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【2019通常国会】予算審議第一週終了


■2次補正成立、2019年度予算審議開始

2019年2月10日現在。通常国会で予算審議が始まり、一週間がたちました。この一週間で2018年度2次補正予算が成立し、2019年度予算案が衆議院で実質審議入りしました。実質審議入りとは、予算審議の場合、総理大臣とすべての大臣が出席する「基本的質疑」が始まったということです。

■大西前政策統括官の国会招致が取引材料になったが…

今回の予算審議では、昨年末に明らかになった厚生労働省の不正統計の問題が中心に議論されているようです。2次補正の審議の段階から、野党は厚生労働省の統計の責任者だった大西前政策統括官の国会招致や不正統計をテーマとした集中審議(総理と関係閣僚が出席する審議)を求めていました。2月4日週に2019年度予算案の審議に入れたのは、野党が求める大西前政策統括官の国会招致に、与党が同意したことが決め手であったと報道されています。

ただ、大西前政策統括官の国会招致は、いまのところ野党の見せ場づくりに役立っていないようです。読売新聞と時事通信は、大西前政策統括官に対する立憲民主党の質問が少なかったことを指摘しています。読売新聞は安倍政権に好意的な記事が多い印象があるので「まぁ、そういう記事になるか」と思いましたが、時事通信は安倍政権に厳しい記事が多い印象なので驚きました。大西前政策統括官に対する質問が「数問だった」と指摘しているのも時事通信です。

大西前政策統括官の国会招致が野党の見せ場づくりに役に立っていないとすると、与党はタダで2019年度予算案の審議開始という成果を得られたことになります。2次補正の審議で大西前政策統括官の国会招致に難色を示していたのは、国会招致を2019年度予算案の審議開始と引きかえにする条件として値段を吊り上げるためだったのかもしれません。

更にいうと、野党もそれを織り込み済みで、「政府与党が隠していた大西前政策統括官を引っ張り出しましたよ」というアピールをすることで2019年度予算案の審議開始を支持者に容認してもらおうとしているのかもしれません。

■与党から見ると予算審議は順調

与野党の思惑がどうであれ、予算審議の第一週は与党の想定通りに進んでいます。このまますべての平日を予算審議で埋められたら、2019年度予算案の衆議院予算委員会での審議日数が15日となり、予算案の自然成立が見込める3月2日までの衆議院での採決が可能な審議時間に達します。

これが1日欠けただけで、予算審議が現在の形式になって以降最短タイの14日になってしまうため、予算審議が拙速だった印象を強く与えてしまいます。13日になると最短記録を更新してしまうため、印象は更に悪くなります。

今年は統一地方選挙と参議院議員選挙があるため、与党は印象が悪くならないよう、最短記録を更新するような強行審議、強行採決はしないのではないかと思います。

逆に、15日間審議できた場合は、何が何でも3月1日に採決するため強行採決する可能性はあると思います。 Screenshot


2018年度2次補正予算成立


■2次補正成立

2019年2月7日現在。本日、参議院予算委員会で2018年度2次補正予算案が可決、ただちに参議院本会議に緊急上程され可決、成立しました。国会のインターネット審議中継の動画の時間ベースで計算すると、予算委員会での審議時間は衆参合わせて28時間程度でした。

■2019年度予算審議開始

本日、衆議院予算委員会理事懇談会が開かれ、明日8日から2019年度予算案(本予算、当初予算)の審議を始めることで与野党が合意しました。8日、週が変わって12日、13日までの審議が合意できています。

合意された審議で実施するのが、総理大臣とすべての閣僚が出席する基本的質疑です。基本的質疑は、本予算の場合、例年3日行われています。今年も例年通りの日程ということになります。

さて、憲法60条の規定で予算案の年度内成立が確実になる期限まで、残る平日はあと15日です。現在の予算審議の形式になってから最速で予算案が衆議院を通過した日数が14日ですので、最速にせまる勢いで審議をしなければ予算案の年度内成立は確実になりません。

ここからが本番です。

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権力の不思議


■他人をコントロールする力

権力というのは、他人をコントロールできる力です。どういうときに、どういう理由で他人をコントロールできるのでしょうか。

コントロールというのは不思議なもので、お金だけでもだめ、フィジカルなパワーがあってもだめ、恐怖を与えてもだめ、ということがあり得ます。お金をいくら使っても騙されないとは限りませんし、ものすごいフィジカルなパワーがあってもひとり分の力などたかが知れています。他人に恐怖を与えて従わせることはできますが、恐怖は逆に多くの人間を一致団結させて立ち向かわせるかも知れません。

最後の恐怖の例のように、コントロールに有用そうな力を持ちすぎることで、かえって孤立して不利になるという逆説的な関係があります。その逆説は、たったひとりの権力者を、その他大勢のうちの誰も止めることができないという事態をもたらすこともあります。

