第183回国会(常会)」カテゴリーアーカイブ

補正予算案の審議日程の攻防1


■明日実質審議入り

 2013年2月6日現在。今朝の日経朝刊によると、昨日5日の衆議院予算委員会理事懇談会は、明日7日に補正予算案の基本的質疑を行うことで合意したそうです。しかし、採決までの見通しは未だ不透明です。

■「各3日」か「各7日」か

 同じく日経によると、与党が衆議院と参議院で3日ずつ審議することを求めたのに対し、野党民主党は7日ずつの審議を要求して、おり合いがつかなかったそうです。

 記事では、各7日は「異例」の長さだということでした。確かに、昨年の通常国会で審議された平成23年度補正予算(第4次)は各3日でした。ただ、この補正予算の規模は1兆円程度で、今回の約10兆円の10分の1です。規模が違いすぎて比較にならないかもしれません。

 そこで、同じ10兆円規模だった平成23年度補正予算(第3次)の審議日程をみてみますと、衆参各4日の審議となっています。平成23年は震災のため迅速な審議が求められた可能性もありますが、確かに今回民主党が要求している各7日は長いようです。

■なぜ最短で18日成立なのか?

 ところで、日経の記事では、衆参各3日なら補正予算案の成立は2月18日になるという見方を示していました。この記事で一番わからなかったのがそこです。2月のカレンダーを見ながら日数を数えてみると、3日ずつなら15日に成立するんじゃないかと思ったのです。

 なんで余計に1日必要なのかずーっと悩んでました。平日に予算委員会を続けて開かない決まりがあるのか、いや、昨年の通常国会は3日ずつ一気に審議してたからそれはないはずだ、う〜ん。

 時事通信のこの記事をみてようやく日経の日程予想の見当がついてきました。15日からG20があるため麻生財務大臣がモスクワに行ってしまい、国会に出席できないから1日多く必要なのです。以下に衆参各3日ずつ審議した場合を示します。

1 2
3 4 5 6 7
衆議院1
8
衆議院2
9
10 11
祝日
12
衆議院3
衆議院通過?
13
参議院1
14
参議院2
15
G20
16
17 18
参議院3
補正成立?
19

20 21 22 23
24 25 26 27 28

■大臣と国会

 憲法63条には「(大臣は)答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」とあり、場合によっては、委員会開会中は勝手に席を立つことも許されないとまで言われることがあります。昨年、防衛大臣が予算委員会中に席を立ったため、揉めに揉めたこともありました。

 国会は大臣の時間を拘束する力も持っているのです。それは内閣総理大臣も例外ではありません。そのため、今月下旬の首相訪米が危ぶまれているのです。

**参考**
日本国憲法第63条
内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。


補正予算案の提出から実質審議入りまで


 2013年2月2日現在。「補正予算案に関する財政演説とは?」や、「予算案の審査過程と財政演説の位置づけ」の記事で、財務大臣が行う財政演説が予算案の審議過程でどのような役割を持つのかを考えてきました。

■補正予算案は提出後即衆議院予算委員会に付託

 私は2つの記事の中で、予算案国会提出→財政演説→財政演説に対する代表質問→予算案予算委員会に付託→予算委員会で予算案の趣旨説明→実質審議入り(基本的質疑)、という流れだと予想していました。

 しかし、昨日2月1日、衆議院のサイトに補正予算案の情報が掲載され、予想が外れたことがわかりました。掲載された情報によると、補正予算案が衆議院に提出(受理)されたのが1月31日で、同日中に予算委員会に付託されていることがわかります。

■衆議院予算委員会での趣旨説明は財政演説後

 今朝の読売朝刊と日経朝刊に、2月1日の衆議院予算委員会理事懇談会で、補正予算案の趣旨説明を2月6日にやると決めたという記事が掲載されていました。

 さらに、読売朝刊では、衆議院と参議院の議院運営委員会が、2月4日に行う財務大臣の財政演説に対する代表質問の日程を、衆議院で2月5日に、参議院で2月6日に行うことを決めたと報じています。

