疑、一般質疑、集中審議、締めくくり質疑の4つです。この4つは、答弁を要求できる大臣の種類と数によって分けられています。

 基本的質疑は総理大臣をはじめとして、すべての大臣クラスに質問することができます。しかも話題は無制限です。予算というのは、国が直面しているあらゆる問題のうち、どれに対応するか、どの優先順位で対応するかをお金の量で見えるようにしたものです。予算案が妥当かどうかを明らかにするには、さまざまな話題を扱えなければなりません。

 基本的質疑は予算審議の最初に行われます。本予算とも呼ばれる、次年度の予算審議では3日間行われています。

 一般質疑は財務大臣と答弁を要求された何人かの大臣にのみ質問できます。

  集中審議は、総理大臣と決められたテーマに関係する大臣が出席します。集中審議もテレビ中継が入ります。

 締めくくり質疑は、基本的質疑と同じく総理大臣とすべての大臣が出席します。「締めくくり」という名前のとおり、予算案の委員会での採決直前に行われます。

 基本的質疑に始まり、一般質疑で審議を重ね、時折集中審議をはさみ、締めくくり質疑で締める。これが予算審議の流れです。

 予算審議は、総理大臣が必ず出席する、すべての大臣に幅広い質問ができる、という点で法案審議よりも優遇されています。議員からみれば、基本的質疑や締めくくり質疑は好きな料理を好きなだけお皿に取れるビュッフェみたいなものかもしれません。

 テーマと出席する大臣は多少限定されますが、総理大臣が出席する集中審議は、与野党の取引材料として使われています。野党が審議に応じる見返りとして、与党は集中審議というデザートビュッフェを用意するようなイメージです。集中審議は、それほど野党にとっておいしいものなのです。

公聴会が設定されると審議も終盤

 予算審議や重要な法案の審議では、採決の前に公聴会というものが開かれます。公聴会は、委員長が審議中の議案について意見がある人を国会に呼んで話してもらうものです。意見を述べる人を「公述人」と呼びます。公述人に選ばれるのは与党や野党が推薦した学者などの人ですが、いちおう委員長の名のもとに国民全体に呼びかけを行っています。

 現在の慣習では、公聴会が開かれるということは審議が終盤になったことを意味します。たとえば次年度の予算審議の場合、公聴会が終われば一週間以内に採決されることが多いです。

 公聴会を開くと採決できるということは、採決を遅らせたい野党にとって重要です。なぜなら、公聴会の設置を遅らせることで採決を先送りできるからです。与党が公聴会設置を最初に提案したときに、野党が「審議が深まっていない」と反対するのはお定まりの国会しぐさです。

質疑応答のない討論が終わったら即採決

 委員長が質疑の終局を宣言すると、ただちに討論というフェーズにうつります。討論というと、議員同士で議論するイメージがあるかもしれませんが、そういうものではありません。「○○党を代表して、ただいま議題となりました□□について賛成(反対)の立場から討論を行います。」という決り文句から始まる演説を、何人かがひとりずつ行います。討論で話したことについて他の議員と質疑応答することはありません。

 そして、討論が終わったらすぐに採決に入ります。これで委員会の審議が終わります。

強行採決がはじまる合図 討論省略の動議

 質疑の終局したら討論をして、その後採決するというのが原則的な審議の流れです。逆にいうと、質疑と討論が終わらないと採決できません。

 審議の内容は事前に委員会の理事会で決めることが原則です。理事会で野党が質疑の終局、討論と採決の実施に合意しなかった場合は、とりあえず質疑をやるために委員会を開きます。与野党の対決が激しいと、委員会の開催自体にも野党が反対します。この場合、委員長が自らに与えられている権限を使って委員会の開催を強行します。理事会の合意によって委員会を開催するのではなく、委員長の職権で開催することから「職権立て」と言われます。

 会議は事前に決められた内容どおりに行うことが原則です。委員会開催前の理事会で質疑をやることしか決まっていないのならば、質疑をすることしかできません。他のこと、たとえば採決をしたいとしたら、会議中に採決することを提案しなければならないのです。