そこが不思議で、とても面白いところです。


細野代議士は自民党に入っていない


■細野元環境大臣、自民党二階派に入会

衆議院無所属の細野元環境大臣が、自民党の二階幹事長の派閥である二階派に入会したというニュースがありました。

二階派に入ったというのはどういうことかというと、「二階派に入った」というだけのことです。国会議員が所属する組織は大きく3つあります。国会の活動単位である「会派」、自民党や立憲民主党といった「政党」、そして、ぞれぞれの政党の議員同士が作る「派閥・グループ」です。

今回、細野代議士が入ったのは「派閥」です。派閥は同じ政党の議員の集まりですが、同じ政党でなければ派閥として活動してはいけないという規則はないので、それぞれの派閥の判断次第で自党に入党していない議員が仲間になっても構いません。

図で書くと、会派、政党、派閥の関係は以下のようになります。矢印で示した点の部分が細野代議士のポジションです。

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2018年度2次補正予算、2月5日に衆議院通過の見通し


■野田予算委員長が職権で5日の採決を決定

2019年2月4日現在。衆議院予算委員会では、2018年度第2次補正予算案の基本的質疑が行われました。基本的質疑というのは、予算審議の最初に行われる、総理大臣とすべての大臣が出席する審議です。明日5日に基本的質疑の2日目と締めくくり質疑が行われることを、先週与野党で合意しています。

報道によると、本日の予算審議のあとの予算委員会理事会で与党が5日の採決を提案しましたところ野党が反対し折り合いがつかず、野田予算委員長の職権で採決することが決定しました。

■基本的に与野党合意のうえのスケジュール

与野党が合意して審議をすすめるという原則からすると、今回の採決の決定は原則から外れています。ただし、先週与野党で締めくくり質疑を5日にすることで合意しているので、建前は別として、本音の部分では野党も5日の採決を「やむなし」と容認していたと思います。なぜなら、締めくくり質疑は予算審議の最終段階だからです。締めくくり質疑が終わったら、予算審議は予算委員による討論と採決しかイベントが残っていません。

野党が大筋で5日の採決を容認していることは、参議院側の反応からも読み取れます。本日、参議院予算委員会の理事懇談会が開かれ、5日に補正予算案が衆議院本会議で可決し、参議院に送付された場合は6日と7日に参議院予算委員会で基本的質疑を行うこと、7日に締めくくり質疑を行うことで合意しています。

つまり、与野党は今週7日までの2次補正予算の成立で基本的に合意しているということです。与党としては、今週8日から衆議院で2019年度予算案の基本的質疑に入るために調整を続けていくものと思われます。まだカレンダー通りです。

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ひとに名前を書いてもらう能力


政治家に一番必要な能力はなんでしょうか。

それは、選挙で有権者に自分の名前を書いてもらう能力です。

お金はそのための手段になり得ますが、あくまで手段にすぎません。お金があっても選挙に勝てない人はいます。

そもそも、お金をあげた人がお金をもらった人をコントロールできるのならば、この世に詐欺事件は存在しません。

政治家が人に自分の名前を書いてもらうためにどのような努力をしているのか。選挙を追っている人は、そこを突き止めようとしているわけです。

選挙について書かれた記事を読むと、政治家の人となりが立体的に見えるような気がして面白いです。

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2019年通常国会。予算審議のスタートは遅れなし


■2/4二次補正予算審議開始で与野党合意

2019年1月31日現在。本日の衆議院予算委員会の理事懇談会で、与野党は来週2月4日から2日間、2018年度二次補正予算案の審議を行うことで合意しました。

野党は厚生労働省の不正統計の問題で、「予算審議を行える環境ではない」と主張していました。今晩の自民党の森山国対委員長と立憲民主党の辻元国対委員長の会談で、安倍総理が出席して不正統計をテーマとする集中審議を行うなどで合意したため、まずは与党の想定通りのスケジュールで予算審議を進めることになったようです。

野党は集中審議を勝ち取ったという名を取り、与党は年度内成立を確実にする予算審議のスケジュールを破綻させないという実を取りました。

予算審議は以下のカレンダーの通り綱渡りなので、与党は2/7までに二次補正予算を成立させたい考えだと思われます。

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野党第一会派を巡る争いでくじ引きに


■質問順をくじ引きで決める

2019年1月30日現在。立憲民主党と国民民主党による参議院の野党第一会派を巡る争いは、まだ決着がついていません。参議院で昨日行われた決算質疑では、立憲民主党と国民民主党のどちらが最初に質問するかで揉めて、くじ引きで順番を決めたと報道されています。さらに、明日1月31日の参議院の代表質問の質疑順序も折り合いがつかず、くじ引きで決めたそうです。ちなみに、どちらも国民民主党が最初に質疑することになったそうです。

