終盤国会、入管難民法案に野党はどんな抵抗ができるか


■参議院の入管難民法案の審議で気になるところ

明日12月4日に、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の質疑が参議院法務委員会で行われます。明日以降、ぼちぼち採決の日程について、法務委員会の理事懇談会で与党から野党に提案があるのではないかと思います。

採決の提案があった場合、野党は「採決は時期尚早である」という抗議をすると思いますが、国民民主党の対案も同時に審議されているなか、立憲民主党は審議拒否するのかどうか気になります。衆議院での入管難民法改正案の審議では、一回分の質疑に主要な野党が出てきていません。

■審議拒否よりも確実に審議を遅らせる決議案系

とはいえ、審議拒否は、出てこない人たちがいたところで審議を強行してしまうことができるので、あまり意味がありません。

ただ、野党は制度的に審議を止める方法を、いくつか残しています。参議院の法務委員長解任決議案、法務大臣の問責決議案、そして内閣不信任決議案です。

法務委員長解任決議案と法務大臣問責決議案は、参議院に提出し、参議院本会議で採決するものですが、内閣不信任決議案を決議できるのは衆議院だけです(憲法69条)。ですが、内閣不信任決議案が提出されると衆議院本会議で採決されるまで参議院の審議も止まる慣例になっているため、内閣不信任決議案で入管難民法案の成立を遅らせることは可能です。


臨時国会会期末まで10日


■会期末まであと10日

12月2日時点で臨時国会会期末まで、残すところあと10日です。

今国会で注目されている法案のひとつである、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の参議院での審議は、4日と5日まで与野党で合意しています。

時事通信の記事では、現状を評して「衆議院に引き続き与党ペースで審議が進んでいる」と書いていますが、衆議院ではほとんどの審議を法務委員長が職権で決めて実施しているので、参議院のほうがより与党ペースに見えます。

入管難民法案改正案の衆議院法務委員会での審議は全4日(回)で、そのすべてが委員長の職権で開かれています。職権で委員会が開かれるというのは、与野党が委員会運営について合意できなかったということなので、衆議院のほうが与党に厳しかったのではないかと思います。対して、参議院法務委員会は職権で開かれたのは初回の11月29日だけです。


禁足とは


■壁に大きな”禁足”の文字

11月27日の立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)というTwitterアカウントから投稿された写真に、面白いものが写っていました。

写真に撮られたのは立憲民主党の代議士会の会場です。山下法務大臣不信任決議案の採決を行う衆議院本会議の前に開かれたものです。

写真に写っていたのは、壁にかかる大きな”禁足”という二文字です。ここでいう禁足とは、本会議で重要な議案の採決があるため、所属議員に国会周辺で待機するよう求めることです。

なぜ禁足を求めるかというと、会議の過半数のラインが出席者の人数によって変わってしまうためです。全400人の出席予定者がいて、全員出席した場合は過半数は201ですが、50人欠席したら176で過半数になります。自陣営から欠席者がでると不利になってしまうのです。

「禁足がかかる」ということは知識で知っていましたが、代議士会でデカデカと”禁足”と書いた文字がかかっているとは思わなかったので、面白く思いました。

<a href=”https://twitter.com/cdp_kokkai”>立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)


一転、参議院の入管難民法案の審議は与野党合意で決まる


■入管難民法案、参議院法務委員会で審議入り

本日11月29日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が参議院法務委員会で行われ、実質審議入りしました。

■4日と5日に質疑で与野党合意した理由は、国民民主党の対案か

報道によると、法務委員会のあと行われた理事懇談会で今後の審議日程について話し合われ、4日の質疑と5日の参考人質疑を行うことで与野党が合意しました。

衆議院の審議から、入管難民法案の審議は与野党で合意に至らず、委員長の職権で委員会が開かれることが続いていたので意外な感じがします。

おそらく、野党の国民民主党が入管難民法案の対案を提出し、その審議も合わせて行うため、その他の野党としても委員会の開催を無下に拒否できなくなったのではないかと思います。国民民主党の対案が議題になるのに審議の開催に賛成しなければ、野党が出した対案を審議に値しないという態度をとることになるからです。

それにしても、衆議院では質疑に出席しない姿勢まで見せた野党が、参議院では円満な委員会運営に協力するというのは面白いです。衆議院と参議院は文化が違うのかもしれません。文化が違うことが、国会が二院ある価値がのひとつなのでしょう。


入管難民法案、参議院でも急ぎ足の審議


■入管難民法案、参議院で審議入り

本日11月28日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の趣旨説明と質疑が参議院本会議で行われました。このあと行われた参議院法務委員会の理事懇談会で、明日29日の法務委員会で入管難民法案の趣旨説明と質疑を行うことが法務委員長の職権で決定されました。明日実質審議入りするということです。