 そこで「動議」を出します。動議というのは、会議中に予定外の議案を提出することをいいます。採決したい場合は、「質疑を終局し、討論を省略し、ただちに採決に入ることを望む」動議を提出します。

 予定された質疑が終わったタイミングを見計らって、与党議員が動議を提出します。野党議員は当然反発し、野党議員の怒号が飛び交います。その激しさは、動議を提出している議員の声が聞こえない場合もあるほどです。同時に、野党議員が委員長席を取り囲みます。委員長に委員会の運営を抗議するためです。場合によっては、委員長のマイクを奪おうとしたり、審議の進行のために用意されている「カンペ」のようなものをビリビリに破ったりします。これは、委員長が採決を呼びかけるための発声や、採決の結果を宣言するためのセリフを言わせないために行います。委員長の議事運営を妨害しようというのです。委員長が委員会の議事運営を適正に行わなかった場合は、議事不成立となります。議事不成立になると、行われたはずの採決もまた無効になります。強行採決をなかったことにするための、野党議員の最後の抵抗です。

 かくして、よくニュースで見る「野党議員にもみくちゃにされながらマイクを必死に掴んで話さない委員長」という絵が生まれます。なかなか激しいですが、野党議員も強行採決が行われるだろうことはだいたいわかっていますし、委員長を物理的にいじめても意味ないことはわかっています。お決まりの儀式のようなものです。これをこなすことで、反対する法案が可決するという事実を、野党支持者に受け入れてもらうわけです。

 動議提出後、委員長は邪魔をされながらも動議の採決、動議が可決されたことの宣言、法案の採決、法案が可決されたことの宣言などを一気に行い、委員会の審議は終了します。

いよいよ本会議に上程される法案

 委員会で採決して一件落着、ではありません。実は、委員会で採決されたのは「法案を原案のとおり本会議で可決すべき」であるということだけなのです。衆議院あるいは参議院として法案の可否を決定するのは、全議員が集まる本会議でなければなりません。

 本会議での採決の流れはこうです。

 まず、委員会で可決した法案が、本会議の議題にのぼっていなければなりません。法案を本会議の議題にすることを「上程」と呼びます。本会議を開く際は、日程と議題をあらかじめ周知しておく規則になっています。そのため、本会議の前日までに委員会で採決した法案が上程されることになります。しかし、この規則には例外があり、本会議が始まった後から議案上程の動議を提出し可決することで、本会議の開催当日に委員会で可決された法案を上程することができます。これを「緊急上程」と呼びます。

 さて、法案が上程されると、議長が法案を議題とすることを宣告します。まず、いままで法案を審議していた委員会の委員長に審議の経過と結果について報告を求めます。委員長は、どのような法案であるか、いつから審議を始めてどのくらい審議時間を重ねたか、いつ採決して採決の結果はどうであったかを報告します。

 委員長の報告が終わると、次は討論です。委員会での討論と同じく、会派を代表して賛成、あるいは反対の意見を演説します。特に争いのない法案の場合は、討論がないこともあります。

 討論が終わると、いよいよ採決です。採決の結果、賛成者が過半数を超えれば、議長が法案が可決したことを宣言し、ついに法案審議が終了します。

 これが法案審議の流れです。法案提出、法案の付託、質疑、討論、採決、そして本会議での採決と、法案審議は決まった手順で行われます。この手順をおさえておけば、ニュースに出てくる法案が今どういう状態で、どうなれば法案が成立するのかが見通せると思います。


与党と野党の役割は違う:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール2


 国会審議のルールを説明する前に、与党と野党が何を目指して行動しているかを説明します。与党も野党もそれぞれ自分たちの目的を達成するために国会で行動しています。目的は、ゲームの勝利条件のようなものです。国会において与党と野党は役割が違います。役割の違いにより、勝利条件もそれぞれ違います。与党と野党の役割の違いを知ることで、客観的に与党と野党の行動を評価できるようになるはずです。