この争いは、参議院での立憲民主党の会派と国民民主党の会派の所属議員数が27名・27名と同率一位になっていることで起こっています。実際は、国民民主党の藤田参議院議員が離党し立憲民主党に入党する意向を示しているため、立憲民主党28名、国民民主党26名で立憲民主党の会派が参議院の野党第一会派であるように思います。

しかし、国民民主党は藤田さんの会派離脱をみとめていないため、数字の上では未だに国民民主党の会派が27名のままです。会派の離脱は離脱する会派が議長に届け出ないとできない慣習になっているためです。

こういう事情があるので、立憲民主党は「実質的に立憲民主党が参議院第一会派だ」と主張しているようです。しかし、今回質疑順のくじ引きに応じたことで、国民民主党の榛葉参院幹事長は「立憲民主党はくじ引きに応じたのだから、国民民主党の会派と立憲民主党の会派の所属議員数が同数であることを認めたことになる。今後もくじ引きで決めることになる」と強気な主張をしたと読売新聞や日経新聞が本日の朝刊に記事にしています。

■国会での野党同士の対立は、選挙にも影響

参議院の立憲民主党は、この榛葉さんに相当やられているらしいです。榛葉さんは今年の夏の参議院選挙で改選します。榛葉さんの選挙区は2名が当選する2人区です。1月22日付読売新聞朝刊で、立憲民主党は榛葉さんの選挙区に候補者を擁立し「落選に追い込む」と息巻いていると報じられています。国会での野党同士の対立が選挙に影響を与えています。選挙は政治生命につながるため、冗談ではすみません。野党同士の対立とはいえ、ややこしそうです。

ちなみに、参議院の野党第一会派が決まらない問題の渦中の人である藤田さんも今年改選で、選挙区は2人区です。1月22日の読売の記事では、立憲民主党は藤田さんの選挙区でも候補者を立てようとしていると書かれています。この件は、藤田さんを立憲民主党に引き抜く交渉材料になっていたのでしょうか。


第198回国会召集


■政府4演説が行われる。翌々日の30日から代表質問

2019年1月28日。第198回国会が召集されました。本日は、政府4演説と呼ばれる総理大臣の施政方針演説、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済再生担当大臣の経済演説が行われました。

30日からは、この政府4演説に対する各党の代表質問が行われます。演説した日から1日あけるのは、演説を聴いてから質問を考えるという建前の慣例です。慣例なので、1日あけないこともあります。政府としては早く審議に入ってほしいので、1日あけない方が助かることになります。しかし、1日あけないことで野党に悪印象を与えることになってしまいます。今年は、来年度予算案の審議が非常に窮屈なので、政府としては早く審議に入って欲しいところだったのでしょうが、与党が国会運営を円満にするために演説から代表質問の間を1日あけたのではないかと思います。

■野党が勝ち取った決算質疑

与党が野党に配慮しているのではないかという根拠として、明日29日に参議院本会議で、安倍総理大臣とすべての閣僚が出席する決算質疑が行われるということもあります。

いまの国会運営の慣例上、総理大臣とすべての閣僚が国会に出席するというのはなかなかない貴重なイベントになっています。必ず総理大臣とすべての閣僚が出席するのは、予算委員会の冒頭3日間の基本的質疑と採決直前の締めくくり総括質疑くらいです。総理大臣はもちろん、そのほかの大臣が国会に出席するということは、たとえば答弁の準備をするという点でそれぞれの役所の負担が大きいです。

参議院の与党は、通常国会の円滑な運営のために野党に配慮しているのだと思います。逆に言えば、参議院の野党は決算質疑を勝ち取ったわけです。


藤田参院議員の国民民主党会派離脱騒動


■参議院の野党第一会派争い

2019年1月27日現在。参議院の野党第一会派争いは決着がついていません。

参議院の野党会派は立憲民主党を中心とする会派が27人、国民民主党を中心とする会派が27人と同率一位になっています。しかし、国民民主党の参議院議員である藤田議員が離党し、立憲民主党に入党する意向を示しています。藤田議員の意向どおりに進めば、立憲民主党の会派が28人、国民民主党の会派が26人となり立憲民主党が前回の臨時国会に続いて衆参で野党第一会派として与党と交渉することになります。

国民民主党もぼんやりしているわけにはいきません。先週せっかく自由党と統一会派を組んで参議院の野党第一会派に返り咲いたのに、通常国会召集前に立憲民主党に第一会派の座を奪われてしまっては悲しすぎます。

国民民主党は、藤田議員の離党と会派離脱を認めていないようです。議会用語事典によれば、議員の会派の退会届は、所属していた会派の代表から議長に対して文書で届ける慣習になっているので、国民民主党が藤田議員の退会届を参議院議長に出さない限り、藤田議員の退会は認められません。