月別アーカイブ: 2014年11月

大義なき解散にも、大義はあります!

■衆議院解散

 2014年11月30日現在。先週の11月21日に衆議院は解散され、日本から衆議院議員は消滅しました。

 衆議院の解散とは、実質的には内閣総理大臣が、任期によらず衆議院議員をひとり残らず免職させることです。そして、解散は選挙によって改めて衆議院議員を選出することを伴います。

■大義なき解散?

 今回の解散と、前回の解散の違いのひとつに、解散の大義が取り沙汰されている点があります。

 今回の解散は大義なき解散だというのです。

■大義がない3つの理由

 大義がないとされている理由はだいたい3つです。

  1. 安倍総理が解散の理由として掲げた消費税増税延期に反対している政党がひとつもないこと。つまり、争点がない解散であること。

  2. ほぼ全ての野党が選挙の準備不足なため、与党が過半数を失わないことが明らかであること。つまり、党利党略による解散であること。

  3. すでに与党で十分な議席を保持しており、任期も2年近く残っていること。つまり、解散する必要がないのにあえてした解散であること。

■争点なき解散

 まず、1について。確かに消費税増税延期については各党異論がないようです。では、他に問うことはないのでしょうか?集団的自衛権は?特定秘密保護法は?原発は?経済政策は?安倍政権の政策や政権運営に異論はないのでしょうか?

 もしそう思う有権者が大勢だとしたら、野党は猛省すべきです。野党の主張は、全く有権者に響かなかったことになります。

 野党というものが存在している時点で、争点がないわけはないのです。なかったら、日本の議会制民主主義はおしまいです。

■党利党略の解散

 次に2について。確かに野党は準備不足なようです。特に、前回の解散総選挙で下野した民主党は候補者を200人揃えるのがやっとという報道があるほどです。200人では全員当選しても過半数はとれません。

 しかし、与党が野党の望む時に解散するなんてことはなかなかありません。前回の解散がとても少ない例のひとつです。

 また、前回の解散にしても、当時勢いのあった日本維新の会など、自公や民主とは別の第三極政党の準備がととのわない時期を選んだということを、野田前総理がインタビューで明言している(山口二郎・中北浩爾編『民主党政権とは何だったのか――キーパーソンたちの証言』岩波書店:P.261)ので、党利党略で解散するのは今回にかぎったことではありません。

■必要のない解散

 最後に3について。確かに、安倍政権はともかく、自公政権は政党の枠組みが現状のままなら、あと2年は安泰です。自公の議員の身分も安泰です。もちろん、野党の議員の身分もそうです。選挙をしたら、自公の現職候補が落選して議席が減ってしまうかもしれないことは否定できません。

 つまり、これは選挙という負担に不満を持つ与党議員や与党支持者の声でしょう。また野党議員や野党支持者の声でもありましょう。これは切実なものです。

■解散権の本質は落選の恐怖

 この3が、これこそが解散権の本質です。この切実な声、「選挙はごめんだ」という声が解散権に力を与えます。落選の恐怖があるから、解散権はちらつかせるだけで実際に行使しなくても威力を発揮することがあるとされています。

 実際、解散が囁かれた段階で、消費税増税を決めた三党合意の主導者である民主党は、あっさりと増税延期賛成という態度を鮮明にしました。今回の解散は選挙をまたずして効果を上げたと言えます。

■有権者に大義あり

 いろいろ書きましたが、解散に大義があると感じるかどうかは、情緒的なものでしょう。大義があろうがなかろうが、解散は選挙とセットです。選挙の主役は誰あろう有権者です。有権者に主権を行使する機会が到来する時点で、すでに解散には大義があります。

 有権者に大義ありです。

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久々の首相主導の解散か?

 2014年11月11日現在。解散風がふいてます。先月末からチラホラ衆議院の解散が記事になっていましたが、今週になって怒涛のように報道されています。

 来週、11月19日にも解散するとの見方があります。大安ですし、ちょうどいいのかも知れません。

 さて、もし解散するとして、この解散にはどのような意義があるでしょうか。

 前々回の麻生内閣、前回の野田内閣、ともに衆議院が解散されています。解散後の選挙では、前々回は自民党から民主党へ、また、前回は民主党から自民党へ政権交代が起こっています。政権交代が起こるだけあって、解散直前の政権、政権与党の人気はひどいもので、野党に押し切られる形での解散でした。

 しかし、今回の解散は違います。野党が解散を望むどころか、以下のような言葉が報じられています。

 野党には早期解散の警戒感が広がる。民主党の海江田万里代表は「受けて立つ」と強調するが、代表経験者の1人は10日「正直なところ解散してほしくない」とこぼした。維新の党幹部は「足が震える思いだ」と漏らす。
(日本経済新聞『早期解散論が浮上』11月11日付朝刊)

 今回は安倍首相主導の能動的な解散である、ということが言えます。このような解散は、 3回前、2005年に行われた小泉内閣による郵政解散以来です。

 解散権というのは首相の権力のひとつです。首相となったからには、一度は解散をしてみたいと思うのではないでしょうか。首相になって解散権を行使できないというのは、非常に寂しいものです。かつて安倍首相も解散することなく首相の座を降りました。

 もし解散するとしたら、安倍首相は第一次安倍内閣での忘れ物のひとつを取りに行ったということになります。