法案成立を目指す与党、成立阻止を目指す野党

 いきなりですが、国会審議をゲームと思ってみてください。このゲームのプレーヤーは与党と野党の2者です。

 与党というのは、首班指名選挙で、総理大臣になった国会議員に投票した政党です。首班指名選挙で他の政党に勝てるくらいなので、与党の議席は過半数を超えているのが普通です。

 与党の国会議員のなかには、財務大臣や外務大臣など、政府の幹部に就任し、政府の仕事をする人たちがいます。この人たちは、総理大臣ともども三権のうちの「政府」の立場の人間として扱われます。国会議員ではありますが、仕事の中心は国会ではなく役所です。政府に入らなかった与党議員は、国会審議に専念します。政治ニュースでいう「与党」は、この人たちを指します。

 与党の目的は、数多くの政府提出法案を可決、成立させることです。国会は限られた期間しか活動しないので、会期内に確実かつ効率的に法案を処理していく必要があります。

 一方、野党というのは与党でない政党のことです。与党よりも議席が少ないことが普通です。野党議員は政府に入りません。政権に加わらず、議席も少ない野党には、何かの政策を当事者として実現するチャンスがほとんどありません。

 野党の目的は、ひとつでも多くの政府提出法案の成立を阻止することです。なぜ政府と与党の邪魔をするのでしょうか。たいていの野党は、与党に反対する国民に投票してもらって、国会の議席を得ています。国会で与党の邪魔をしなかったら、野党に投票してくれた人たちの期待を裏切ってしまうことになります。もちろん、反対する必要のない法案には野党も賛成します。成立している法案のなかには、野党が賛成しているものもあります。

 与党は法案を成立させたい。逆に野党は法案成立を阻止したい。このような関係になっています。

野党は採決させないように行動する

 ただ、このゲームは野党が圧倒的に不利です。なぜなら、採決するときに過半数を超える賛成があれば、法案を可決させられるからです。与党は過半数の議席を持っているから与党になっています。与党は最初から勝利条件をひとつ満たしている状態です。採決さえすれば必ず法案は成立します。議席が少ない野党に勝ち目はありません。野党はどうしたら与党に対抗できるでしょうか。

 採決したら与党が勝ってしまうのだったら、採決させなければいい。これが、野党の戦い方の基本方針です。採決しなければ法案は可決しないので、もちろん成立もしません。採決の時期を遅らせれば遅らせるほど、法案の成立を先のばしできます。

 もし、国会の会期の最終日まで採決させなかったら、法案はどうなるでしょうか。原則として廃案になります。廃案になった法案を成立させたければ、次の国会が召集されたとき法案の提出からやり直さなければなりません。前の国会でどれだけ審議を重ねていても、次の国会ではゼロから審議がスタートです。法案の提出と国会審議の対応に膨大なエネルギーを注いでいる政府と与党にとって、廃案は大きなダメージになります。前の会期の審議過程が次の会期に反映されないことを、「会期不継続の原則」と呼びます。会期不継続の原則は、最初から劣勢である野党の数少ない武器のひとつです。

 野党にはもうひとつ武器があります。「この日に質疑をやろう」「この日に採決しよう」というように、審議の日程を決める理事会というものが委員会にあります。理事会は、委員長と委員会に所属する主な与野党議員の代表者である「理事」で構成されています。この理事会の決定は、原則として全会一致でなければならない慣例になっています。全会一致ということは、たったひとりでも反対する理事がいたら否決ということです。単なる多数決で決めてはいけないという厳しいハードルがあります。この慣例のおかげで、野党は少ない人数でも採決の先送りを実現できるのです。

与党は採決する環境を整えることが仕事

 さて、今度は与党が困ります。ずっと野党に採決に入るのを反対されては、どんなに頑張って審議しても、どんなに選挙でたくさん仲間の議員を増やしても、永久に法案を成立させることができません。与党に対抗手段はあるのでしょうか。