■補正予算案の提出から実質審議入りまで

 したがって、今年の補正予算案の提出から実質審議入りまでの過程は次のようになります。

  1. 内閣が衆議院に補正予算案を提出:1/31(木)
  2. 衆議院が補正予算案を予算委員会に付託:1/31(木)
  3. 補正予算案に関する財政演説:2/4(月)
  4. 財政演説に対する代表質問・衆議院:2/5(火)
  5. 財政演説に対する代表質問・参議院:2/6(水)
  6. 衆議院予算委員会で補正予算案の趣旨説明:2/6(水)
  7. 衆議院予算委員会で補正予算案の基本的質疑:2/7(木)←実質審議入り

予算案の審査過程と財政演説の位置づけ


■補正予算案は2月7日に実質審議入り

 2013年1月31日現在。「補正予算案に関する財政演説」の位置づけを、本会議での議案の趣旨説明と同じようなもであると考えてみたのですが、どうも自信がありません。財政演説と予算案が委員会に付託されることは関係がないかもしれません。

 というのも、1月30日付の日経朝刊は、2月5〜6日に財政演説に対する代表質問を終え、2月7日に衆議院予算委員会で補正予算案が実質審議入りするスケジュールを出しています。「実質審議入り」とは、委員会で議案の趣旨説明が終わり、趣旨説明に対する質疑に入ることを指します。

■予算案の審査過程

 ただし、予算案の審査の過程は法案とは少し違います。以下に予算案審査の流れを書きます。浅野一郎・河野久『新・国会事典 第2版』(有斐閣)を参考にしました。

  1. 財務大臣の趣旨説明、財務副大臣、内閣府副大臣の補足説明
  2. 基本的質疑(全閣僚出席)
  3. 質疑(財務大臣と要求大臣)
  4. 公聴会
  5. 分科会
  6. 締めくくり質疑(全閣僚出席)
  7. 採決

 少し補足します。「要求大臣」というのは、質問者が答弁を要求する大臣のことです。例えば、厚生労働省の予算について質問したい場合は、厚生労働大臣の出席を求めることになります。また、4の公聴会と5の分科会は3と平行して行われます。

 予算案の場合、2の基本的質疑に入ることで「実質審議入り」します。つまり、2月7日時点で衆議院予算委員会で補正予算案の基本的質疑が行われる予定だと日経はみているわけです。

■趣旨説明はいつか?

 予算案の審査過程を考えると、少なくとも2月7日以前には予算委員会で趣旨説明を終えていなければなりません。しかし、原則として趣旨説明はどんなに短いものでも委員会の日程を一日分消費します。例外は、与野党があらかじめ賛成で合意している場合くらいです。

 もし、財政演説が本会議での趣旨説明と同じ位置づけのものだとすると、2月6日まで代表質問をやっていたら委員会で趣旨説明する時間がないように思えます。だから、財政演説と委員会審査に関係がないのではないかと思ったのです。

 とはいえ、参議院の本会議は午前中から開かれます。2月6日の午後までに代表質問を終わらせて、夕方から衆議院予算委員会で趣旨説明と補足説明をすれば、2月7日に間に合います。

■衆議院のサイトで答え合わせ

 考えていてもわかりません。冒頭にも書いた通り、本日補正予算案が国会に提出されるので、しばらくしたら衆議院のサイトに補正予算案に関する情報が載ります。そこには、議案が委員会に付託された日付も出ているので、それによって財政演説の位置づけがわかります。

 すなわち、財政演説の日付より前だったら、財政演説は本会議での趣旨説明とは違うということで、財政演説の日付以降だったら、財政演説は本会議での趣旨説明と同等のものであるということです。

*2月2日追記**平成24年度補正予算案の付託は1月31日でした。財政演説と付託に関連はないようです。詳しくは「補正予算案の提出から実質審議入りまで」を参照してください。


補正予算案に関する財政演説とは?


