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早期採決と目標の消失


 2012年8月3日現在、野党である自民党は、衆議院で可決され参議院に送られた、消費税増税を含む税と社会保障の一体改革関連法案の早期採決(8月8日まで)を求めています。逆に、与党の民主党はお盆以降の採決を模索していたようです。

 原則として、内閣が提出する法律案の採決というものは、成立を目指す与党が早期採決を求め、成立阻止を目指す野党が「審議時間を確保し、実りある議論をする」などという名目で採決の先延ばしを主張するものです。

 野党が採決の先延ばしを主張する理由は、採決を先延ばしにすることで、採決する前に国会が閉会する時間切れを狙うためです。採決すれば、数が少ない野党に勝ち目はありません。ほぼ確実に成立します。しかし、採決さえされなければ、法案は永久に法「案」のままで、法律になりません。法案採決までの時間稼ぎは、数で与党に劣っている野党が持つ数少ない武器のひとつです。

 それなのに、報道をみるかぎり与党と野党の立場は逆転しているようです。早く採決することに野党はなんらかのメリットがあり、逆に採決を遅らせることで与党は何らかの利益を得るからこのような状況になっているのだと思いますが、よくわかりません。

 いま衆議院が解散され選挙になったら、自民党は議席を増やせるかもしれません。議席がたくさん増えれば与党に復活できますし、そこまで増えなくても、いまみたいに民主党が圧倒的な議席を持つようなことにはならないという見込みが、自民党にはあるのかもしれません。この法案が可決されれば、衆議院を解散する約束でもしているのでしょうか?そのため、自民党は早期の採決を求めているのでしょうか?

 そこで、民主党と自民党、そして公明党による社会保障と税の一体改革関連法案の取り扱いに関する3党合意に、「この法案が可決したら、首相はすみやかに衆議院を解散し、国民に信を問う」という一文でもあるのかと思い調べましたが、見つかりませんでした。少なくとも、この3党合意のみで解散にはつながるようには思えません。

 また、民主党内に存在する消費税増税に反対するグループが暴れるのを期待しているのかとも思いましたが、どの程度の暴れ方になるのかわかりません。

 こういうところが新聞に書いてないと困ります。与党と野党はいったいどういうつもりでいるのかよくわかりません。

 ただ、少し気になるのは、野田首相は消費税増税を訴えすぎているように見えることです。まるで、小泉元首相の郵政民営化のように、ただひとつのことを最大の目標にしているように見えます。報道でも、野田首相=消費税増税を目指す政治家というイメージが定着しているのではないでしょうか。

 このようにひとつの目標、しかも法案の成立ひとつで達成できる目標を高く高く掲げたとき、この目標を達成したあとはどうなるのでしょうか。首相は消費税増税への道筋をつけたあと、なにを目標にするのでしょうか。そして、その目標を、また首相自身を、民主党は支えるのでしょうか?野田首相は、すでに与党議員を何人か減らしており、内閣支持率は下がり続けています。

 何が言いたいのかというと、野田首相はこの法案が参議院で可決したら、もう「やり遂げた人」になってしまうのではないかということです。小泉元首相は郵政民営化の道筋をつけたところでやめてしまいましたが、野田首相はどうなるのでしょうか。

 早期採決を目指している自民党が狙っているのは、野田首相の役目を終わらせるためなのかもしれません。