 与党の対抗手段が、悪名高い「強行採決」です。強行採決というのは、野党が反対しているのにもかかわらず採決を強行することです。これは、審議日程を理事会の全会一致で決めるという慣習に反しています。ただし、法律違反ではありません。法律上、委員会の議事進行は委員長の一存で決めることができるからです。

 法律違反でないとはいえ、強行採決をすることに問題はないのでしょうか。問題がまったくないことはありません。しかし、いくら全会一致で決めるという慣習があるとはいえ、何も決めないならば国会が存在する意味がありません。野党は支持者の代理人として議事進行を妨害していますが、与党も支持者の代理人として法案を成立に導く責任があります。たとえ野党の反対があろうと、どこかで審議を進めなければならないのです。

 ちなみに定義上、野党理事のひとりでも反対したら強行採決になります。極端に短い審議時間で採決を強行した場合でなければ、強行採決を批判することにあまり意味はありません。どれだけ審議を重ねていても、与野党で対立している法案の採決に、野党はたいてい反対するからです。

 強行採決がやむを得ない場合があるとはいえ、安易に乱発すると「強引な国会運営」であると批判され、内閣や政党の支持率に悪影響を及ぼす可能性があります。支持率が悪くなると、次の選挙で苦戦してしまうかもしれません。国会議員として活動するには、選挙を勝ち抜く必要があります。選挙に悪影響がでることは、なるべく避けるべきです。

 与党は批判を避けるために、なるべく野党の協力を得て審議を進めようとします。野党が欠席した状態で審議を行わないように野党に出席をうながしたり、野党が望む質疑をするために総理大臣を出席させたりします。審議を充実させて、野党に採決を容認させる作戦です。

 「充実した審議」といった場合、客観的な指標として使われるのが審議時間です。「審議時間を○○時間とったので、議論を尽くした」という形にします。ただ、審議時間を重視するあまり、変なことも行われています。野党が欠席した審議で、野党の質問時間分みんなが待ち続けるという「空回し」という技があります。これは、野党が審議拒否している間でも審議の実績時間を増やすための手法です。出席しない野党が悪いといえばそれまでですが、議員、大臣、国会職員が全員無為な時間を過ごすというのは、もったいないような気がします。

与党と野党は立場が違うので行動も違う

 国会審議というゲームでは、与党は審議を進めようとし、野党は審議を遅らせようとする。この関係を把握しておいてください。与党も野党も、ゲームのプレーヤーとして最適な行動をしています。審議拒否も採決の先送りも、野党不在の審議や強行採決も、ゲームの勝利条件を満たすための行動にすぎません。プレーヤーとしての立場が変わったら、旧野党は強行採決し、旧与党は審議拒否します。実際に、2009年の自民党から旧民主党への政権交代で国民が目にした光景です。

 審議拒否や強行採決は行為自体に問題はありません。少なくとも法律違反ではありません。審議拒否をしたとか、強行採決をしたとかいうだけで評価を決めるのは気が早いです。それらの行動がゲームの勝利に役立ったかどうかで評価をするべきです。たとえば、審議拒否によって野党は与党からどのような譲歩を引き出せたのか、強行採決をしても問題ない程度の手当てを与党は野党にできているか、という見方が必要だと思います。


2019年度補正予算審議開始へ


■2019年度補正予算、1月28日衆議院通過の見込み

 2020年1月26日現在。

 先週、1月20日に通常国会が召集されました。

 通常国会は3月まで予算審議に全力を注ぎます。今回は、2019年度補正予算案の審議もあります。補正予算案の審議のあと、2020年度予算案の審議に入ります。

 報道によると、自民党の森山国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長は1月28日に補正予算案の採決を衆議院で行うことで合意したそうです。例年、補正予算の審議は衆議院2日、参議院2日なので、与党にとって悪いペースではありません。召集日も昨年より一週間ほど前倒しになっており、野党に集中審議をプレゼントする余裕もあるようです。