衆議院に続いて、参議院でも委員会での法案の趣旨説明と質疑を同じ日に行うことになります。慣例では、委員会で趣旨説明を行った日は質疑を行わないので、かなり審議を急いでいるようです。


立憲民主党の国会対策委員会運営のTwitterアカウントに注目


■入管難民法案、衆議院通過

本日11月27日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が衆議院法務委員会で採決され、可決しました。続いて行われた衆議院本会議でも可決し、入管難民法案は衆議院を通過しました。報道によると、与党は明日から参議院での審議を始める予定とのことです。

■立憲民主党の国会対策委員会がTwitterアカウントを開設

さて、入管難民法案の採決の情報は、ニュースサイトや衆議院のサイトで確認していましたが、今日は新聞記事になっていた立憲民主党の国会対策委員会が運営しているTwitterも見てみました。これが、面白いです。

委員会の質疑の順番と持時間が記載された書類や、大臣の不信任決議案の表紙など、見てみたかった資料がリアルタイムでどんどん流れてきます。

なかでも興味深かったのは、野党の国対委員長が協議している様子を写した写真です。協議している部屋はおそらく国会内のどこかの控室だと思うのですが、壁に11月から来年7月までのカレンダーがずらっと貼ってありました。

7月まで貼ってあるのは、すでに来年の通常国会(例年6月が会期末)とその直後に行われる参議院議員選挙まで視野に入れて与党に対抗する国会対策を練っているためと思われます。

やっぱり政治にとってカレンダーは重要なのだな、と改めて感じました。

他の党も対抗して、どんどん情報を出してほしいですね。

参考: 立憲民主党 国会情報(@cdp_kokkai)


集中審議は活躍のチャンス、だから交渉の材料になる


■法務委員会は16:10から

衆議院インターネット審議中継によると、明日11月26日の衆議院法務委員会は16:10から開始の予定になっています。

中途半端な時間になっているのは、同じ26日に衆議院と参議院で予算委員会の集中審議がセットされているからです。集中審議が終わった後に、法務委員会を開こうというわけです。

報道で、26日の法務委員会で1時間の審議をすると聞いて「少ないな」と思ったのですが、開始が16:10なら納得です。

■集中審議とは

この集中審議は、与党が野党の要望に応じて行われるものです。予算委員会の集中審議は決められたテーマについて、総理大臣や大臣に質疑を行うものです。

明日のテーマは「内外の諸情勢」という漠然としたテーマなので、なんでも質問できます。また、テレビ中継もされます。質問する議員にとっては活躍のチャンスです。ですから、野党との交渉の材料になるのです。

こういう機会がそれなりにあるので、党首しか質問できない党首討論がイマイチ活用されないという意見もあります。

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国会戦術、「空回し」


■「空回し」とは

22日の衆議院法務委員会で行われた、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の審議に野党が出席しませんでした。そのため与党は、野党に割り当てられた質問時間分委員会室でなにもしないで待機して、審議時間を消化しました。「空回し」と呼ばれる国会戦術です。

審議を尽くしたかどうかを判断する基準が審議時間になっているため、野党が来ないからといって野党分の質問時間をバッサリ切ってしまうことができないため行われているようです。

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話し合いにはルールが必要


■ルールがないと話し合いにならない

話し合いにはルールが必要です。ただ単に話し合った場合、いろいろな問題が起こります。

  • 声が大きい人がずっと発言していて、他の人が発言できない。
  • 自分の提案した議案が、いつになったら議題にのぼるかわからない。
  • 5人で話し合う約束だったのに、2人だけで突然会議が開かれて、大事なことを決められてしまった。

このようなことが簡単に行われてしまうと、話し合っているとは言えません。

路上でルールなしで殴り合ったら犯罪ですが、リングの上でルールのもとで同じことを行なったらスポーツになります。

話し合いも、ルールがあってはじめてみんなが考える「話し合い」になります。ルールのない、生の話し合いは、路上の殴り合いとかわりません。

国会に様々なルールや慣習があるのは、話し合いを成立させるためです。

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入管難民法案、実質審議入り


■5日遅れでようやく実質審議入り

本日11月21日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が衆議院法務員会で質疑に入りました。いわゆる実質審議入りです。 もともとの与党の想定だと、先週の16日には実質審議入りしている予定だったので、実に5日遅れです。

この入管難民法案は完全に与野党対決型の法案になっています。昨日に引き続き、今日も法務委員会の運営について与野党で合意を得られず、法務委員長が職権で明日22日に質疑を続行することを決めています。

昨日も法務委員長は22日に参考人質疑を行うことを職権で決めています。今日も質疑の続行を職権で決めているということは、参考人質疑と行政に対する質疑は別扱いのようです。昨日は質疑がまだ始まっていなかったので、「始まっていない質疑の続行をどうして決められるのか」という建前でもあるのでしょうか。