■来年度予算案閣議決定

 2013年1月30日現在。昨日29日に定例閣議(毎週火曜)が行われ、平成25年度予算案が閣議決定されました。あとは国会に提出するだけです。

 しかし、すぐに来年度予算案を審議することはできません。今日から28日に行われた安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が行われていますし、来週は平成24年度補正予算案の審議があります。

■補正予算案に関する財政演説

 今朝の日経朝刊によると、補正予算案は明日31日に国会に提出され、2月4日には財務大臣による補正予算案に関する財政演説が行われるとのことです。この、「補正予算案に関する財政演説」とは何なのでしょうか。

 法案審議の際、委員会の審議に先立って本会議で法案の趣旨説明をするよう、議院運営委員会が要求することがあります。このとき、本会議での趣旨説明と質疑が終わらなければ、委員会で法案を審議する前提となる「付託」は行われません。つまり、法案審議が始まらないということです。

 おそらく、日経が書いている補正予算案に関する財政演説は、法案でいう本会議での趣旨説明に近い位置づけのものだと考えられます。

*2月2日追記**平成24年度補正予算案の付託は1月31日でした。財政演説と付託に関連はないようです。詳しくは「補正予算案の提出から実質審議入りまで」を参照してください。


施政方針演説と所信表明演説


■通常国会召集

 2013年1月29日現在。昨日28日に通常国会が召集されました。昨日は開会式と、安倍首相の演説が行われました。明日30日から2月1日まで、衆参両院の本会議でこの演説に対する各党の質問が行われます。

■ひとつだけ?

 今回のスケジュールには、少し違和感がありました。例年ですと、通常国会冒頭では、政府四演説というものが行われます。政府四演説とは、以下のものを指します。

  1. 首相による施政方針演説
  2. 外務大臣による外交演説
  3. 財務大臣による財政演説
  4. 経済財政政策担当大臣による経済演説

 ところが、昨日の夕刊をみても、衆議院のサイトでみられる本会議の映像をみても、首相の演説しかやってないようなので、「おかしいなぁ」と思っていました。

 しかし、その疑問も今朝の朝刊ではれました。昨日の本会議の演説は、「施政方針演説」ではなく「所信表明演説」だったのです。

■施政方針演説と所信表明演説の違い

 今朝の読売朝刊に出ていた解説によると、施政方針演説と所信表明演説の内容には次のような違いがあります。

  • 施政方針演説:次年度予算案を踏まえた政策について説明するもの
  • 所信表明演説:政策の基本理念や、主要政策への考え方を説明するもの

 今国会冒頭で施政方針演説を行わなかったのは、次年度予算案がまだ閣議決定をみていないためだと思われます。

 また、施政方針演説は通常国会で行われますが、所信表明演説は臨時国会や特別国会の冒頭、首相の交代時は会期中にも行われます。昨年末の特別国会で安倍首相は所信表明演説をしていないため、28日に所信表明演説を行ったようです。

 今まで、施政方針演説と所信表明演説がごっちゃになっていたので、いまいち事態を飲み込めませんでした。

■3月初旬に政府四演説

 ちなみに、政府四演説をやらないわけではありません。今朝の日経朝刊によると、3月初旬に施政方針演説を含む政府四演説を行う見込みだそうです。

 ということで、近いうちにもういちど安倍首相の演説をニュースなどで耳にすることがあるようです。


官報で見る国会召集の詔書


2013年1月22日現在。先週末、「平成二十五年一月二十八日に、国会の常会を東京に召集する詔書」が渙発され、来週28日に通常国会が召集されることになりました。

国会の召集は、憲法が定めた天皇の国事行為のひとつです。国会関係の国事行為には、昨年11月にあった衆議院の解散や、同じく12月の衆議院総選挙の公示などがあります。

文面は以下のようになっています。

 日本国憲法第七条及び第五十二条並びに国会法第一条及び第二条によって、
平成二十五年一月二十八日に、国会の常会を東京に召集する。
御 名  御璽
平成二十五年一月十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生 太郎

普通、詔書は「〜する」という本文と御名御璽(天皇の名前とはんこ)のあとに、内閣総理大臣が署名します。これを副署といいます。今回は、安倍首相が外遊中だったためか、内閣総理大臣臨時代理として麻生財務相が副署していますね。私は、最近官報をチェックし始めたので、臨時代理が副署した詔書は初めて見ました。

官報をインターネットでチェックしたい方は、ここで過去30日分を確認できます。