20200126予算審議


国会のおさらい:もっと楽しく政治の話をするための国会のルール1


国会のおさらい

 「通常国会」「臨時国会」、政治関連のニュースでよく出てくる国会に関する言葉です。当たり前のように出てきますが、たとえば「臨時っていうけど、毎年やってない?」と思ったことはないでしょうか。ここでは、国会の基本中の基本についておさらいします。

国会とは何か

 日本の国家権力は、大きく3つに分類されます。立法、行政、司法です。立法が国会、行政が政府、司法が裁判所にそれぞれ対応します。国会を中心にみると、国会が決めた予算や法律の範囲内で政府が政策を実行し、政府の実行した政策が法律の範囲内かどうかを裁判所がチェックする、という関係になっています。いわゆる三権分立です。

三権分立

 分立といっていますが、国会と政府には密接な関わりがあります。政府の中枢機関である内閣のトップは、内閣総理大臣です。この総理大臣は国会議員のなかから、議員同士による選挙で選出される決まりになっています。そして、内閣の構成員である大臣の過半数は国会議員でなければなりません。また、政府の役所には、副大臣や政務官などという立場で、国会議員が入って仕事しています。国会議員は政府機関の幹部にもなります。

立法と行政の融合

 国会の主な仕事は、法律を決めること、予算を決めること、条約の承認を決めることや、内閣総理大臣を選出することが挙げられます。これらの仕事は、いずれも政府の活動の根拠になるものです。政府が何か新しいことをしようとしたときに、法律の根拠がなければ権力をふるえません。予算がなければ役所は新しく公務員を雇ったり、民間企業と取引したりすることもできません。総理大臣が決まらなければ、内閣が成立せず、役所を指揮することができません。原則として、国会が決めないと政府は新しい活動を何もできないのです。

衆議院と参議院

 国会は衆議院と参議院の二院で構成され、その中心となる議員は日本国民が選挙で選びます。衆議院議員の任期は4年で、参議院議員の任期は6年と両院で差があります。さらに、衆議院には参議院にはない「解散」というものがあります。内閣総理大臣がすべての衆議院議員を任期の途中でクビにして、新しく衆議院議員を選ぶ選挙を行うことを解散と呼びます。解散があるので、衆議院議員が4年の任期をまっとうすることはほとんどありません。

内閣不信任決議権

 衆議院には解散があるかわりに、参議院にはない権限をいくつか持っています。まずは、内閣不信任決議権です。政府の中枢である内閣に対して「信任しない」という決議を衆議院がしたとき、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職して政権を失うかのどちらかを選ばなければなりません。衆議院を解散したとしても、選挙に勝てなければ政権を失うことになるので、内閣不信任決議権は非常に強い権限です。ちなみに、選挙に勝っても形式上以前の内閣は総辞職しますので、不信任となった内閣が総辞職する運命はくつがえせません。衆議院の支持を失えば内閣が倒れるというこの制度を、議院内閣制と呼びます。

衆議院の優越

 次が衆議院の優越です。国会の議決は、衆議院と参議院が一致して議決したときに有効となるのが原則です。ある法案について、衆議院が可決、参議院も可決すれば法案が成立して法律になります。もし、衆議院と参議院の議決が一致しなかった場合は、法案は成立しません。ただし、法案については衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、衆議院の3分の2以上の賛成で再び可決した場合はその時点で法律になります。

 さらに、予算案の議決や条約の承認の議決は、衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、両院協議会という話し合いの場でも衆参で折り合いがつかないときは、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。内閣総理大臣の指名の議決も、衆参の指名が不一致で両院協議会の話し合いも不調に終わった場合は、衆議院が指名した国会議員が内閣総理大臣になります。このように、衆議院と参議院の議決が異なったときは、条件付きで衆議院の議決が優先されます。

 ここまで説明したのは、衆議院と参議院の議決が出揃ったあとの取り決めです。もし、参議院が議決をしなかった場合はどうなるでしょうか。参議院が議案を議決しないで放っておいた場合もちゃんと想定されています。衆議院で議案を可決後、憲法で決められた日数経過しても参議院が議決をしない場合は、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。これを「自然成立」と呼びます。

 自然成立の日数は、議案によって違います。内閣総理大臣の指名が衆議院の議決から10日、予算案と条約の承認が30日になっています。法案については、衆議院の議決から60日以内に参議院が議決しないときに、衆議院が「参議院は法案を否決したとみなす」という議決をすることができます。これを「みなし否決」と呼びます。衆議院の議決から何日経過したときに、どの議案を自然成立、またはみなし否決できるかをカレンダーで表すと次のようになります。

衆議院の優越

 国会について考えるときは日付の感覚が非常に重要です。自然成立とみなし否決の日数をカレンダーの面積で把握することで、国会の日程の窮屈さが体感できるようになると思います。今後も必要に応じて、カレンダーをつかった説明をしていきます。

 ちなみに、法案は衆議院と参議院どちらから審議を始めても構いません。ただし、予算案に関しては衆議院の議決が優先される関係上、必ず衆議院から審議を始めます。これを「予算先議権」と呼びます。衆議院の優越に関する規則は、衆議院ですでに議案が議決されていることが前提になっています。もし予算先議権がないと、参議院で予算をいつまでもいつまでも審議して議決せずに、衆議院で審議できない状況になってしまうのです。

国会の種類と会期

 国会は、他の役所のように一年をとおして平日に必ず開いている機関ではありません。一定の期間だけ活動します。国会が開かれている期間のことを、「会期」と呼びます。国会は、会期中のみ予算案や法案などを議決することができます。逆にいうと、会期中でなければ、新しい法案を成立させることはできません。

 国会は憲法の規定により、一年に一回は必ず開くことになっています。国会を開くことは、国会議員を集めることなので、「召集」と呼ばれます。一年に一回必ず召集する国会を「通常国会」と呼びます。通常国会は「常会」「通常会」などとも呼ばれます。

 通常国会は国会法により、1月中に召集することと、会期を150日間とすることが定められています。150日たっても審議が終わらない場合は、国会が議決すれば一回だけ会期を延長することができます。

 さて、通常国会が会期を終えたあとに、新たに予算をつけたり法案を成立させたりしたい場合はどうすればいいでしょうか。来年の通常国会まで待たなければならないのでしょうか。

 通常国会まで待てないときは、臨時に国会を召集することができます。これを「臨時国会」「臨時会」と呼びます。臨時国会の会期は国会の議決で定めます。何日でもいいのですが、60日程度になることが多いです。また、延長は二回までできます。

 また、衆議院議員を投票で選ぶ総選挙を行った直後に、必ず召集する国会もあります。「特別国会」「特別会」と呼びます。なぜ、総選挙後に必ず召集しなければならないかというと、総選挙後に選挙前の内閣が総辞職するため、新たに総理大臣を選ばなければならないからです。もちろん、選挙前と同じ国会議員をもう一度総理大臣に選んでも構いません。ちなみに、以前総理大臣であった国会議員が新たに総理大臣になった場合は、内閣のカウントがアップして、「第二次○○内閣」などと呼ばれるようになります。

 特別国会の会期と延長については臨時国会と同じルールが適用されます。

国会の種類

本会議と委員会

 国会には、主に2種類の会議があります。全議員が集まる「本会議」と、何十人にかずつ議員が集まる「委員会」です。

 本会議は全議員が集まる、議院の意思を決定する会議です。本会議で議決されたことが、議院の議決になります。すべての議案は、本会議で議決されてはじめて院議になります。いままで出てきた「国会の議決」というのは、本会議で採決し可決されたものという意味です。

 委員会はテーマや分野ごとに設置されます。予算について話し合う「予算委員会」が有名ですね。国会議員はひとりひとり所属する委員会が割り当てられます。委員数は委員会によって違いますが、20人から40人くらいが定員になっています。

 国会に提出された議案は、内容に応じた委員会に付託され、審議を始めます。委員会で審議が終わったら、本会議で委員会の審議結果を聞いて採決する、という流れになります。委員会でほとんどの審議を行うこの制度を、「委員会中心主義」と呼びます。

 ここまで、国会をいわば外からながめて、国会自体がどういう能力を持っているか、国会自体にどのようなきまりがあるかを説明をしました。次からは、いよいよ国会のなかで何が行われているかについて説明していきたいと思います。


2020年の通常国会は、補正予算の審議からはじまる



2019年12月24日現在。

あと一週間ちょいでお正月です。お正月が終わると、通常国会がはじまります。

今年発生した台風などの自然災害の対策として、政府は経済対策を行うことを決定しています。つまり、2019年度予算の補正予算が編成されます。

補正予算が編成されるということは、国会で補正予算案の審議が必要になるということです。

来年の通常国会は、補正予算案の審議を1週間程度やったあと、総理大臣の施政方針演説など政府四演説を行い、2020年度の本予算の審議に入るという日程になります。

つまり、国会冒頭の日程を補正予算の審議で消費します。補正予算の審議がない年と比較して来年度の本予算の審議は窮屈になります。


2019年、秋の臨時国会閉幕



2019年12月15日現在。

秋の臨時国会は先週9日に終了しました。

政府が提出した法案は、17本中16本が成立しました。

法案成立率は94%と高いです。この数字から、野党が「桜を見る会」の問題を国会で追及したことは失敗だったのではないかという意見を見ました。そうかもしれませんが、内閣支持率は臨時国会前と比べて下がっているようです。全く効果がなかったわけではないのでしょう。

また、「法案成立率94%」と言っても分母が17です。この臨時国会での法案提出数は例年より少ないと言われています。「94%」は、解釈が難しい数字です。

閣僚の辞任と、桜を見る会の問題とに足を取られ、本命と思われていた憲法審査会の採決ができなかったという結果は、政府与党にとって満足のいくものではないと思われます。

来年の通常国会で、憲法審査会の審査が進むのかが見どころです。


第200回臨時国会、会期末間近


■政府提出の法案、条約の承認案は、ほぼ参議院で審議中

2019年12月1日現在。

10月4日に召集された臨時国会は、今月9日に閉会します。

今国会で審議されている内閣提出法案は17本で、11本がすでに衆参で審議を終えて成立しています。残り6本のうち、5本は衆議院を通過して参議院で審議中で、1本は衆議院で審議中です。ただ、最後の1本も委員会での審議は終わっています。すぐに、すべての法案が参議院で審議入りするはずです。

あとは、条約の承認を求める議案が2本あります。2本とも参議院で審議中です。

会期末までの一週間は主戦場が参議院になりそうです。


参議院で予算委員会開会要求でる


2019年11月24日現在。

11月22日に、参議院で立憲民主党などの野党が予算委員会開会要求を出しました。この開会要求は参議院規則の定める「委員の三分の一以上」を満たしているので、予算委員長は予算委員会を開かなければなりません。

ただ、この規則は予算委員会の開会しか保証していないので、野党が求める総理大臣出席の集中審議が行われるかどうかは不明です。委員会の議題は与野党の全会一致で決めるのが原則なので、与党の意向を無視して議題を決めることはできないでしょう。与党がこのままではまずいと思ったら、集中審議が行われるかもしれませんが、果たしてどうなるでしょうか。

野党は「今年の通常国会では、予算委員会の開会要求が出たのにも関わらず与党は予算委員会を開かなかった」と主張していますが、6月26日に参議院予算委員会が開かれています。

ただ、それは野党が求めていた集中審議ではありませんでした。それはいいのですが、会期末に必ず実施する後始末的な会議だったのはよくないでしょう。事実上予算委員会の開会要求は無視されたと言わざるをえません。

与党が今度はどう対応するのか注目です。